5分で学ぶ『眠れなくなるほど面白い孫氏の兵法』要約【後編】ビジネスにも活かせる方法論・名言

時代を生き抜く考え方・哲学

 

今から2,500年ほど前に戦争などにおける兵の用い方を説いた書物「孫氏」。この記事では前編に続き、孫氏の兵法から現代にも役立つ戦術を紹介していきます(AmazonPrime会員はKindleで無料で読めます!)。

  • 孫氏の概要を理解したい
  • 敵に負けない方法を知りたい
  • リーダー論としてビジネスに生かしたい

という方必見です。それでは、見ていきましょう!

 

1. 劣勢な時こそ頭を働かせる

girl covering her face with both hands

 

戦うということは、時には劣勢に苦しむこともあります。しかし、そんな状況で無理して攻撃を推し進めてしまうと、返って敗北に近づきます。まったく勝算のない戦いであれば、損害を最小限に留めて早めに撤退することも重要です。

例えば、エベレストに登山するとして、頂上まであと少しのところまで来たところで、悪天候になった場合は、無理に登山を続行する人はいないです。無理に続けて死んでしまい、次の機会を潰してしまうような挑戦は避けるべきなのです。

 

どんな状況でも最終的な“勝利”を獲得するために心得ておくべきことは、“風林火山”です。これは敵を欺きながら、自軍を自由自在に変化させ、臨機応変に対処する戦術です。それぞれの文字の意味は以下のとおり。

  • 風:迅速な対応、だし抜きや短期決戦
  • 林:静観に徹したり、力を蓄えること
  • 火:情報収集、普及活動やエリア拡大
  • 山:守りを固めたり、動揺を隠す、長期での対応

 

指揮官は移り変わる戦況にその都度対処しつつ、自軍の意図を相手に悟られないように心掛けることが大切になります。敵に攻撃目標を誤認させ、別のことに気を取られているすきに、敵軍本体や相手の弱くなったところを攻撃します。この考え方は、特に敵の人数が自軍よりも多い時に有効な戦術です。

他にも、戦場では5段階の道理を考察することも大切です。

5段階の道理とは、

  • 距離
  • 物資
  • 必要人数
  • 敵との戦力の差
  • 勝った時に獲得できるもの把握

の5つです。

現代のビジネスで考えると例えば、自社の商品をアメリカに輸出したい場合、まずは輸送する距離はどのくらいか、かかる時間はどのくらいかを把握します。さらに、どれくらい自社の商品を輸出することができるか、需要はどのくらいかを計算。それを実行可能な人数の算定し、現地メーカーとの差を比較します。これを行うことで、獲得できる顧客はどのくらいかの道筋が、おのずと決まってきます。リーダーはこの5つの段階を通して、あらかじめ勝敗を見極め、どう勝負に出るか策を練る力が求められるのです。

 

2. 心を整える

woman in black shirt and gray pants sitting on brown wooden bench

 

ここからは、“相手を誘導する”方法を紹介していきます。まず、現場の最前線に立つ指揮官は、矛盾する2つの性格を兼ね備えていなければいけません。なぜなら、指揮官が前線に出るときには、以下の5つの危機が常につきまとうからです。

  • むやみやたらな勇気だけでは、殺される
  • 生き延びることだけを考えて、臆病になれば捕虜にされる
  • 短気であれば、目論見にはめられる
  • 名誉を重んじすぎても辱めに耐えられず、まんまと乗せられる
  • 情が深すぎると、神経を病む

 

軍隊の壊滅や敗北の原因には、この中のどれかに必ず当てはまるのだといいます。勝利するためには、どれか1つを意識するのではなく、バランスが大切になってきます。そのために指揮官が持つべき性格は、次の5つ。

  • 決死の覚悟と遠い先のことまで深く考えること
  • 忍耐と引き際の見極め
  • 闘争心と沈着冷静な判断力
  • 私的な感情にとらわれない心とずる賢さ
  • 慈しむ心と非情さ

です。これら5つの相反する性格を調和させ、臨機応変に対応することが、真の指揮官に必要な素質になります。簡単なことではないですが、これがなければ闘いに勝利することもできないということです。

また、君主や指揮官は、頭の中で常に天秤を描き、どちらに重きを置くべきかを見極め判断する能力が求められます。巧みにせめて、巧みに守れば、相手はどう攻めていいのかわからなくなります。戦況を見極め主導権を握り、相手の守備が手薄になったところを攻撃すれば、占領するのも比較的簡単になります。

 

3. 相手の弱みや欲望を把握しておく

man wearing black fedora hat and black suit jacket

 

相手の領内に侵入するときは、初めから敵陣深くに侵入することが重要です。

そんなことしたら、敵に一網打尽にされてしまいそうですよね。しかし、入り方が中途半端に浅いと、危機に直面した際に味方の兵が勝手に逃げ帰ってしまう恐れがあります。また、時間をかけて攻めると、相手に守りを固める余裕を与えてしまう可能性が高くなります。それでは覚悟を決めて攻め入る意味がありません。

サッカーで例えると、相手ゴールまで勢いよく攻め込めば、相手に守備の時間を与えず、味方の士気も一気に上がります。それと同じように、何事も一気に相手の領内に深く入ってしまえば、勝負に持ち込むことができます。また、見方も覚悟を決めるしかなくなるというわけです。

 

ただし、一気に攻め込む前に、現場を深く分析することも必要です。そんな時、能力のある君主や指揮官は、スパイを有効活用します。スパイを使うなんて卑怯だと!思うかもしれませんね。しかし、勝負に勝つためには惜しんではいけない存在です。

スパイを用いて敵を攻撃するときに把握しておきたいのが、相手の内情や防衛体制、警護の様子です。これらを把握する上ではまず、敵の指揮官の側近や衛兵などの弱みや欲望を調べる必要があります。そこに漬け入ることで、こちらの協力者や内通者に仕立て上げるのです。

 

協力者・内通者になりやすいのは、境遇や対人関係に不満がある人や、出世が遅れた人、強く怒られたり裏切りを受けた人などです。ターゲットの個人的な恨みをいかに増やし、裏切らせることができるか。これが、スパイの腕の見せ所です。上手くいけば、相手のスパイを二重スパイとして利用し、相手の情報を得ながら、こちらが有利になる情報を敵に与えることもできます。

これを現代社会の中で考えると、甘い言葉やうまい話で近づいてくる人には、必ず裏があるということです。おかしいなと思うことが少しでもあれば、信頼できる人に相談するのが賢明でしょう。そして現代でより深刻なのは、IT社会で絶対的な情報量が増え、その真偽を判断できないことが増えているということ。フェイクに惑わされないためにも、私たちは何事にも慎重に判断すべきです。

 

以上、「眠れなくなるほど面白い孫氏の兵法」を簡単に解説してきました。今から二千年以上も前からこんなにも具体的な戦術が確立されていたことには驚かされますよね。より詳しく知りたい方は、ぜひ本書を手にとってみてください。

 

 

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