5分で学ぶ『21Lessons』要約【教育と瞑想でAIに勝つ】ユヴァル・ノア・ハラリ

man in black jacket sitting on white chair ハッとさせられる考え方・哲学


人類がAIに負けない方法、知っていますか

この記事では、ユヴァル・ノア・ハラリさんの「21Lessons」を紹介します。


ハラリさんのその他の著書「サピエンス全史」「ホモ・デウス」は、
全世界2,000万部超えの大ヒットを記録。

「サピエンス全史」では、人類が過去に歩んできた道のりを考察し、「ホモ・デウス」では人類がこれから進んでいく未来を予測しています。

本書は、いま人類が直面している課題について、21個のテーマを用いた考察です。

今回はその中から、主なトピックを取り上げていきます。

私たちの進むべき未来を、深く考察した名著。

ぜひ最後まで読んでみてください。

 

person kneeling inside building

5分で学ぶ『ホモデウス』要約【神は現れるのか?】ユヴァル・ノア・ハラリ

monkey sitting on big rock during daytime

『サピエンス全史 』要約【前編】人類進化の謎に迫る!(カズレーザー推薦本)

1. イデオロギーをめぐる時代の変化


初めに取り上げるのは、イデオロギーをめぐる時代の変化について。

イデオロギーとは社会思想や政治思想といった、人の行動を左右する根本的なものの考え方のことです。

1938年の第二次世界大戦前、人類には“ファシズム”、“共産主義”、“自由主義”という3つのイデオロギーが存在していました。

gray concrete male with flag statue


その後、第二次世界大勢の終結によって“ファシズム”(ナチスドイツ)が消滅。

これで、物語は2つに。

そして、東西の冷戦が終わったあとには、“共産主義”(旧ソ連)が解体。

最後に残った“自由主義”が、現代において唯一残ったイデオロギーとなりました。

しかし、2008年のリーマンショックに始まる、グローバル金融危機の後には政治不安・経済不安によりそれもなくなり、選択肢はゼロになったのが現在の世界です。

リーマン以前のイデオロギーが1つしかない時は、すべてが明確で最も安心な状態でした。

 

イデオロギーの不在が喪失感を生む

しかし、突然1つもなくなると、すべてが空虚だと感じるニヒリズムに陥る恐ろしい世界観に突入します

それを補うかのようなポピュリズム(大衆に迎合した政治)の蔓延が、2016年のイギリスのEU離脱や、アメリカのトランプ大統領の当選を導いたと言われていますが、これらはイデオロギーが消え去った空虚な状態を象徴している出来事と言えます。

その背景にあるのは、私たちが日々感じている喪失感。

もはや誰もこの情報過多の世の中を理解できない、取り付く島がない、どうしようもない。

そんな世界で、自己決定権を感じられなくなった人々が、感情に従って自由主義の体制に反発した結果がこうした出来事が起きたのです。

 

2. 私より私をよく知るAI


誰も拡大する世界や情報を理解できない。

今日の科学的進歩は、大半の人々が理解できるペースを超えています。

person standing in front of optical illusion wall


バイオテクノロジーやインターネットの発展を主導したのは、政治家ではなくエンジニアです。

その道筋は、投票のような民主的な手続きで決められたわけではないので、私たちの社会がどこに向かっているのかは、もはや誰にも分からない。

残念ながら科学的進歩も社会的変化も、人間の理解が追いつくまで待ってはくれません

我々が理解できる範囲という意味で、人類に残された時間はそう多くないです。

何もかもが分からないところで物事が決まり、起こっていく。

そんな人類の未来は、“自由主義”に代わる新たな物語が描けるかにかかっているとハラリさんは言います。

 

次の物語をつくるのは何か?

それは“自由主義2.0”なのか、全く新しく作られる物語なのか。

それは、現時点ではわかりません。

blue and white logo guessing game


“物語を作る”というやや漠然とした話になってきたので、もう少し掘り下げます。

例えば、自分が何を求めているのか、自分にとって何が望ましいのかを一番よく理解しているのは自分自身だと思いますよね?

その考え方が、これまでは当たり前でした。

しかし、ビッグデータやAIによって膨大な計算や分析が可能になり、自己へのアクセスは自分だけのものではなくなろうとしています。

脳科学や生化学の進歩によって「自己の暗号」の解読、つまり人間の精神のハッキングが進められているのです。

GoogleやFacebookのビッグデータを使えば、自分がいま何を欲しているのか、他人のことをどう思っているのかなどを自ら自覚できる以上に詳しく知ることはほぼできるようになってきています。

Facebookであなたが「いいね」している記事を数十個知るだけで、あなたの親友よりもあなたの思考を深く理解できるといったプロファイリングの結果はすでに出ています。

このように、自己がもはや膨大なデータネットワークの一部に還元されてしまうことを防ぐには、どうしたらよいか。

それは、AIに解読しつくせない自己認識を作るということが鍵になります。

(自分の物語を生きるという内容は以下の記事でも取り上げました。)

blue Art neon sign turned on

[山口 周×波頭 亮] 文化・アートをRethinkせよ【後編】(Rethink Japan)

 

3. 人類を存続させるための教育とは


強固な自己認識をつくる上で重要になってくるもの。

答えは、「教育」です。

girl in black t-shirt writing on white paper


人工知能が多くの仕事を奪うと予測されている中で、
人間が人工知能よりも優位に立てる点はどこでしょうか?

これを考えようとすると、人類は史上初めて、私たちは子どもに教えるべき教育内容がわからない状態に陥るそうです。

今年生まれた子どもたちは、20年後にどのような知識や能力を求められるのか。

現時点でそれを見通せる人は、ひとりもいません。

21世紀半ばには変化のスピードの加速と、伸び続ける寿命によって、いまの教育モデルが時代遅れになります。

また、世の中のステージが変化する度に、イデオロギーはバラバラに分断され、人生を通して一貫性をもって語れる物事はどんどん少なくなっていきます。

そうした世界では「私は何者なのか?」という問いが、これまで以上に切実でややこしいものになります。

 

暗記するだけの勉強ではAIに勝てない

ハラリさんは、暗記ベースの教育はすでに時代遅れだと主張しています。

そもそも暗記でコンピューターに勝てる人間はいないし、今の子どもたちはすでに情報過多な状態。

そんな世の中においては、情報理解する能力や、重要なものとそうでないものを見分ける能力、そして大量の情報の断片を結びつけて世の中の状況を幅広く捉える能力が必要になります。

フェイクニュースやポピュリズムといった、現代のニヒリズムを象徴するような現象も、原因は正確な情報が不足していることにあるのではなく、圧倒的な量の情報を仕分けることが難しくなっていることにあります。

情報の量に応じて加速している社会変化の速度に合わせ、今後は一人一人が自らを常に生まれ変わらなければいけません。

これからは生涯学習が娯楽ではなく、生存に必要不可欠なものになっていくのです。

 

瞑想が人間性を保ってくれる

この本の最終章は、ちょっと意外ですが 「瞑想」をテーマにしています。

本人以上に自分をよく知るAIに、私たちがハッキングされないためには、身体感覚を通して自分の心や意識を知るべきだとハラリさんは述べています。

あらゆる知識の分野で人類が AIに勝つことができなくなったとしても、人類が無用の存在にならないために。

今のところ機械には持つことができないと思われている「自意識」にこそ、今後の人類の可能性を広げてくれるのです。

 

今回は「21Lessons」の中から主要なテーマを取り上げました。

どの章もユーモアにあふれ、現代についてとてもわかりやすく書かれた本です。

よかったらぜひ本書を手にとってみてください。

 

関連書籍をチェックする ✔︎