もっと軽やかでシンプルに、日々を過ごしてみたいと思いませんか?
この記事では、デザイナーで YouTubeチャンネル東京シンプルライフを運営している、シンプリストのTommyさんの書籍「シンプリスト生活」を紹介します。
シンプルスト生活とは、どのような生活でしょうか?
著者は、35平米のワンルームマンションで2人暮らし。そこにはテレビ、ソファー、炊飯器、掃除機がありません。
なぜなら、それらがなくても生活に困らないからです。まるでミニマリストのような生活ですよね。
一方で、お気に入りの椅子が5脚、照明器具は4つ。2人で生活をするのに椅子は5脚も必要ありませし、照明器具もそんなに要りませんよね。
これは、いわゆるミニマリストからしたらモノが多いと言われるでしょう。
しかし、インテリアにこだわる著者にとってはとても心地よく過ごせる空間などだと言います。ミニマリストをベースにしながらも、ミニマリズムに縛られず、自分の好きに特化した自分にとっては最高の住まいです。
このように、なくても困らないモノは潔く手放し、身軽に暮らすことを前提として、必要か必要でないかの判断は自分軸で行う生き方を、著者はシンプリストと呼んでいます。
これまで、ミニマリズムを実践してうまくいかなかった人や、自分の好きなものまでは手放せない人に、今回の“シンプリスト”という選択肢をぜひ知ってほしいです。
それでは楽しみながら、本書の内容に切り込んでいきましょう!
1. 誰もが無理にミニマリストを目指す必要はない
私たちはモノと情報に溢れた、便利な世の中に生きています。そんな現代だからこそ、必要以上に持つことが時にお荷物になってしまうことがあります。
ここでいう荷物とは、物理的なものはもちろん、世間の常識や固定観念、考えてもしょうがない不安、他人へのプライドといった、“心の荷物”もさします。
また、モノを必要以上に所有することに疲れたり、情報によって不安を煽られてしまったりと考えすぎることは、決断できず行動できない大きな原因にもなります。
余計な荷物を減らすことは、人生を楽しむための一つのコツです。
近年増えている、衣食住において必要最低限のもので暮らすミニマリズムは、人生のお荷物を取り払ってくれる一つの生き方です。
無理にミニマリストにならない
一般的にミニマリストは、モノの所有に対して非常にシビアです。全ての所有物に対して、なぜ持つかの理由を明確にしており、そこに合理性がないなら手放すべきであると考えます。
しかし、モノをいかに減らすかも重要ですが、あまりにもストイックにやりすぎてしまうと、息苦しくなってしまう人がいるとのも事実です。
なぜ所有するのかを、一つ一つのものに対して突き詰めすぎていては、他人のモノの持ち方やそのロジックの不完全さが目につき、ストレスを感じてしまうことにもなりかねません。
そんな人は、もっと肩の力を抜いてみましょう。繰り返しになりますが、無理にミニマリストを目指そうとする必要はないです。
著者は、より豊かな人生を求めてモノを減らすことに憧れた結果、実行できない自分に嫌気がさして幸福度が低下してしまっては何の意味もない。
自己嫌悪に陥るくらいならば、無理にモノを処分しようとせずに、いまの自分を肯定してあげた方がよっぽど良いのではないかと指摘します。
適切と感じる物量、何が心地よいと感じるかは人によって異なります。
シンプリストという選択肢
ミニマリストでうまくやっていける人は、モノを減らすことが目的となってしまい苦労したり、悩むぐらいならば、著者が提唱するシンプリストを目指すという方法もあります。
ミニマリズムの考えをベースにしつつ、自分の尺度で快適な物量と何を所有するかを選択するようになれば、無理なくより快適な生活を送れるようになるはずです。
私たちは、日常生活では何かと理屈で考えることが多くなりがち。極力身の回りの荷物を減らそうとすると、機能的な部分だけを評価して捨てるかどうかを判断してしまいがちです。
実際は、心地よさ、愛おしさ、美しさなど心で感じさせてくれるものも残して、うまくバランスを取ることも実は大切です。
それらを捨てられなくてストレスになるのであれば、大切なものをそばに置いて、心を保つ方がよほど幸せと言えるでしょう。
不要な荷物は徹底して手放し、必要なものと自分の気持ちを高めてくれる好きなものと共に暮らすシンプリストをぜひ目指してみてはいかがでしょうか?
2. シンプルに生きるには自分に正直になろう
ここからは、モノを整理してシンプルな生活をスタートさせるために手放すか手放さないかの判断のポイントやコツを確認していきます。
例えば、著者はトースターは持っていないそうです。
トースターを持つことによる家事の時短効果と、そのメンテナンスコストやインテリアとして神秘的な影響を天秤にかけて判断した結果、必要ないと判断したと言います。
一方で、毎朝焼きたてのトーストがない人生なんて考えられない人にとっては、トースターこそがあなたの暮らしに欠かせない大切なものになるでしょう。自分の価値基準に照らし合わせて、モノを手放すかどうかを判断していきましょう。
この判断をしっかりと行うことは、極めて重要です。なぜなら、もし自分にとって何が大事で何が大事でないのかをクリアにしないままモノを減らすと、後で後悔する可能性が大いに高まるからです。
人によって、モノに対する考え方は千差万別です。
使っていなくても、そこにあるだけで過去の思い出がよみがえり、気持ちが落ち着く、安心する感覚を持つ人もいれば、過去の思い出よりも、私は未来のための身軽さを優先したいという価値観の人もいるでしょう。
そこで、モノを減らして後悔しないために整理に取り掛かる際に、次の2つのことを行うことをおすすめします。
自分の価値基準を言語化して明確にしておく
シンプルリストは、自分が好きと思えることを追求するために、常に自分に正直である必要があります。あらかじめ自分の価値基準を明確にしておくことで、時間とお金、エネルギーを注ぐことをはっきりさせておきましょう。
著者の場合は、例えば日々を心地よく心豊かに過ごすことを最も大切にしており、そのために次のことを心がけているそうです。
大好きなインテリアを追求しながら、家を世界で最も心地よい空間に整える。家事や仕事は最小限に簡素化し、時間と心の余白を選択する。
- 大切な人との時間、自然や山での時間を味わう
- フットワーク軽く行動する
- 未来の可能性を広げるために、身軽でいる
- 何はともあれ健康
など、あなたにも理想の過ごし方があるはずです。
このように、自分の価値基準を言語化しておくと、モノを整理する際に、手放すかどうかをスムーズに判断できるようになります。ただし、中には考えれば考えるほど、あれもこれも大事なことのように思えてきて、自分がまとまらなくなって しまう人もいます。
また、自分の価値基準が永遠に変わらないわけではありません。人の心は常に変化していくものです。
その時々で、最適と思うスタイルも変わってきます。たとえ自分を見失いそうになっても、原点に立ち返るために取り組むと良い方法があるので紹介します。
モーニングページ
それは、モーニングページです。
モーニングページとは、ジュリア・キャメロン「超ずっとやりたかったことをやりなさい」の中で紹介されている、創造性を回復する基本メソッドの一つで、毎朝3ページ、心に浮かんでくるものをそのまま書き留めるというルーティーンです。
何でも良いので、とにかく文字にします。
“ただ書く”という行為によって、改めて自分はこんなことを考えていたのかと、認識することができ、モヤモヤと考えていたことが整理され、頭の中がクリアになります。
著者はこれを半年以上続けているそうです。自分の優先順位や大切な物事を確かめる一つの方法として、気になる方はぜひモーニングページをやってみてください。
捨てる前に自問自答をする
後悔しないためにも、モノを捨てる前には次のように自問自答することをおすすめします。
- 捨てること自体が目的となって、必要以上に捨てていないだろうか
- 捨てるものはものがない自分が、特別な人間であることをアピールしたいからではないか
モノや情報を減らすのは、自分の人生をより豊かにするためですが、何でもかんでも手放して数を減らすことが目的となってしまう人がいます。
必要以上に捨てたい人は、捨てる刺激に依存してしまっている状態のため、必要以上に買いたい人と同じ精神状態にあります。また、自慢したいから捨てるも、見栄で買うと同じ行為なので注意が 必要です。
モノや情報を減らす目的は、手放したい欲を満たすためではなく、見栄のためでもない。自分の人生を良くするためであることを念頭において、捨てる前に自問自答をしてから、本来の目的からずれた判断をしてしまっていないかを確認しましょう。
3. 片付けを習慣化すれば、欲しいモノを買うことを我慢する必要はない
自分の価値基準に基づき、時間やお金を使うのがシンプリストですが、その好きがたくさんある場合は、どうしたらよいでしょうか?
好きなものに出会うたびに買っていると、シンプリスト生活のベースであるミニマリズムが崩壊しかねません。しかし、著者はモノを買うことを制限していないそうです。欲しい服があればシーズンごとに買うし、読みたいと思った本も買うそうです。
たとえ欲しくても、これは今の自分に必要だろうかと自問自答して増やさないようにするという努力をしないとのことです。しかし、そうなると当然所有物は増えていきます。どのようにしてミニマリズムベースの暮らしを保っているのでしょうか?
その答えは、日々減らす努力にあります。著者は、片付けを習慣化してしまっているため、好きなものを買ってモノが増えても、後で減らせるので問題がないそうです。
もちろん、無駄遣いとか衝動買いはよくありませんし、荷物が増えないに越したこともないですが、本当にそのものを心から求める好きであって、正直な気持ちを抑え込んで後悔を引きずるなら、買う方を選択するのもいいと思います。
著者のように、家の中のモノが増え続けないように、日々片付ける習慣を身につけておくか、そもそも買わない方を選ぶのか、自分に向いている方をとってみてください。
整理整頓と収納の違い
ここで、整理整頓と収納の違いを知っていますか?
似たようなイメージだと思いますが、実はそれぞれ意味が違ってきます。
- 整理とは、不要なものを取り除くこと。使うものを使わないものを区別する、あるいは使うものを使用場所や用途・頻度で区別するといった、何らかの視点で物と物を区別するという意味合いになります。
- 整頓とは、散らかっているものを整えることです。見た目を整えると言い換えることができ、見た目が綺麗かどうかが、整頓できているかどうかの判断となります。
- 収納とは、使うものを使いやすいように収めることです。使う時のことを考えて、何が意味あるのかをしっかり把握し、スムーズに取り出せるように収めます。
こうしてみると、モノを減らして部屋をすっきりとさせるためには、ファースト・ステップとして、整理から取り掛かることが必須だと分かります。
いくら整頓や収納をしても、モノ自体は減っていませんし、使うものと使わないもの大切なものと、存在すら忘れていたものを区別することもできていません。
収納テクニックを調べたり、収納グッズを増やすことは、片付けの最善案ではありません。収納上手は、単に隠すことが上手になっただけであり、片付け問題を先送りにしているだけです。
そうではなく、その収納しようとしているものは、本当に必要なのか、自分に問い本当に大切ならば残し、必要がないなら収納ではなくて手放す必要があります。
いざ整理を始めると、よし断捨離するぞと気合を入れて、全力でイベントのように捉える方も多いですが、力を抜いて楽しむぐらいの心の余裕を持っていれば十分。コツとしては次の2点があります。
小さく分割する
一つは、小さく分割すること。今日は玄関と下駄箱の中だけを整理しよう、明日はタンスの中をやろうといった感じで、一度に全部全てやってしまおうとせず、少しずつ順番に取り組んでみると、億劫な気持ちがなくなるはずです。
自分なりのモノを手放す基準を持っておく
もう1つのコツは、自分なりのモノを手放す基準を持っておくこと。一つ一つのモノに対して、毎回捨てるかどうかの判断をしていると、時間も気力も消耗してしまうので、自分なりの手放す基準を持っておくと非常に便利です。
例えば著者は、特に増えるペースが早いものの一つである服について、1年袖を通さなかった服は、賞味期限切れと考えて手放しましょうと著者は言います。
なぜなら、1年も来なかった服は、その服に手が伸びない理由があるはずで、それが解決しない限り状況は変わらないからです。
その服で人に会いたいと思うか
また、その服で人に会いたいと思うかどうかも大切です。
例えば、久しぶりに友達と会う日にクローゼットを見渡し 、選択肢から外す服、色あせや毛玉などの難点があって選ばない服など、今後着ることが想像でしょうか?
この服で誰かと会いたくないなあと思ったら、その服は寿命を迎えたと考えて、今までありがとうときっぱりと手放しましょう。
下着に関しては、その下着で救急車に乗れるかどうかで、下着の捨て置きを判断すると良いでしょう。靴下も同様です。
診察台に横になる時は靴を脱ぎますが、その時に穴の開いた靴下を履いていたらどうでしょう?あなたは平気でしょうか?
このように自分なりの手放す基準を持っておくと、片付けをする際にスムーズに整理ができるようになります。
一度に全部やってしまおうとせず、小さく分割すること、自分なりのものを手放す基準を持っておくこと、心に余裕を持って片付けをするためにぜひ参考にしてみてください。
4. 家事を省力化し、より有意義な毎日へ
ここからは、死ぬまで一生やらなければいけない家事をシンプルにすることに目を向けてみましょう。
現代では、一昔前と比べて家事がすごく楽になりました。しかし、共働きの家庭、一人暮らしでも毎日のように残業がある人など、家事が大きな負担になっている人もたくさんいます。
家事は毎日、一生続きますよね。もし、あなたが家事に疲れてしまっているなら、負荷レベルを下げてみたり、あるいは自分に合った楽するやり方を探ってみても良いかもしれません。
家事を完璧にこなそうとしていてイライラしたり、大変そうにしている姿より、家事はほどほどでもニコニコしている姿の方が、家族もきっと嬉しいはずです。
そして、家事をうまく省力化して浮いた時間で、仕事に集中したり、家族とのお出かけしたりと、自分の好きなことに回せたらいいと思いませんか?
本書では、中でも特に手間のかかる掃除と料理に絞り、簡略化する方法が取り上げていますが、ここでは掃除についてのみ紹介します。汚がたまり散らかってから一気に掃除しては、時間もかかるし大変です。
モノの片付けと同じで、掃除を楽にするためには掃除を日々の習慣に落とし込んでしまう、ズバリ1回あたり1分以内で終わるレベルに留めることが重要です。
汚れは急に浮かび上がってくるものではなく、毎日少しずつ汚れていき、だんだんと目に見える汚れになっていきます。
毎日ちょこちょこ掃除をする癖があれば、目には見えにくい、付いたばかりで定着する前の汚れを落としていくことができます。
80点ぐらいの出来で綺麗を継続する
例えば、お手洗いに行く時に、トイレットペーパーやホルダーやタンクをサクッと拭いておく、手や顔を洗ったり歯磨きをする時についでにメラミンスポンジで洗面台を磨いておく。
このようについでに綺麗にすることをワンセットに習慣化することで、多少やり残しがあったとしても、80点ぐらいの出来で綺麗を継続することができます。まあ明日もするしいいやと、力を抜くことができて継続しやすいです。
掃除用具は出しっぱなしにしておく
さらにもう一つ。
掃除用具を出しっぱなしにしておくことも大切です。
掃除用具を棚や押し入れの中からわざわざ出してくると、手間が増えて面倒になってしまうので、思い立った瞬間に1秒でサッと手に取れる場所に置き、掃除にすぐに取り掛かれる環境を作っておきましょう。
例えば、浴室掃除の洗剤とスポンジは、浴室内のタオルハンガーにかけておくや、フローリングワイパーを部屋の隅に出しっぱなしにしておくなどが考えられます。
また、掃除機はプラグを挿す行為すら障害になってしまうため、コードレスで視界に入ってもストレスにならないようなものを出しっぱなしにしておくようにしましょう。
ちなみに本書で著者が具体的に何を使ってどんな風に掃除をしているのか細かく書かれているので、気になるひとはぜひ本書、シンプリストのTommyさんの書籍「シンプリスト生活」を手に取って読んでみてください!