『2035 10年後のニッポン ホリエモンの未来予測大全』要約(ChatGPT、円安)

man standing beside white wall 時代を生き抜く考え方・哲学

 

ホリエモンの未来予想、聞きたいですか?

この記事では、堀江貴文さんの書籍「2035 10年後のニッポン ホリエモンの未来予測大全」を紹介します。本書は、著者のホリエモンこと堀江貴文さんが、10年後の未来予測をしたものです。

もちろん、誰にも未来を予知する能力はありませんが、予測不可能と言って未来に目を凝らせないのは誤り。本質は未来から導き出されるものだからというのが著者の考えです。

本書はAIやその他テクノロジーを始め、お金、経済、ビジネス、働き方、社会情勢、ライフスタイルと幅広いジャンルにわたるトピックが収められた、未来予測大全です。

この記事では、重要なトピックに絞って簡潔に紹介したいと思います。より詳しく知りたいと思った方は、ぜひ手にとってみてください!

 

1. ついにドラえもんが誕生した

a couple of stuffed animals sitting on top of a window sill

 

なんと21世紀の今、ついにドラえもんが誕生しました。私たちの願いをあんなこともこんなことも、叶えてくれます。その名もChatGPTです。「なんだ、違いじゃないか!」と思ったあなた、まずは読み進めてみてください。

対話型AIのChatGPTは幅広い知識を身につけ、こちらの質問や要望に応じてくれます。以前からAIを用いたチャットサービスは存在していましたが、それらはこちらの質問に対して限定的なテンプレートの回答を返すだけでした。

開発したのはアメリカ企業OpenAIでシステムのベースになっているのは、GPTと呼ばれる言語モデルです。文章の次の単語の予測がスタート地点だったGPTの開発が、約5兆語にも及ぶテキストを読み込み、膨大な言語パターンを学習することで、極めて高度な言語処理能力を獲得しました。

これによって、あたかも人間のように自然な言葉を使いこなします。文系最難関のアメリカ司法試験の模試も、上位10%に入るハイスコアで合格したそうです。

 

あらゆる技術と統合される

しかも、それだけではありません。ChatGPTは、倫理観も備えています。差別を煽るような質問や犯罪に悪用できそうな質問は受け付けず、宿題をしたくないとぼやけば宿題の意義を解いてやる気を出すための秘訣まで教えてくれます。まさに、ドラえもんです。

またその進化速度は凄まじく、あっという間に画像の認識と生成もできるようになりました。冷蔵庫の中を写した写真から、そこにある食材を見分けて作れる料理のレシピを示してもくれます。もちろん音声の認識と出力もできます。

まだ音声コミュニケーションだとタイムラグがあるものの、これも時期に解消されるでしょう。コンテンツ産業を筆頭に金融、医療、教育、交通、GPTは今後あらゆる領域に進出します。その全てを根底から変え、私たちの生活を一変させるでしょう。

そうなれば10年後の日本の風景は今とは全く別物になります。イメージする100%のドラえもんではないですが、あらゆる技術と統合され、完全なドラえもんとなるのもそう遠くはないはずです。

 

2. AIは人間を侵食するのか

man sitting on chair in front of condenser microphone

 

AIの存在をどう捉えるかは、人によって異なります。

ここでは、AIは人間を侵食するのかについて解説します。

ChatGPTの登場は、シンギュラリティの到来を意味します。シンギュラリティとはAIが人類の知能を超える転換点のこと。こちらの図は本書からの引用です。

かつての予測では、2045年あたりだと見込まれていましたが、実際にはそれより20年も早くなりました。そして、ChatGPTの登場は、私たちに人間とは一体何なのかという命題を投げかけています。

GPTが生成する言語は、私たち人間と同じく自然言語の大量インプットを経て、そこから妥当と判断される自然言語を再構成しています。つまり、GPTは表面上だけ人間に似せているのではなく、メカニズムも人間のそれとほぼ一緒だということです。

人とAIの境界線は消え、AIが人間を侵食しているのではなく、AIと人間は融合し、さらに高みを目指すことになる。これが堀江さん(以下、ホリエモン)の予測です。

 

個性が増殖する

人間一人一人個性があるように、ChatGPTも時と場合に応じた個性を獲得できるのか?

答えは、Yesです。

すでに日々の業務の一部をChatGPTでこなしている人もいるはずですが、最新のChatGPTでは個別学習が可能になりました。それぞれのユーザーが、そのアカウントごとにGPTにデータを記憶させられます。

つまり、自分好みのChatGPTにカスタムできるということです。現状、記憶させられる文字数は25,000文字にとどまりますが、その記憶力も近いうちに飛躍的に増強されるでしょう。

例えば、自分がこれまで作成してきた企画書を大量にアップすれば、自分らしい企画書の自動生成に特化したChatGPTになります。最終的には自分の履歴書や日記やメール文、さらには仕事絡みで作成した各種資料を手当たり次第アップすることで、チャットGPTに自分の個性を植え付け、自分の分身を作ることができます。

データ量が多ければ多いほど、AIの分身は自分に近づき、自分という個性がもう一つ誕生します。

 

3. 円安は続き、円安が起爆剤になる

assorted signages on buildings

 

ここからは、経済の変化について解説していきます。

現状起きている円安の原因は、主にアメリカと日本の金利差によります。

日本はゼロ金利政策を続けていますが、アメリカは生活費高騰に対処するため、金利を積極的に引き上げました。金利が高い方が、投資家にとってその国の通貨の魅力度が増します。

日本も金利を上げれば円安対策ができますが、金利を上げると今度は国内景気が悪化してしまい結果、経済成長が鈍ります。円安によって生活必需品が高騰するよりも、不景気の方が社会不安は大きくなるため、政府も日銀も金利を上げることができないです。

 

2023年4月には日本銀行の総裁が変わり新体制となりました。ここでは大規模な金融緩和は支持される見通しで、円安もしばらく続いていくでしょう。物価上昇などのデメリットをもたらす円安ですが、メリットもあります。

例えば、インバウンド需要は爆発的に伸びています。円安になっている日本では、海外観光客からすれば、バーゲンセール状態。今後日本は本格的な観光立国となっていくでしょう。

そして、円安になると輸出産業も潤います。海外市場で安く売ることができるようになり、価格競争力がアップし売り上げは伸びます。その結果、為替レートは再び円高方向に触れていくことにはなりますが、それは長く円安が続いた後のことです。当面は、円高になることは期待できません。

私たちにできることといえば、為替レートに一喜一憂せず、足元のビジネスに力を入れることです。

 

4. 年金と東南アジア

3 women sitting on brown concrete bench

 

経済の変化について、年金と東南アジアという切り口でもう少し見ていきましょう。

年金は絶対に破綻しない

現役世代の多くが、国の年金制度に対してかなり疑いの目を向け、自分たちの世代は年金をもらえないのではないかとぼやく人もいます。しかしホリエモンは、年金制度は絶対に破綻しないと断言します。

そもそも日本の年金制度は、現役世代が支払った保険料を高齢者に給付する“世代間での支え合い”で成り立っているからです。専門的に言うと、賦課(ふか)方式(いま現役世代が払っている保険料で、年金を賄う)です。

日本の出生率は減っているものの、現役世代がゼロになるということはありえないので、賦課方式を採用している以上、破綻することは論理的にありえません。また、年金の繰り下げ受給など年金制度には、こまめなバランス調整が施されているのも、理由の一つです。

ただし、平均寿命が伸びたり、少子高齢化が加速したりして、需給額が今より減る可能性は大いにありえます。不公平ですが、そうであっても年金を納めないという判断は間違いだと著者は言います。

第一に、国民年金の納付は義務です。その上、障害基金年金や遺族基金年金といった、もしもの時のための制度が年金保険料を納付していなければ適用されません。未納のままでは、自分や自分の家族に何かあった時国から十分な支援を受けられなくなってしまいます。

今後を年金受給額は減るかもしれませんが、仮にそうなったとしても老後の生活資金の大きなウエイトを占めることには変わりありません。年金は必ず納めておいた方が良いでしょう。

 

東南アジアの逆転現象

これまで出稼ぎ労働者を受け入れる側だった日本ですが、日本が海外に出稼ぎするケースが増えています。日本にいた頃は手取り20万円だった弁護士が、英語を学びオーストラリアで働き始めたところ月給が80万円近くになったというような話が増えているのです。

日本人が出稼ぎする光景が今後当たり前になっていくのは、賃金上昇につながる労働市場の流動性がなかったり、欧米と違い転職しても年収が上がりづらかったりと、日本に賃金が上がりづらい状況が揃ってしまっているから。

シェフを始めとする職人系の人材あるいは介護職など、サービス系の人材を中心に高い賃金を求めて海外に移住する人がさらに増えていくでしょう。

 

5. 暮らしの変化

silver fishes underwater

 

ここからは最後に、暮らしの変化について3つのポイントを解説します。

タイパ格差は広がる

今後、タイム・パフォーマンスの格差が広がっていくだろうと、ホリエモンは言います。新型コロナウイルス騒動をきっかけに、日本にリモートワークが広がりました。しかし、現在は大勢の人がオフィス出社に戻りつつあります。

理屈の話では、リモートワークの方が働き方の自由度は高まり、時間効率も生産性も上昇するはず。しかし、実際は周囲の目や監視がなくなり、ついついサボりがちになってしまう人がいたり、テキストベースのやり取りにストレスを感じる人も少なくなかったようです。

要するに、リモートワークは一見生産性が上がるようで上がらない。それが、大多数の実態でした。一方で、リモートワークの恩恵を受けて、タイム・パフォーマンスを高め家族と過ごす時間を増やしたり、副業をこなしたり、趣味に打ち込むゆとりもできている人がいます。

結果として、リモートワークで自由度の高い働き方をする人と、昔ながらの働き方を継続する人には大きな格差が生じます。

 

魚介類はどれも贅沢品になる

日本は島国で気候も海流も申し分なし。素晴らしい漁場がたくさんあります。しかし、その楽園がいま危ぶまれています。

海水温の低い方が脂の乗った美味しい魚が取りやすいですが、北海道や東北の美味しい魚は北上を続け、やがて国外の海域に出ようとしているそうです。そうなると、ロシアなどから買い戻すしかありません。

つまり、輸入するしかなくなるということです。一方で、今後しばらく日本の円安は続き、おいしい魚はどんどん値上がりする運命にあります。日本近海では、淡白な魚しか取れなくなるのかもしれません。

 

メタバースはまだまだ先である

最近ではメタバースが何かと注目されていますが、メタバースの浸透はまだまだ先だろうとホリエモンは考えます。

メタバースとは、3次元のデジタル仮想空間のこと。この分野に年間100億ドル日本円で言うと、約1兆3000億円ものを大投資をしているのがマーク・ザッカーバーグ率いるメMeta社です。

Metaが進めるメタバースは、ヘッドマウント・ディスプレイを装着して楽しむ世界観で、自分がまるでその仮想空間に実在するかのような没入感が得られます。メタバースで国境を越えて生活の軸とし、そこでお金を使ってもらい、企業も広告を出すというのがMetaの大まかな事業構想です。

 

ただし、その道のりは極めて険しいと言えます。

そもそも、ヘッドマウントディスプレイは長時間装着に向いておらず、30分くらいでVR用になってしまいます。軽量化も進んでおらず、技術的課題もあり、ハードが普及していくには魅力的なソフトが不可欠。ですがそれも、まだ不十分です。残念ですが、Metaのメタバース構想は、不発に終わるというのが著者の考え。

一方で、今後確実に浸透してきそうなメタバースは3Dビデオゲーム。フォートナイト、ファイナルファンタジー、あつまれどうぶつの森などの人気3Dビデオゲームも、広く捉えればメタバースだと言えます。

3Dビデオゲームのメタバースはさらに洗練され、多彩な機能を備えることで大きな経済圏を作り、ゲーム中のビジネスだけで暮らすユーザーも増えるはずです。

 

今回紹介した、堀江貴文さんの書籍「2035 10年後のニッポン ホリエモンの未来予測大全」ついて、まだまだ紹介できていない部分が多いです。おすすめの本ですので、ぜひ読んでみてください!

 

man walking through pathway

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