みなさんは、限りある人生を何に使いますか?
命が尽きる最後の日までどのようなことに時間を使い、情熱を燃やし、何者として生きるのか。この記事では、大住力(おおすみ りき)さんの書籍「一度しかない人生を「どう生きるか」がわかる100年カレンダー」を紹介します。
この本は、
- 人生としっかり向き合いたい
- 自分が何をすべきか迷っている
- これからの行動を変えていきたい
という方におすすめです。本当は何が欲しいのか、何が好きで何が嫌いなのか、何を後悔していて誰と一緒にいたいのか。といった問いに対して、みなさんはどう答えますか?
著者はこれまでディズニーリゾートや日本航空、資生堂など10万人以上の人材育成に携わってきました。本書は人生の使える時間を“見える化”して、明日からを変えていくためのワークブック。
未来のありたい自分になるために行うべきプロセスが、私たちが今から「どう生きるか」の答えで、それを具体的にするのが100年分の日付が敷き詰められた“100年カレンダー”です。
では、どのように答えを出すのか?、具体的なやり方を解説していきます。
1. なぜ100年カレンダーなのか
まず、なぜ100年カレンダーなのか?ということについて、2つの視点から解説していきます。
今ここという考え方
Story behind the story.
これはディズニー映画やディズニーランドを作り上げた、ウォールト・ディズニーの有名な言葉です。表面に見えているストーリーではなく、その裏にのみ流れているもう一つの真のストーリー、背景とも言えるものこそしっかり見つけなさいという意味です。そして彼は、常にこうも言っていました。
Now and here.
過去でもなく未来でもない、今ここ。叱られたり、優しくされたり、悔しい思いをしたり、夢中でやっていたことや感動した事のすべてが糧になり、いまの私たちを作っています。
この考えのもと、100年カレンダーを作成し過去を振り返ることは、これまでのストーリーを見つけ、自分が生きてきた本当の意味に気づき、発見することに繋がります。そして100年カレンダーには、自分の非力さや未熟さを再認識する効果もあります。これは自分を過小評価しろというわけではなく、自分の向きあうべき正しい位置や本当の自分を認識するということです。
本当に使える時間を見据えながら、今までの人生で何を得て何を学び、どのように生きてきたのかそれを100年カレンダーから見つけ出し、これからを価値ある時間に過ごしていくことが大切になります。
自分を探しに行く
100年カレンダーを作るには、まず自分の原点を探していきます。私たちが生まれて生きていることは、奇跡としか言いようがありません。自分自身の始まりである誕生。まずは、そこから自分の歴史を客観的に振り返っていきます。具体的には、
- 生まれた日を承認する
- 最後の日を決めて人生の締め切りとする
の2つのステップになります。
生まれた日を承認すること
みなさんは、いま何歳ですか?
子供のころ楽しみにしていた誕生日を、今では前向きにとらえられない方もいるかもしれません。著者も無理に誕生日を喜ぶ必要はないと言います。生まれた日を承認するというのは、100年という時間の中で自分の歴史を客観的に見るための最初のステップになります。まずは今まで生きてきたことが奇跡であることを認めるところから始めましょう。100年カレンダーを使用した方法は、以下のとおりです。
まず、生まれてから今日までに通過してきた誕生日にすべて丸をつけてみましょう。中でも印象深かった家族との思い出や、楽しかった記憶のある誕生日には特別なマークを付けます。
理由を含めて思い出せることはすべて書き出し、生まれたことに対する今の自分の気持ちも現在の年齢の年に書き出します。そして未来の誕生日は、人生の節目にしていきます。さらに、自分が100歳になるまでの誕生日をマークし、これからの人生の節目や締め切りとして利用します。もし今の時点で何か思いつくものがあるなら書いておきますが、思いつくものが無くても何のための期限にするかはこれから探していけば大丈夫です。
ここまでが、いま私たちが生きている奇跡についてぼんやりとでもイメージをする作業です。
最後の日を決めて、人生の締めとする
続いて2つ目、最後の日を決めて、人生の締めとすることについて。残念ながら、誰にでも老いはやってきます。自分のやりたいことや行動において、老いがどのタイミングで障害になるかは分かりません。仮に事故に遭ったり病気にかかったりしなくとも、この後の人生は身体的に元気でいられる時間が、私たちが確実に使える時間となります。
平均寿命と健康寿命から、人生の締め切りを決めてみましょう。
- 2019年の日本人の平均寿命は、男性が81.41歳、女性が87.45歳。
- 2016年の健康寿命は、男性で72.14歳、女性が74.79歳。
健康寿命に達するまでが、おおよそ自由に活動できる本当に使える時間です。みなさんはこの残りの時間で何をしたいですか?
命も時間も有限です。その瞬間までどう生きるのか、著者はその答えは1つだと言っています。それは、本気で覚悟して生きること。これは時間はある、急がなくてもいい。しかし時間は確実になくなっていくから、無駄にはできないという心構えです。とても小さくても今やるべき行動の一つ一つが、今とこれからを作っていくのです。
2. 生き方を考える
ここからは、「生き方を考える」というテーマについて、2つのポイントを解説していきます。
6つのエレメントで、今の自分の人生構成を考える
人生を生きていく上では、6つのエレメント(要素)があるそうです。
- Output(仕事)
- Mother Earth(家族・人間関係)
- Belongings (お金・もの)
- Tool(健康)
- Input(学び・勉強・資格)
- New World(趣味)
の6つのエレメントです。
- Output(仕事)は、命の限り自分発信で外に表現できるということ。体や頭、心のすべてを使って、社会や誰かの役に立つ具体的な行動や表現の総称です。例えば、仕事はもちろん家事や育児、ボランティア活動などもこれに当てはまります。
- Mother Earth(家族・人間関係)は、直訳すると母なる大地。私たちの命や心の支えよりどころとなるべきものという意味です。これはたとえば家族や友人、気の合う仲間、尊敬する人など人生に関わる人間関係やその場のことです。
- Belongings(お金・持ちもの)は、簡単に言えば持ち物。お金や投資・貯蓄がこれにあたります。また、生きるために必要な家や車、家電製品や洋服なども含みます。しかし、ファッションやコレクションなどは人によっては6番目の New World (趣味)に含まれるかもしれません。
- Tool(健康)は、生きる上での道具、体のことです。体が健康であることは、最大の武器となります。
- Input(学び・勉強・資格)は、知識や体験を得ること。または、知恵や教養を身につけることです。人生の資産として学びや勉強に時間を割きたいと感じるタイミングなどがここにあたります。
- New World(趣味)は、新しい世界を見せてくれるものです。経験のある / なしは関係なく、興味のあることがこれにあたります。人生を魅力的に輝かせてくれるものとも言えます。
ここまでの6の視点は、著者の考える人生で満たしておきたい要素になります。人生の時々のタイミングで、どのエレメントに集中するかは人それぞれで、すべてを満たそうとする必要はありません。しかし、どの視点も必要だと著者は言います。
どのエレメントの割合を増やして生きていきたいかを決める
6つのエレメントが理解できたら、今の人生がどんな配分で構成されているか考えてみましょう。円グラフにすると、視覚的にわかりやすいです。できあがったら、その円グラフをぼんやりと眺めてみてください。
今の自分のエレメントグラフは、どのようなものでしょうか。ちょっと仕事が多すぎる、あまり家族との時間がとれていないなど、今の自分の傾向が分かればそれでOKです。大切なことは、今の自分を構成するエレメントの割合は、未来においても続けていきたい割合かどうか。この考え方は、過去に分人主義について紹介したこちらの記事も参考になります。
本当に幸せを感じるエレメントのバランスで生きているか。自分がこれからの人生において、増やしていきたいと感じるエレメントはありますか?
ある場合には、具体的に何を増やしてどうしたいのか考えていきます。
- これまで欲しかったもの、これから欲しいもの
- 人生に影響を与えた出会い
- 何に喜んで生きてきたか、これから何に喜びたいか
- これまで時間やお金をかけてきたこと
- 許せないこと、後悔していること
これらを一つ一つ考えながら、確認していきましょう。それぞれのワークを丁寧に考えたい方、詳細を知りたい方はぜひ本書を買ってみてください。ここまでのワークを行えば、過去や今の生き方とは違った未来の時間の使い方をエレメントグラフで確認できるはずです。
3. 未来は今すぐ変えられる
最後に「未来は今すぐ変えられる」というテーマについて2つのポイントを解説していきます。
幸せを感じるために行動する
みなさんは、どういう時に幸せを感じるでしょうか?
著者は、幸せとは結果ではなく、プロセスにあると言います。今まさに幸せに向かっていると感じる時の心の状態。つまり、行動そのものが “幸せ” に繋がるということになります。
- 過去や今に対する気持ち
- 未来のありたい自分の姿
- そうなるために行うべき行動
これらのプロセスが、私たちは今どう生きるのかの答えです。幸せが結果ではなくプロセスにあるのなら、行動し続けることでしか幸せは感じることができないですよね。また、決めたことを行動し続けることで、人は成長していきます。
未来を表すエレメントグラフも作ってみましょう。そして、それもじっくり眺めてみてください。そのグラフは、これからの自分はこう生きる!という宣言です。過去や今を表すエレメントグラフと見比べてどう違いますか?
6つのエレメントの割合が偏っていたり、何かのエレメントがなかったりしても問題はないです。これからの割合が多いものほど、今から生きる上で重視することになるでしょう。未来のエレメントグラフは、過去の時間から考えた時間の使い方です。その配分構成の中で、思う存分に時間を使うために一番大切なことは、それについていかに行動し続けるかです。
何者として生きるのかを決める
これまでのステップでは、自分の人生で学んだことや軽減などを考え、未来はどうありたいのかを導き出してきました。最後に他者や社会と掛け合わせて、これからの人生の道を考えてみます。
みなさんが社会や目の前にいる人に提供できる、モノやコト提供できるお金や時間は何でしょうか?
これこそが私たちが、“何者として生きるか”ということです。無理にポジティブに考える必要はありません。
具体的には、「曲がり角」×「実績」を掛け合わせて考えます。誕生にまつわることや欲しいという感情につながるもの、時間やお金をかけてきたことなど、過去の時間の中で経験してきた「曲がり角」はここまでのステップで導き出せているはずです。
実績はこれまでの人生の中で、長い時間をかけて継続的に得た実力です。これが実績かもしれないくらいの視点でいいので、まずは自分の判断で探してみてください。
「曲がり角」と「実績」をベースに、いま目の前の人を喜ばせることができるものは何か?
遠くの人や広いマーケットなどを捉えるのではなく、自分の目の前や近くにいる人で考えてみましょう。
幸せとは結果ではなくプロセスにあると言いましたが、著者は人は自分のためだけに生きても幸せにはなれないとも考えています。自分以外の人のために行動してこそ、幸せを実感できるのです。目の前の人を喜ばせることが分かれば、それを提供するための具体的な行動を重ねていくだけです。
今回紹介した「一度しかない人生を「どう生きるか」がわかる100年カレンダー」について、具体的なワークの内容などはほとんど紹介できていません。おすすめの本ですので、ぜひ読んでみてください!