思いどおりに貯蓄できていますか?
この記事は、井上はじめさんの書籍「33歳で手取り22万円の僕が1億円を貯められた理由」の紹介です。この本は、
- お金持ちになりたい
- お金のことで損したくない
- 自分の人生を自らの手で良くしたい
という方におすすめです。井上さんは書籍の中で、
僕がこの書籍で伝えたいのは、「少額でいいので投資信託を始めてみませんか?」
ということではありません。お金の不安をなくして、あなたの人生をより良くしてほしいのです。
と語っています。普通に暮らしながら、いかにお金の不安から解放されるか。全3回に分けて具体的な方法を解説していきます!
<お金に関する書籍はこちらでまとめて紹介しています>
1. ごく一般的なサラリーマンが1億円貯めたということ
まずは、著者の経歴を簡単に紹介します。著者の井上はじめさんは給与は新入社員の時とあまり変わらず、手取り22万円程度。会社の会議やミーティングの中で積極的に発言することが苦手で、職場の上司や同僚とコミュニケーションをとるための会社の飲み会では早く帰りたいと思ってしまうタイプでした。
さらに27歳の時に交通事故で首の骨を傷め、社会復帰まで2年6ヶ月かかったそうです。その後、デイトレーダーをやってみても失敗。アフィリエイトで生活を成り立たせるためにメルマガやブログなどを2ヶ月やってみたものの、読者は10人しかいなかったなど、いろいろと挫折されています。
しかし、現在はある方法で1億円を貯めているそうです。お金を稼ぐ力、際立った投資センスがなくても、お金を増やすことができると、井上さんは言います。本書は33歳手取り22万円以下の一般的なサラリーマンが、1億円を貯めるまでのストーリーだということを念頭に、以下の具体的な3つの方法を、読み進めてみてください。
- 全世界株式インデックスファンドに投資をする
- 投資信託の始め方
- 不動産投資で資産を築く
それぞれ、詳しくみていきましょう!
2. 全世界株式インデックスファンドを買って資産を構築
お金を増やす方法の1つ目、全世界株式インデックスファンドに投資することは、誰にでもできて、高確率で増やすことができる方法です。そして、これが著者の人生最大の発見だったと言っています。
著者は過去に、交通事故にあった経験から、何かあっても会社を守ってくれないということを実感したそうです。営業から内勤にしたらどうかとか、しばらく時短勤務にしたらどうかなどの話は一切なし。代わりはいくらでもいるサラリーマンだと感じ、そこから会社に頼らず自立した生活ができるようにいろいろ副業に挑戦しました。
色々なことに挑戦できたのは、約2,000万円もの貯金があり、経済的な余裕があったから。手取り22万円で6年しか働いていないのに、なぜ貯金が2000万円あったかは、まさに全世界株式インデックスファンドにコツコツ投資をしていたため。インデックスに積み立てていた800万円が、2,200万円もの大金に膨れ上がっていたのです。
そのおかげで、それがセーフティネットとなり、色々なことにチャレンジでき、たとえ失敗しても勉強だと割り切ることができたと井上さんは言います。なぜ、全世界株式インデックスファンドにコツコツ投資するという選択が取れたのか? それは、大学生のときに人生最大の発見、“人口が増え続ける限り、GDPは増える”ことに気づいたからです。
3. 人口と富は増え続けるという事実
GDP(国内総生産)は、その国で1年間に稼がれたお金の総量。つまり、世界人口が増え続ける限り、世界で稼がれたお金の総量は増えるということです。日本は人口が減っていてあまり実感が湧きませんが、世界という視点で見てみれば人口はずっと右肩上がりで増えています。
その人口の増加に比例するように、世界のGDPもすごい勢いで増えていることが分かった著者は、人口統計について調べてみると、世界人口は1日に20万人ずつ増え続けている事実を知ります。そして著者が定年を迎える2050年ごろには、人口が100億人に迫る勢いだということを知ったそうです。
世界経済は2050年まで成長し続ける
人口統計は外れにくい予想なので、2050年には100億人に迫ることは、ほぼ確実な未来だとされています。実際に、世界のGDPの合計も1985年は13兆円、2005年は47兆円、2015年は714兆円というように増えています。1985年から2005年までの20年間で、全世界のGDPは3.6倍。
また、ゴールドマンサックス社は、2050年には世界のGDPは250兆ドルになると予想しています。単純に人口が増えれば働き手も増えるので世界中で稼がれ、お金の総量であるGDPも比例して増える。それに伴って、世界経済は2050年まで成長し続けるだろうというロジックです。
“世界が豊かになったのは科学の進歩や農業技術の発達だけでなく、それらを推進する燃料ともいうべき世界の人口とお金の総量が増えたことも原因”と著者は思ったそうです。
この人生最大の発見、人口が増え続ける限りGDPは増えるということを信じて、著者は人生最大の決断をしました。就職してから入ってくる給与は、生活費を除いて毎月10万円を30年間、合計3,600万円を積み立てる。そしたらきっと億万長者だと思ったそうです。
就職後、給与が4倍になる可能性はほぼゼロ。しかし、世界経済に投資できれば資産は4倍にできる可能性はあります。1985年から2015年までで世界のGDPは、5.7倍に増えていることからも、可能性はありそうですよね?
4. 毎月10万円を積み立てる
サラリーマンができる世界経済の投資は、投資信託の積立運用がいいと著者の井上さんは言います。なぜなら片手間でできて、かつ世界経済への分散投資ができるからです。世界経済の成長に合わせて、価値が上がりそうな投資信託という金融商品を選び、毎月購入し続けて積み立てていく。さらに、ただ購入するのではなく、
- 元手を作るためのお得な節約情報は、とことん調べて実践する
- 毎年自動で投資できる仕組みを作る
この2点を実践したそうです。
ドルコスト平均法で買う
著者は、社会人1年目の頃から約20万円の手取りを節約して毎月10万円で生活し、10万円分の投資信託を購入するということを淡々と続けています。しかし、必ずしも毎月10万円と設定して溜める必要はないそうです。なぜなら、自分が何を目指すかによって、毎月の積立額はそれぞれ人によって変わってくるからです。
投資信託の積立運用の良い点は、普段は投資のことを意識しなくていいという点にあります。“毎月1日に一定額で同じ金融商品を購入し続ける”というルールをつくると、とてもシンプルに投資できる方法です。これは、お金が増えた減ったでメンタルを左右されがちな投資の世界において、大きなメリットとなります。また、このシンプルな投資方法は、俗に“ドルコスト平均法”と呼ばれています。
実際、著者が積み立てを始めた当初は、リーマンショック直後であり、最初は資産を減らしていたそうです。しかし、「景気は10年周期だ!」と自分を励まして淡々と投資をしていたそうです。長期的にみれば世界経済は成長すると確信があったため、今はお買い得の時期に間違いないと考えたのです。
逆に、不況の時は株価が落ちるので、同じ10万円でも多くの株を買うことができます。結果的には、毎月10万円を積み立てることは、リーマンショックのような未曾有の大不況に対して最も効果的な投資だったそうです。購入する商品が安くなっているときにたくさん購入でき、高いときは少ししか購入できないというリスクを分散した理にかなった方法です。
5. 投資を始めるときの4つの壁
また、投資するには4つの壁と、3つのルールがあると言います。4つの壁とは、
- どの証券口座を選べばいいのか分からないという「口座開設の壁」
- 証券口座にお金を入れるという「入金の壁」
- どの商品を選べばいいのかわからない「商品選択の壁」
- どうやって購入すればいいのか分からない「注文の壁」
です。1つずつみてきましょう。
口座開設の壁
口座は、SBI証券や楽天証券など、手数料がほとんどかからないネット証券を選びましょう。証券会社の窓口で開設すると、証券会社の人件費などの無駄な手数料を払うことになるので、ネット証券一択です。
入金の壁
口座は特定口座(源泉あり)を選択して確定申告の手間を省き、さらに証券口座に毎月お金を自動で入金する仕組みを作ります。銀行口座から毎月一定額で自動引き落としの設定するのです。また、商品購入にあたっては、まずは税制優遇制度のNISAを利用しましょう。
商品選択の壁
商品は、著者は「三井住友TAM世界経済インデックスファンド」を選択すると良いと言っています。世界株なら個人的には、「上場インデックスファンド世界株式(MSCI ACWI)除く日本」がおすすめです(日本経済は停滞・後退しており、日本の景気の影響をなるべく除きたいため)。
注文の壁については、何も考えず毎月自分に合った金額を購入するのみ。インデックスファンドなら、金額指定で買い付けをすることができます。
6. 運用の3つのルール
次に、3つのルールについてです。これは、
- 記帳ルール
- 売却ルール
- 売却後の積み立てルール
の3つです。それぞれ解説していきます。
記帳ルール:運用成績を毎月1日に記録すること
積立額とその時点の資産評価を、月1回記録します。具体的には、こちらの表のような感じです。
年月 | 積立金 | 評価額 | 損益 |
2020.01 | 100,000 | 98,000 | -2,000 |
2020.02 | 200,000 | 210,000 | 10,000 |
2020.03 | 300,000 | 330,000 | 30,000 |
2020.04 | 400,000 | 460,000 | 60,000 |
2020.05 | 500,000 |
至ってシンプルな表ですね。評価額や損益については各証券会社のアプリ等で自動算出してくれるので、転記するだけです。
売却ルール:売却のタイミングが来たらそれまで積み立てした分を全て売却
売却のタイミングは大きく2回あります。
- 基準価格が右肩上がりしている時期で損益が+20%を超えた時
- 基準価格が右肩下がりしている時期は絶対に売却せず、積立購入を継続し、その後損益が+100%超えた時
です。まず、基準価格が右肩上がりしている時期は、損益が+20%を超えた時ですが、+20%で利益を確定させる理由は、小さな成功体験を積むことで投資を続けるモチベーションにするためです。+20%まで増えていないのであれば、誤差範囲でそこから上がったり下がったりしても一喜一憂しないことが重要です。20%分利益が出たら、ルールに従って売却し利益を確定させてしまいましょう。その後は、また一から購入を始めます。
2つ目の売却のタイミング、基準価格が右肩下がりしている時期は絶対に売却せず、積立購入を継続しその後損益が+100%を超えた時はどうでしょう。こちらはリーマンショックやコロナなど景気が落ち込んで基準価格が下がり続けたら、次の売却タイミングは+100%以上の利益が来るまで待つという方法です。リーマンショックやコロナぐらいの不況が来ないと、損益が-20%を超えることはまずありません。
また、リーマンショックやコロナという時期を乗り越えた後でなければ、この2番目のタイミングは訪れません。基準価格が20%割り込むぐらいの時は、割安にたくさんの株を購入できます。こういう時期は、バーゲンセール中くらいに思っておいたほうが良いそうです。その後、景気がV字回復したら、それまで割安で購入していた分、一気に自分の資産が爆発的に増える未来が待っています。
7. 売却益は120分割して、毎月の投資へ上乗せる
中編の続き、運用ルールに3つ目、インデックスの売却後の積み立て方法についてです。結論、積み立てを売却して得たお金は、10年分に分けて毎月の積立額に上乗せします。
例えば、投資信託を全て売却して手元に1,000万円入ってきたとしたら、年間100万円1ヶ月にして約8万円強に分けて、毎月の積立額に上乗せするということです。10万円が基準額なら、合計18万円ちょっとを積み立てていきます。
著者の井上さんは、この運用ルールによって2007年〜2019年までの12年間で、自分の給与から約1,500万円を積み立て、それを3,600万円の約2.4倍まで資産を増やしました。また、投資額については、最初のうちは積立金額を多めに設定し、節約を頑張ってほしいと言います。
投資額を2倍超で売却したときの金額がある程度大きくなれば、そこから先は給与収入からの積立は必要なくなる可能性もあるため、早めに節約すれば、その後の節約の負担も軽減されていくからです。このあたりは、若いうちはスキルや経験といった自己投資にお金を使うことも大切なので、その人次第でよいと思います。
「人口 = 経済成長の原動力」が続くことが予想される2050年までは、まだ30年弱あります。中編から紹介してきた3つのルールを実行すれば、いつから積立投資を始めても高確率でもっと大きくお金を増やすことができると著者は語ります。
3つの運用ルールのおさらい
- 記帳ルール:運用成績を毎月1日に記録する
- 売却ルール:売却のタイミングが来たらそれまで積み立てした分を全て売却
- 売却後の積み立てルール:売却益は10年に分割して毎月の積立てに上乗せる
ここで、1つの疑問が生まれます。これほど高確率で稼げるのに、なぜみんなこの投資をしないのか。著者曰く、その答えは、“これほどつまらない投資はないから”だそうです。
投資に詳しい人からしてみれば、経済ニュースを見る必要もなく、刺激が少なく物足りないと感じるようです。だからこそ、それほど投資に詳しくない人にとってはこの方法が、お金を増やす上で一番確率が高く、時間も取られずに無理なくできるものになるのです。
8. 賃貸家賃を節約する2つの方法
ここまで、お金を増やす話を続けてきましたが、最後に大きく節約する方法も紹介していきます。
節約といえど、元の価格が安いものを節約しても効果は薄いですよね。例えば、スーパーで限定特価のお買い物をして1回100円、電気代の節約で月1,000円、水道代の節約で月500円といったレベルです。それに対して、著者は“住居費の節約”をおすすめしています。
- 家賃を値切り交渉をして、月7万円を6万円に
- 住居費の節約として、2,000万円で売れる中古マンションを1,000万円で購入
といった具合です。毎月の高額な住居費の節約は、金額が大きく効率的です。また、賃貸の家賃交渉で成功する条件は、主に2点あるそうです。
物件を探す時期は、5月と11月
物件を探す時期は5月と11月がおすすめです。4月や10月は企業の異動の時期で不動産業者は忙しいため、その後の5月11月が閑散期だからです。大家さんは、「このまま入居しなかったらどうしよう…。」と思っているタイミングであるからこそ、この時期は交渉ができます。
仲介不動産業者を味方につけ、即断即決
仲介不動産業者の営業マンを味方につけ、交渉の切り札はその場で決断することも大切です。大家さんと直接交渉してくれる営業マンは、入居するか分からないお客さんのために交渉を頑張れません。即決するということを条件に、「ここまで値下げしてくれるなら、いますぐ契約する」といった具合に、営業マンに家賃交渉を委託しましょう。
不動産の契約は、大きな金額が動くにもかかわらず、値段は時期と場合によって異なる点で本気で取り組むべき節約であると、著者は言います。
9. 中古不動産を上手に買えば、投資になる
不動産は、知識と経験の世界です。知識が身に着けば、物件購入時に100万円、200万円レベルの節約が簡単にできるそうです。
通常、新築のマンションを買うと、買ったその日から中古として値下がりが始まり、また固定資産として流動性が低いため、なかなか売りたいときに売れないという問題もあります。そう考えると、いきなり巨額な負債を負うマイホームの購入は、賃貸に比べてメリットが少なく感じられますよね?
しかし、著者は以下のように考えます。お買い得なマイホームを中古で買い、もし数年後同じ値段で売れたとしたら、その間の住居費はタダになる。さらに物件を買った時よりも、数年後高い値段で売ることができたら住居費はむしろプラスになる。このような目的意識をもって、著者は節約のために不動産投資をしています。
不動産の“1111の法則”
また、不動産には“1111の法則”があるそうです。不動産情報を1,000件チェックし、自分の目で100件を実際に見に行くと不動産を見る目が肥えていきます。そのうち、10件は本気で買いたい物件に出会え、ようやく1件の素晴らしい物件を購入することができるという法則です。
また、リフォームの知識も重要で、コストを抑えるには3つのステップがあります。
- 自分で間取り図を書く
- 徹底的に施主支給をする
- それを実現してくるリフォーム業者に依頼する
この3つは、一見ハードルが高いように見えますが、勉強すれば素人でも可能です。
STEP1:自分で間取り図を描く
電気やコンセントの位置も指定して、最低限必要な要素さをおさえておけば、特別なCADソフト(図面を描くための専門のソフトウェア)がなくても図面は描けます。これについては、建築業界にいる私としても同感で、エクセルに手描きの図面写真を挿入して、上から図を足すといったレベルでも十分に意図を伝える図面にすることはできます。
STEP2:徹底的に施主支給をする
施主支給とは、施主(依頼人)が工事業者に対して住宅設備などを提供することです。通常リフォームは一つの業者に依頼して、キッチンや家具などの設備の手配もお任せする場合がほとんどです。
しかし、業者からは設備の手配費用と取り付け費用を一括請求されるので、当然設備費用が割高になります。この設備調達のほとんどを自分でやることとし、業者には取り付けのみをお願いする。これが、施主支給です。また、備品はアマゾンやメルカリ、ヤフーオークションなどでより安く買うこともできます。
STEP3:それを実現してくれるリフォーム業者に依頼する
リフォーム業者からすると、本来なら間取り提案(設計料)や設備手配も全て含めて利益に載せたいので、施主提案、施主支給でのリフォーム依頼は、敬遠される傾向にあります。しかし、こうした依頼でもきちんと対応してくれるリフォーム業者は存在するので、そこに仕事を依頼しましょう。
著者はこのようなリフォームを行い、2年間住み続けたにも関わらず、売却時に600万円の利益を出しています。居住費は0円というか、むしろお金をもらって住んでいたという状態です。不動産に関する知識や経験があり、それらを実践すれば、お金をもらいながら住むことができるということなんですね。このあたりについては、しっかり時間をかけて勉強する価値がありそうですよね。
以上、普通のサラリーマンが、普通に暮らしながら、いかにしてお金の不安から解放されるかを3回にわたって紹介してきました。誰もが取り組める、分かりやすい方法が多かったと思います。より詳しく内容を知りたい方は、本書、井上はじめさんの「33歳で手取り22万円の僕が1億円を貯められた理由」もぜひ手にとってみてください!