みなさんは、転職を考えていますか?
最近では働き方改革や、リモートワークの定着によって多くの人の労働環境が変わってきています。また、定年が70歳に引き伸ばされ、私たちの労働寿命はどんどん延びています。大学卒業後から働き始めたとして、約50年は働くことに。これは、一般的な企業の寿命よりも長いです。
また国際的な統計によると、日本の平均勤続年数は約12年だそうです。これをそのまま当てはめると、単純に平均して4回は転職をすると考えられますよね。そんな時代の中で、一昔前の転職に対する考え方のままでは、確実に時代遅れになってしまいます。ではどのように考えればよいのか?
今回紹介する村上臣(むらかみ しん)さんの書籍「転職2.0」が、その答えを教えてくれます。ぜひ、転職を考える上での参考にしてみてください!
1. 我慢しながら働く時代は終わった
高い給料の代わりに長時間労働をさせられる、そこまで忙しくはないけれど給料が低い。
転職はこのようなトレード・オフの関係にあると、多くの人は思っています。しかし、“何かを得ることは、何かを捨てること”といった、一方を我慢する時代はもう終わりました。
なぜ終わったのか。それは、会社主体の労働環境が変わってきたからです。昔の日本はほとんどの企業で終身雇用制度が整っており、会社が退職まで面倒を見てくれました。会社は個人に対して、いまよりずっと大きな力を持っていたのです。しかし、終身雇用が崩壊しつつある現代、会社はあなたを一生守ってはくれません。
会社は以前のように個人をずっと面倒を見ることができなくなったため、その立場は逆転しつつあります。さらに労働人口の減少も重なり、個人と会社の立場逆転が起こり、会社に握られていたキャリアの意思決定権は個人のもとに戻り、自分次第でキャリアも働き方も選べる時代になったのです。
2. 自分株式会社の評価額の最大化
では私たちは転職に対して、どのように考えていけばいいのでしょうか。
自分の考え方次第でキャリアも働き方も自由に選択できるようになった今の時代。それに適応するためには、転職に対する考え方を変える必要があります。何度も転職をすることが当たり前のこれから時代では、転職はあなたの市場価値を最大化するのための手段です。
転職2.0では、あなたという名の株式会社の“評価額の最大化”と表現しています。評価額を上げるためにA社に入って実務経験を積む、経験が得られたらB社に移るというように、転職を手段の一つとして使っていくといったイメージです。そのために転職は場当たり的に行うものではなく、ゴールから逆算して戦略的に行う必要があります。本書では転職に際しての客観的な評価軸として、5つの分類が示されています。
目的・行動・考え方・価値基準・人間関係
これらについて考え、どのように行動すればいいのか。本記事では“行動のタグ付け”という考え方を例に、解説していきます。あなたの評価額を上げるためには、自分にタグ付けをして希少性を高めることを考えてみましょう。
タグ付けとは、一言でいえば働く個人にタグを付けること。中には自分にはタグ付けできるものがない!と思う方もいるかもしれませんが、安心してください。タグをポジション・スキル・業種・経験・コンピテンシー(能力・行動特性)の5つに分類することで、あなたのタグを見つけることができます。
例えば、あなたが英語の塾講師だとします。それぞれの5つの分類は、
- ポジション:英語講師
- スキル:TOEIC700点
- 業種:教育
- 経験:生徒のTOEICを3カ月で600全体から800点台に上げた
- コンピテンシー:成長意欲、問題解決・傾聴力がある
そして、このように分類したタグは、発信していくことで企業からオファーを受けることができます。転職エージェントを使って応募するという方法が主流ですが、最近ではSNSを使った採用も活発になってきています。
3. タグを掛け合わせる
またタグを掛け合わせることで、自分の希少価値を高めることができます。目指すべきは秀でた人材かではなく、多くの企業がほしいと思うかです。これを達成するためには、分類表を縦に掛け合わせることが重要になります。
先の例の場合では、TOEICの勉強法の記事をブログで発信し、その結果、サイト検索の上位表示を達成した経験があるとします。
英語の資格を持っている人はたくさんいると思いますが、その中でサイト上位表示させることができた経験がある人は少ないと思います。
英語も教えることができ、自社のサイトを上位表示させるのに役立つ人材として、希少性が生まれますよね。自分株式会社の評価額を上げるためには、新しいタグを追加することを意識しましょう。
どのようなタグを追加するのがいいのか、本書では次の3つがオススメされています。
- 既に持っているタグと離れたタグ
- 新しい職種に付随するタグ
- ホットなタグ
です。この3つの観点をもとに、いま持っているタグを明確にしてみたり、足りないと感じるものや掛け合わせたいと思えるタグを手に入れるために転職をしたり、資格を取ったりするのです。上記のようなオススメのタグは、具体的にはどうやって探すのができるのでしょうか。
本書では、その方法として転職エージェントの担当者から情報を収集する、スタートアップの動向を見るというやり方が紹介しています。転職エージェントの担当者は、ネット上にまだ載っていない最新情報を持っている可能性があります。そのため、転職の担当者にいまの話題の業界や動向を聞くことで、これから重宝されるタグをいち早く知ることができます。
またベンチャー企業やスタートアップは多くは成長につながる授業を行っているため、その動向を見ることでホットなタグを知ることができます。こういった情報源を活用してタグを手に入れることで、あなたの自分株式会社の評価額を上げることができます。
私は本書を読むまで転職に対して、あまり良いイメージを持っていませんでした。今の仕事が辛いから転職する、職場が合わないから転職するといったネガティブな側面しか見ていなかったからです。しかし本書を読んで転職に対する考え方がポジティブになりました。
特に自分株式会社の評価額を上げるという考え方は、会社に依存する働き方ができなくなったこれからの時代に必須だと思います。これからの時代、我慢して働きたくない転職を活用してより良い人生を歩みたいという方はぜひ「転職2.0」を参考にしてみてください。