モノを減らししないことを決めるだけで、お金も時間も自由になる。本書はモノを手放すことで、人生に余白をデザインすることを提案する。
どんどん不要なものを減らし、少ない固定費(ミニマムライフコスト)で生活し、労働時間や家事を減らす結果、生活に余白ができる。
あとは生活する分だけ働いて、趣味を楽しんで、悠々自適にのんびり暮らすもよし、もっとお金が欲しければ浮いたエネルギーでスキルを身に付け収入を上げるもよし、お金のためにエネルギーと時間を切り売りしないですむ権利を持つ。
それが僕の考える、幸せの土台である。僕の人生は、手放すことから始まったのだ。
ーーミニマリストしぶ
この記事では、ミニマリストしぶさんの「手放す練習 ムダに消耗しない取捨選択」を紹介します。本書は、
- モノを手放すことが、自分の人生を生きるためになぜ必要か
- 捨てることで人生がどう変わるのか
- 実際にモノをどう手放せばいいのか
を、丁寧に教えてくれます。
不景気の時代において、最強のライフハックとも言えるミニマリスト。興味はあるけれどなかなか実践することができない、モノが捨てられなくて悩んでいるという人は多いですよね。
本書を通して手放す練習を繰り返し、モノを手放す勇気が持てれば、あなたの人生は劇的に変わります。それでは、重要なポイントに絞って本書をみていきましょう!
1. モノを手放すことの信じられないメリット5選
最近ではモノを減らして、心豊かに生きる“ミニマリスト”がすっかり定着していますが、なぜミニマリストがブームになったのでしょうか。まずは手放すことで、あなたの人生がどのように変わるのか、どんなメリットがあるのかを5つ紹介します。
1. 余白ができる
手放すことの圧倒的メリットは、生活に余白ができることです。著者は、モノを減らし、やらないことを決めるだけで、お金からも時間からも自由になる。さらに、労働時間や家事を減らすことで、生活に余白ができると言います。
多くの人が毎日せっせと働いていたり、家事に追われていたり、人生に余白がない状態です。それはモノが多い、固定費が高いといったことが原因です。
それでは、なかなか幸せを感じることは難しいです。まずは、徹底的に不要なものを減らし、人生に余白を作ることを考えましょう。
必要な生活費分だけ働いて、あとは 趣味を楽しんだり、悠々自適にのんびり暮らすのもよし、もっとお金が欲しければ浮いたエネルギーでスキルを身に付け収入を上げるもよし、あなたが自由に決めることができます。
まずは余白をつくり、お金のためにエネルギーと時間を切り売りしないで済む権利を持つことで、あなたの人生、あたなの幸せが始まります。
自分で何をするのかを決められること、自分の時間をコントロールできているという感覚が、私たちを幸せにしてくれます。
また、余白の時間を使って、自分としっかり向き合うことができれば、自分を今よりもよく知ることができ、本当に望む人生をしっかりデザインすることもできるでしょう。
2. 貧乏人の負のループから解放される
貧乏人ほど、家にたくさんモノを溜め込んでいるそうです。テーブルに大量のものを散らかしたまま、ごはんを食べるようなお金持ちが少ないことは容易に想像できます。
不要なものが置きっぱなしになっている状態を不快に感じるかどうか、要らない買い物や無駄な支出にちゃんとNO!と言えるかは、心の問題です。
金持ちほど整理整頓を好み、要らないモノや無駄な出費を好まない傾向にあります。一方で貧乏人は、モノを買うお金が減ると、そのお金を取り戻すために働きます。
モノが増えた挙句、整理整頓や探し物などの手間が増える、片付けに費やす時間も精神的な余裕もなくなり、部屋がものだらけになり、散らかったストレスを発散するために、またモノを買うという負のループに陥ってしまうのです。
モノが多いと脳のメモリを喰う
また、床に物が散らばっていると窮屈でメンタルもやられます。足の踏み場がないほどモノがあると、無駄な体力や意識を割かれて集中力は低下し、脳のメモリの無駄遣いになります。
そして、正常な判断ができないまま、安物買いの銭失いでさらにモノを増やし、まとまった軍資金がないことにより、いつまで経っても量より質へのマインドシフトができません。
お金が足りないときや、メンタルが辛い時こそ、モノを減らすことに力を注ぎ、この負のループをまず断ち切らなければならない。モノを手放す練習は、この負のループから抜け出すための手段になります。
3. お金稼ぎの訓練になる
当たり前ですが、資本主義に生きている以上、生活の基礎である衣食住や医療、その他すべてにお金が必要です。私たちの悩みのほとんどは、お金が原因で発生しています。しかし、お金をたくさん稼ぐことは簡単ではありません。
一方で、著者の考える経済的自由とは、大金を獲得して豪勢な生活をすることではなく、生活に最低限必要なコストを下げて、たくさんのお金を必要としない生活力を身につけることです。勉強にも向き不向きがあるように、ビジネスがお金稼ぎにも得意不得意があります。
自力で老後の2,000万円を作れと言われるこのご時世。お金を稼ぐ力も必要でしょうが、お金を使わずに生きる力の価値が一層高まっていると言えるでしょう。
生活費を下げて、お金がかからないで暮らせる能力を身につけておけば、年金のほかに2,000万円も貯める必要はないかもしれません。
限りある時間の中で
ここで、節約と我慢ばっかりでは、生きていては人生が楽しくないのではと思うかもしれませんが、それは間違いです。今の時代は非常に豊かになっており、お金を使わなくても様々な娯楽を楽しむことができますし、少ないお金で豊かな生活を送ることができます。
19世紀の貴族がいくらお金を払ってもできない、楽しい娯楽が溢れています。必要なことは、お金を使わずに生きるための工夫です。逆に、金銭的・時間的な余白を生み出せないと、自己投資にお金が使えず、収入を上げるためのスキルも身に付きません。
ミニマリストは仕事がデキる、ビジネスの才能を秘めています。なぜなら、日々ものを減らす行為は、取捨選択の訓練だからです。
- 何が必要で、何が入らないのか
- 何が利益を生んで、何が損を出しているのか
限りある時間の中で、どういうポイントに気を付ければ、成果を最大にできるかといった能力を、モノを減らすことで鍛えることが出来るからです。
4. 体も脳も疲れなくなる
手放すことができたあなたがまず実感するのは、体も脳も疲れにくくなったということでしょう。カバンが重いと疲れてしまいますが、荷物が減ると体力の消耗も抑えられます。その結果として、行動範囲が広がってアクティブになり、ダイエットにすらつながります。
さらに、探す・迷う・選ぶことのストレスが減り、整理整頓で悩む必要もなくなります。ある研究では、片付けることで鬱や精神疾患が改善したという結果があります。
そもそも、なぜ部屋が散らかっていると、メンタルが病んでしまうのかというと、モノには情報が詰まっているからです。視界に散らかったものが映り込んでいると、だんだん集中できなくなってきます。
机の上に置かれたスマホが目に入ると、あの人から連絡返ってきてないかと気になってしまい、脳のメモリが奪われ、さらに集中力がそがれてしまいます。
床のマンガや脱ぎ捨てた服も同様に、脳のメモリや意志力・集中力をどんどん奪っていき、結果として体も脳も疲れ切ってしまうのです。
5. 場所に縛られなくなる
モノをため込んでしまうと、場所に縛られてしまいます。住んでいる近くで大規模な工事が始まってうるさい、近隣トラブルがあるといったハズレ物件に住んでしまっても、いつでも身軽に引っ越すことができます。
例えば著者は、モノを減らして以来、過去に2回タクシーだけで引っ越しを完結させたそうです。
その時に荷造りにかかった時間は、たった20分。引越し費用は、タクシー代の約1,900円だけだったそうです。単身者が県内引っ越しをする際の平均費用は、およそ5万円なので、相場の約1/25です。
これくらい安く、短い時間でサクッと引越しできたら、すぐに引越ししようという気になりますよね。
自力で持ち運びできる量まで減らし、車に積めるよう体積が小さくたたみやすい家具で持ち物を固めておけば、タクシーで引っ越すことすら可能になるのです。
著者のようまではいかないにしろ、“軽トラ1台引越しプラン”のような安い予算で引越しができるようになるだけでも、引越しのハードルが下がり、そこに住み続けるストレスから解放されやすいでしょう。
住む場所がいいところであれば、それだけで人生の幸福度が雪だるま式に高まり、逆に住む場所を間違えれば、幸福度は下がります。
私たちは環境から非常に大きな影響を受けているので、不満のある環境にとどまり続けることは、ものすごい大きなストレスになります。いつでも、その環境から抜け出せる準備をしておきましょう。
2. 性格によってモノの残し方が変わる
ここからは、実際にどのようにすればモノを手放し、ミニマリストになれるのかを解説していきます。その前に、一つ理解しておくべき重要なことは、性格によってモノの残し方が変わるということです。
どう捨てるかのノウハウ自体は一緒でも、最後に何を残すかは人それぞれ違い、ミニマリストでも持ち物は人それぞれで個性があります。まずは、あなたの性格が内向的と外向的のどちらなのかを、考えてみてほしいです。
内向的な人
例えば、徹底的に物を減らしてガランとした空間を好む人は、内向的である可能性が高いです。内向的な人は、多くの人と集まったり、スケジュールを詰め込みすぎたりすると疲弊してしまいます。
さらに、街の騒音や光に体力が削られる気がし、モノがあふれている状態が苦手というのが典型です。ひとりでいるのが好きとか大人数で過ごすことが苦手であるという人も、おそらく内向型でしょう。
また、内向的な人は刺激に敏感であり、その結果、外交的な人よりも疲れやすいです。だからこそ、特に内向的だ、繊細だと感じている人は、モノを減らして刺激を取り除くことで、より生きやすくなるでしょう。
繊細で人よりちょっと傷つきやすく、物事を深く考える傾向にある人たちをHSPと呼びます。HSPは、5人に1人の割合で存在すると言われており、その人ほどよりモノを減らしていくべきです。
外向的な人
一方で、外向的な人は大勢で集まることや、わいわい騒ぐのが好き、旅行などで外を飛び回るのが苦にならない人です。
もしあなたが外向的ならば、モノを減らすことで身軽さにさらに磨きがかかり、フットワークが軽くなることで、人一倍趣味を楽しんだり、仕事をバリバリこなすことができたりと、余りあるそのエネルギーを増幅させられます。
つまり、弱みをなくすためだけにモノを減らすのではなく、強みを伸ばすために減らすという考え方もできるのです。
3. ミニマリスト式、モノを減らすロードマップ
それでは、具体的なモノの減らし方として、その“ロードマップ(段取り)”を、4つのステップで紹介していきます。
ステップ1:短期集中で何も置いていない床面積を30%作る
モノが片付けられないと悩んでいる人の共通点は、ダラダラと長い時間をかけて片付けようとする点にあります。それではいつまでも捨てることはできません。土日や大型連休などにスケジュールを組み、朝一から一気に短期集中でモノを捨ててみましょう。
このメリットとしては、朝イチはエネルギーが余っているので、後回しにしにくいことと、不要品を処分しないままダラダラ持ち続けることは借金も同然で、より早く手放せることです。
要らないものを所有していることは、365日床面積分の家賃を無駄に払い続け、さらには管理にかける時間と体力を消耗しています。
所有の利息というのは高いので、債務整理はできる限り最速で行うべきです。
モノを減らすにあたっては、床のうち30%まで何も置かない面積を広げることを目標にしましょう。
例えば6畳なら、6畳×30%=1.8畳を目安に減らしていきます。また、床面積を広げる際には、最初からきれに片付けたり捨てたりしなくてもOKです。
とにかく最初は1ヵ所に固めるだけでも、最悪物置に押し込むだけでもいいので、何ない床面積を広げることを意識してください。所有量を把握したり、要らないものを選別したりするために、この床の余白のスペースが必要になります。
ステップ2:捨てるものではなく残したいものを決め、それ以外は捨てる
モノを捨てるときに多くの人は、どれが収納に入らないかなと、収納量に対して何を捨てようかと考えがちですが、捨てる際は理想の生活のために何を残したいかを意識しましょう。残したいものから逆算して、モノを減らしていくのです。
例えば、著者の理想の生活は、いつでも引越しができる身軽な生活であるため、
- 折り畳んでコンパクトに圧縮できる家具を中心にインテリアを構成
- 大好きなアニメを大画面で鑑賞できる生活が理想なので、天井埋込型のプロジェクターを設置して投影できるように、壁にモノを置かない、飾らない
- 趣味の時間を確保するために、家事に時間をかけない
- 掃除ロボットが動けるよう床からモノを減らし、ドラム式洗濯乾燥機のような便利な家電の所有は躊躇しない
このように逆算して、何を残したいかを決めます。そして、理想の生活に関係ないモノは、どんどん捨てていく。なお、自分の理想の生活が分からないと思っている人は、お金・時間・楽しみの3つを基準に残してみましょう。
お金を生み出す仕事道具や書籍、時間を生み出す時短アイテムや健康グッズ、楽しみを生み出す趣味のアイテムや娯楽品など、基準と関係しているものは残してよいと言えます。
ぜひ自分の理想の生活を思い描き、少しの捨てるべきものではなく、残したい数個に目を向けましょう。
ステップ3:所有コストが大きいものから減らす
残したいものが決め、それ以外は全部捨ててしまえと言われても、実際に何から手を付けていいのか迷うかもしれません。
そんな時は、所有コストが大きいものから減らすということを意識してみてください。ここでの所有コストとは、具体的に次の5つです。
- お金:維持費が高いもので、必要ないブランド品や嗜好品などお金の不安を感じるモノ
- 時間:コーディネートを悩ませる必要以上の服など時間泥棒になるモノ
- 空間:必要以上に大きい家具やもので、余分なストックなどスペースを奪うモノ
- 管理:財布、身分証など紛失すると困る、管理能力が強要されるモノ
- 執着:要らないプレゼント、過去の栄光など足かせになるモノ
例えば、所有コストが大きいものの具体例は、テレビや収納家具、服などです。これらは総じて、連鎖的に増えてしまうので厄介です。中でも服から減らし始めるのがオススメです。
なぜなら、服は所有コストが大きい割に布なので、家具や家電と違って捨てやすく、毎日ずっと使うものだから減らした変化を感じやすいです。
もったいないから、売れるから、譲れるからの3つを言い訳に捨てられないかもしれませんが、実は捨てない方がもったいないです。
先に述べたとおり、捨てないと床面積分の家賃が無駄にかかってしまい、捨てたいと思いつつ捨てられなくてモヤモヤすると、脳のメモリの無駄遣いが永遠に続いてしまうからです。捨てるかどうか迷っている時点で、それは要らない可能性が極めて高いので、捨ててOKです。
売れたり譲れたりするモノもあるでしょうが、そう思っていると結局いつまでも捨てることはできません。
ステップ4:捨てる理由を分析し、必要ならダウンサイジングをする
捨てる際は、なぜそれを捨てることになったのかを必ず分析してほしいです。いくらポイポイ捨てても、そこからさらに無駄なモノを買っていたら意味ないですよね。
服一つを捨てるにしても、色が奇抜で着回しにくかったから捨てるとか、セールにつられて妥協したけど好みでないから捨てるなど、捨てる理由を頭の中で必ず分析しましょう。
その失敗談のストックが、モノを見る目を養い、取捨選択の精度を高めてくれます。必要以上にモノを増やさない自分へと変わるために必要な作業です。それでも捨てる勇気が持ってない時は、ダウンサイジング(小型化)を行ってください。
例えば、テレビはプロジェクターやスマホなどで代用する、服は上下セットアップやワンピースなどで服を減らし、その分アクセサリーを増やすなどといった工夫です。こうすることで、オシャレを楽しみつつ、クローゼットが小さくて済みます。
また、ダウンサイジングの効果が特に発揮されるのは、捨てがたい思い出の品や人からの貰い物を減らすときです。
思い出の卒業アルバムを、写真に撮ってから捨てる。不用品を写真に撮って捨てると15%もモノを減らせるということが、研究によって明らかになっています。
思い出や懐かしいモノなどはスマホで写真にとって捨てるとか、大事なページだけ切り取って捨てれば、思い出を残したまま減らすことができます。
今回紹介した本書「手放す練習 ムダに消耗しない取捨選択」には、他にも紹介しきれなかった手放す技術や減らすためのマインドが、わかりやすく書かれています。興味のある方は、ぜひ一度手にとって熟読してみてください!