一度は訪れたい!上質な光の空間が味わえる有名建築 ②

わくわくするデザインの豆知識


今回は光の演出が素晴らしい建築の解説、その第2弾です。

第1弾ではフランク・ロイド・ライトのグッゲンハイム美術館、ル・コルビュジェのロンシャンの礼拝堂という超有名どころを紹介しました。

この記事では同じく有名な建築を、光という切り口で3つ紹介します。

ジェームズ・タレルは、なぜ未知の光を作品にできるのか(光の館ほか)

一度は訪れたい!上質な光の空間が味わえる有名建築 ①

1. 新素材の可能性の探求!ウィーン中央郵便貯金局

ウィーン中央郵便貯金局の外観:筆者撮影

ウィーン中央郵便貯金局は、オットー・ワーグナー設計で1912年に完成した今から100年以上前の建築です。

オットー・ワーグナー 出典:kenchiku-shiken.com

しかしながら、その佇まいや内部空間は今でも十分にモダンで洗練されています。

石積みが主流であった当時に鉄筋コンクリート造を採用し、石を外壁のパネルとして使っていることを強調するために、あえてアルミの鋲を装飾的に用いています。

ウィーン中央郵便貯金局の入り口:筆者撮影


エントランスホールでも、当時としてはまだ目新しかった“鉄”と“ガラス”をふんだんに使用しており、その上部には半透明のガラス屋根が乗っていることが特徴的です。

このガラス天井、実は丸みを帯びた内天井の上に三角形の外屋根がかかっている二重構造になっています。

ウィーン中央郵便貯金局の内観:筆者撮影

断面図

そして、その二重天井を通った自然光は、柔らかな拡散光として内部に降り注ぎます

ホールを歩くと、自分の影が周囲にほとんど落ちていないことに気づき、ふわふわと宙に浮いているのではと錯覚してしまう光の空間を体験できるのですが、これはガラスの二重天井によって指向性のない面光源となった天井が安定した光環境を作り出しているためです。

さらにホールの床のガラスブロックは、ホール下の事務室へと光を浸透させていきます。

ウィーン中央郵便貯金局の内装:筆者撮影

内装もアルミを使った装飾的な仕上がりになっており、見応えがあります。

 

2. 雲のような光のベール!ストックホルム市立図書館

ストックホルム市立図書館の外観:筆者撮影

この図書館は、「森の墓地」で有名なグンナール・アスプルンド設計の公立図書館です。
赤土色のシンメトリーな外観からは、内部の様子が全く分かりません。

グンナール・アスプルンド 出典:Wikipedia


建物正面から中心へ向かって歩を進めると、真っ暗な階段室を抜け、明るく開けた円筒状の空間に辿り着きます。

まるで絵画のようなコントラストの美しいその空間は、一定の時間暗い空間に順応した後に移動することで、より一層鮮やかに感じられる工夫がされています。

階段から続く内部空間:筆者撮影

この建築は写真では体験できない、光の明暗を駆使したシークエンスによる演出が素晴らしいです。

光は天井付近のスリッド窓から降り注ぐにも関わらず、白い側壁は下のほうが明るく感じます(今は壁下部に照明が設置されているため、より明るくなっています)。

内部空間とハイサイドライト:筆者撮影

断面図 出典:myjo-movie.jugem.jp

実は側壁の下半分は前に張り出すことで光源である窓に近づき、窓からの光を直接受ける正反射の位置関係になっているのです。

さらに、反射率の低い木製の本棚付近の下部のほうが、輝度の対比でより輝いて見えるという仕掛けになっています。

3. 発電所が巨大な展示空間へ変貌!テート・モダン

テート・モダン外観 出典:howtravel.com

テート・モダンは2000年に、ヘルツォーク&ド・ムーロンがロンドンの旧バンクサイド発電所を改築して誕生したコンバージョン美術館です。

ヘルツォーク&ド・ムーロン 出典:http://artmatome.com/

この設計コンペの最終審査時、ヘルツォークほかレンゾ・ピアノ、OMA、安藤忠雄といった有名建築家が熾烈な争いを繰り広げる中、阪神淡路大震災が起こり、安藤忠雄は急遽結果を待たずして大阪へ飛んで帰ったため、結果が動いたという逸話があります。

所蔵作品は、アンディー・ウォーホルやカンディンスキー、ジャクソン・ポロック、リキテンスタイン、ジャコメッティ、ダリ、デュシャン…アート好きには眉唾モノばかりです。

 

エントランスの元タービン室 出典:howtravel.com

元々は火力発電所の心臓部にあたる、高さ35mの巨大なタービン室をそのままエントランスとして使用しているため、来館者は美術館に足を踏み入れた瞬間に巨大空間に出くわします。

この誰もが圧倒されるエントランス部分は、さまざまなインスタレーションの場としても使用されており、2003年にはオラファー・エリアソンの手によって巨大な太陽が出現したこともあります。

オラファー・エリアソンのWeather Project 出典:Pinterest

 

東西に延びる建物の屋上部分には白く輝く“ライトビーム”と呼ばれるガラス張りの光の箱を増設し、レストランとしての機能のほかに、下階のギャラリー空間の採光も兼ねています。

夜のテート・モダン外観 出典:art-annual.jp

2016年6月には、同じくヘルツォーク&ド・ムーロンによって設計された新館がオープンしています。

「スイッチハウス」と呼ばれるこの新館は、ねじれたピラミッド型をした10階建てのタワーで、壁面は33万6千個のレンガに覆われており、その隙間からは、日中はそこから陽光が差し込んで建物内に模様が現れ、夜はその隙間から外に光が漏れ、建物が輝いて見えます。

新館のスイッチハウス 出典:cinra.net

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