日々の生活や仕事において、脳死状態のルーチン作業に明け暮れてはいませんか?
この記事では、苫米地英人さんの「思考停止という病」という本を紹介します。
ChatGPTに代表されるような高性能なAI技術の台頭により、思考停止でできるような作業はこれからどんどん置き換えられていきます。
そうなると、本書でいうところの“思考停止の癖”がついている私たち日本人に、残される仕事は少ないです。1億総失業社会となる、恐ろしい未来もそう遠くはないかもしれません。
世界の中で、なぜ日本人だけが思考停止の病にかかってしまったのか、そんな私たちにどのような恐ろしい未来が待ち受けているのかについて考えてみましょう!
1. 思考停止に陥りやすい人の残念すぎる特徴5選
まずは、なぜ世界中で日本人だけが思考停止の病にかかってしまったのかを、5つの特徴から深堀りしていきます。
特徴1. 優秀な学生ほどサラリーマンになって脳死する
私たち日本人が“思考停止状態”に陥ってしまった理由の一つは、それが楽だからです。水は高いところから低いところに流れるように、強い意志を持たなければ人間はどんどん楽な方に流れていきます。
野球のピッチャーが投げたボールを想像してみましょう。プロが投げた瞬間の初速はだいたい160km程度だと言われていますが、その後ボールは「慣性の法則」によって勝手に前に進んでくれて、バッターの手前でも120kmは出ています。これと同じことが、日本社会でも起こっているのです。
戦後の高度経済成長でものすごいスピードで発展し、1980 年代のバブル崩壊により日本経済は長い低迷期に入りましたが、それでも日本は高度経済成長期の惰性だけで進んできました。ボールが何もしなくても前に進んでくれるように、初速に比べて失速していても私たちは何もしなくても生きてこれました。そして、まだ数年はボールは進み続けるでしょう。
これこそが、日本人が思考停止に陥っている大きな原因です。私たちは過去の経済発展を惰性に安住してしまっています。世界的にみて、日本の労働生産性は低いと言われています。しかしこれは、労働者一人一人のせいではありません。それはあくまでシステムのせいです。日本社会は労働生産性が低いほど出世し評価されるような構造になってしまっているのです。
会社は優秀な奴隷を求める
著者は世間的に“優秀”な学生ほど、サラリーマンになってダメになると言います。なぜなら、サラリーマンになると社会構造上ほとんどの人が自分の頭で考えることができなくなってしまうからです。
優秀な学生は、入社当初は自分自身のスキルアップや会社に貢献するためにクリエイティビティを発揮し、一生懸命頑張りますが、会社ではそれは求められていません。
会社はあくまでも何も考えず、ただ慣習に従うだけの奴隷を求めます。全く無意味な飲み会での作法、コピー取りの方法などを覚え込まされ優秀な新卒たちは、どんどん骨抜きになってしまいます。
そして骨抜きになった方が、褒められ出世していく。入社3年も経つと、どんなに優秀な学生であっても、どんどんバカになってしまうのが、日本企業の大半の実態なのです。
2. 遺伝学的に決まっている、地震で同じ方角に逃げる
特徴2. 遺伝学的に決まっている
人類学的には、狩猟民族と農耕民族を比べると、前者の方がクリエイティビティが高く、後者は“思考停止の病”に陥りがちだと言われています。
狩猟民族は、毎日森や野原に出て、獲物を狩らなければならず、毎日が新しい発見の連続です。また狩られる動物たちも予想外の動きをするため、思考停止で同じルーチンをしていては狩猟生活では生き残れません。
一方で、農耕民族は種まきや刈り入れなどの時期がルーティン化され、決められたことを淡々とこなしていれば、生きていけます。
働く人たちは決められたことを、思考停止でこなしていけばいい。まさに私たちの現代社会と同じと言えます。最初にビジネスモデルを組み立てた人は確かにクリエイティビティの高いですが、その下で働く人たちは言われた通りのことを淡々とこなせば、その日の食べ物には困らないです。
私たち日本人は、農耕民族としての遺伝子が強いからこそ、思考停止した作業においては真面目で働き者と言われているのかもしれません。
特徴3. 地震が起きて人と同じ方角に逃げる
社会学的にも、日本人が思考停止であることは生き残る上で有利に働きます。日本人は、しばしば同調圧力の高い民族だと言われますよね。
これは、日本列島が閉じた環境であることと同時に、度重なる地震や地殻変動、火山の噴火などに見舞われたためではないかと言われています。自然に対して私たち人間は無力です。たった一人では自然に立ち向かうことはできません。
そのため、日本人は単独行動でしか生まれない独創性やクリエイティビティを犠牲にしてまでも、群れる方が楽で安全であるとを本能的に知っています。これは、素晴らしいビジネスモデルを開発する起業家や芸術家、科学者などがみな孤独であることからも、容易にわかります。
3. テレビ番組で脳が溶ける、勉強ができる人ほど無能
特徴4. あの番組見ている人、脳溶けます
資本家や政治家といった支配者層の人たちは、私たちの思考停止を喜んでいます。彼らはあの手この手を使って、私たち下々のものを思考停止状態に陥れます。
例えば、テレビをただぼーっと眺めているだけで時間が経つ最高の娯楽ですが、橋にも棒にもかからないような番組にバンバン広告を打つことで、私たちをテレビ漬けにして思考停止に陥れるのです。
テレビの力により、支配者層たちは、民衆が決して上に上がって来れないような格差を意図的に生み出しています。
特徴5. 勉強ができる人ほど無能である
格差は教育によっても生み出されています。小中高と一体どんな勉強をさせられてきましたか?
ググれば一発でわかるような知識を、ただひたすら暗記するだけの創造性のない、思考停止の勉強ばかりさせられてきたのではないでしょうか。このような無意味な教育形式が全く変化しないのは、その方が政治家をはじめとする支配者層にとって都合がいいからです。
受験勉強や資格試験というのは、思考停止奴隷の大量生産のために非常に効率の良いラットレースです。全く無意味な知識を詰め込んで思考停止になればなるほど、私たち回し車の中のネズミは気づかないうちに思考を骨抜きにされています。
4. 日本人の親が子供に学ばせたいスキルトップ3はAIに奪われる
ここからは、このまま思考停止でいたら日本がどうなってしまうのか、考えていきます。
まずは、昨今話題のAIについて。AIの飛躍的発展によって、私たちの労働のほとんどが機械にとって代わられつつあるため、知識詰め込み型の日本の教育は完全に無意味です。19世紀の産業革命によって、蒸気機関や電気が登場することでブルーカラーの人の多くが仕事を追われ失業しました。
ChatGPTをはじめとする21世紀のAI革命はまさに、19世紀産業革命のホワイトカラー版であると言えます。オフィスに座って仕事をしている人のほとんどが失業してもいい未来がすぐそこまで来ています。
2021年の調査では、100名以上の日本人の親を対象に子供に習得させたいスキルについてトップ3は英語、プログラミング、受験勉強でした。この調査結果は、日本人の親たちがいかにこれから訪れる未来に関する見識を欠いているかを、如実に表しています。
最も不要になるスキル
なぜなら、これらは近い将来、最も不要になるスキルだからです。今や旅行や生活のシーンのみならず、ビジネスにおいても外国語のスキルは不要となりつつあります。
スマホで使える無料の翻訳アプリは非常に高い精度を誇っており、英語から多言語への翻訳に関してはほぼ完璧と言っていいほどの精度です。最近リリースされたばかりの翻訳AIアプリでは、AIが文脈から伝えたい情報の背景を想定し、細かいニュアンスに至るまで非常に自然な文章に訳までしてくれます。
会話におけるリアルタイム翻訳に関しては、Googleが2019年にスマートフォン上でリアルタイム翻訳ができる通訳モードをリリースしています。いまの技術発展のスピードでいけば、SFのようなどんな国の人とでもリアルタイムに会話できる技術が2030 年には可能になると言われています。
またChatGPTのようなAIツールは、多くのプログラマーを失業させようとしています。簡単なプログラミングであれば、ものの数分で書いてくれるほか、私たち人間が書いたプログラムのバグを修正してくれたりもします。
まだサービスをいちから考え、それを実現するためのプログラミングを組むまでは行えないですが、このスピードでAIの技術革新が進めば、AI自身が全く新しいプログラミング体系を作り出すのも時間の問題でしょう。
すでに、ちょっとしたプログラミングのエラーを修正するような下請けプログラマーの仕事は、徐々に失われつつあります。 自分の子供のためにプログラミングを学ばせるというのは、将来源氏物語を原文で読むために平安時代の古典文法を学ばせる以上に無駄なこととなってしまうのかもしれません。
詰め込み型の教育の終焉
詰め込み型の受験勉強については、すでにアメリカでは知識詰め込み型の教育は無意味であるとされ、大学入試は大きく変わっています。アメリカの大学入試では、エッセイや課外活動の記録、受賞歴などが評価されるため、日本のような学習塾はほとんどありません。現在のアメリカの姿は、日本の10年後の姿を表すと言われているので、いま学習塾に通って不毛な日本史の年号などを覚え込まされている子供たちが、大学受験する頃にはその
知識は全く役に立たないものとなっているでしょう。もちろん、雑学王として身を立てるのであれば話は別です。このように、無駄に知識ばかりを蓄えて大人になった日本人の若者たちは、将来全く仕事にありつけないかもしれません。一方で、お受験などに唾を吐き捨て、クリエイティブな独自の思考力を身につけた若者たちは、どんどん日本から流出していってしまう。さらにその頃には、少子高齢化がさらに深刻化し、日本には失業者と高齢者というお先真っ暗な人たちだけの沈没していく運命もありえます。
5. 低賃金撤廃、日本が東南アジアの下請け工場となる残念すぎる未来
産業革命によって多くの仕事がなくなった後に、新しい仕事が出てきたように、今回のAI革命でも新しい仕事が生まれます。一方で、AIに既存の仕事を奪われた後の、思考停止の日本人たちに残される仕事は、あまりいいものではないかもしれません。
2030年以降、私たち日本人に与えられる仕事は、東南アジアやアラブ諸国といった、以前であれば発展途上国と呼んでいた国々からの下請けの仕事となると予測されます。
失われた30年と言われる平成不況の間に、全く賃金水準が上がらず、その上で記録的な円安に見舞われた日本では、優秀な人材の海外流入に歯止めがかかりません。日本はいまや、若者が海外に出稼ぎに行く国になってしまったのです。
製造業は生産拠点を日本に戻している
20世紀後半の日本は安い労働力を求め、中国や東南アジアにたくさんの工場を作りました。しかし、最近では海外の人権水準が高騰しており、むしろ日本人の方が安く雇えるからと生産拠点を日本に戻している製造業者が相次いでいます。
こうなると、今度は逆に30年前は日本の下請けだったタイやベトナムといった国々が、今度は立場が逆転して私たちの元請けとなることが考えられます。日本にカンボジアやラオスの企業の工場がボンボンでき、そこで日本人労働者が安く雇われるという未来です。
海外から見れば、圧倒的に給料の安い日本は 労働者のバーゲンセール。日本人は比較的勤勉な民族で、思考停止状態ですから、言われた通りのことを素直にやってくれます。そのような素晴らしい奴隷が激安で買えるなら、日本が世界の下請け工場となる日もそう遠くはないでしょう。
6. 思考停止状態を脱し、クリエイティビティを発揮するための3つの習慣
ここまでの話で、日本の未来をどう思いましたか?
こんな残酷なディストピアが来るのかと落胆や危機感を覚えた人もいると思います。そこで最後に、私たち日本人が思考停止から抜け出し明るい未来を獲得するための3つの方法を紹介します。
コンテンツを自分自身で選ぶ力を持つ
思考停止状態から抜け出すための方法1つ目は、コンテンツを自分で選ぶ力をつけることです。日々プラットフォームによってレコメンドされる動画やニュースだけを、ただぼーっと見てはいませんか?
こうしたレコメンド機能により、私たちはどんどん企業側の意のままにコントロールされています。このような洗脳を解くためには、何よりもまず、私たちが自分自身の足で情報を取りに行く姿勢が必要です。
逆腹式呼吸でローアルファ状態を作り出す
2つ目は、ローアルファ状態を作り出すこと。夜お風呂に入っている時に、すごくいいアイデアを思いついた経験 はありませんか?
普段、会社などでデスクに座っている時は、ちっとも良いアイデアが浮かばないのに、なぜか休みの日に散歩している時や、お風呂でリラックスしている時にばかりいいアイディアが思いつく。これは、私たちの脳がリラックスした状態でこそ、最もクリエイティビティが発揮できるからです。
リラックスしているとき、脳では一般的にα波という脳波が出ています。中でも理想的な状態は、α波の中で周波数の低いローアルファ状態。この状態を手っ取り早く作り出す方法が、通常の腹式呼吸とは逆の「逆腹式呼吸」です。
腹式呼吸では、息を吸うと同時にお腹を膨らませ、息を吐くと同時にお腹をへこませますが、逆腹式呼吸では逆に、息を吸う時にお腹をへこませ、息を吐くときにお腹をリラックスさせます。
非常にお手軽に脳のクリエイティブスイッチを入れることができる呼吸法ですので、ぜひ試してみてください。
並列思考で全く新しいアイデアを創造する
3つ目の方法は、並列思考を高めることです。並列思考とは、その名の通り複数のことを同時に思考すること。発明は決して0から1を生み出すことではなく、すでに存在する無数の1つの組み合わせから2つ3つと、新しい組み合わせを発見することがクリエイティビティの真髄です。
例えば、青色だけをどんなに想像しても、頭の中には青以外の色は生まれてきません。しかし、青と緑の2つを一緒にイメージしてみると、2つの色の中間であるエメラルドグリーン色を思い描くこともできます。さらに並列思考を推し進め、青と緑とこれらとは全く違う、ピンク色を想像する。
すると、全く新しいこれまでに見たことないような色彩がイメージできませんか?
これこそが並列思考であり、クリエイティビティです。
たくさんのことを同時並行で考え、それら思考のジャンルが違えば違うほど、今まで誰も思いつかなかったようなものすごく画期的なアイデアが生み出されます。ルネッサンスを代表する画家として有名なレオナルド・ダ・ヴィンチは、絵画や彫刻以外にも医学や音楽など、様々な分野で業績を残しています。
ダ・ヴィンチが数多くのジャンルを並列で考えることにより、一つ一つのジャンル単独からは決して生み出さないような奇抜なアイデアを多数思いついたからではないかと言われています。時には一つだけに集中するのも重要ですが、普段から並列思考をすることで、クリエイティビティを高めることができます。
ぜひ、多くのジャンルに興味を持ってみてください。
今回の紹介は以上です。本書、苫米地英人さんの「思考停止という病」についてより多くの中身を知りたい方は、ぜひ一度手にとってみてください!