この記事では、けんすう(古川健介)さんの書籍「物語思考 やりたいことが見つからなくて悩む人のキャリア設計術」を紹介します。
やりたいことを見つけることが大事と聞いたことがある人も多いと思います。一方で、今まで本などを読んでやりたいことを探しをしてみても、うまくいかなかった方もいます。
本書はそんな方に向けて、今までとは少し違った物語思考というアプローチを示してくれます。
それではさっそく、中身を見ていきましょう!
1. 物語思考とは?
まずは、物語思考の概要を説明します。
物語思考とは、自分自身を物語の主人公とすることで、人生をより積極的かつ豊かに過ごすための考え方。
このアプローチを通じて、私たちは頭の枷を外し、自分自身のキャラクターを創り出し、より行動しやすくなります。
物語思考を取り入れることで、自分を客観視しやすくなり、本質的な対策を打ちやすくなります。
多くの人が直面する「やりたいことが見つからない」「仲間が見つからない」「チャレンジするのが怖い」といった問題に対しても、それらを楽しみながら解決する道を見つけることができます。
物語思考によるチャレンジと冒険
物語思考では、チャレンジや失敗は必要な要素です。
明日から海外で働くことなど、通常では恐怖を感じるような大きな挑戦でも、物語思考を通して、それは主人公の成長に不可欠なステップとなります。
何も起こらない人生は物語としては面白くなく、主人公が新しい冒険を始めなければ、物語は始まりません。
物語思考の実践
この物語思考の実践には、まず自分が目指す理想の姿を定め、キャラクターを設定する必要があります。
次に、そのキャラクターが生きる環境を作り出し、物語を進めていきます。
自分を物語のキャラクターとして扱うことで、自分自身の行動を客観的に見ることができ、恐怖を感じることなく、適切な行動を選択できるようになる。
本書では、この物語思考を実践する方法を丁寧に説明していますが、この記事では、なりたい理想の状態を決め、物語思考で最も重要なキャラクター設定までを紹介します。
2. 頭の枷を外し、理想の自己を見つける
物語思考の進め方として、まずは私たちが無意識のうちに自分にかけている「頭の枷」を取り除き、理想の自己像を見つけることの重要性を解説します。
頭の枷とは、自己制限や既成の概念により自分の可能性を狭めてしまう心の拘束具のようなもの。
これを外すことで、より大胆な夢や目標を描くことが可能になります。
理想の自己像を描く
多くの人は、自分のなりたい姿を考える際に現実的な制約に囚われがちです。
例えば、何の制限もないなら、どうなりたいという質問に対して、年収600万円を目標にする人もいれば、それ以上を夢見る人もいます。
制限がないのに、600万円と答えてしまうのです。著者はそうした勝手な制限を、頭の枷と呼んでいます。
まずは、この枷を外し、なりたい自分の理想を言葉にすることで、それを現実に近づける。自分の限界を自分で設定せず、より大きな可能性を追求することが大切です。
未来の自己像が現在に与える影響
なりたい自分を明確にすることは、現在の行動に大きな影響を与えます。
過去の経験よりも、未来の自己像が現在の決断や行動により強く作用するというのが物語思考の核心です。
例えば、長年野球をしていた人が将来プロのテニスプレイヤーになりたいと決めた場合、彼の日々の行動はそれまでの積み重ねに関わらず、野球からテニスへとシフトします。
このように、未来の自己像は現在の行動を形作る強力な要因となります。
自分の理想を大胆に、そして具体的に描くことで、それに向かって行動する道が開けるのです。
3. 理想の自己像を具体化する方法
自分が目指すべき未来の姿を明確にするためには、まず10年後の自分がどうなっていたいかを具体的に想像することを著者はすすめています。
制限を設けずに理想の状態を100個程度書き出してみる。
このリストは、小さなことから大きな夢まで、何でも含めることができます。
例えば、エルメスのバッグを持つこと、趣味やスポーツに関する願望など、自分がワクワクするようなアイデアを思いつく限り書き出します。
アイデアを書き出す際のヒント
理想の自己像を書き出す際には、具体的なヒントが役立ちます。
例えば、10年後の理想の年収や資産、始めたい趣味や興味があるスポーツなどを考えると良いでしょう。
最初は30個や50個程度のアイデアで行き詰まるかもしれませんが、100個まで無理にでも挑戦することを著者はすすめています。
無理やりにでもアイデアを絞り出すことで、最初に思いつかなくても、実は重要な願望や目標が見つかることがあります。
継続的な自己探求
また、すぐに100個のアイデアが思いつかなくても心配はいりません。
暇を見つけては、理想の自己像について考え、新しいアイデアが浮かんだらリストに追加していくことが大切です。
この継続的な自己探求を通じて、自分の内面に深く根ざした願望や目標が明らかになり、それが将来の自分を形作るのです。
4. キャラクター設定方法
ここまでは、理想の状態を言語化することを解説しました。
その次のステップとして、物語思考では自分自身のキャラクターを創造します。
著者は、物語においてキャラクターが基本的な要素であると述べています。つまり、自分の人生の物語を形作るためには、自分自身のキャラクターを明確に設定する必要があります。
キャラクターとは何か
多くの人は、単に自分自身という存在が動いていると考えますが、理想の状態に近づくためには、最も効率的なキャラクターを考えることが有効です。
例えば、禁酒を成功させるには、「禁酒している人」ではなく「お酒を飲まない人」というキャラクターを自分で認識すると禁酒が上手くいきます。
このような自己認識は、日々の行動や決断に直接影響を与え、結果的に目標達成へと導きます。
キャラクター設定の効果
キャラクターを決定することで、そのキャラクターに合わせたプロセスが確立され、結果がすぐに出なくてもプロセスが続行されます。
大切なのは、良いプロセスを維持し続けることです。例えば、「ダイエット中」という認識ではなく、「アスリートのようなキャラクター」と自認することで、自然と健康的な食事や定期的な運動が日常の一部となります。
自分の理想のキャラクターを明確にすることで、理想の状態に近づくための道が開けるのです。
5. キャラクターの本質
物語思考では、「キャラクター」という言葉は、小説や漫画の登場人物と同様に、自分自身をある種の役割や性格で設定することを意味します。
キャラクターは、単に性格を表すものではなく、自分の性格や行動を変化させるための道具として利用されます。
キャラクターの構成要素
「物語の法則」という本によれば、キャラクターは「求めるもの + 動き + 障害 + 選択」の方程式で説明できます。
ここでの「求めるもの」とは、キャラクターが達成したい目標や願望を指し、それは壮大なビジョンでも日常の小さな目標でも構いません。
キャラクターには動き(行動)が必要で、それがなければ物語は進展しません。障害は目標と現状の間に立ちはだかるもので、これを克服することが物語を動かします。
最後に、選択はキャラクターが直面する障害に対してどのように対処するかを示し、これによってストーリーが形作られます。
キャラクター構築の応用
これを自分の人生に応用すると、まず「求めるもの」を明確にする必要があります。
これは、自分のやりたいことや目指したい状態です。10年後になりたい状態を100項目ほどリストアップすることで、求めるものがより鮮明になります。
次に「動き」は、目指す状態に向かっての具体的な行動を意味します。また、途中で遭遇する「障害」に直面し、それをどのように克服するかを決める「選択」が、あなたのキャラクターの特徴を形作ります。
自分のキャラクターを構築し、それに基づいて行動することで、自分自身の物語を豊かに展開することができるのです。
なぜ理想の状態からキャラを作るのか
物語思考において、キャラクターを作る際は、まずなりたい状態を明確にすることが重要です。
憧れの人物を模倣するアプローチもありますが、これが自分の理想と一致しない場合、問題が生じる可能性があります。
なりたい状態をまず考えることで、その後に設定するキャラクターが、自分の理想に近づくためのものとなります。
また、序盤で強調したように、自己制限(頭の枷)を取り払うことが、なりたい状態を大きく描くためには不可欠です。
このステップを踏むことで、理想の状態に近づくキャラクターを作成することが可能になります。
今回紹介した、「物語思考 やりたいことが見つからなくて悩む人のキャリア設計術」について、まだまだ紹介できていない部分が多いです。おすすめの本ですのでぜひ読んでみてください!