5分で学ぶ『NFTの教科書』要約【後編】メタバースは一時的な流行りか?稼げるのか?

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この記事では「NFTの教科書」という書籍を紹介します。前編では、NFTを可能にするブロックチェーン技術と、仮想通貨との違いやNFTブームについて解説してきました。この後編では、Facebookが社名をMetaに変更したことでも話題の“メタバース”を中心に解説していきます。ぜひ、最後までご覧ください!

 

1. メタバースとは何か

 

メタバースという言葉を聞いたことありますか?

メタバースとは、SF作家のニール・スティーブンソンによる造語で、インターネット上に構築される仮想の3次元空間。アバターなどを用いて接する環境とされています。また、メタバースの条件については、アメリカのベンチャー投資家のマシュー・ボール氏が2020年に以下の7つの必須条件を示しました。

  • 永続的であること:一時停止やリセットは存在せず無限に続く
  • 同期的であること:実社会と同じく同期的な状態
  • 無限の同時接続ユーザー:ユーザーそれぞれが存在感を持つ
  • 完全に機能した経済:個人や企業が価値を生み出し報酬を得られる
  • 実社会との垣根なし:リアル / バーチャル、オープン / クローズ、プライベート / パブリックにまたがる体験となる
  • 相互運用性:プラットフォームの垣根を越えた体験
  • 幅広い人々の貢献:個人や企業などが大量のコンテンツや体験を提供する

 

よく想像されているような、ヘッドセットをかぶってVRワールドで活動していることだけでは、メタバース呼ばないということです。

 

2. クローズド・メタバース、オープン・メタバース

blue yellow and red abstract art

 

フォートナイト、どうぶつの森、マインクラフトなどのクラフトゲーム系をプレイしたことある方も多いと思います。実は、これらもメタバースの一種です。

特徴としては、経済がそのアプリ内で閉じていることから、クローズド・メタバースと呼ばれています。NFTはクローズド・メタバースではなく、アプリ間をまたぐようなオープン・メタバースをもたらしてくれるものです。

NFTの登場によって、複製可能なデジタルデータも、唯一無二のものとして判別可能となりました。NFTは、メタバースにとって以下の3つの重要な要素を持っています。

  • 価値の希少性の担保
  • アプリケーションを超えて所有し、行使できること
  • 実質的な価値を持つこと

 

特に2つ目のアプリを超えて所有できる、デジタルアイテムを持ち越せることは、現行のインターネット・カルチャーの概念を覆すほど重要なポイントです。例えば、今まではあるアプリケーションで買ったデジタルアイテムは、そのアプリケーションでしか使用できないことが大半でした。

しかし、NFTはどのアプリケーションにも属さない、ブロックチェーンに所有データが属しています。デジタルアイテムが一つのアプリに限定されることなく、どのアプリの世界にも自分が購入したデータを持っていけるようになるということです。NFTの登場により、あるメタバースで購入したアバターやアイテムが、将来的に別のメタバースで利用することができるかもしれないのです。

 

現実の物の多くは、メルカリやブックオフなどで二次販売が簡単に行えますよね。どこの服屋で買ってもメルカリで売れるように、NFTもどのショップで買っても互換性があればどこのショップでも二次売買が可能になります。今までコピーが容易だったデジタルデータが、現実のルールに近づくことで固有の価値がつきはじめれたのです。

メタバースにおけるNFTは、土地や不動産、音楽、アート、ゲーム、ファッションなどのカルチャー、VRミュージックフェスなどのイベントチケット、さらにメタバース用のアバターやメタバース空間そのものがNFTとして取引されていきます。

 

3. NFTで資本主義はどう変わるか

 

ここからは、NFTを用いることで可能性のある、資本主義のアップデートについて解説していきます。資本主義のアップデートとは、株式会社の再発明です。

株式会社は蒸気機関以前の1602年、オランダの東インド会社で発明されました。それまでは事業をやろうとすれば、お金を稼いで貯めるか、借金するかしかありませんでしたが、株式会社という仕組みの発明により、ビジョンに賛同する投資家がいれば誰でも事業にチャレンジできるようになりました。投資が続く限り事業が続けられることが、株式会社の画期的な点です。

 

一方これからは、企業の時代ではなく“個の時代”です。個人が中心のエコノミーが生まれてきたのです。例えば、ある男性Youtuberが面白い動画に挑戦したく、お金を集めたいとしましょう。ここで、仮に株式会社としてお金を集めることに、一つの制約があります。投資家のために、成長し続ける必要があるという点です。つまり売上アップを続け、利益を増やし続けなければいけないのです。

そうなると、初めは自分1人で活動していたとしても、売上アップのために必然的に他の人を雇うしかなくなります。彼は優秀なクリエイターではあっても、他の人を教育できないかもしれません。教育できたとしても、彼のファンが見たいのは彼が育てた人ではなく、やはり彼自身のはずです。

 

本書では、著者の一人である国光宏尚氏のフィナンシェという会社が、この矛盾をNFTで解決すると言います。フィナンシェでは、クリエイターは自分のやりたいことを実現する資金を集めるために、自分のトークンを発行します。それを買うのは、クリエイターのファンたちです。

ファンたちは売上や利益を望んでいるわけではありません。基本的には、自分たちが出した資金でできたクリエイターの作品がリターンになります。この仕組みであれば、稼ぎを増やし続けて金銭的なリターンを返す必要がないため、株式会社のような矛盾が存在しません。これこそが、株式会社の再発明。資本主義のアップデートです。

近年、クリエーターズ・エコノミーの資金調達面を支えるサービスとして、クラウドファンディングファンクラブやサロン、投げ銭型のサービスが行われていますよね。フィナンシェで行われている活動は、それらと一線を画した、クラウドファンディング2.0とも言えるものです。

 

既存のクラウド・ファンディングでは、資金提供したファンに金銭的メリットがありません。一方で、クラウド・ファンディング2.0はトークンを発行するため、そのトークンを欲しい人が増えると価値が上がる可能性があります。つまりGiveだけではなく、金銭的メリットのTakeが得られる可能性があるということです。このGive & Takeの仕組みなら、例えば海外に留学して将来的に新しい事業を起こしたいという若者がトークンを発行して、留学費の支援を募ることもできはずです。

将来成長しそうとか、夢を応援したいという人がトークンを買って、支援する人がたくさん出てくると株式会社の時代ではできなかった、この時代ならではのリスクの取り方をしたチャレンジが生まれてくるでしょう。それは従来の資本主義的な価値観とは異なる、新しい価値観を持ったチャレンジになります。これまでの株式会社をはじめとした、多くの資金を集めて大量生産するやり方とは違う、個人の挑戦を後押しする仕組みが生まれてきているのです。

 

今回紹介した「NFTの教科書」には、まだまだ紹介できていない部分が多いです。気になる方はぜひ手に取って一度読んでみてください。

 

 

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