地頭を鍛える方法、知りたくないですか?
この記事では、脳科学者の茂木健一郎さんの書籍「眠れなくなるほど面白い脳の話」を取り上げます。
本書は、脳についてわかりやすく学ぶことができるため、
- 地頭を鍛えて、賢くなりたい
- 仕事や学業で成果を出したい
- 脳についてよく知りたい
という方におすすめです。
地頭の良さに関わるのは脳の前頭前野という部分で、思考力や活力コミュニケーション能力などを担う重要な部分。
その前頭前野について知り、鍛える方法を知ることは、ものすごく価値が高いです。
それではさっそく、本の内容を覗いていきましょう!
1. 地頭がいいとは
まず、“地頭がいい”とはどういう意味でしょうか?
辞書によると地頭とは、大学などの教育で与えられたのではないその人本来の頭の良さ。
一般に知識の誰かではなく、論理的思考力やコミュニケーション能力などを指すようです。
では、地頭は鍛えられるものなのか。
答えはもちろん、“鍛えられる”です。
前頭前野を鍛える
前頭前野は脳の最高中枢であり、鍛えることで地頭はよくなります。
やる気・集中力・記憶力・論理的思考・客観的思考や感情のコントロール、コミュニケーションなどを司り、人間らしい大人な活動を司る部分、人を人たらしめる部分と言われています。
前頭前野が発達している人は、良好な人間関係が築けたり、短期的な損得勘定にとらわれず、長期目線での判断ができたりします。
その結果、社会的・経済的な地位が高まる傾向にあるのです。
前頭前野を鍛えることは、まさに“最高の自己投資”とも言えるのです。
2. 地頭を鍛える8つの方法
では、“地頭 = 前頭前野”を鍛えるにはどうしたらよいのか?
ここからは、そのための8つの方法を具体的に掘り下げていきます。
① 雑音を利用する
あえて雑音がする環境で作業や勉強をすることは、脳に負荷がかかり、前頭前野が鍛えられます。
この方法で、特に集中力が鍛えられます。
雑音のする環境下で集中することは、ノイズを無視して目の前のことに集中し続ける力が向上し、この過程で前頭前野が発達します。
あえてカフェやリビングで作業や勉強するとよいでしょう。多くの東大生は幼少期から、リビングで勉強していたという話は有名です。
② タイムプレッシャー
あらかじめ時間を決めて作業を終わらせようと挑戦すると、脳に多大な負荷をかかかり、前頭前野が鍛えられます。
例えば、30分で今の作業を終わらせると決めて、タイマーなどで時間を測りながら作業するとよいでしょう。
制限時間を設けることで作業効率を上げながら、脳も鍛えられます。
③ マインドフルネス
マインドフルネスとは、直訳すると“気づき”のことです。
例えば、一番オーソドックスなマインドフルネスの方法としては瞑想がありますが、こちらの記事で紹介しているので、興味のある方は参考にしてみてください。
前頭前野を鍛える方法の中でも、マインドフルネスの導入は特に大事です。
④ いろいろな体験をすること
いろいろな体験をすると、脳の様々な部分を刺激することができます。
例えば、スポーツ、芸術、映画鑑賞、読書、散歩などなんでもOKです。日々のすべてのインプットが、脳に刺激を与え、成長させます。
そもそも脳は、思考・感情・伝達・理解・運動・視覚・聴覚・記憶といったさまざまな役割を担っていますが、こうした多くの機能をまんべんなく働かせることで脳全体が活性化し、全体のパフォーマンスが向上すると考えられています。
そのためには、普段やらないことをたまには行ってみることが有効で、偶有性がある体験が特に良いです。
偶有性とは、結果がある程度は予想できるが完全には予想できず、ランダム性を含むことを言います。
意外性や不確実性、ランダム性のある遊びや体験を意識して行いましょう。
例えば、旅行先での人との会話、ボードゲームなどがあると思います。
これらはいずれも偶有性がちょうどいいですよね。中でも旅行については、特に海外の知らない土地、文化の違う地域に一人で行くのが効果的です。
偶有性があるということは、逆に結果を予想する余地があるということでもあります。
偶有性がある遊びや体験において、私たちは自分なりに考えた仮説を検証しています。
当たったり外れたり、結果に応じて再び考え、再び仮説を立て検証する。
このような脳の使い方をすることで、脳はより鍛えられます。
また、偶有性がある経験においてはドーパミンが出やすいというのも、脳を刺激しやすいポイントです。
ドーパミンは快楽に関わる脳内物質。ドーパミンについては、こちらの記事を参考にしてみてください。
ギャンブルなどは、ほどよく不確実性・偶有性があり、面白くてハマってしまうのですが、これは作り手が試行錯誤を重ねて、人がハマりやすい形に作られているからに他なりません。
人生そのものにも偶有性はあるので、趣味・恋愛・入試・キャリア面接・仕事などいろいろなイベントや体験をすることで、前頭前野は発達します。
⑤ 脳にいい栄養を取ること
脳に良い栄養素は、次の5つがあります。
DHA必須アミノ酸のうちチロシンとトリプトファン、ポリフェノール、ビタミンB6。
DHAは、脳の発達を促し、活性化させて記憶力・集中力を上げます。イワシやサバなどの青魚アボカドなどに多く含まれます。
必須アミノ酸のチロシンは、ドーパミンの原料。トリプトファンは、セロトニンの原料になります。ドーパミンとセロトニンは、それぞれとても大事な脳内物質です。
チロシンはアーモンド、アボカド、バナナ、牛肉、鶏肉、チョコレート、コーヒー、卵、緑茶、ヨーグルトなど。
トリプトファンは、豚肉、牛肉、豆腐、納豆、味噌、ごま、乳製品などに多く含まれます。
ポリフェノールは、記憶力や思考力を高めます。また、抗酸化作用もあるので、体にとても良いです。
チョコレート、大豆、緑茶、紅茶、コーヒー、赤ワイン、そば、タマネギ、柑橘類などに多く含まれます。
ビタミンB6は、脳のエネルギーであるブドウ糖の吸収を助けます。また、脳内物質生産も助けます。お米、じゃがいも、牛肉、豚肉、鶏肉、卵、乳製品、野菜、ナッツ類などに多く含まれます。
つまり、増やすべき栄養価の高い食品は、全粒穀物、野菜、果物、魚、鶏肉、豆類、ナッツ類、オリーブオイル、コーヒー、お茶などが最も栄養価が高いので積極的に摂りたい食品になります。
次に意識して摂りたい食品等は、キノコ類、海藻類、芋類、卵、ダークチョコレート、質の良いバターなども脳や身体に良いので摂るほうがよいです。
逆に減らすべき身体によくない食品は、お菓子、加工肉、揚げ物、ファストフードです。
⑥ 心理的安全状態をつくること
心理的に安全な状態とは、危険や恐怖、不安が少ない状態です。
逆にこれらが多い状態は、心理的危機状態であり、前頭前野の機能が落ちてしまいます。
心理的安全状態を作ることは、脳を働かせる上でとても大事です。
具体的には、生活が安定していること、貯金があること、生活リズムが整っていることなどが、心理的安全状態に寄与します。
また、子どもの場合は、親からの愛情を受けていることが心理的安全状態に大きく寄与します。
大人の場合は、経験やスキル、人脈、ブレない自分の価値観なども心理的安全状態に寄与するでしょう。
⑦ ノーシーボ効果を排除する
ノーシーボ効果(反偽薬効果)を排除するとは、悪い思い込みを排除するということです。
悪い思い込みは、脳のパフォーマンスを下げるからです。
例えば、どうせ無理だとか、やったって意味ないと思い込むと、本当に能力が下がってしまい、脳の発達を阻害する原因になります。このノーシーボ効果への対策としては、
- 自分のいい面や強みを知る
- 好きなことや得意なことを磨く
- 設定した目標のハードルを下げて適正化する
- 周りを気にしすぎず、比べずに自分の軸で生きる
などがあります。
著者は、最初は根拠のない自信でいいから持つべきだと言います。努力によって実績をつくり、根拠のあるものにしていけばいいのです。
⑧ アハ体験
アハ体験とは、「なるほど!分かった!」と腑に落ちる時や、あれどういう意味だっけと思い出せないものについて、思い出そうとしているときの状態、これがアハ体験です。
アハ体験すると、クリエイティブに関わる脳の回路が鍛えられると考えられています。
何かをど忘れして思い出せない時に、すぐに検索して答えを知ろうとせずに、うーん…と自力で思い出そうと努力したほうが、脳に取っては良いです。
その他には、何か本を読むときとかに理解するのが難しい内容に対して、諦めずに食らいついて、理解した時にも脳が成長します。
3. AI時代に必要な能力
最後に、AI時代に必要な能力の話を簡単にします。
AI時代に重宝される能力は、コミュニケーション能力、想像力、直観力(センス)です。
なぜかというと、人間らしさこそがAIに勝てる部分だから。
いずれにせよ、前頭前野を鍛えることが有効そうですよね。前頭前野は、やる気・集中力・記憶力・論理的思考・客観的思考・行動や感情のコントロール・コミュニケーションなどを担うからです。
また、地頭がいいということは、時代の変化に対応する能力も高いです。やはり前頭前野を鍛えるのが、一番賢い自己投資になりそうです。
今回紹介した、茂木健一郎さんの「眠れなくなるほど面白い脳の話」については、まだまだ紹介できていない部分が多いのでぜひ読んでみてください!