『2025年日本経済再生戦略』要約【成毛眞 × 富山和彦 の本】これから日本はどうなる?

people gathered outside buildings and vehicles ハッとさせられる考え方・哲学

 

構造的に衰退し続ける日本において、私たち日本国民はどう備えたらいいのか? 徹底的に節約しながら所得を増やし、余剰資金を投資に回す以外に、老後をまともに過ごすことは期待できないのでしょうか?

この記事では、成毛眞さんと富山和彦先生の共書「2025年日本経済再生戦略」を紹介します。

世界を見渡せば今やグローバル化と、デジタル革命によって社会は激しく変化しています。にもかかわらず、日本の政治家企業はいまだにバブル崩壊以前の栄光にすがり、保身に毒されたまま改革に二の足を踏み続けています。政治家や昭和的な古い経営者が、何とかなると楽観論や根性論を掲げたとしても、それでこの国が良くなるはずがありません。

日本にいま必要なのは、維新や敗戦のような日本を根本的に覆す“真の経済再生戦略”です。本書では、あらゆる産業が淘汰されようとしているポストコロナ時代において、国にも組織にも頼らずに生き延びるための方法が、実業界のトップランナーである2人によって力説されています。

今回はその中から内容をピックアップして紹介します。この記事を読めば、いますぐで実践できる生存戦略を知ることができます。それでは、一緒に学んでいきましょう!

 

1. 迫り来る経済危機、日本はなぜ三流国になったのか

brown concrete buildings during daytime

 

日本経済の失われた30年は、いまや失われた40年に突入しつつあります。鳴り物入りで実施されたアベノミクスを経ても経済は本質的には回復せず、低迷を続けています。一向に上昇しない賃金がその象徴と言えるでしょう。少し先に目を向けてみれば、2025年には団塊の世代が後期高齢者となります。75歳男性の平均余命は12年なので、2037年にはその半数がなくなる計算です。そこから真の人口減少が始まってしまいます。

問題は賃金や人口減少だけではありません。現代日本の真の問題は、昭和の負の遺産を引きずり続けていることです。本書の著者の一人である実業家の成毛眞さんは、このままでは日本は三流国に転じて始まていると言います。このまま進めば政府の社会保障は崩壊し、日本は100%自己責任の時代に突入します。

昭和にあれほどの繁栄を見た日本は、なぜここまで凋落してしまったのでしょうか?

 

著者によれば、すべてが“官製”である点に問題があるといいます。言い換えれば、多くの日本企業が政府におんぶに抱っこであるがために、生産力も国際競争力も落ちているということです。国際的に比較してみましょう。例えばドイツは中小企業の数は約350万社で、民間企業の実に99.5%を占めています。ドイツの特徴は、これらの企業の6割が輸出を営んでいることです。中小企業全体の輸出額は年間2,140億ユーロにも昇り、研究費に投じる資金も100億ユーロ以上と高いです。

一方の日本は、中小企業の数は約420万社、民間企業に占める割合は99.7%です。ここまではドイツと同等ですが、輸出している中小企業が3割程度にとどまっているところが大きく異なります。この差は決して小さくありません。

輸出総額において世界第3位のドイツは、1兆3,806億ドルなどに対し第5位の日本は6, 413億ドルと倍以上の差をつけられているのです。これは、日本は主に内需、つまり個人消費でまかなっていることを意味します。実際日本のGDPに占める個人消費の割合は50%強に上ります。これを日本が成熟した国になった証だと説明する人もいますが、それは間違いです。

中小企業のうち、個人消費でしか食えない企業が7割もいることが問題なのです。これは、日本政府が中小企業や地方自治体に莫大な金を、長年にわたってばらまいてきたことが原因です。日本の内需は、ほぼ官製内需なのです。つまり、政府からもらったお金を消費しているだけ、親の小遣いを買う子供のようなものです。

 

2. 経済の新陳代謝が起きない理由

people walking on the street during daytime

 

官製内需に加え、日本には生活保障が個々の企業頼みになっているという問題があります。年功序列や終身雇用によって企業が個人の雇用を保障する、生活を保障するひいては退職後の人生を保証するという高度経済成長期のシステムの名残を、いまだに引きずっています。加えて医療や年金の給付も企業の総務部門や健保組合、年金基金に大きく依存しています。

コロナの雇用調整助成金など、セーフティーネット給付も企業経由が基本となっています。国や自治体が、国民の個人口座に直接給付する仕組みはありません。日本は世界でも類を見ないほど、事業や法人に個々の国民への扶助を委譲する過度な企業内共助型の社会になってるのです。

 

そのため規模の大小を問わず企業をつぶすと、社会の底が抜けてしまいます。政府が企業を保護し、企業が個人を保護するという二重保護の社会構造の下では、どうしても既存企業の存続が最重要視されます。当然イノベーティブな個人やベンチャーによる経済の新陳代謝は期待できません。

起業率も廃業率も、いまだに日本は先進国の最低レベルを走り続けています。しかし、新陳代謝なくしてイノベーションは身を結びません。かくして日本の産業は弱体化し続けてきました。企業の多くが革新や生産性向上の動機づけのないまま、グループで生産性の低い産業構造から抜け出すことができず、日本経済は数十年の低迷を続け今や破綻寸前のところまで来てしまったのです。

 

3. ホワイトカラーはオワコン

man in black suit jacket holding white ceramic mug

 

ポストコロナ時代の今、世界では産業構造が劇的に変化しています。本書の著者の一人である富山和彦先生は、産業構造が変わる過程では必ずジョブシフトが起こると言います。産業構造の変化によって旧来の仕事がなくなり、新しい仕事が生まれる環境にあるということです。

例えば、18世紀前半のヨーロッパでは人口の多くを農業従事者が占めていましたが、産業革命を経た100年後の社会では、農業の担い手は減り代わりに工業労働者が多くなりました。このように、ジョブシフトは歴史上何度も繰り返されてきたことです。デジタル化に牽引された現在の産業構造の変化を、第4次産業革命と呼び、それによりあらゆる仕事が自動化機械化され我々人類には超専門的な仕事しかなくなってしまうといった悲観論があります。しかし富山先生は、実際にはそんなことは起きないと言います。

自動車産業の登場で、馬車の製造や馬の世話といった仕事はなくなりましたが、それを桁違いに上回る雇用が自動車の製造販売メンテナンスですらには物流や運輸から生まれました。大量生産工業の時代の産業革命において労働者の賃金が大幅に上昇し、多くの労働者が中間階級に押し上げられたように、今回の第4次産業革命では、雇用の7割を占めるエッセンシャルワーカーの中間階級化が進展する可能性もあると著者は言います。

 

現場のエッセンシャルワーカーの未来は明るいものの、一方でホワイトカラーの仕事については、今後激減すると覚悟しておいた方がいいそうです。日本の大量生産、大量販売ビジネスモデルでは、固定メンバーによる年功序列的なピラミッド組織で運営されてきたこともあり、大量の中間管理職を必要としてきました。少数の経営陣の下に、分厚い中間管理職がいて、その下に兵隊としての平社員が入るというピラミッド型の構造です。

このような昭和型企業モデルが消滅していく過程で、企業はピラミッド型からフラットな多層構造になり、高度な専門知識や技術を持つ知的労働者と現場のエッセンシャルワーカーが併存するようになっていきます。こうして、組織にとって用済みとなったホワイトカラーの管理職が淘汰されていくのです。いま現在ホワイトカラーの人は、今後どうすればいいのでしょうか?

本書から、来るべきポストコロナ時代を生き延びるために、やるべき5つのを紹介します。

 

4. ポスト頃な時代を生き残るためにやるべき5つのこと

man standing while wearing black jacket

 

人の役に立つという仕事の原点に立ち返れ

最近の優秀なアメリカの若者が選ぶ就職先は大半がベンチャー企業であり、Google や Microsoft、Apple といった大手IT企業を選ぶ人は少ないと言われています。コロナ禍により、社会のあらゆる前提が音を立てて崩れてしまいました。もはや先行きについては誰も断定することができません。とりわけどんな産業が成長しどんな企業が反映するかは、誰にも分からないのです。

重要なのは、企業の大きさでも歴史の長さでもありません。これからの時代で大切なのは、企業でも個人でも、人々がどんなものに価値を見いだし、何にお金を使うのかお金を払うのかというビジネスの原点に立ち返ることです。

 

最低でも2回転職せよ

自分に向いているかどうか、自分が楽しいと思えるかどうかは、職業選択において非常に重要なことです。とはいえ、自分に何が向いているかを正確に理解している人は多くはないです。著者は30歳くらいで最初の転職、45歳くらいで2回目の転職と、人生で最低2回の転職をした方がいいと言います。なぜなら自分がその行詩や仕事に合うか合わないかは、1社働いただけではわからないからです。

楽しく働くには、実はその人の能力よりも相性や適合性が大切です。自分に合っていない場所で毎日働かなくてはいかないことほどを苦しいことはありません。逆に自分に合っている場所であれば毎日が楽しく生産性も上がりますだからこそ自分に合った職場を求めてもっと自由にビジネスの世界を回遊すべきです。

 

自分の本業を見直せ

転職すべきと言われても、すぐにはできないのが実際ですよね。どうしても転職に抵抗があるのであれば、まずは副業を始めればいいと著者は言います。副業や本業での“業”とは、自分のスキルで稼ぐことを意味します。あなた自身の業が身についているでしょうか。あるいは業が身に付くような働き方をしているでしょうか。

著者は、まずはそういう自問自答から始めなければならないと言います。つまり自分のスキルを人に提供しその対価を受け取るという経験をしているかを問いかけるのです。そのような経験を得るために副業は非常に役に立つはずです。

 

ガラパゴス人材になってはいけない

自分の能力で対価を得ることができれば、会社にしがみつかなくても生きていくことができます。逆に業を持たないがために、会社組織でしか生きていけないようなガラパゴス人材にはなってはいけないと著者は言います。

組織に自分を最適化させるという処世術は、これからの時代は通用しません。ところが日本では多くの会社員があくまでも組織にかじり付きます。自分の業を培うことなくいわばプロ会社員として、定年まで居座ろうとするのです。

プロ会社員が生まれる原因は、退職金という奇妙な制度によるものだと著者は言います。安月給を受け入れる代わりに、40年勤め上げればそれまで低く抑えられていた分を、まとめて払ってもらえるそれが退職金です。そのため、定年まで無事に勤め上げるために、その組織に自分を最適化するのが一番だというのも理解できます。

プロ会社員が日本の経済成長を支える有効策として、機能していた時代もありました。日本人全体が経済先進国の仲間入りという、同じゴールを目指して同じように頑張っていた時代です。しかし、今は時代が違います。定年まで無難に過ごそうと考えているのであれば、今すぐ認識を改めるべきです。組織にしがみついて保身に走っている場合ではありません。

 

伝統的大組織に頼るな

長年にわたりうまく機能した組織というのは、制度化が高度に進んでいます。法体系や前例などといった無数の制度でがんじがらめになっています。このことは約260年間も機能した徳川幕府にも当てはまりますし、今の日本の政府や大企業の仕組みにも当てはまります。

そして長年機能してきたほど組織システムを変えることは、極めて困難です。だからこそ、私たち個人は政府や企業の変化には期待せず、粛々と自衛策を整え、個人としての幸せを追求すべきです。

 

 

5. 東大卒は無価値

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著者の成毛さんはこれからの時代、学歴にはほとんど価値がないと言います。一方で、高学歴でない人も学歴を気にする必要はなくなります。いずれにせよ、学歴とは別の文脈で人生を考えるべきです。実際、受験で測れる頭の良さは、ほとんど社会では通用しません。むしろ受験では測れない賢さ、例えば視野の広さや発想の自由さ話す力などが、実社会ではモノを言います。

もちろん、大企業を中心に学歴主義がまだ残っているのは事実ですが、以前の学歴主義は職歴主義に変わりつつあると著者はいいます。つまり、あなたが最初に入った会社が昔でいう大卒に代替されつつあるのです。これは、就職先の選び方で、本人の意思や能力が図られるようになってきていることを意味します。

例えば、戦略コンサルティング、外資系投資銀行、総合商社などに入るとその主職歴が武器となって、以後の転職や起業が有利になります。あるいは社員数10名程度の国内テクノロジースタートアップに就職しても、やはりその後の転職や起業は楽になるでしょう。あなたの職歴を見てこの人は、クリエイティブなチャレンジャーだと認定されるためです。

これは大学の選び方にも同じことが言えます。就職活動において卒業校について、どうしてもやりたいことがあってその学校を選んだと説明できれば、偏差値に関係なく好印象となります。逆に東大卒であっても、なぜ東大に入ったのかが自分の言葉で説明できなければ、普通より少し賢い程度の人扱いされてしまうのが現実です。

 

学歴社会が崩壊することで、同じ大学の卒業生からなる大学ギルドも消滅しつつあります。一方で最近では出身大学ベースではなく、純粋に個人同士がつながる純度の高いコミュニティが形成されるようになってきました。著者は大学卒業後の新しいコミュニティは、できれば20代で体験しておいた方がいいと言います。大学卒業後の間もないころから、本当に賢い人や面白い人と付き合っていてこそ、後の人生をラクに楽しく歩んでいけるのです。

重要な心得は、井の中の蛙にならないことです。上には上がいると肝に銘じ、実際にどんな上がいるのかを積極的に探ることが社会では大切です。

 

6. Fラン大学に行くことの本当の意味

man wearing academic gown

 

学歴の価値は失われたもの、大学に行く必要がなくなったということではありません。大学に行ったという事実が、自分はやばい人間ではありませんという社会的に重要な信頼になるからです。それって結局学歴主義なのでは?という人もいるかもしれませんが、そうではありません。

大学に行くというのは、ひとまず社会の土俵に乗るための最低限の条件です。特にグローバル人材として世界で活躍する可能性を残しておきたいのであれば、どこでもいいからまるまる大学に行きましたというのが最低限のパスポートになります。例えば、アメリカでは高卒と聞くと、瞬時にドラッグが何かの犯罪歴があるのかもしれないという発想が働いてしまうそうです。

 

これは言われのない偏見ではなく、実際そういった事情で高卒止まりの人がアメリカでは多いのです。とにかく大学を卒業したという事実が大事です。そもそも外国人は日本の大学のことなんて知りません。東京大学と東京基督教大学は外国人にとっては同じもので、トップ六大学とFラン大学の見分けもつかないのが実態です。

最低限の受験勉強で大学に行ったという社会的価値を獲得することが、最もコスパが良いと言えるでしょう。大学に入るために頑張るのは徒労であり、人生の無駄でしかないと著者は言います。頑張る力という重要なリソースは大学受験などで摩耗させずに温存しておくべきでしょう。そして、大学に行った後そこで何をするか、いかに学ぶか、誰と付き合うのか、といったところで存分に発揮すればいいのです。

いかがだったでしょうか。このブログでは本書の著者のひとりである成毛眞先さんのベストセラー「2040年の未来予測」も要約しています。ぜひこちらも見てみてください。

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