5分で学ぶ『ブラック・スワン』要約(ナシーム・タレブの理論)【テールリスクを知る】

swan floating on sea ハッとさせられる考え方・哲学

 

あなたは想定できない未来に、どう対処しますか?

この記事は、不確実性のリスクの本質を教えてくれる、ナシーム・ニコラス・タレブさん著「ブラックスワン」の紹介です。

本書での“ブラックスワン”とは、常識からかけ離れた想定外の出来事や転機(チャンス)を表しています。現代では新型コロナウイルスはじめ、想像もつかない大きな出来事が頻繁に起こっていますよね。それらのように、少数の“黒い白鳥”が、社会に桁外れの影響を与えることがあり、その影響力はますます大きくなっていますよね。

黒い白鳥は、過去の経験や知識では予測することができないため、統計学は役に立ちません。では、想定できないものにいかに対応するのか?

一緒に、対策を考えていきましょう!

 

1. 七面鳥は明日を夢見る

black and white turkey on green grass during daytime

 

毎日餌をもらっている七面鳥は、飼育人のことを「なんて優しくて、親切な存在なんだ!」と思って幸せに暮らしていました。しかし、ある日突然、感謝祭の前日に飼育人に首を切られてしまいます。生まれてから1,000日間同じような毎日が続いた経験から、明日も同じことが起こるに違いないと考えていたのに…。

このように、明日とんでもない予想外のことが起こる可能性は常にあります。私たちは過去から、論理的に未来の結論を導き出そうとしますが、過去の経験に基づく分析は意外とアテにならないものです。

 

12足の異なるストッキング

ここで、さらに事例を1つ紹介します。女性を集めて12足の異なるナイロンストッキングから好きなものを選んでもらい、選んだ理由を尋ねる実験です回答者たちは選んだ理由を、生地や肌触りなどさまざま挙げました。しかし実は、12足はすべて同じもので彼女たちは選んだ理由を無意識に何とか後付けで作っていたのです。

この事例で言いたいことは、私たちは無意識に、主張を裏付ける事実を探して“意味”を作り出して解釈することがあるということです。そもそも、“ある事実”が主張を裏付けていても、必ずしもそれが確たる証拠だとは限りません。実際に白い白鳥を何百万羽見つけても、“黒い白鳥はいない”という証明にはならないことと同じです。

 

2. 存在しない因果関係に、“黒い白鳥”は姿を隠す

man sitting on red fabric sofa near glass window

 

一見、因果関係があるように見えても、実際には因果関係が存在しないことはよくあります。例えば、成功した億万長者には、

  • 勇気がある
  • リスクを取れる
  • 楽観主義

という共通点があります。これには、みなさん納得ですよね。しかし実際には、大失敗した人にも同じ共通点があるのです。両者の特徴は全く同じですが、両者を分けた違いは何か。それは、単純な“運”です。

 

大人数でジャンケン大会をすると、必ず10回連続で勝つ人がいます。その人は、ジャンケンの才能があるわけではなく、単に運がいいだけです。しかし、私たちは存在しない因果関係を勝手に頭の中で作り上げて、“あの人はジャンケンが強くて常に勝ち続ける”と考えてしまいます。

私たちは、このような思い込み(バイアス)により、隠れた“黒い白鳥” = 「運によってたまたま起きる、想定外の出来事や転機の存在」がはっきり分からず、うっかりその出現を見落としてしまうのです。

 

3. 不確実な「果ての国」は拡大する

laptop computer on glass-top table

 

ここからは、世界が「月並みの国」と「果ての国」に分かれているという話をします。

月並みの国

歴史上、最も体重が重い人は635Kgだったそうです。そんな人が存在したんですね…

ここで言いたいのは、世の中からランダムに1,000人選び、635Kgの人を加えても、平均体重にはほとんど影響しないということ。これが、「月並みな国」です。仮に体重1トンの人が存在すれば全体へ影響を与えますが、まずありえません。このように予測できる統計学は、「月並みな国」で有効な方法論となり得ます。

 

果ての国

2020年の世界富豪ランキング1位は、アマゾン創業者のジェフ・ベゾスで資産は14兆円でした。世の中からランダムに1,000人選び、ベゾスを加えると、全資産のうちベゾスが占める割合は99.9%以上になります。資産の平均値は、ベゾスがいるかどうかで全く変わってしまうのです。

格差が非常に大きく、平均から外れた1サンプルが全体に圧倒的な影響を及ぼすこれが、「果ての国」です。「月並みの国」では、データが増えるほど予測が正確になりますが、「果ての国」ではデータが増えても予測は1つのサンプルの振る舞いに大きく影響するため、少ししか正確になりません。多くの人がデータを集めて平均年収を計算しても、ベゾスがたった1人加わるだけで平均値は激変します。

このような一つの出来事がとても大きな影響を与えるこの「果ての国」に、“黒い白鳥”はいます。そして、代では多くのものが密接につながりあっているので、「果ての国」の領域は広がっています。そのため、世界中で想定外の“黒い白鳥”が、頻繁に現れてきているのです。

 

4. バーベル戦略で”不確実性”に対処せよ!

red Casino neon sign turned on

 

さて、ここで1つ問題です。カジノは「月並みの国」と「果ての国」、どちらに属するでしょうか?

カジノは一見不確実な世界ですが、実は「月並みの国」です。勝率は計算できますし、ルールも掛け金の倍率も変わることはありません。客が多いほど、統計的に正確に計算できるので、カジノの経営者は確実に儲けられます。

しかし、現実のビジネスの世界で勝率は計算できませんし、ルールも頻繁に変わります。カジノの世界と、ビジネスの世界は全く違うのです。ビジネスなどにおいて、今後ますます想定外の出来事を予測できにくくなります。ではいったい、この“黒い白鳥”にどう対処すればいいのでしょうか。

 

著者のナジーム・タレブさんは、株のトレーダーをしていた時代から実践してきた「バーベル戦略」を勧めています。バーベル戦略とは、バーベルの形のように両端に重さを乗せる、“超保守的投資”と“超積極的投資”を組み合わせた戦略です。

お金の85%〜90%を、アメリカの短期国債など超安全資産に投資し、残りの10%〜15%は仮想通貨のような超投機的な賭けに投資します。こうすれば、たとえブラックスワンが来ても安全資産は守れますし、破滅はありません。

この考え方は、ビジネスにも応用できます。収益性が高い既存の事業予想外の打撃で潰されないように、徹底的に守り抜きながら、勝率は少なくても大化けする見込みがある新規事業にも積極的に手を伸ばしていくという戦略です。

 

これからの世界は複雑さがさらに増していき、私たちが“黒い白鳥”に遭遇する可能性はますます高まっていきます。過去のデータを集めただけでは予測がつかない、不確実な世界への対処の仕方を学ぶべきだということを、この本は教えてくれます。

興味のある方は、ぜひ本書を手に取ってみてください。

 

 

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