値段を気にしないとしたら、どこのホテルに泊まりますか?
ハイアットやフォーシーズンズといった高級ホテルは部屋の内装やホスピタリティが一流で、もちろん泊まってみたいと思いますが、その場でしか体験できない空間や時間に憧れませんか?
この記事では、建築好きにもオススメしたい、日本の憧れのラグジュアリーホテルを3つ紹介します!
1. ニセコの隠れ家!坐忘林(ZABORIN RYOKAN)
1軒目は世界的なスキー場で知られる北海道・ニセコにある、坐忘林(ざぼうりん)。敷地が約15,000坪に対してわずか15の客室と、国内では北海道でしか成し得ない贅沢使いが特徴的なホテルです。このホテルを設計したのは北海道出身の建築家・中山眞琴さんという方で、以下のようにコメントしています。
個性が強い装飾の建築は、建築以上でも以下でもなく、初めて訪れた時の感動以上の感動を2回目以降に体感することは難しいです。
しかし、何かと調和できる建築であれば、そこには想像を超えた世界が形成でき、時を重ねるごとに変化と進化を繰り返し、永遠に生き続けるのです。
ーー中山眞琴
坐忘とは、静座して現前の世界を忘れ、雑念を除くこと。白樺“林”に囲まれた中でそれを感じることができるように、建物は自然に対してシンプルで景観に溶け込むデザインをしています。
日本では土地整備の際に伐採された木を、焼杉と呼ばれる方法で耐久性を高めて利用してきました。このホテルの外壁には、石炭製造過程で出る通常廃材とする部分を使用しているのですが、表面が焼かれているので耐久性・耐水性が高く、美しいだけでなく天然無害な外壁材で効果的な印象のある建物に仕上がっています。
客室には専用の内湯と露天風呂があり、食事は旬の北海道の恵みをふんだんに使った、北懐石を堪能できます。また、連泊するとプライベートな囲炉裏部屋(要予約)で、炉端焼きが楽しめたり、また茶の坐という茶の間では立礼式で、坐忘林オリジナルの干菓子と抹茶を堪能できたりします。
ホテル周辺は羊蹄山やニセコ連峰、洞爺湖といった自然に溢れていて、スキー場はもちろん、トレッキングや温泉、ニッカウィスキーの余市蒸留所など体験スポットが多数あります。
2. 日本のウユニ塩湖!ショウナイホテル スイデンテラス
2軒目は山形県は庄内にあるその名もショウナイホテルです。山形県の庄内地方は、日本海に面しており出羽三山の名峰に囲まれた自然豊かなエリア。建築家・坂茂さんが設計したこの木造のコミュニティホテルは、日本の原風景と言える水田風景を四季の移ろいと共に楽しめるのが魅力です。また、天候次第ではウユニ塩湖のような絶景を見られることもあるそうです。
「スイデンテラス」は共用棟と宿泊棟に分かれていて、共用棟は木造2階建て。エントランスに足を踏み入れ、2層の吹き抜けの階段を昇ってフロントに向かうアプローチが、ホテルへの期待を高めてくれます。
天井はデザイン性と耐震性を兼ね備えた蛇腹屋根とすることで、剛性が増し、中央にはなるべく柱を建てない開放的な空間を作り上げています。また、坂さんお得意の紙のプロダクトも多く、紙管(しかん)を用いた椅子などがあります。
フロント正面の左手には共用のライブラリーもあり、カフェや商業施設などに魅力的な本棚を作るブックディレクター・幅允孝氏がセレクトした本が約1,000冊取り揃えられています。
2階のレストラン「FARMER’S DINING IRODORI(イロドリ)」では、山形庄内の素材を活かした季節のメニューを提供。月山を望む開放的なテラス席で朝食を堪能したり、 夜には山形の地酒を飲みながらゆったり過ごしたり、様々なシチュエーションで利用できます。
宿泊棟は月山(GASSAN=G棟)、羽黒山(HAGUROSAN=H棟)、湯殿山(YUDONOSAN=Y棟)の3棟があり、出羽三山の名称が冠されています。客室数は全143室と多いですが、宿泊棟それぞれが分散配置されているため、静かで落ち着いた雰囲気が漂っています。
客室はシンプルで、木の温もりあふれる空間。「庄内平野を望むテラス付きダブルルーム」はその名の通り、景色を重視したい方におすすめの客室となっています。
3. デザインされた里山の豊かな体験!里山十帖
3軒目の里山十帖は、2014年に雑誌「自遊人」を出版している株式会社自遊人が開業した新潟県の南魚沼市の温泉宿です。雑誌だけでなく、食品販売や農業にも挑戦してきた自遊人が、元となる温泉旅館の廃業の話を聞き、建物と周囲の景色に一目惚れし、買い取ったことがこの旅館のはじまりです。
全面リノベーションした旅館は、ただの宿泊施設としてではなく、新しい「ライフスタイル発信メディア」として、築150年の古民家を移築したレセプション棟や、オーガニック&デトックスの料理、地元の骨董や作家か作った食器類、デザイナーズ家具、アート作品など、多くの要素をミックスさせ、細部まで世界観が作りこまれた空間として生まれ変わりました。
建物は3階建てで、客室が12室という贅沢さ。しかも、全室が異なるデザインになっており、部屋の造りや家具、アート作品も違うので、泊まる度に楽しみ方も変わってきます。
宿泊者は無料で利用できる休憩スペースでは、バータイムにウイスキーや日本酒が無料で振る舞われます。プロジェクターもあり、イベントや展示会などで使われることもあるそうです。また、地元・南魚沼市の食材を使ったここでしか味わえない創作料理が食べられたり、日本有数の絶景露天風呂を楽しめたりするだけでなく、スキー、MTBライドトレッキング、稲刈り体験など季節に合わせてたくさんのアウトドア活動もできます。
ここでの体験、発見、感動を豊かに演出することで「真に豊かな暮らし」を提案・発信しています。