橘玲(たちばなあきら)さんを、知っていますか?
1959年生まれの作家で、2002年に金融小説「マネーロンダリング」でデビュー。「お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方」や「言ってはいけない? –残酷すぎる真実」など、多くのベストセラーを執筆。
現代日本が生きづらいと悩んでいる方に向け、歯に衣着せぬ物言いで、救いの手を差し伸べてくれます。さらにメルマガ配信など、精力的に活動の場を広げています。
当ブログでも、多くの書籍を取り上げてきましたが、この記事ではそれらをまとめて紹介していきます!
1. 言ってはいけない残酷すぎる真実
まず最初に取り上げるのは、橘さんの代表作とも言える「言ってはいけない残酷すぎる真実」です。本書では、私たち人類は、生き延び、より多く遺伝子を残せるように進化してきたのであり、「幸福になるために進化してきたのではない」ということを認識したうえで、日本に蔓延している「遺伝的な影響も努力や環境によって乗り越えられるはず」という暗黙のルールについて言及しています。
IQの遺伝率は77%、音楽才能の遺伝率が92%と努力で何とかなるレベルの話ではないことを受け入れ、能力が遺伝することは当たり前として、どうしていくか。自分は何に向いていて、何に向いていないのかを見極め、人生を選択していくことで、上手く生きていくことを教えてくれる1冊です。
2. もっと言ってはいけない
「もっと言ってはいけない」は、言ってはいけないの続編として書かれた本です。
本書は、才能は遺伝的な優劣で大きく決まり、努力や環境ではほぼ克服できないことを前提に、精神疾患までもが遺伝によるという、さらに踏み込んだ話を展開していきます。
- 統合失調症:82%
- 双極性障害:83%
- ADHD:80%
“あの子が授業参観で落ち着かないのは、親のしつけが悪いから”といった教育環境の問題とされがちな日本ですが、それはどうしようもないことだと温かい目で見てあげる心が必要なのかもしれません。
また、日本人の3分の1は日本語がまともに読めないなどの衝撃的なファクトも示しながら、そうした人たちでも今までは技能習得や無意識、直感までも頼りに、食いっぱぐれることなく働くことができました。
しかし、これからのAI時代においては、そうした職人気質の仕事はどんどんなくなります。こうした格差をどう是正していくかの具体的な解決策は、まだ示されていません。
日本人のメンタルが弱い理由についても、花の蘭(ラン)を例に説明されているので、この部分も読み応えがあります。
3. 残酷な世界で生き延びるためのたったひとつの方法
「残酷な世界で生き延びるためのたったひとつの方法」は、才能や性格を遺伝的に説明した“言ってはいけない”シリーズを基に、実践的に生きていくための方法が書かれています。
著者は、遺伝的に学習能力が低いのであれば、アマゾンやGoogleなどのプラットフォーマーが提供しているサービスを活用しながら、学力テストでは測れない部分で勝負しよう!と言います。実際に、有名なYouTuberがみんな高学歴ということはありませんよね?
ただし、ここには学力テストでは測れない適正があるので、その分野の才能があると思えても、あったかどうかは当たるまではっきりしません。働いて安定した収入を得ながら、得意な分野や、やりたい活動を楽しく続けることが生き延びるためには必要になります。
4. 人生は攻略できる
幸福に必要なものは、逆境だった。「人生は攻略できる」は、幸福になるためには何が必要かということに焦点を当てた内容となっています。
人生をRPGゲームになぞらえ、激ムズではやる気が起きないし、簡単すぎると張り合いがない。“逆境の経験が中程度の人が、一番幸福である” という目からウロコな幸福論を展開しています。生まれ持ってのお金持ちは、実は幸福の量が少ないんですね。逆境を乗り越えたときの自己の成長や達成感により脳内でドーパミン(報酬)が発生します。
ほどよいチャレンジを続けて、より幸福な人生を目指しませんか?
5. お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方
「お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方」は、経済的な不安で悩むサラリーマンに、お金の不安を解消するための教養と人生設計についてのヒントを与えてくれます。
“黄金の羽根”とは、制度の歪みから構造的に発生する幸運。“手に入れたものに大きな利益をもたらすもの”といった意味があります。これはITの発展による知識社会において、必要な情報を的確に入手し、それを活用する知識を持っている人はいくらでも近道ができるということ。この知識社会を生き抜くために必要な能力は、
- 文字を読解する言語的知能
- 問題を論理的に分析数字的に処理する論理数学的知能
の2つとし、これらを駆使する「クリエイター」と「スペシャリスト」を目指すべきと言います。この2つの職能はクリエイティブクラスと呼ばれ、今後も高い所得を期待できます。一方で誰でもできる「マックジョブ」は代替可能なので、知識社会において圧倒的に不利になります。
6. 貧乏はお金持ち
「貧乏はお金持ち~雇われない生き方で格差社会を逆転する~」は、「お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方」のより実践的な書籍となっています。
労働基準法で守られ雇用契約に縛られたサラリーマンに比べ、複数の人格を使い分けることができる“フリーエージェント(会社に雇われない生き方)”が不利な選択ではない!ということが、多くの根拠を基に書かれています。
自由な人生にとって一番大事なのは、自分の手でお金を稼ぐこと。そして、フリーエージェントとして働くための「マイクロ法人」は国家を道具として使うための有効な手段となります。会社を作ることによって、個人とは異なるもう一つの人格、“法人格”が手に入ります。
これにより、
- 収入に対する税負担率が大幅に低くなる
- まとまった資金を無税で運用できるようになる
- 多額のお金をタダ同然の利息で、無担保で借りることができる
などのメリットを得ることができます。
7. 読まなくてもいい本の読書案内
「読まなくてもいい本の読書案内」は、現代において“読むべき本”と“読まなくてもいい本”の見極め方を教えてくれます。
- なぜ読まなくてもいい本を知る必要があるのか?
- 読むべき本、読まなくてもいい本の見分け方とは何か?
その線引きとなるのは、20世紀半ばから約半世紀で起きた、“知のビッグバン”と言われる大きな変化です。このビッグバンの原動力となっているが、
- 複雑系
- 進化論
- ゲーム理論
- 脳科学
- 功利主義
などの分野で、現代において爆発的な進歩を遂げています。20世紀半ば以前をバッサリ切って、これらを押さえておけば、科学の最先端に効率的に到達することができるということです。
書物を科学のビッグバン以前と以後に分類し、ビッグバン以前の本は読書リストから、とりあえず除外。これだけでも、「この本は読むべきか?」の大きな指針になります。