これまでに皮膚科医美容外科医として勤務していた経験を含め、多くの患者さんを見てきて思うことは、みなさんスキンケアにお金と時間をかけすぎているということです。
この記事では、山本周平さんの書籍「美容皮膚科医が教える「完全毛穴レス肌」を叶える8つの美肌習慣」を取り上げます。
本書は、
- 頑固なニキビ跡を何とかしたい
- 最近毛穴が開いてきて目立つように感じる
- 小鼻の毛穴の黒ずみが気になる
という方におすすめです。
本書ではエイジングケアの専門医である著者が、内側と外側から肌を根本的に変える方法について紹介しています。
SNSや各種メディアには多くの美容情報が掲載されていますよね。
私たちはその情報に触れたとき、どのような感情になるでしょう。これで肌が綺麗になると、信じてしまいがちではないでしょうか?
実際、そこに掲載されている情報は根拠が曖昧であったり、受け取り手側が正しく活用できる形では伝わっていなかったりします。
正しい知識を持つことで、化粧品会社の宣伝に惑わされず、無駄なお金を使わず肌トラブルを防ぐこともできます。
美肌のためにはスキンケアや美容医療といった外側からと、運動・食事・睡眠などの見直しといった内側からの両面のケアが必要で、本書ではそれらをギュッと学ぶことができます。それではさっそく中身をみていきましょう!
1. 毛穴トラブルを引き起こす悪習慣
まずは毛穴トラブルを引き起こす習慣について、3つのポイントを解説します。
美顔ローラー・マッサージ
むくみの解消や小顔のために、美顔ローラーを使ったり、フェイスマッサージをしたりといった習慣はありますか?
実は、これらが皮膚のたるみや肌のバリア機能を低下させている原因かもしれません。顔の皮膚は筋肉と付着し、細かい繊維でできた人体によって、顔の骨と繋がっています。
皮膚はゴムと同じで、加齢や摩擦によって伸び、上から下へと垂れ下がっていきます。これが、いわゆる皮膚のたるみです。
特に日本人は皮膚の表面が非常に薄く、欧米人の2/3ほどの厚さしかないと言われています。その分摩擦にも弱いです。そのため、美顔ローラーを当てたり、フェイスマッサージしたりすると、肌は傷ついてしまいます。
また、皮膚の一番外側の角質層内にある細胞管皮質には、保湿成分があります。この主成分がセラミドです。セラミドは、水分を保持するという優れた能力を持っていますが、摩擦に弱いという特徴もあります。
例えば、枕に顔をこすりつけるだけで、水分を流出させてしまいます。セラミドは失うと、保湿だけでなくバリア機能も一気に低下します。
紫外線ダメージに弱く、コラーゲンやエラスチンといった肌の若さを保つ成分もダメージを受けやすくなる、乾燥して毛穴が目立ち吹き出物もできやすくなるこのようなデメリットがあります。
肌をたるませず潤いを保ち、毛穴を開かせない最も簡単な方法は、触らないことです。摩擦を止めるだけで、肌はきめ細やかになっていきます。
しっかり洗顔とピーリング
日本人は世界で一番洗顔をすると言われています。
朝起きて洗顔料を使って顔を洗う、夜はメイク落としと洗顔料でダブル洗顔。このルーティンが、当たり前になっている人は要注意です。
実は、この習慣が毛穴トラブルを引き起こす原因になっている可能性があります。
洗顔料は洗浄力が高いです。朝ゴシゴシと洗ってしまうと必要な水分や油分まで奪われ、過剰に皮脂が分泌されるようになってしまいます。
すると、正常な肌のターンオーバーが行われなくなり、乾燥やくせに毛穴の開きや黒ずみ、シワ、シミ、たるみなどあらゆるトラブルを招く原因となります。
洗わないと汚いと思われている方、もともと皮膚は常在菌によって有害な菌が増えにくくなっています。
洗顔時に大切なのは、こうした本来の機能を妨げずに正常に保つこと。
洗いすぎて正常な皮脂まで落としてしまうと、乾燥や湿疹、細菌感染症、アレルギーのリスクもあります。1日に何度も洗顔をしてしまっている方は、今すぐにやめましょう。
スクラブや泥洗顔、酵素洗顔も汚れが落ちて腹が綺麗になったと思いがちですが、皮脂や潤いを奪いバリア機能まで分解してしまうリスクを伴います。いくら優しく洗っているつもりでも、洗顔は肌にとって大きな刺激となることを自覚しましょう。
また、クレンジング材は長時間肌に乗せると刺激になってしまうので、選ぶ際は柔らかくてメイクなじみがいいクレンジングオイルを選びましょう。すすぎは70%~80%落ちたらOKという気持ちで洗うくらいで十分です。
多少すすぎ残しがあったとしても、タオルで拭いたり、その後化粧水をつけたりするうちに自然と汚れは落ちます。それよりも、摩擦による刺激の方が肌への負担は大きいです。
長時間のフェイスマスク
洗顔の後、どのように肌の手入れをしていますか?
フェイスマスクや化粧水を染み込ませたコットンで、パックする方も多いのではないでしょうか?
ここで注意してほしいのは、使用時間です。使用時間の指定があるものを除いて、肌に乗せておく時間は基本的に3分までにしてください。5分~10分と放置してしまうと、肌の水分や皮脂をコットンに奪われてしまいます。
もし3分以内に乾いてしまったら、基礎を補正を足した方がいいです。洗顔後を軽く化粧水をつけただけでは、肌が突っ張る。フェイスマスクをしないと、肌の調子が悪い。こうした場合は、すでに乾燥が進行しています。
肌が乾燥する原因は、表皮の角質層が傷つき、バリア機能が正常に働かなくなるからです。そんな状態でフェイスマスクをしたら、余計に皮膚がふやけ、成分がより蒸発しやすくなってしまいます。
残念ですが、化粧水は肌の水分を補うものではありません。私たちの肌は自分自身を守る生体防御のシステムが備わっており、決して異物を受け入れないようにできています。
どんなに優れて化粧水も肌にとっては、異物です。希少性の水分がそのまま肌の水分になることはありません。化粧水にできることは、肌をクールダウンさせて炎症を抑えたり、美容成分で角質層の働きを整えることです。
つまり、パックは保湿が目的ではないので、保湿成分や美容成分をたっぷり配合した高い化粧品である必要もないということです。
2. 3つの毛穴トラブル
ここからは、3つの毛穴トラブルについて解説していきます。
つまり毛穴の原因
つまり毛穴とは、毛穴の出口に皮脂などの汚れが詰まっている状態のこと。皮脂の分泌が過剰になり、詰まった皮脂が空気に触れることで酸化し、硬くなり、黒ずみになります。
皮脂は皮脂腺から分泌される油です。乾燥や紫外線などの刺激から肌を保護するために、分泌されるため、もともと表皮にとどまりやすい性質を持っています。
そのため、皮脂が多く分泌されるとそれらが毛穴にとどまり、毛穴がどんどん広がっていくという仕組みです。
ではなぜ、皮脂の分泌が盛んになってしまうのでしょうか?
皮脂の分泌量はホルモンバランスの変化や、食生活によって変わります。皮脂の分泌を促すのは、男性ホルモンです。
ストレスフルな生活を送っていると、男性ホルモンが多くなり、皮脂分泌も増えます。また、生理前は皮脂分泌が増える傾向にあります。
さらに食生活では、糖質や脂質の多い食べ物を摂りすぎたり、満腹まで食べることも過剰な皮脂分泌を招きます。
洗顔で余計な油分を取り除けばいいのでは?と思うかもしれませんが、実際には、洗顔のしすぎも皮脂分泌を増やしてしまう原因の一つになるため、分泌自体を減らす方が良策です。
たるみ・しわの原因
肌の弾力は、コラーゲンやエラスチンなどのタンパク質によって保たれています。
しかし、年齢を重ねると細胞分裂のペースが衰えて、コラーゲンやエラスチンが作られにくくなります。
すると、ハリが失われ、しわが増え、毛穴がたるんでいきます。
加齢による毛穴のたるみは、どんな基礎化粧品でも改善できないので、それなら美容医療に頼るの方が賢明です。
ちなみに、たるみ毛穴は加齢の他にも、紫外線や活性酵素、その他の刺激も原因になります。特に、紫外線対策は重要です。
活性酵素は、酸化力が強い酵素の一つの形態で、体の中の細菌やウイルスと戦ってくれるメリットもあります。
一方で、過剰に増えると強力な酸化力がマイナスに働き、正常な細胞を傷つけてしまいます。そのため、抗酸化成分が含まれた化粧品を塗ることも、たるみ毛穴の改善に効果があります。
その他の刺激というのは、化粧品の成分や皮膚の摩擦、糖質の摂りすぎなどです。これらの刺激は、たるみを進行させます。
刺激を与えるたびに細胞分裂が起こり、コラーゲンやエラスチンの生成を乱すことを、忘れないようにしましょう。
傷跡毛穴の原因
傷跡毛穴の原因は、間違ったニキビの対処や過剰なスクラブ洗顔、角栓を取るための毛穴パックなどです。
これらの行為は、肌がダメージを受けてしまいます。肌がダメージを受けると乾燥し、角質層が硬くなり、かえって毛穴が目立つようになります。
そして角質層が硬化して厚みが増すと、毛穴は余計に詰まりやすくなってしまいます。
皮膚はそれを解消しようとして炎症を起こし、毛穴の出口を広げ皮膚をえぐってしまうことがあります。これが傷口ケアのメカニズムです。
市販の毛穴パックや毛穴を洗う洗顔ブラシの使用、スクラブ入りの洗顔料の使用、プッシャーや爪などで角栓を押し出そうとすることは、絶対に避けてください。洗顔時に小鼻をマッサージしたりコットンなどでこすることもNGです。
そもそも角栓は、無理に除去しようとする必要はありません。
角栓は毛穴の中に雑菌などが侵入しないように守ってくれするものです。無理やり引き抜くと雑菌が繁殖し、ニキビや炎症の原因になります。
また、毛穴の中も対処しているので例え角栓を取ったとしても24時間以内に必ず再生し始めます。引き抜くのではなく、毛穴の代謝を促して自然に排出されやすいような状態を目指しましょう。
3. 最強美肌習慣
美肌のためにはスキンケアや美容医療などを外側からのケアと、運動・食事・睡眠などの見直しによる内側からケアが欠かせません。
ぜひ、ここから紹介する最強美肌習慣の3つを試して、効果を実感してみてください!早ければ数週間で効果を実感できるそうです。
筋トレを始める
強度の高い筋トレを行うと、アンチエイジング効果のある成長ホルモンが脳下垂体から分泌されることがわかっています。
このホルモンの分泌により、体の細胞が活性化し、免疫力が高まったり新陳代謝が活発になることで、肌が美しくなります。
具体的には強度の高い筋力トレーニングを2~3日に一度行います。
これは筋肉が増えるために最も効率的な頻度です。早く美肌やビボディを手に入れようとして毎日筋トレを行いたくなるかもしれませんが、休養も大切です。
そして、トレーニングの後にはプロテインなどでタンパク質を摂取しましょう。鍛えたい部位があれば、そこを鍛えればOKです。特にない方は、筋肉量が増えやすい大きな筋肉を増える方法が効率的です。
お尻や太ももに効くスクワット、胸や二の腕を鍛えるプッシュアップ、これらを15~20回、2~3セットを行ってみてください。
スキンケアを見直す
本来、肌は化粧水などを塗らなくても、自然に潤うができています。
ほとんどの肌トラブルの原因は、洗いすぎや刺激の与えすぎによって、バリア機能を弱めてしまうことです。
そして、老化の一番の原因は乾燥肌です。皮膚の保護作用が弱ってしまうと、乾燥肌を引き起こします。
乾燥肌になると真皮が皮脂の分泌を増やそうとするため、Tゾーンはオイリーになり、目元や口元は乾燥したままという混合肌にもなりやすくなります。
前提として、このような悪循環が起こっている場合は、適切な治療が必要です。一度医師に相談してみましょう。
ここからは、このような悪循環が起こさないための正しいスキンケアを紹介します。
基本的に、スキンケアは紫外線ケア、洗顔、皮脂を補うためのオイルの3ステップだけでOKです。
まず紫外線ケアをして、シミ・日焼け・毛穴トラブル・老化の一番の原因となる紫外線を防ぎます。
洗顔に関しては、ノーメイクの時はぬるま湯で行えば十分です。角質は自然に剥がれてくれます。
メイクをしている時は、オイルクレンジング剤を使いましょう。
皮脂を補うためのオイルは、皮脂に近い成分がよいです。抗酸化作用があるビタミンA、ビタミンC、ビタミンEが配合されているものだとベストです。
ちなみに著者は洗顔後に、オリーブオイルを塗るというシンプルなケアのみで、肌を褒めてもらえるようになったそうです。
空腹時間を作る
現代人は食べ過ぎているため、必要以上に消化吸収機関に負担をかけてしまっています。
最近では、ファスティングが病気や老化を遠ざけるために有効であると知られていますが、美肌にも効果があります。
消化吸収に必要なエネルギーは、フルマラソン1回分とも言われています。ファスティングで消化吸収期間を休ませることは、そこに関わるエネルギーを健康維持や体力の回復に回せるということです。
しかし断食をするとなると、きつくてなかなか取り組む気になりませんよね?
そこでおすすめなのが、16時間のプチファスティングです。
ルールはシンプルで、16時間食べない時間を作るだけです。例えば、8時間睡眠をとる方なら、それにプラスしてもう8時間食べなければ、連続で16時間になります。
どのタイミングで食事をするかはライフスタイルに合わせて色々試してみてください。
おすすめは夕食を抜くこと。できれば毎日が理想ですが、週に2~3日でもOKです。
もし空腹に頼るのは辛くなってしまった場合は、低糖質で良質な脂肪が含まれているナッツ類を食べましょう。
今回紹介した、山本周平さんの書籍「美容皮膚科医が教える「完全毛穴レス肌」を叶える8つの美肌習慣」についてまだ紹介できていない部分が多いです。おすすめの本ですのでぜひ読んでみてください!