格安で世界旅行に行けるとしたら、今すぐに行けますか?
この記事では、クリスティー・シェンさん、ブライス・リャンさんの書籍「FIRE 最強の早期リタイア術 最速でお金から自由になれる究極メソッド」を取り上げます。
毎日の仕事が辛い、お金さえあれば働きたくない。
しかし働かなくていい人は、生まれつき裕福な家庭に育っている人だけと、諦めている人も多いでしょう。
本書の著者は1日44セント(100円以下)で生活するほどの非常に厳しい家庭環境で育ちながらも、30代でミリオネアとなり、FIRE(経済的自立)を達成しました。
本書は、そんな著者がFIREに向けた方法や、その実態について教えてくれます。FIREに少しでも興味のある方は、ぜひご覧ください!
1. お金を浮かすために旅行をする
「旅行 = お金がかかる」というイメージがあると思います。
しかし、著者はお金を浮かせるために旅行すると言います。一体、どういうことでしょうか?
世界を旅行するのにかかる費用
著者たちはリタイアを達成した翌年に、1年間の世界旅行に出ました。
世界旅行というと、一体いくらかかるのか想像もつきませんよね。しかし、実際にかかった費用は著者2人で40,143カナダドル、日本円でおよそ430万円ほどだったそうです。
この内訳は本書からの引用です。
実際は、この金額に旅行保険費用の1,750カナダドルを加えて、先ほどの金額になります。
2人分で年間430万円であれば、普通に生活しているのと変わらないです。つまり、旅行にお金がかかるというのはやり方次第で嘘だったことになります。
もちろん、Airbnbを利用したり自炊をしたりと、ある程度節約もしていましたが、
- ボストンでの新鮮な牡蠣やロブスター
- タイでの4日間のスキューバダイビングライセンス
- カンボジアでのスキューバダイビング
- スイスアルプスでのハイキング
- 日本の神戸牛
など、贅沢を織り交ぜて費用はこれだけです。
著者は費用を抑えるポイントを、東南アジアを旅先に組み入れることだと言います。東南アジアは気候面、物価面で素晴らしいからです。
トラベルハッキング
そのほかにも費用を抑える方法として、トラベルハッキングがあります。
航空会社のマイルをたくさん貯めれば、チケットの購入やホテルの宿泊に使え、工夫次第では、タダで旅行ができます。
必要なのは、得点の多いクレジットカードとExcelのようなスプレッドシートだけです。
登録するだけでポイントが大きく貯まるクレジットカードを申し込み、必要最低限の金額を使った上でそのカードを解約。それから3ヶ月~6ヶ月ほど待って、また同じことを繰り返します。
例えば、チェイスサファイア・プリファードカード(Chase Sapphire Preferred Card)は登録してから最初の3ヶ月以内に4,000ドル使えば6万ポイントもらえるそうです。
さらに、初年度の年会費も無料であるため、750ドル(約11万円)以上の節約になります。
Airbnbを利用する
Airbnbも、コストを抑えるために有効です。
著者はこれと、先ほどのトラベルハッキングで、年間およそ1万8,000ドルもの費用を抑えました。
まるで地元人のような生活をしながら、キッチン付きの宿で洗濯機も利用。ホストの方におすすめを教えてもらうことで、地元の隠れた美味しいお店の情報ももらうことができたそうです。
ビザはどうすればいいのか
世界旅行をしたとき、著者たちはほとんど観光ビザを利用していました。
ヨーロッパの滞在期間は最長90日のため、アジアに旅立つ前にその期間フルに滞在。ベトナムとカンボジアに入国する際は、インターネットで電子ビザを申請し、手数料を払い、到着前にビザをプリントアウトしました。
また、ヨーロッパの観光ビザをより長く滞在したい場合は、様々な選択肢があります。
富裕層ビザがその一つで、例えばスペインの非就労ビザ、ポルトガルのD7、ドイツのフリーランサービザなどは、滞在期間が長く国が運営する医療保険制度に加入できる場合もあります。
本書で、他のビザについても詳しく解説されているので、ぜひ本書を手にとって読んでみてください。
2. 子どもはどうする?
FIREはしたい、でも子供がいるとコストが高くなりすぎると思っている人もいると思います。しかし子育てに関しても、先ほどの旅行と同じようにコストは抑えられると言います。
今回はその中から、2つのポイントを解説します。
子どもの真のコスト
米農務省の推計によると子供を持つ費用は、総額233,610ドル、日本円にしておよそ3,400万円になります。
しかし、著者が他の早期退職者に協力を依頼して調べたところ、戦略的な支出を心がけて過度に無駄な支出を抑えることで、子育ての費用は米労務省の数字の半分~1/4程度に抑えられると言います。
例えば、保育サービスにかかる費用は、子育て費用の総額の16%を占めますが、これに関して、早期退職者は自分で育てればゼロになります。
国が出している金額を鵜呑みにするのではなく、自分の置かれている状況から改めて計算し正しく見積もることで、真のコストは見えてきます。
子どもと世界を旅する
子育てにおいて、切っても切り離せない教育。
著者たちのように世界を旅することは、子供ができたら諦める必要があると多くの人が思うでしょう。
しかし、実はこの通説をものともせずに旅行しながら子どもを育てているグループがいます。
それは、ワールド・スクーラーと呼ばれる人たち。彼らにとっては世界中が教室です。
ワールド・スクールという名前は2012年頃から使われ始めましたが、この活動自体は2,000年代初頭に、特殊教育を支持するコミュニティが、インターネットを使ってリモートワークで働く旅行者と出会って始まりました。
ワールドスクーリングを実践した第1世代の子供たちが成人になると、彼らは変わり者で非社交的で適応力が低いどころか、聡明で社会的だと分かり、メディアで大きな注目を集めました。
従来の教育を受けた子どもたちよりも、多くの面で発達していたのです。
今後は、こうした育て方をすることも増えていくのかもしれません。
3. FIREに1億円は必要ない
年間の生活費の25倍を貯めればリタイアできるという4%ルールを知っても、25倍も貯められない人も多いです。
そうした人には、リタイアのハードルを下げる他の選択肢もあります。今回は本書から3つのポイントを解説します。
SIDE FIREという選択
リタイア後も続けていいと思える副業を持てば、年間生活費の25倍もなくとも経済的自立の恩恵を享受できます。
例えば、作家志望だった人がフリーランスのライターとして、年間200万円稼ぐとします。
年間生活費が400万円の人が、完全にFIREするために4%ルールに則ると1億円必要ですが、年間200万円を稼ぎ続けられるなら、ポートフォリオから得る収入は
年間生活費400万円 ー ライターの収入200万円
で、200万円。そうすると、1億円ではなく、5000万円でリタイアできることになります。こう考えると、一気にリタイアへのゴールが近づきます。
パーシャルFI
1年中暇になるのを望んでいない人には、パーシャルFIという方法があります。
FIとは、FIREと同じく経済的独立という意味。
先ほどのSIDE FIREは副業で収入を補強する方法でしたが、これは仕事は続けるものの、働く時間を短くする方法です。
例えば、仕事をパートタイムだけ抑えたり、年間のうち6ヶ月だけ雇用契約に抑えるなどの方法です。
地理的アービトラージ
副業もパートタイムの仕事もしたくない人には、地理的アービトラージを活用する選択肢もあります。
これは、強い通貨の国アメリカなどで収入を稼ぎ、弱い通貨の国、例えばメキシコ、ベトナム、マレーシア、タイ、ポーランドなどでリタイア後の生活を送るという考え方。
収入が高くなくとも、母国より何十年も早く経済的自立に到達できます。
タイのビーチでゆっくりくつろぎ、メキシコのソカロでタコスを食べ、ポーランドのタトラ山脈でハイキングする。
そんな生活を魅力的だと感じる方には、地理的アビトラージがおすすめの戦略です。
著者たちは、ベトナムやタイを旅行している際に、有利な為替レートのおかげで月1,130ドル、年に直すと13,560ドルで贅沢な生活ができると気付いたそうです。
ベトナムの平均月収はおよそ150ドルであるため、1,130ドルでも地元の基準で言うと途方もない金額です。
月約1,100ドルを得るために必要なポートフォリオは、日本円にしておよそ5,000万円。これだけ貯めれば、現地の人の平均月収の7.5倍が毎月入ってくることに。
さらに、そこまで贅沢する必要がなければ、もっとポートフォリオの金額は下がります。
住む場所をより物価の安い場所にするという地理的アービトラージ戦略が、早期リタイアのために有効だとわかると思います。
今回紹介した、クリスティー・シェンさん、ブライス・リャンさんの書籍「FIRE 最強の早期リタイア術最速でお金から自由になれる究極メソッド」についてまだまだ紹介できていない部分が多いです。
おすすめの本ですので、ぜひ読んでみてください!