何のために働いていますか?
お金のためでしょうか?やりがいでしょうか?
人は人生の大半を働いて過ごしています。1日8時間として、月に20日間以上働くことを考えると、一生で約10万時間です。こんなにも長い時間を費やす仕事がつまらないものや、やりたくないものだったら、毎日つらいですよね。何のために働いているのかという疑問は、私たちに一生つきまといます。
今回紹介する「何のために働くのか」の著者である北尾吉孝さんは、新卒で野村證券に入った後、ソフトバンクで孫社長と一緒に仕事をするなど、ハードワークをしてきた方です。そんな著者は、生きがいは“天分”を全うする中でしか得られないと言います。
この記事では、その仕事観をまとめ、仕事に生きがいを見出せない若者に向けて書かれた本書の中から、仕事ができる人の考え方に絞って紹介していきます。それではさっそくみていきましょう!
1. どうすれば天職に巡り会えるのか
どうせ働くなら、天職に就きたいと思いますよね。どうすれば、転職に巡り合うことができるのでしょうか。その方法について著者は、素直に仕事を受け入れ、一心不乱に取り組むことだと主張しています。
最近ではちょっと仕事をかじっただけで、この仕事は自分の想像していたものではないと、すぐに仕事を辞めてしまう人がたくさんいます。しかし、好き嫌いで仕事を判断しているうちは、決して望んでいる仕事、いわゆる天職に巡り会うことはできないそうです。
社会に出てまず大切なことは、まだ社会経験が浅い20代の人うちは、一心不乱に仕事に取り組みましょう!ということ。必死に仕事に打ち込んでいると、能力やスキルを身に付き、自分の成長を実感することができます。そして、それに伴って考え方も広がり、ビジネスチャンスに気づけるようになります。
天職は2つある
天職を見つけたいがために転職を繰り返す人が多いですが、その前に天職には大きく分けて2つパターンがあることを知る必要があります。最初から好きで好きでたまらない仕事を続けていくうちに天職になったものと、最初は好きではなかったけれど続けていくうちに熟達して天職だと思えるものの2つです。ここでのポイントは、本質的にはどちらも同じで、いつ好きになるかということだけ違うということです。
例えば、映画好きで美術学校に入り、その学校で一生懸命勉強した人がいたとします。しかし、10年後も好きな映画で生活している人はあまり多くはないのが実態ですよね。転職する際の条件の1つとして、その仕事が好きという理由はよくあります。しかし、それを好きになるタイミングは人によって違うのです。最初から好きでその仕事をしている人もいれば、続けていくうちに好きになる人もいます。
最初から好きなことが本当に好きなことで、それを仕事にすることが幸せだと決めつけることは危険です。自分の天職かどうかは、どんな仕事であれ、ある程度継続して行ってみないとわからないということです。
その仕事が天職かどうか、時間をかけて判定する前に転職してしまうと、いつまでたっても自分の天職に出会うことはできません。転職する前には、その仕事で楽しかったことはどこか、どう考えても楽しくないものだったかを落ち着いて考えてみましょう。
2. 仕事が楽しくないときの思考法
著者はよく若者から、仕事が楽しくないと相談を受けていたそうです。それに対して、寝食を忘れるくらい打ち込んでも今の仕事が嫌だったら方法は3つしかないと答えています。
その仕事を辞めて、自分が打ち込めると思える新たな仕事を探す
これは、簡潔で分かりやすい方法ですよね。どう考えても楽しくない、苦痛でしかない無理ゲーな仕事は早めに辞めて、新たな仕事に切り替えるという方法です。
道楽の世界を持つ
これは趣味の世界でも何でも構わないので、仕事と違うことをやってみるという方法です。趣味に打ち込んでいると、そこでいろんな人と出会うことができます。
例えば、何かを収集する趣味を持つと、必ずそこには同じ趣味を持つ仲間が集まる世界が存在します。その世界に触れることで、いい出会いが次から次へと結びついていき、想像もしなかった展開になることもあり、結果として自分の仕事を見つめ直す機会になります。
考え方を変えてみる
考え方を変えてみる例として、著者は本書で吉田茂元首相の逸話を挙げています。吉田さんが外交官になったばかりたときに最初に命じられた仕事はテレックス係で、それが届いたら大臣のところに持っていくというものでした。テレックスというのは、ファクスの前身のようなものです。
その仕事に対して吉田さんは最初、「最高学府を出て公務員試験に通って外務省に入ったのに、何でこんなつまらない仕事をやらなければいけないんだ!」と不満を抱いていました。その思いを義理の父にあたる牧野伸顕さんに手紙にして出すと、牧野さんからはこう返事が来ました。
「君は何と馬鹿なことを言っているんだ。大臣よりも先に国家の重要な情報を見ることができるのだよ。それを見て、君がどう判断するのか。大臣はどう判断しているのか。その判断の結果はどうなっているのか。君はまたとない勉強のチャンスを得ているのではないか。こんなありがたいことないよ。」
この手紙を読んで吉田さんは、自分が間違っていることに気づき、つまらないと思える仕事でも一生懸命に取り組むように変わったそうです。
3. 仕事の達人なるための勉強法
1つのことに一生懸命に打ち込めば、必ずある程度は上達します。しかし、ちょっとした工夫をすることで、より早く仕事ができるようになります。著者は、以下の3つのポイントを挙げています。
判断力・直感力を養う
判断が間違っていなければ、仕事はうまくいくことの方が多いですよね。つまり、判断を楽しくする力を養うことが大切になってきます。では、どのようにして判断力は鍛えていくのでしょうか。その簡単な方法は、常に自分を主人公として考えるクセをつけることです。
例えば、テレビを観ているときに、政治家や経営者が不祥事の弁明をしている場面が映ったとします。その時に、その発言はまずいな、自分ならこう言うのになというように、常に自分を主人公に置いて考えてみましょう。さらには、自分のやり方を行った場合に、その結果はどうなっただろうかということを推論してみることも、判断力を養うためには効果的です。
物事の見方、考え方を養う
物事を考えるときには、根本的・多面的・長期的にものを見ていくことが大切です。常にそれが“本質”なのかどうかを考える習慣をつけましょう。
また、目の前のことばかりに集中してしまわないように、長期的な視野に立って物事を考えてみることも大事。一つの角度からではなく、多面的に考えることが大切です。1つの事柄に対して、ABCといった様々なケースに備えて準備をすると、仕事の精度はぐんと上がっていきます。
すべて自分のこととして考える
何かに失敗したときは、どうしても逃げ出したくなりますよね。そこで逃げずに自分の勉強が足りなかったと自分のこととして考えるようにしましょう。こうした自責思考の考え方を持つことで、そこに反省が生まれ、反省があるから改善することができます。
よくやりがちな間違いが、他人のせいにしてしまうこと。他人のせいにするとそこに反省は生まれませんし、改善もしないので成長することもありません。自分のせいだと考えた方が成長でき、長期的に見るとスキルも溜まりお得なのです。
今回紹介した「何のために働くのか」は、働き方が多様化した現代だからこそ、よく考えるべきことが書かれている良書です。気になる方は、ぜひ手にとってみてください!