山口周のビジネス書とアート思考、未来への提言まとめ【本要約】おすすめ本の紹介

ハッとさせられる考え方・哲学


山口 周(やまぐち しゅう)さんをご存知ですか?

電通や外資コンサルを経て、いまはパブリックスピーカーという世の中のご意見番としてもご活躍されている方です。

山口さんの芯を食った提言や、ハッとさせられるアイデア、哲学的な深い思考は数々の書籍やコンテンツから読み解くことができます。

著書などは、当ブログでも度々取り上げてきましたが、今回はそれらを一挙に振り返っていきたいと思います。

 

1. ニュータイプの時代

1冊目は、「ニュータイプの時代」です。

これまでの社会では、長い間高く評価されてきた、従順、論理的、勤勉で、責任感が強い「優秀な人材」は、「オールドタイプ」として急速に価値を失っていくと山口さんは言います。

その一方で、自由、直感的、わがままで、好奇心が強い人材が、「ニュータイプ」として、今後は大きな価値を生み出し、本質的な意味での“豊かな人生”を送ることができる。

というのが、本書のコアです。

製品には、「役に立つ / 役に立たない」と、「意味がない / 意味がある」の2軸があります。

このうち、勝者の総取りが発生して寡占化が進むのは、「役に立ち / 意味がない」領域です。

例えば、ICチップの市場における評価は単純で、コストと計算能力で決まります。

「色合いが絶妙だ」とか「イタリアの職人が精魂込めて作っている」といった意味的なことは、ICチップの評価にはまったく関係ありません。

一方で、意味がある市場では、モノは高く売れます。

自動車業界における、ドイツのBMWやベンツの車は、ほとんどが「役に立つし、意味がある」に含まれます。

今後は「役に立つ」ものを生み出せる組織よりも、「意味」を生み出すことができるニュータイプに高い報酬が支払われる時代になるということを様々なデータや例を通して示してくれる良書です。

 

aerial view of city buildings during daytime

山口 周『ニュータイプの時代』(要約)ニューノーマルな時代のビジネス戦略

 

2. 世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?

2冊目は、「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?」です。

  • 様々な要素が複雑に絡み合う不確実な世界では論理的な思考では答えを導き出せない。
  • 変化の遅い世の中では明文化されたルールがあって、それを基準として判断することでもやっていけたが、変化の激しい昨今では倫理的に判断し後から法が着いてくるような状況が生まれている。
  • 新しい機能が世に出てきた時にはその機能の利便性で勝負できるが、それがコモディティ化(一般化)し、成熟してくると機能ではなく何がその人にとって美しいか、気持ちいいかという美的感覚が売れゆきに影響してくる。

といった理由から直感や倫理観、審美眼といった「美意識」を持つことが重要だと山口さんは言います。

それは他者や外部にではなく、内部に持つ自分の評価軸のこと。

ただし、ただ直感を大事にするあまりにアート(感性や直感)が偉いんだと、非論理的になるのはNG。

サイエンス(理性や論理)もどちらも大事です。

非論理的ではなく、超論理的なのがアート的な思考です。

しかし、アートとサイエンスどちらの主張もぶつかると、合理的なサイエンスが勝ってしまうのが今の世の中です。

経営者層がアートを学び、アート的な思考・アイデアをトップダウンで進めるか、デザイナーに一定の権限を移譲してしまうといったやり方が考えられます。

 

『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』要約(MBA必読書)山口 周

 

3. ビジネスの未来

3冊目は「ビジネスの未来」です。

ビジネスは歴史的にその使命を終えている”というのが、本書の立ち位置です。

経済停滞していると言われている現在の日本の状況は、物質的生活基盤がやっと達成された、言うなれば「祝祭の高原」とでも表現されるべき状況だと山口さんは言います。

経済覇権を奪い合うフェーズはすでに終えていて、これからはいかに人類全体が共生して幸せになっていくかを考える段階になっているのではないか。

というのが本書の提言です。

これにより起きているのが、消費の非物質化です。

物質的欲求が満たされた私たちは、生活必需品でないものや承認欲求にお金を使うようになってきた、というのが最近の傾向です。

一方で、需要がなかったところへ無理に需要を生み出し、消費者が気づいていない不満をあぶり出し解消させることで、人工的に欲求不満にさせられ続ける私たち。

私たちは何のために仕事をするのか、何のために生きるのか、新たな価値観を考える段階にきています。

また、飽和状態である世の中で、まだ取り残されている経済合理性では解決できない社会問題を解決するために、衝動に突き動かされた人たちを守るためのベーシック・インカムのような、経済的セキュリティネットの実装の必要性も本書では語られています。

 

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5分で学ぶ『ビジネスの未来』要約【後編】GDPは成長しなくていい?(山口 周)

people standing inside city building

5分で学ぶ『ビジネスの未来』要約【前編】資本主義とは何だったのか?(山口 周)

 

4. 世界観をつくる

4冊目は、水野学さんと山口周さんによる対談の形式の書籍 「世界観をつくる」です。

 “世界観” とは、どういう意味なのか?

それは、私たちの社会や組織が新しい世界を構想する力です。

今日の世界においては、正解が供給過剰になっていて、その価値を下げています。

一方で、解決すべき社会問題はどんどん希少化し、価値が上がっています。

要するに、正解を出せる人よりも、問題提起できる人の方がずっと希少で、価値がある状況です。

ここで言う、“問題”とはありたい姿と、現在の姿のギャップ」。

ありたい姿が明確に描けていれば、そこに必然的に問題は生まれてきます。

いま多くの業界・領域で、この問題が希少化しているのは、私たちの社会や組織が新しい世界を構想する力 = 世界観を失ってきているためです。

では、どうすれば世界観はつくれるのでしょうか?

意味をつくる、物語をつくる、未来をつくるの3つの視点から世界観のつくり方を解説しています。

 

person holding string lights on opened book

水野 学 × 山口 周『世界観をつくる』(センスよくブランディングするための知識)

 

5. 文化・アートをRethinkせよ!

最後は書籍ではありませんが、Newspicksという経済メディアのオリジナルコンテンツ、Rethink Japanを紹介します。

経営コンサルタントの波頭亮さんが、山口周さんをゲストに迎え、文化・アートの側面から日本の未来を見つめ直す内容となっています。

ここまで紹介してきた山口さんの提言、先進国の経済は飽和状態であるということを起点に、GDPは戦争などの破壊によって成長していくことを前提とした考えであることや、いまの教育が経済成長のためにいかに人々を社会システムに取り込むかを目的としていることなど、ハッとさせられる考察が数多く登場しますよ。

 

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[山口 周×波頭 亮] 文化・アートをRethinkせよ【後編】(Rethink Japan)

[山口 周×波頭 亮] 文化・アートをRethinkせよ【前編】(Rethink Japan)

 

著者紹介

出典:brain.co.jp

山口 周(やまぐち しゅう)
電通、ボストン・コンサルティング・グループ等を経て、独立研究者、著作家、パブリックスピーカーとして活躍。
『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』などの著書がある。