初対面の人との会話、顔見知りとのエレベータ内での空気。こんな時に気まずさを感じたことはありませんか?
この記事では、そんな悩みを解決する「雑談の一流、二流、三流」を紹介します。著者の桐生稔さんは、社会人のコミュニケーション力を向上するセミナーや研修事業を全国で展開している方。この本では、雑談の仕方をテーマに
- 話が3分しか持たずに気まずい、沈黙が流れる
- 初対面の相手に何を話していいかわからない
という方に向けて、45項目の具体的な会話の実例が紹介されています。今回はその中から、特に重要な5項目を取り上げて解説をします。それでは早速みていきましょう!
1. 一流は、相手に焦点をあてはめることから始める
みなさんは、こんな会話の経験ないでしょうか?
「今日暑いですねー。」
「そうですね、暑いですねー。」
その後沈黙。これは、三流の話の始め方です。
二流になると、
「今日は暑いですね。30度を超えるそうですよ。」
「30度ですか!どうりで暑いと思った。」
やはり、その後沈黙。なぜ、話し始めてすぐに沈黙が生まれる会話になってしまうのでしょうか?
これを解決する前に、まず一つの質問に答えてみてください。
人間が一番興味があるのは、誰だと思いますか?
大好きなアイドル?それとも、よく遊ぶ同級生?
違いますよね。一番興味があるのは、自分自身のことです。一流の人は、そこを理解しています。
例えば、こういう会話です。
「今日は暑いですね。」
「今日は30度を超えるそうですよ。夏バテとか平気ですか?」
「今日は暑さがすごいですね。しかし〇〇さんって、夏男って感じですよね?夏はお好きですか?」
このように話題の矢印を必ず相手に向けて、相手が話しやすいテーマを設定しています。あなたの周りに、あの人と話していると気づいたら会話が続いていると思う人がいませんか? もしいれば、ぜひ会話に注目してみてください!必ずテーマがあなたに向いているはずです。
2. 一流は、挨拶に2プラスする
挨拶から雑談が始まるケースもよくありますよね。この時に、「おはようございます。」だけで終わってしまうと、会話が続きません。三流は、この挨拶だけで終了します。二流は、挨拶に一言付け加えます。
例えば、「おはようございます、昨日は遅くまでありがとうございました。」確かにこれも悪くないですか、その後に「ありがとね。」と返されて、その後が続かないケースが大半です。
「はじめまして、お会いできて光栄です。」
「こちらこそ。」
これも、その後が沈黙で終わってしまいます。自然に会話をスタートするには、挨拶にも仕掛けが必要です。その仕掛けとは、2プラス(ツープラス)で挨拶にもう2言追加することです。
「おはようございます。昨日は遅くまでありがとうございました。しかし、部長本当にタフですね。」
「はじめまして、お会いできて光栄です。噂はかねがねお聞きしております。」
という例のように、挨拶の次に空白のボックスが2つあり、必ず2つ埋めないといけないと考えてみましょう。
挨拶 + □ + □ のイメージです。
「久しぶり!元気だった?何年ぶり?」
「こんにちは。いつも元気ですね。私も見習わなきゃ。」
というように、話のネタを入れ込みます。このように一流は、先手をとるのが上手です。先手とは、先に話しやすい空気を作ることです。会話のエンジンをかけるかのように、挨拶にもう2言追加して会話をスタートさせてみてください。
3. 一流は、具体的な質問をする
人間の脳は、考えると強烈に脳なエネルギーを消費します。頭を悩ますという言葉がある通り、深く考えれば考えるほど人間の脳は疲弊していきます。つまり、相手に深く考えさせるような質問を連発すると相手の脳はフリーズし、居心地の悪さを感じて会話が止まってしまうのです。
一流は、そこを明確に理解しています。ベースから常に即答できるような、具体的な質問を投げかけます。
「最近どうですか?」という質問よりも、
「最近土日はお休み取れていますか?」
「趣味は何ですか?」という質問よりも、
「休日によくやっていることってありますか?」
というようにアバウトな質問ではなく、具体的な質問をします。会話が広がらない、沈黙が続くという時は投げかけている質問をもう一段階ブレイクダウンして、具体的な質問に変換してみてください。
4. 一流は、15秒~30秒で相手に話を渡す
皆さんは「昨日は何をしてたの?」と聞かれたとき、それに回答するのにどのくらいの時間を使いますか?
話が長い人だと、3~5分ずっと自分が話をしています。逆にテンポがいい人は、少し自分の話をして「〇〇さんは何をしてたの?」と相手に返します。雑談では、30秒くらいで会話を返すのがベストです。
テレビのコマーシャルって、だいたい15秒か30秒くらいで構成されていますよね。これは、人間は興味のない事に関して30秒くらい経過すると、急激に集中力が落ちるからです。明石家さんまさんの司会のテンポは神業で、自分でボケた後にすぐひな壇に話を振ってボケさせます。そしてまた自分に話を戻して、新たな展開を作り、ひな壇に振ってボケさせる。
30秒に1回くらいで、話す人が変わるのです。テレビの名司会者や合コンでその場を回しているリーダー的な人の会話の時間に注目してみてください。きっと話す時間が短く、即座に相手に話を渡し、その場に流れを作ることで楽しい空間を作っているはずです。
5. 一流は、役割を見極める
例えば飲み会で、あなたはどんな立ち位置でしょうか?
友人との飲み会や異業種交流会など、世の中にはいろいろな飲み会がありますが、いつも聞き役の人はどこでも聞き役。一方で、目立ちたがりの人は、どこでも目立っていることが多いと思います。しかし、一流の人は場の空気によって立場を変えます。
例えば、
- 話が盛り上がっていれば、一生懸命に話を聞く。
- 盛り下がっていれば、積極的に進行役を引き受ける。
飲み会での役割は、主に次の3つしかありません。
- 回す人
- 話す人
- 聞く人
回す人とは、全体に目を配って話を振ったり、食事の配慮したりその場を快適に過ごせるようにコントロールする人。飲み会に来たら、今日この場は誰が回す人で、話す人で、聞く人なのかを見極めます。そして、空いているところを自分が担当する。すると、全体の役割が機能して、なんだか今日は楽しかったよね、と皆さんに喜んでいただけます。
よく飲み会で、今日は〇〇さん来なよ!と言われるような人は、ただ面白いだけではなく、その場の空気に応じて役割を変えて最適な空間を作っている人だと思います。
今回は「雑談の一流、二流、三流」の中から、特に役に立つ雑談の方法を5つ取り上げて解説をしました。本書には、場面ごとに具体的な会話の例が紹介されていて、状況がとてもイメージしやすい内容になっています。この記事を読んで興味を持った方は、ぜひ手に取ってみてください!