人の平均寿命は短い、バカみたいに短い。
80歳まで生きるとしても、あなたの人生はたった4,000週間しかありません。そう考えると、時間をうまく使うことが人の最重要課題になるはずです。人生は、時間の使い方そのものです。私たちはもっとしっかりと現実を見つめ、すごく短くてキラキラと光る可能性に満ちた4,000 週間を送りましょう。
ーー著者
この記事では、オリバー・バークマさんの書籍「限りある時間の使い方」を紹介します。本書は、全米で大ヒットしただけでなく、世界中の著名人からも絶賛されており、限られた時間を有効活用し、充実した人生を送るためのヒントが満載です。
絶対に押さえておくべきことは、“私たちの人生は驚くほど短い”ということ。今回は、本書の中でも特に重要なポイントを紹介していくので、これを読んでいただくことで、人生の意味や価値、時間の使い方について深く考えるきっかけになるはずです。
それでは早速、一緒に学んでいきましょう!
1. 現実から目を背けるな、私たちの人生は驚くほどバカみたいに短い

私たちの人生は驚くほど、バカみたいに短いです。私たちはまるで自分の人生が、永遠に続くかのように暮らしています。日頃から残り時間を意識せずに暮らしているかもしれませんが、冒頭のとおり、80歳まであなたが生きるとしてあなたの人生はたった4,000週間しかありません。運よく90歳まで生きたとしても、4,700 週間程度です。
これまで、このようなどうしようもない真実をしっかり認識して生きてきたでしょうか。もしテキトーに生きていた、常に時間に追われている、自分にはまだ時間がたっぷりあると思っていた。それだけでなく、まだまだ無限の可能性がある、何もかもやろうと思っていたのなら、本当の意味で人生が短いことをまだ理解できていません。
まずは、自分に残された時間は信じられないぐらい限られていることを強く認識し、自分の生き方を考え直していきましょう。
タイムマネジメントは役に立たない
人生とは、時間の使い方そのもの。こう聞くと、限りある時間を最大限有効に使うための厳格なタイムマネジメントが必要だと思うでしょうが、著者曰く、現代のタイムマネジメントは、全く役に立たないと言います。
いかに少ない時間で大量のタスクをこなすか、いかに毎朝早起きして規則正しく過ごすか、といったタイムマネジメントは、目の前のつまらないタスクを大量にこなすことばかりを考え、これさえ実行できれば何でもこなせるという幻想を振りまいているだけだと主張します。
やるべきタスクを高速でこなせるようになったとしても、さらに別のタスクが積み上がっていくだけで、ストレスは全く減らないし、以前よりももっと忙しく、不安で、空虚な気持ちになるだけです。
お金を稼いだ先にあるもの
また、無限のタスク地獄に落ちてしまう一方で、時間術を徹底し、効率よく仕事をこなして必要なだけのお金を手に入れたとしても、満足することはありません。欲しいものや真似したいライフスタイルがどんどん増えていく沼にはまるだけ。もっとお金を稼ごうと頑張り、忙しさを自慢しながら、無限に積み上がるタスクを再び高速でこなし始めてしまうのです。そして、”本当にやるべきことをやっていないのではないか”という感覚に苦しめられてしまいます。
いつか邪魔な仕事をすべて終えたら、その時こそ大切なことができるはずだと思って頑張っても、人生で本当にやるべきことをやり始められる日なんて、いつまでたってもやって来ないのです。
忙しい経営者が大金を稼いだ先にしたいことは「南の国でゆっくり釣りをしたい」だったりします。今すぐにでも叶えられる多くことを、忙しさを理由に先延ばしにしているのです。
全てを手に入れることはできない
生産性という耳触りのいい言葉は、本当にやるべきことを見失ってしまう罠です。まずは、全てを手に入れることはできないという自分の限界を認めることが大切です。今まで必死に手に入れようとしていた完璧など、本当は必要ないのです。すべてを計画通りにコントロールし、時間を徹底的に管理すればどんなことも成し遂げられる、いつか自分の本当の人生が始まるという希望は捨てましょう。そうすることで、自分にできること、本当に大切なことだけに集中できます。
大切なことは何に集中し、何をやらないか意識的に選択すること。人生は誰もが大量の先延ばしを残して、死ぬことになります。何を先延ばしにするのかを賢く選択し、あえて放置してしまった仕方がないことだと受け入れましょう。
2. やるべきタスクを上手に減らす3原則

では、具体的にどのようにして、本当にやるべきタスクを残し、要らないタスクを切り捨てればいいのでしょうか。
よく使われる例として、”瓶に大きな石をまず詰めてから、隙間に小石や砂を詰めていく”というものがあります。ここでいう大きな石とは、あなたにとって最優先のことです。小石や砂は、それに比べればどうでもいいこと。初めに小石や砂を詰めていくと、後から大きな石を入れようとしても入りません。つまり、どうでもいいことを先にやってしまうと、本当に重要なことができなくなってしまうという例え。あなたにとって最も重要なことに、まず手をつけなさいということです。
しかし、大きな石があまりにも大きすぎる時は、その石をさらに細かく仕分けて、日々のタスクに落とし込まなければなりません。本書で紹介されている、やるべきタスクを上手に減らす3原則に従って、まずはやるべきことを減らしてみてください。
原則1:まず自分の取り分を取っておく
これは、上手な貯金の仕方とほとんど同じです。貯金をしたいと思うのなら、まず給料を受け取ったら自分の取り分を確保することが有効です。給料が入ってすぐに一部を問答無用で貯金や投資に回せば、お金が足りないと感じなくて済みます。例えば、月収30万円のうち5万円をまず貯金や投資に回して、残りの25万円が自分の給料であると考えて生活するといった感じです。
時間についても、全く同じです。まず自分の取り分を確保しないと、どんどん他のことに時間を使ってしまったり、どうでもいい予定が流れ込んできたりして、あなたの時間はどんどん奪われて、本当に大切なことができなくなります。余った時間で自分の大切なことをしようと思っていても、お金と同じで絶対に時間は余らないです。
趣味・恋愛・運動・睡眠など、本当にやりたいことがあるのなら、それをやり遂げるための唯一の方法は、今すぐにそれを実行することだと捉え、1日の最初の1時間は最も重要だと感じることに使う、自分自身とのアポイントをスケジュールに先に入れておくといったことが有効です。
原則2:進行中の仕事を制限する
限りある時間という現実から目をそらす魅力的な方法としては、複数のプロジェクトや仕事を同時に進めることがあります。あるプロジェクトが行き詰まったところで、別のプロジェクトに切り替えると、表面的には物事をコントロールしている気分になれますが、その代償として大事なことはいつまでも終わりません。本当に大切なことを終えるには、同時に進行する仕事の数を削れるとこまで削る必要があります。
具体的には、進行中の仕事を3つまでに制限してください。最も重要な3つのことを選択したら、そのうちの1つが完了するまで、他の仕事は一切やらない。どれか1つの仕事が終われば、空いた枠に別の仕事を入れてもOKです。進行中のタスクを制限するだけで、自分にできることが有限であるという事実を真正面から受け止めることができ、本当にやるべきことに着手することができます。
また、3つに絞り込むことによって、全てを同時にこなすという選択肢はそもそも不可能だと体を持って理解することができるでしょう。
原則3:優先度“中”を捨てる
これは、3原則の中でも非常に重要です。 優先順位はそこまで高くないけれど、中くらいだなと思うものは結構ありますよね。本書は、こうしたタスクはバッサリ切り捨てることを勧めています。それらは人生の中でさほど重要ではなく、それにも関わらず最も重要なことから目をそらすくらいには魅力的だからです。
例えば、そこそこ面白い仕事のチャンスや、まあまあ楽しい友人関係といったことは、切り捨てるには惜しいように思いますが、限られた人生の時間を一番食い潰している可能性があります。優先順位が中くらいの優先度のものを切り捨てるときなどは、もったいないと感じたり、痛みを伴ったりもあるでしょう。しかし、中くらいのものにこそ”NO”と言えることが大切なのです。
3. 限りある時間を最大限有効に使うテクニック5選

ここからは、限りある時間を最大限に使うテクニックを本書の中から5つ解説していきます。
開放と固定のリストを作る
ここまで紹介したとおり、重要なことをすべて成し遂げることを暗黙の前提とした生産性の向上ではなく、何かを捨てることは避けられないことを前提に、うまく選択することに集中しましょう。そのため方法が、タスクリストを”解放”と”固定”の2種類に分けることです。
まず、開放リストには、あなたが今抱えているすべてのタスクを自由に突っ込んでください。悪夢のような長さになると思いますが、心配は無用。その解放リストから、固定リストにタスクの一部を送り込むのですが、その時に最大5個というように、条件を決めておきます。重要なのは、固定リストのタスクの数を決めて、それ以上増やさないこと。1つのタスクが終わるまでは、別のタスクを追加してはいけません。
まずやるべきことをすべて解放リストに吐き出すことで、抱えているタスクの棚卸しをし、固定リストのタスクだけに集中することで、重要なことを達成できます。これだけで、気持ちはだいぶ楽になるはずです。
先延ばし状態に耐える
先ほどの固定のリストのうち、一度に取り組むのは1つのタスクに限定してほしいです。同時並行で進めるのではなく1つのタスクが終わるまでは、絶対にそれ以外のタスクに取り組まないと決めましょう。不安や目の前のことから逃げ出したいがために、同時にいろんなことに手をつけてしまいがちですが、それでは一向に前に進みません。
多くのことを先延ばしした状態に耐える力をつけて、目の前の1個のタスクだけに一極集中する。最初は不安に感じるかもしれませんが、やり遂げればそれを補ってあまりある達成感が得られるはずです。
失敗するべきことを決めやったことリストを作る
本当にやるべきことに集中するためには、戦略的に失敗することも大切です。人生のどの側面で失敗を許容するかをあらかじめ決めておくと、時間とエネルギーを効率的に使え、うまくいかなくても必要以上に落ち込まないで済みます。
例えば、失敗していいことのリストに芝生の手入れやキッチンの整理整頓を入れておけば、芝生が伸び放題でもキッチンがぐちゃぐちゃでも、自分を責めなくてOKです。逆に、何もかもやらなければいけないと思っていると、常に生産性の負債を抱えた状態でやるべきことがこなせないダメ人間だと自分を責めてしまいます。
本書では、こうした負のスパイラルを脱するためには毎朝、”空のやることリスト”をつくり、1日うちに達成したことを少しずつ記入していくことも勧めています。1日の終わりには、こんなに多くのことをやり遂げたぞと、自己肯定感も高まるでしょう。例えば、歯磨きした、コーヒー淹れたといった、簡単な小さなことでもOKです。小さな勝利を経験すると、モチベーションがどんどん上がっていくということは、科学的にも証明されていることです。
退屈で機能の少ないデバイスを使う
私たちの集中力を一瞬で奪ってしまうスマホやタブレットなどのデジタルデバイスの誘惑に打ち勝つためには、デバイスをできる退屈なものにすることが有効です。SNSのアプリを削除したり、画面の表示設定をカラーからグレースケールにしてみたりすることで、スマホの魅力がなくなり誘惑が大きく減ることが実感できると思います。最近では、一日の利用時間制限などの機能もあるので、段階的に魅力を減らす方法もたくさんあります。
スマホの魅力を減らす以外にも、そもそも機能が少ないデバイスを使うというのも賢い選択であります。例えば、Kindle電子書籍リーダーは本を読むという目的に特化して作られています。一つしか機能がなく不便だからこそ、読書に集中できます。
何もしない練習をする
哲学者のブレイズ・パスカルは、“人間の不幸は、すべて一人で部屋の中でじっとしていられないことに由来する”と言いました。限りある人生を有意義に過ごすためには、何もしないという能力が欠かせません。何もしないことに耐えられない場合、他に何かしないと進まないといった理由で間違った時間の使い方を選んでしまいがちになるからです。
例えば、急ぐ必要のないことを急いでやろうとしてストレスを感じたり、将来役に立つことをやらなければいけないと思い込んで楽しみや幸福感が得られることを先送りにしてしまったりしますよね。また、せっかくの休みだからどこかに行かないと!と、何かしないと気が進まないという理由で、そこまで行きたくもない場所に行ってしまったり、会いたくもない友達に会ってしまったりします。
このように何かしないと気が済まないという理由で、時間を使ってしまったことは多くの人が経験していることだと思います。本当に自分のために時間を使いたいのなら、何もしない練習をすることによって、周囲の人や出来事に干渉したいという欲求を抑える練習が効果的です。
おすすめの練習法は、何もしない瞑想です。椅子に座って5分ほど何もしない、考え事もしないし、自分が何かしているなと気づいたら、それをやめるといったところから始めてみましょう。具体的な瞑想のやり方はこちらの記事も参考にしてみてください。
このように何もしない練習をすることで、何もしないことができる人は自分の時間を自分のために使える人になれます。現実逃避のために何かをするのはもうやめて、心を落ち着かせ、自分だけの限られた時間をじっくりと味わいましょう。
今回紹介した「限りある時間の使い方」は、ひろゆきさんもオススメしている1冊です。より内容が気になった方は、ぜひ手にとってみてください!