この記事では、加藤俊徳さんの書籍「なぜうまくいく人は「ひとり言」が多いのか?」を取り上げます。
一見、相手の見えない独り言は生産性のない無駄な行為であり、迷惑だと思いがち。しかし実際にはそんなことはありません。
独り言はとても奥深く、脳の持っているポテンシャルを引き出すことができます。
その仕組みを理解しうまく活用すれば、かなり想像的な思考とアウトプットが可能になるはず。本書は独り言のメカニズムを脳科学的な視点から解き明かしています。
日常生活の中で上手に独り言と向き合い、自分の能力を高めることができるようになるので、おすすめです。
それでは中身を見ていきましょう!
1. 独り言のすごい脳活効果
“言霊”が持つ力は、古来から注目されてきました。それには、スピリチュアルなものではなく、科学的にも根拠があります。
言葉を発すること自体で、脳の血液循環や酸素消費が変化し、思考が整理され、行動に大きな影響を与えることが分かっています。
また、「自分はできる」「曲げることはない」といった自己肯定の言葉を発すると、不思議と自身が目標に向かって進み始めたり、目標設定時の独り言「合格する」「良いパートナーを見つける」といった決意を固める上で力を発揮します。
独り言は目的意識を高め、自然と目標達成への行動を促す効果があるのです。
独り言は問題解決への近道
脳科学的に“悩み”とは、問題が言語化されていない状態。
例えば「なかなか恋人ができない」という悩みには、出会いの欠如、自信の不足、外見の不安など、様々な原因が考えられます。
その原因を明確にすれば、改善策を見つけることが可能です。
趣味を深めることで自信をつけたり、見た目を整えることで印象を変えたりすることができます。
一方で、変えられない要素(出身地や人種など)に関しては、悩むこと自体が無意味。
本書における悩みとは、解決可能な問題や課題へと転換できるものを言い、その過程で独り言は大きな役割を果たします。
何が問題なのか、どのように改善すればよいかを声に出すことで、悩みは次第に解決すべき具体的な問題へと変化していきます。
言い換えれば、独り言は問題の認識と解決への道を開く手段と言えるのです。
私たちの脳には、神経細胞が約1000億個存在し、それぞれが特定の機能を司る小さな集団を形成しています。
この各集団は、特化した役割を担い、複雑な人間の思考活動を可能にします。
これらの集団が位置する脳の領域を、ここでは「脳番地」と呼び、合計120もある脳番地は、以下の8つのカテゴリに分けられます。
- 思考系の脳番地:物事を深く考える際に活動するエリア
- 感情系の脳番地:喜怒哀楽などの感情を受け取り、表現するエリア
- 伝達系の脳番地:コミュニケーションを取る際の意思疎通に関与するエリア。
- 理解系の脳番地:情報を理解し、未来のために活用するエリア
- 運動系の脳番地:身体を動かす際に働くエリア
- 聴覚系の脳番地:聴いた情報を脳に蓄積するエリア
- 視覚系の脳番地:見た情報を脳に蓄積するエリア
- 記憶系の脳番地:情報を記憶するエリア
独り言を発するとき、これらの脳番地は密接に連携して、情報処理のネットワークを構築します。
思考の現実化と独り言
次に、将来の夢や目標について考えてみましょう。
多くの若者が将来への夢を持ちづらい現代ですが、自己認知の低下も一因と言えるでしょう。
自分の好み、性格、得意なことを理解することが、自信を持ち、希望を描く上で重要です。
この自己認知を促進するためには、自己との対話、つまり独り言が不可欠です。
「私はITエンジニアとして成功する」「私は家庭と仕事を両立させる」といった自己アファメーションは、脳に直接作用して、意識と行動を変化させます。
「思考は現実化する」という言葉がありますが、独り言によって、脳はその内容に沿った方向へと導かれるのです。
脳の実行機能を駆使する
さらに夢に近づくためには、思考と行動を連動させる「実行機能」を駆使することが重要です。
この実行機能は、具体的な学習計画の立案や、将来のキャリアパスを考える時に、思考系と運動系が連携して機能します。
- ITの分野で成功するためにはどのような学習が必要か?
- どの大学の学部が最適か?
- そして将来有望な企業はどこか?
など、自分自身に問いかけ、答えを探してみることが大切です。
このような独り言は、目標へ向けた脳の活動を促し、同時に積極的に情報を集め、実際に行動を起こすことで、目標が現実のものとなります。
結果として、独り言は私たちの脳を活性化させ、目標達成への道を確実に近づける力を持っているのです。
人間の脳には、無限の可能性が秘められています。
私たちが日々抱える問題や悩みに対する答えも、実はすべて自分自身の脳内に存在します。
しかし、多くの人は自分の内側に目を向けることなく、外の世界から答えを見つけようとします。特に情報過多の現代社会では、外部の情報に流されやすく、不安に駆られがちです。
例えば「老後には2000万円が必要」といった情報に振り回され、安心を得ようと外に目を向けがちですが、外部からの情報に依存している限り、不安は決して解消されません。
逆に新たな不安を植え付けられると、それがすぐに大きくなってしまう。
このような時代だからこそ、私たちは自分の内側に光を見つけ、自己を照らす必要があります。
独り言は、その内なる光、つまり自己の脳と向き合う手段となりえます。
自己との対話の力
世の中で成果を出し、活躍する人ほど、自己との対話を重んじています。
これはビジネス界だけでなく、職人の世界、芸術、スポーツといった様々な分野で共通しています。
例を挙げると、一流のスポーツ選手は自分の最適なパフォーマンス状態を記憶し、常にその基準と現在を比較しながら、調整を重ねています。
この自己との対話が、一貫して高いパフォーマンスを可能にする背後にあります。
同様に、芸術家たちは外部からの評価を求めることなく、自分の内側にある美的感覚や想像力に基づいて独自の作品を生み出しています。
これらのオリジナリティは、自分自身との対話からしか生まれません。
だからこそ、自己との対話は最も価値あるコミュニケーションと言えるのです。
まとめ
- 独り言は目的意識を高め、悩みの解決に導く
- 独り言は自己認知を促進する
- 一流のスポーツ選手や芸術家は自分との対話を大切にする
今回紹介した加藤俊徳さんの書籍「なぜうまくいく人は「ひとり言」が多いのか?」について、まだまだ紹介できていない部分が多いです。おすすめの本なので、ぜひ読んでみてください!