死の床で自分の人生を振り返ったとき、もっと多くの時間をオフィスで過ごせばよかった、テレビをもっと見ておけばよかったと悔やむ人はいない。
死の床にあって思うのは、家族や愛する者のことである。
人は誰かのために生き、最後はその人たちのことを思う。
ーースティーブン・コヴィー
みなさんは、これをどう感じるでしょうか?
この記事は、スティーブン・コヴィーさんの大ベストセラー「7つの習慣〜人格主義の回復〜」の紹介です。この本は、
- 自分の人生を、自らの手で良くしたい
- 人として成長したい
- より良い習慣を作りたい
という方におすすめです。
著者である経営コンサルタントのスティーブン・コヴィーさんは、米タイム誌が選ぶ世界で最も影響のあるアメリカ人25人に選ばれるほどの人物です。「7つの習慣」は、全世界で販売部数4,000万部を記録。まさに、これから成功したい人、すでに成功している人も必読のキング・オブ・ビジネス書です。それでは7つの習慣を、ざっくりとまとめていきます!
1. 個人主義では真の成功とは言えない
著者のコヴィーさんは、本書を書くにあたり、成功をテーマにした書籍について、アメリカ合衆国独立宣言以来の約200年をさかのぼって調査しました。その中で、ここ最近50年の成功に関する本と、独立宣言以来の150年の成功に関する書籍に書かれている内容の違いを発見します。
独立宣言から150年間に書かれた成功に関する書籍には、誠意・謙虚・誠実・勇気・忍耐・勤勉・質素・節制・黄金律など、人間の内面にある人格を成功の条件に挙げています。コヴィーさんはこれを、“人格主義”と名付けています。
それに対して、ここ50年の成功に関する書籍には、コミュニケーションスキルやモチベーションアップといったことばかりになっていたそうです。そしてこれを、“個性主義”と呼びます。
成功に必要な3大要素
自分の内面を成熟させる努力をせず、人格を磨かず、個性主義で手っ取り早く成功を収めても、それは長続きしない。真の成功とは、成功の持続と成長。真の成功や永続的な幸福を得るためには、人格主義こそが大切だと著者は断言します。
そのためには、以下の大きく3つに分類される7つの習慣で人格を磨くことで、自分の人生を真の成功に導くことができるそうです。
- 私的成功するための3つの習慣
- 公的成功するための3つの習慣
- 成功の持続と成長のための1つの習慣
ということで、真の成功に向けた7つの習慣とは何なのか、具体的にみていきましょう。
2. 何事においても、まず自責思考で考える
私的成功するための3つの習慣とは、
- 第1の習慣:主体的である
- 第2の習慣:終わりを描くことから始める
- 第3の習慣:最優先事項を優先する
の3つです。
第1の習慣:主体的である
まずは、第1の習慣「主体的である」について解説します。
これは、自責思考の正しい価値観を持つということです。自責思考で考えるということは、自分をコントロールする力を自ら持っているということ。逆に、他責思考で考えるということは、自分をコントロールする力を他者に与えてしまっているということになります。
例えば、雨が降って体が濡れて風邪を引いてしまったとします。この場合、他責思考の考え方だと、天気が悪いから風邪を引いたということになりますよね。天気のせいにすると、雨を降らせないようにすることは、さすがに自分ではコントロールできません。
自責思考になる
しかし、自責思考で考えると、朝天気予報を見ていなかった、寝不足続きで体が弱っていた、という理由付けができます。すると対策として、折りたたみ傘を持っていこうとか、睡眠時間を確保していよう、体を鍛えようといった“風邪を引かない”ために自分自身をコントロールをすることができます。
このように、自責思考の考え方で、自分のできることに時間とエネルギーをかけるようにすることが重要です。テレビのニュースを聞いて、テレビに向かって文句を言うことは、他責思考で意味がないですよね。
3. どうしようもない問題に対処する方法
自責思考で考える際に、私たちが日々直面する問題は、次の3つのどれかに分類されます。
- 直接的にコントロールできる問題
- 間接的にコントロールできる問題
- 自分ではコントロールできない問題
この中の “自分ではコントロールできない問題”には、笑顔を作り、穏やかな気持ちでそれらを受け入れて生きるといった術を身につけることも、時には必要になります。
問題が起きたとき、私たちに何かしらの刺激(ストレス)と反応がありますが、その問題の発生と、自分の反応との間にはスペースがあるものです。そのスペースがあるため、私たちは “楽観”、“悲観”、“自責・他責”、“全く反応しない” といった反応を自由に選択できます。
状況や条件のせいにしない
しかし、心に余裕がないときには、刺激と自分の反応との間のスペースは小さくなり、刺激から即反応となってしまうのです。選択できることを自覚し、反応までのスペースをつくり、それをうまく活用することが求められます。
また著者は、今のあなたの人生は、選択の結果の積み重ねであると言います。自分の行動に責任を持ち、状況や条件のせいにしない。厳しい指摘ですが、自分でコントロールできることに時間とエネルギーをかけ、自らコントロールする力を持つことが重要。主体性を持ち、自ら選択することによって、大きな力を得ていきましょう。
4. あなたは弔辞で何を言われたいか?
第2の習慣:終わりを描くことから始める
次に第2の習慣、「終わりを描くことから始める」についてです。
これは、 “どんな価値観を選ぶのか” ということに繋がります。あなたは、自分の葬儀の弔辞(ちょうじ)で、家族や親戚、友人や会社関係の人から、どんなことを言われたいですか?
その弔辞で言われたいことが、あなたの価値観であり、あなたの人生のゴールです。例えば、経営者なら、
- 会社を盛り上げた立派な方だった
- 会社だけでなく家族想いの立派な方だった
- 世の中に立派な功績を残された
そんな事を言われたいのではないでしょうか。
そして、第1の習慣で主体的に行動できる人は、人生のゴールに向かっていく人生の脚本を自ら書き換えることができると、著者は言います。
人生のゴールから逆算する
飛行機のように軌道からずれている時もありますが、最終的には旅行プランに戻り、ゴールに到着する。ゴールに向かって日頃から様々なフィードバックを受け、思い描いたゴールに到着できるよう軌道修正することを心がけましょう。また、終わりを思い描くことから始める習慣を身につけるには、“自分自身の憲法”を書き、頭と心に刻みつけることが効果的です。
自分自身の憲法とは
“自分自身の憲法”とは、あなたの信条や理念を表明したものです。そこには、
- どんな人間になりたいのか:人格
- 何をしたいのか:貢献、功績
- それらの土台となる価値観と原則
を書きます。例えば、
- 一番身近な家族を幸せにしよう、会社の仲間を幸せにしよう。
- そのための価値観や原則として、すぐやる、必ずやる、出来るまでやる!
というように決めます。例は本書にいろいろと載っているので、ぜひ一度手に取ってみてください。
5. 最優先事項を優先する
第3の習慣:最優先事項を優先する
第3の習慣は、第1の習慣、第2の習慣を実践し、個人としての結果を得るための習慣になります。それは、“自分のゴールに近づけることを、最優先に行動する”ということです。
自分の行動を決める要因は、緊急度と重要度の2つがあります。重要な用事は、自分をゴールに近づけるもの。それに対して、重要でない緊急の用事というのもよくありますよね。
緊急かどうかしっかり分ける
例えば、電話携帯の着信。それがどこかの業者の営業だと分かると、なんだよ!と思ったりすることありませんか?このように、優先するべきでない緊急の用事ばかりに支配されると、あなたはゴールに近づけなくなってしまいます。
多くの人が陥るのは、日々の時間の90%を緊急の用事に支配される状況。そしてそれに疲れ切って、残り10%は重要でも緊急でもない時間、例えばスマホゲームなどに使ってしまいます。この問題は重要なのか、緊急なのかをしっかり分けることが重要です。緊急 = 必ずしも重要ではないことを認識しましょう。
6. 他人には全面委任で結果を求める
一方で、自己投資など緊急ではないものの、長い目でみれば重要なこともありますよね?
それにこそ、時間を使っていくことが重要だと著者は言います。効率的にゴールに到達するためには、時間が限られる以上、他の用事がいくら緊急に見えても「NO!」という場合も必要になるでしょう。
全面的に委任する
他人に委任することも大事です。物事を達成するためには、
- 自分の時間を使って実行するのか
- 人に任せるのか
のどちらかしかありません。
よくあるのが、自分がやった方が早いから人に任せられない問題です。しかし、人にうまく任せることが出来れば、効率は何倍にも上がります。委任には、次の2つの種類があります。
- 使い走りの委任
- 全面的な委任
使い走りの委任は、細かく指示をしないといけません。しかし、これでは効率的に物事を達成できませんよね。
それに対して全面的な委任は、手段ではなく結果を重視します。手段を自由に選ばせ、結果に責任を持たせる委任。これは、プロセスよりも結果を重視するということです。
7. 公的成功するための3つの習慣
公的成功とは、周りの人も巻き込んで、みんなで成功することです。この公的成功を果たすためには、まず私的成功を成し遂げる第1〜3の習慣を、先に身に付けておくことが必要になります。まずは、先に紹介した第1〜3の習慣を頭に刻んだうえで、第4の習慣以降にトライしましょう。
第4の習慣:Win-Winを考える
第4の習慣は、「Win-Winを考える」です。Win-Winとは、すべての人間関係において、必ずお互いの利益になる結果を見つけようとする考え方・姿勢のことです。
何かを決めるとき、問題を解決するときに、お互いの利益になり、満足できる結果を目指すことになります。ついついスピード感を求めて、お互い妥協してしまったり、どちらかが諦めて話を進めてしまったりといったことは、よくありますよね。
コヴィーさんは、Win-Einでは、自分だけのやり方でなく、相手側だけのやり方でもない、より良く、高いレベルの“第3の案の存在”を信じることが大切だと言います。また、人格はWin-Winの土台であり、あらゆる人間関係の成功を築くための基礎となります。
双方のメリットを妥協しない
Win-Winの根本には、全員が満足できる方法は十分にあるという考え方があり、一人勝ちのゼロサムゲームや、誰かが勝てば誰かが負けるようなものではないです。双方にメリットがある解決策が見つからなければ、合意しないという選択肢もあります。
通常であれば、スピードを重視して、妥協した案でも進めたいと考えてがち。そこを妥協せず、双方が最初に持っていた考え方を上回る素晴らしい解決策を生み出すこと。実行するには厳しいですが、これがWin-Winです。
8. まずは理解に徹し、そして理解される
第5の習慣:まずは理解に徹し、そして理解される
第5の習慣は、「まずは理解に徹し、そして理解される」です。
これは、相手を理解することに神経を集中させるということです。多くの人は誰かと話しているとき、相手の話を理解しようと真剣に聞くどころか相手が話し終えた後のリアクションを考えながら聞いていると、コヴィーさんは言います。私たちの聞く姿勢のレベルは、
- 相手を無視して話を全く聞かない。
- 聞くふりをする。うんうんと相槌は渦が話の中身は全く耳に入っていない
- 選択的に聞く。話の部分部分だけを耳に入れる。3〜4歳くらいの子供と会話するときなどに多い
- 注意して聞く。神経を集中して、相手が話すことに注意を払う。
- 相手の身になって聞く。共感による傾聴。
の5つのレベルがあるそうです。
一番難しい習慣
一番良いのは、もちろんレベル5です。相手は自分が理解されていると感じた時に、初めてこの人を理解しようとするそうです。まずは理解に徹する。評価したり、処方したり、自分の考えを主張する前に、まずは理解するように努力すること。人と人とが力を合わせるために必要な習慣です。
お互いが理解し合えた時にWin-Winの道が開かれると、コヴィーさんは言います。しかし、これも難易度高いですよね。疲れている時や自分に余裕がないときは、適当に反応してしまいそうです。コヴィーさんも、この第5の習慣が「7つの習慣」の中で、身につけるのが一番難しいと語っています。
9. シナジー(相乗効果)を作り、刃を研ぐ!
第6の習慣:シナジー(相乗効果)を作り出す
続いて、第6の習慣「シナジー(相乗効果)を作り出す」です。シナジーとは、全体の合計が、個々の足し合わせよりも大きくなるということ。1+1が3以上になるイメージです。
これは、Win-Winになるように、第1〜第5の習慣までで学んできた習慣で、シナジーに溢れた第3の案を見つけるということです。シナジーの本質は、お互いの違いを認め、尊重し、自分の強みを伸ばし、弱いところは補うことで発揮されます。
第6の習慣はほどほどに、最後の第7の習慣は、成功の持続と成長のための習慣です。
第7の習慣:刃を研げ
最後の第7の習慣は、「刃を研げ」です。これは、あなた自身の価値を維持して、真の成功である“成功の継続と成長”に導くということです。また、人間の形成には、以下の4つの側面があるそうです。
- 肉体:運動、栄養、ストレス管理
- 精神:価値観の明確化と改善、学習、瞑想
- 知性:読書、計画立案
- 社会性:コミュニケーション、奉仕
これらの側面のすべてを日頃から鍛え、バランスを考えて磨いていくのです。そのためには、主体的に自己投資の時間を取る必要があります。日々時間を奪われる緊急だけど重要じゃないもの、緊急でもなければ重要でもないものに費やす時間を削り、創出された時間を自己投資の時間にしましょう。
例えば、
- 週に3〜6時間程度の運動をする
- 自分の生きる軸となる本を読み返す
- 瞑想する
普段の生活の中で人と接する際に第4〜第6の習慣を実践する。といったことが挙げられます。この第7の習慣は、自分の人生に対して長期的に実行することができる、最大の投資であると言えます。
以上で、7つ全ての習慣を紹介しました。この記事では、まだまだ紹介できていない部分が多いので、ぜひ本書、スティーブン・コヴィーさんの大ベストセラー「7つの習慣〜人格主義の回復〜」を一度手にとって読んでみてください!