一過性の流行ではない!『Web3時代のAI戦略』要約(ウェブ3がもたらす未来の可能性)

a bitcoin and bitcoin logo on a black background 時代を生き抜く考え方・哲学

我々にはWeb3の先にある明るい未来予想図が見えている。

BASICsというフレームワークを使って、Web3時代のAI戦略を描き実行し、読者の皆さんと一緒に明るい未来予想図を現実のものにしていきたい。

Web3という言葉を、知っていますか?

この記事では、大植択真(おおうえたくま)さんの書籍「Web3時代のAI戦略 社会課題解決を成長ビジネスに変える正のスパイラル」を紹介します。本書は、

  • Web3やAIの何がすごいのかを知りたい
  • 最新のIT技術を駆使して、社会課題を解決したい

と思っている方におすすめです。Web3が何なのか、AIでどんなことが可能になるのか、そのベースとなる考え方を学んでいきましょう!

 

1. 価値観の変化によるWeb3への関心

a stack of one hundred dollar bills and a bitcoin

 

Web2.0への批判とWeb3

2022年春過ぎから、日本でもWeb3という言葉が急速に広まりました。2000年頃に流行った、Web2.0という言葉は簡単に言えば、ユーザー参加型のインターネット。ブログやツイッターなどユーザーが発信する情報をベースとした、SNS(ソーシャルメディア)などが、これに当たります。さらに遡って、Web1.0はユーザー参照型で、ユーザーは見るだけの一方通行でした。

Web3とWeb2.0の最大の違いは、中央集権か非中央集権化か。Web3は中央に管理者のいないユーザー分散型になります。つまり、Webはユーザー参照型、ユーザー参加型、ユーザー分散型という順番に進化してきたのです。ではなぜ、いまのタイミングでWeb3が広がり始めたのか。技術的なこと以外の大きな理由としては、テック企業の巨大化に対する懸念です。

Web2.0は中央集権型のため、巨大テック企業はユーザーから大量のデータをAIで分析し、利用することができます。実際に、2007年以降はテック大手の5社の株が突出して伸びています。このビッグデータの寡占、Webの中央集権化への批判として、非中央集権化であるWeb3というキーワードが急浮上しているのです。

 

ヒッピー文化とWeb3

利用者の立場に立てば、形式的に同意を取った上で情報を収集しているとはいえ、自らの情報が気づかず利用される懸念がある。しかし、ビッグデータを駆使したサービスは、社会インフラになっているため、使わずに生活するのは簡単ではありません。

またWeb3は、1960年代にアメリカで流行った“ヒッピー文化(カウンターカルチャー)”を思想的に継承しているとも言われています。カウンターカルチャーとは、時代の主流であるメインカルチャー(既存の価値観)に対抗する文化です。

当時のヒッピー文化が国家のやりすぎへの異議だったとすれば、Web3はテック大手のやり過ぎへの異議。いずれにせよ、共通するのは物質的な豊かさよりも、心の豊かさを大事にしたいという思想です。

 

2. AIのぐるぐるモデルとデータの価値観

robot playing piano

 

AIのぐるぐるモデル

2010年代に入り、Web2.0と機械学習ディープラーニングが融合し、Webは社会にさらに大きな変革をもたらしました。

  • 写真や映像を認識する画像認識
  • 音声でのやり取りを可能にする音声認識
  • 発言の内容を解釈する自然言語
  • 書類や文章の自動生成

これらは、10年前にはほとんど使い物になりませんでしたが、2012年に起こったディープラーニングのブレイクスルーにより、現実的なものになりました。

アメリカの巨大テック企業が急拡大したのも、ユーザー参加型のWebから集まるデータをもとに「AIのぐるぐるモデル」が機能し、凄まじい速度での成長が可能となったからです。より多くの人が利用するとデータが増え、データが増えればAIがさらに賢くなる。この正のスパイラルがぐるぐる回ることを本書では「AIのぐるぐるモデル」を呼び、それによりビジネスはどんどん大きくなります。

AIは人ではないので、24時間365日不平不満を言わずに改善に取り組みます。利用者が何を望んでいるのかを察し、利用者個別に対応することも可能です。これがAIのぐるぐるモデルの力です。では、AIのぐるぐるモデルと、それがもたらす本当のDXとはどういうものなのか、もう少し詳しく見ていきましょう。

 

意思決定のレベルまでAIを使う

こちらの図は、本書からの引用です。まず、パソコンやインターネットを導入する前の状態は、逆中華鍋型のカーブ(図中⓪)にあたります。複雑性の増加と人員確保の限界から規模の拡大につれて、新たに発生する価値が低減する、いわゆる大量生産型企業の成長カーブです。

効率化のためにパソコンやインターネット、AIカメラなどを導入すると、逆中華鍋型が少し持ち上がった破線のグラフになりますが、残念ながら日本企業の多くのDXは、この段階で止まっているのが現状です。本当のDXは、AIを教育し、精度の高い予測ができるデータを収集することから始まります。

人の意思決定に時間を割かず、好循環の無限ループが高速でぐるぐると回転し続けるためには、企業の意思決定のレベルにまでAIが入ることが重要です。これに成功した企業は、GoogleやAmazonのように、従来の企業を圧倒するAI駆動型企業となります。

例えば、宅配サービスのUber Eatsの配達をどの配達員に任せるのか決めるのも、これまで人間が行ってきた判断をAIが代替し、大量の案件を短時間で分配することを可能にしています。

 

孤立した情報の「サイロ」を破壊する

また、AIのぐるぐるモデルの実現のためには、各種システムが孤立し情報が連携されていない「サイロ(穀物庫)」の破壊も必要です。企業内に存在するデータは、そのままではAIで使えないものがいくつもあります。全てデジタル化し、一つのプラットフォームにまとめた上でAIを導入する。

AIによる意思決定に有効なデータを用意できれば、ビジネス規模の拡大に伴い、先ほどの図中①のような傾きの中華鍋カーブで価値がスケールしていきます。さらに、競合との差別化をもたらす別のデータを入手できれば、図中②のカーブのように、価値が指数関数的に増えていきます。

AIに意思決定を任せる場合、重要なのは現場のオペレーションをできる限り自動化すること。自動化されたシステムは、正確な数字とデジタルデータをはじき出します。自動化が進むほど、データのサイロが破壊され、全社からデータが集まり始めるため、AIの判断はより迅速で的を得たものになります。

ここまでの過程により、各種の決定に伴う担当者の勘や属人的な判断の偏りもなくなっていきます。そのために、あらゆる業務をデジタル化し、データを管理し、AIの判断で業務フローを自由自在に組み替えることのできる、柔軟な組織形態が前提となってきます。

そのため、本当の意味でのAI導入に向けて、多くの日本企業は、働き方や意思決定、組織運営の形も見直す必要があるでしょう。

 

3. 公共事業とビジネスの課題解決

fan of 100 U.S. dollar banknotes

 

一律給付は正しいか?

Web3の仕組みとAIのぐるぐるモデルがあれば、今までは解決が難しかった社会課題も解決していくことができます。

例えば、コロナ対策で実施された10万円給付金で、実際に助かったと強く感じている層は、月の収入が20万~35万円くらいの家庭が中心。しかし、それ以下の家庭は一度だけ支給されたところで、困窮具合は変わりません。逆にそれ以上の家族であれば、困窮していないため、給付金を貯金に回し、入金されたことすら意識していないといったケースもあります。

これは、全市民に平等にベネフィット(利益)を与えなければならないという全体主義ゆえの非効率さだと言います。このように、自治体や国などの公的機関が抱えている社会課題は、年々複雑化しており、解くのが難しくなっています。

 

Web3×AI

そこで、従来の手法を超え、手詰まり状態を解決するのが「Web3×AI」です。政策本来の趣旨を考えれば、本当に困っている人には支給額を増額し、余裕のある人たちには貯蓄に回らないように期限付きの電子マネーで支給。投資したい人には、投資に向けるような仕組みを設計するといった方法も取ることができます。

その場合は現金ではなく、電子マネーや暗号資産のデジタル形式で給付する必要があります。しかし、現金を支給するより実務コストを大幅に軽減し、その上で給付金が何に使われたのかデータの見える化できるため、AIのぐるぐるモデルが回ります。改良を重ね、国民一人一人の課題によりマッチした社会課題解決につながるようにアップデートしていくこともできるのです。

 

4. BASICs(ベイシックス)

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Web3とAIのぐるぐるモデルを組み合わせ、社会課題を解決させるために、具体的にどうすればいいのかを考え、著者はBASICs(ベーシックス)と呼ぶフレームワークを作成しました。BASICsは、

  • Behavioral change(行動変容)
  • Accountability(効果の可視化)
  • Scale & Continuous improvement(規模の追求と継続的改良)
  • Income with profit(持続できる経済性)
  • Cultivate data value(データ価値の創出)

の5つの要素の頭文字を取ったものです。では、順番に中身を見ていきましょう。

 

Behavioral change(行動変容)

まず、ベーシックスの“B”は、課題を抱える当事者の行動変容を促進する仕組みづくりのこと。理想の未来社会を作るのに最も大事なのは、意志の力です。しかし、意志の力だけでは社会は変わらないため、それに基づいて行動を変える必要があります。そのために自らが課題解決によって、便益を得る当事者だということを認知させる必要があり、その最初の一歩を踏み出す仕組みづくりが大事です。

例えば、誰もが自分ごとになりうる親の介護では、介護体験をWebで公開し、他の人の参考になるようにすればポイントがもらえたり、車で親を介護施設に送り迎えするついでに、近所のお年寄りを送迎を担当することで自治体発行の地域通貨をもらえたりといったインセンティブ設計が考えられます。

 

Accountability(効果の可視化)

次にベーシックスの“A”は、効果が可視化されること。10万円給付金の例だと、どう消費されたかの効果が測定する必要がありますが、これまでは効果の測定のためのコストが問題でした。しかし、デジタル化が進めば、自然とデータが蓄積され、正確に分析できるためコストは軽減できます。

最初はスマホのアンケート調査ぐらいしかできないですが、電子マネーやIoTデバイスと連携すれば、正確な効果測定も可能になります。効果が可視化すれば、AIのぐるぐるモデルが動き出し、どんどん改良されます。一方で、給付のための資金提供には説明責任が発生します。アカウンタビリティは責任という意味でもあります。

 

Scale & Continuous improvement(規模の追求と継続的改良)

続いて、ベイシックスの“S”。これは、常に改善し、広く展開し続けることです。小さくても自らできることから社会に貢献するの素晴らしいですが、事業規模が小さいため、利益が上がらずに継続できない企業も多いです。

本気で解決するには、事業を拡大しなければなりません。そのために重要なのは、生産性を増加させた時に追加で発生する限界費用が圧倒的に低く、広く展開可能なアプローチやプラットフォームの活用です。これにより、AIのぐるぐるモデルがより多すぎて回転し急成長を続けることが可能になります。

その際、公共事業や従来の企業情報にありがちなウォーターフォール型ではなく、少人数かつフルタイムのチームで新たな機能を次々と開発していく、アジャイル型での開発が有用となります。ウォーターフォール型の開発は、プロジェクト全体を最初にきっちりと決めて、計画通りに進める方法ですが、じっくり開発している間に時代遅れの存在になる可能性があります。

 

Income with profit(持続できる経済性)

ベーシックスの“I”は、自己持続性が担保される経済性を満たすということ。どうしても社会貢献は儲からないといった社会通念が存在するため、儲けるのは企業であり、公共分野は社会貢献できればいいという分断された世界観からなかなか抜け出せません。

その結果、自己犠牲の小規模な社会貢献しか生まれず持続できないため、社会課題は解決されないまま巨大化しているのが現実。ビジネスとソーシャルを分断するのではなく統合すべきであり、ソーシャルビジネスもビジネスであるという考え方が必要です。

出資してもらうために利益を上げる。利益は上がるから、配当を期待して資金が集まる。資金が集まるから、より大きな事業になる。

こうした循環によって、大きな事業となり、大きな社会課題を解決できるようになっていきます。そのために利用できるのは、Web3での価値観の変化、DAOやNFT、トークンとAIのぐるぐるモデルだけではありません。新たなWeb3関連ツールも次々に登場するでしょう。

そして、ビジネスとソーシャルが融合する時代に変わり、ソーシャルビジネスはますます時代となるかもしれません。

 

Cultivate data value(データ価値の創出)

最後に、ベーシックスの“C”はデータの価値を創出すること。データは単体では価値を持たないため、多種多様なデータを組み合わせて初めて価値が生まれます。

それには複雑な処理が必要ですが、ここでAIの出番です。AIにかかれば、人間の知見では予想もしなかった価値を生み出すことも可能です。ぐるぐるモデルの好循環の状態をいかに作り出すことができるかが重要です。

今回紹介した、大植択真(おおうえたくま)さんの書籍「Web3時代のAI戦略 社会課題解決を成長ビジネスに変える正のスパイラル」について、より詳しく知りたい方は、おすすめの本ですので、ぜひ手に取ってみてください!

 

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