この記事では、「1行書くだけ日記」を紹介します。著者の伊藤羊一さんには、「1分で話せ」や「0秒で動け」といった著書があります。
「1行書くだけ日記」は、自分自身が本当にやるべきこと、やりたいことを見つけるための方法について書かれています。人は誰でも今のままでいたくない、もっと成長したいと思うことがあるのではないでしょうか?
変わりたいと思っても、人生を大きく変えるような出来事なんてそうそう起こらないもの。しかし、ドラマチックな出来事がなくても、毎日の仕事や生活の中に成長するために必要なことや、自分がやるべきこと、やりたいことを見つけるヒントは日々に詰まっています。さっそく中身をみていきましょう!
1. まずは1行書いてみる
ます最初に、1行日記の全体像を見てみましょう。
- 今日やったことを、1行で書く。
- その後に振り返りとして、やったこと起こったことの自分にとっての意味を考える。
- そして、そこでの気づきはなにかを考える。
- 次にやるべきことを見つけたら、行動していく。
という順番になります。このサイクルを回していくことが、1行日記の要点になります。
1行日記の書き方はとても簡単です。“毎日その日に起こったことを書く”、“書いたことを振り返ってみる”、これだけです。また、書く際には4つのポイントがあります。
まず1行を書くだけでいい
1行書くだけなので、どんなに忙しい人でも毎日続けることができます。もっとたくさん書きたいときには、1行以上書いてもOKですが、最初から長く書きすぎると続かなくなってしまうので、ちょっと書き足りないぐらいがちょうど良いです。
書く場所は何でもいい
書く場所は何でもいいです。手帳やノートに書いてもいいですし、アプリや web 上のカレンダーに入力しても構いません。
言葉にする
言葉にするプロセスを通じて、自分にとって必要な体験を選択し、抽象化することができます。
朝起きてからの行動を、一つ一つ全て記録する必要はありません。慌ただしい日々の中で、ちょっと気になったことや新しく学んだことを失敗したこと、こうなりたいと思ったイメージなどを書き留めていきます。
たくさんルールをつくらない
1日2日書き忘れてしまっても、あとでまとめて書いてもOKというように、ゆるいルールでも構いません。続けることが大事なので、一番自分が続きやすい形を見つけて下さい。
2. 振り返りの時間が大切
1行日記で大事になるのが、“振り返り”です。1行日記を書いたら、今度はそれを読み返していきます。振り返りのときに大事なのは、自分にとってそれがどんな意味があるということです。
例えば、「何げなく見た動物のドキュメンタリー番組が、すごく面白いと思った」という出来事があったら、どうしてこれを自分は面白いと思ったんだろう?と考えます。その結果、普通は生きられないような海底でも生活できるように進化した生物を見て、生命の可能性を感じたんだということがわかります。
“自分にとっての意味は何か”という問いは大事な問いです。ただ目の前を過ぎ去っていく様々な出来事も、すべて自分ごととして考えることができれば、そこから多くのことを吸収できます。さらに、その後の自分にとっての意味を踏まえていそうかと気づいたことを書きます。
その日に答えが出なくてもOK
例えば、自分は生物の進化に関心があるんだということに気づくかもしれません。その気づきを踏まえてやってみようと思った行動があれば、さらに書き残しておきます。今回の例であれば、書籍も読んで生物の進化についての知識を広げるといったことです。
やってみることは、必ずしもその日に思いつく必要はありません。その日のうちにアクションまでたどり着くこともあれば、数週間後数ヵ月後になってから気付くこともあります。別の日に起こった出来事とつなげて考えることで、日々の小さな気づきがいくつか集まる中で気づきになることもあります。
3. 1行日記はアップデートされていく
1行日記は、その日の振り返りをして終わりではありません。あとから見返す中で、思い出したら書き足しても構いません。何回も見直しながら、何回も書き足すことが大事です。1行日記というのは、走りながらフォームを直していくツールであるとも言えます。
もし速く走れるようになりたいと思ったら、まず最初に何をしますか?
走り方の本を読んでみるかもしれませんし、性能の良いランニングシューズを買いに行くかもしれません。しかし、一番大事なのはまず走ってみることです。50m でも100メートルでもいいので、まずは走ってみなければ自分がどのくらいのタイムで走れるのか、フォームはどうなのかということもわかりません。
アウトプットを大事にする
最初から速く走れる必要はありません。重要なのは、振り返りの材料があるかどうかです。もしかしたら悲惨なタイムを直視して、何日か立ち直れなくなるかもしれませんが、タイムの数字さえあれば振り返りがしやすくなります。ノートやアプリを開いて「100メートル走ったタイム、18秒」と書き込んでその現場に向き合うことがスタート地点です。
何か新しいことを始めたり、自分を変えたいと思うとき多くの人は、インプットから入ろうとします。しかし実際には、インプット・アウトプットの順番よりも、アウトプット・振り返り・インプットという順番の方が圧倒的に成長スピードが速くなります。
つまり、速く走れるようになりたいとしたら、走り方の本を10冊読んでから走るよりも、まず走ってみてそれを振り返る。そこから、もっと楽な呼吸法はないだろうか、どんな風に手を振るのがいいんだろうかと考え、必要な知識をインプットしていくほうが効率がいいということです。
行動・振り返り・気づきを得て、またすぐ行動するというサイクルを自分の習慣にできるかどうか。愚直に回し続けられるかどうかが、人生を左右するのです。
4. 溜まった日記は構造化してみる
1行日記を続けていると、毎日いろいろなことを観察して言語化した記録が溜まっていきます。その一つ一つの事例を振り返ることによって、他の領域に応用できる理論にしていくことを、構造化またはフレームワークかと言います。構造化する時のパターンは、3つあります。
1. 共通点を見つける
これは因数分解に近いやり方で、別々の出来事を見直しながら共通点と相違点を見つけて、これが共通点だということを繰り出します。違う事象を自分なりに構造化することで共通解が見えてくるのです。
2. 時系列で並べる
それぞれの出来事を、時系列に沿って考えるやり方です。半年前に比べて、どれくらい成長しているのか。例えば、英語力がこれだけ向上したなといったことが分析できます。
3. 相対的に考える
目の前で起こっている出来事には、つい気を取られてしまいがちですが、ひとまず1行日記に書いてそれぞれを見比べることで、この時の大変さに比べたら大したことがなかったな?などと総体化して考えることができるのです。
本書で語られている日記の技法は、誰でも続けられるぐらいに簡単で、それでいて自分を大きく成長させることができる優れた習慣だと思います。今回紹介した以外にも、やりたいことを見つけるためのツールとして1行日記を活用する方法や、振り返りでより成長するためのSNSでの発信方法など、さらに詳しい内容が語られています。興味を持った方は、伊藤羊一さんの「1行書くだけ日記」をぜひ実際に読んでみてください!