この記事は『2030年すべてが「加速」する世界に備えよ』の紹介・後編です。
前編では、同時多発的な技術革新により、エクスポネンシャル(急激な加速)が起こる事例を紹介しました。
この後編では、エクスポネンシャル・テクノロジーのサイクルについて、もう少し深堀りしていきます。
1. エクスポネンシャル・テクノロジーの6つのステージ
エクスポネンシャル・テクノロジー(指数関数的に急激な加速をした進化)の成長サイクルには、次の6つのステージがあります。
- デジタル化
- 潜行
- 破壊
- 非収益化
- 非物質化
- 大衆化
これらを以下に、簡単に補足していきます。
デジタル化
あるテクノロジーがデジタル化されて、0か1かのバイナリコードの転換ができるようになると、「ムーアの法則」に則った、エクスポネンシャルな加速が始まります。
※ムーアの法則:コンピュータの性能は、18カ月で2倍になるという法則
そして間もなく、量子コンピューティングによって「ローズの法則」に則った、さらに劇的な成長が始まることになります。
※ローズの法則:量子コンピュータの量子ビット数は、毎年倍増するという法則
潜行
エクスポネンシャル・テクノロジーは、最初に登場した時に大きな注目を集めます。
しかし、初期の進歩はゆっくりなので、しばらくは世の中の期待に応えられない状態が続きます。
ビットコインが登場したばかりの先行ステージの頃は、マニアックな新しいオモチャとしか思われていませんでしたが、今や金融市場を根本から変える推進力になっています。
破壊
エクスポネンシャル・クノロジーが本当の意味で、世界に影響を与え始めるのがこのステージ以降で、既存の製品やサービスや産業を破壊していきます。
その一例が、3Dプリンティングです。
このたった一つのテクノロジーが、今や10兆ドル規模の製造業全体を脅かしています。
非収益化
ここは、製品やサービスにかかっていたコストが、そっくり消えてしまうステージです。
以前は、写真を撮るには、フィルムや現像にお金がかかったので、みんな限られた枚数しか撮れませんでした。
しかし、写真がデジタル化した結果、コストは消滅し、今では誰もがコストなど考えずに写真を撮るようになっています。
非物質化
ついに、製品そのものが消えます。ビデオゲーム機、テレビ、計算機、紙などが消えるものに該当します。
かつては、独立した製品サービスとして存在していた機能が、今ではあらゆるスマホに標準搭載されるようになりました。
Wikipediaによって百科事典が消え、iTunesによってCDショップが消滅したのも、非物質化の例です。
大衆化
エクスポネンシャル・テクノロジーがスケールして、一般に広がるステージです。
携帯電話はかつて、レンガほどの大きさで、ごく一部の富裕層しか手に入れることができませんでした。
今では、ほとんどの人が所有していて、世界でスマホが存在しない地域を探すのは、ほぼ不可能になりました。
2. ユーザーフレンドリーが成長のカギ

上記までの成長のフレームワークに沿って考えると、ユーザーフレンドリーなインターフェースは、潜行と破壊のステージを橋渡しする、とても重要な要素です。
例えば、インターネットの発展を振り返ってみましょう。
マーク・アンド・リーセンは、インターネット発のユーザーフレンドリーなインターフェースとして、1993年にモザイクを開発しました。
モザイクが登場する以前、オンライン上には26個のウェブサイトがあっただけでしたが、その数年後には数十万にまで急増。
これが、ユーザーフレンドリーなインターフェースの威力です。
インターフェイスは、テクノロジーを素人が使えるようにすることで、急速にスケール化を可能にします。今すでに、量子コンピューティングにおけるユーザーフレンドリーなインターフェース、「フォレスト」が誰でもダウンロードでき、本格的な変化はいよいよ目の前に迫っているのです。
今回は『2030年すべてが加速する世界に備えよ』から、重要なトピックを取り上げて紹介しました。
本書の中では、最新のテクノロジーによって実際に実現されている技術が数多く紹介されていて、各分野での最先端の動向を知ることができる、十分に読む価値がある内容です。
来るべき将来の姿を一足早く知ることは、間違いなく大きなチャンスに繋がるので、興味を持った方は、ぜひ読んでみてください。