『Chatter 頭の中の独り言』要約(内なる心の声と上手に付き合う方法)

woman in black dress sitting on floor 日々を豊かに、丁寧に暮らすコツ

多くの場合、内なる声は痛みを引き起こすにもかかわらず価値があるのではなく、痛みを引き起こすからこそ価値があるのだ。

考えたくないことを何度も考えてしまったり、頭の中で悶々と考えたりしていないですか?

この記事では、イーサン・クロスさんの書籍「Chatter 頭の中の独り言」を紹介します。本書は、

  • 頭の中の独り言をコントロールしたい
  • 最高の力を発揮できる方法を知りたい

という方におすすめです。

ミシガン大学で所長を務め、人々が自分自身と交わす無言の会話についての研究をしている著者が、頭の中の独り言であるChatter(チャッター、内なる声)をコントロールする方法を教えてくれます。

26のツールに分かれているので、誰もがどれかしらの方法を使えるはず。読めば内なる声の暴走を止め、正しい判断ができるようになります。それでは、その概略をみていきましょう!

 

1. 循環するネガティブな思考と感情

a man sitting at a table with a jar of coins

 

近年、多くの研究によって、苦痛を感じている時に内省をしても無意味なことが明らかになりました。内省とは、自分の考えや言動行動について、深く鑑みること。

苦痛を感じている時の内省は、

  • 仕事のパフォーマンスを低下させる。
  • 適切な判断を下す能力を阻害する。
  • 人間関係に悪影響を及ぼす。
  • 暴力や攻撃性の傾向が高まる。
  • 様々な精神疾患を引き起こす。
  • 体調悪化のリスクを高める。

など、様々な悪影響を及ぼす可能性があります。この悪影響を及ぼす内省が頭の中のしゃべり声(Chatter)です。

 

私たちは多くの時間、想いにふけっている

Chatterは、循環するネガティブな思考と感情で構成されています。私たちは内省によって、いわゆる内なるコーチに助けを求めようとしますが、逆に否定的な感情で頭がいっぱいになってしまいます。

“今を生きよう”といった格言を聞いたことがあると思いますが、これは過去の痛みや未来への不安にとらわれるのことなく、まさに“今”、他人や自分自身とつながることに集中すべきだというアドバイスです。

ただし、科学的な生物の仕組みの研究からすると、私たちの脳はどんな時も今にしがみつけるように進化していません。さらに言えば、私たちは目覚めている1/3〜1/2の間、今を生きていないそうです。

その間、息をするように、自然に過去の出来事や想像上のシナリオ、その他の内面に黙って想いふけっています。私たちの生活の多くは、精神的なものなのです。では、内なる声は何のためにあるのでしょうか?

 

みんなそれぞれの方法で心の声に対処している

2010年以降の14ヶ月間、イギリスの人類学者のアンドリュー・リングは、路上公園カフェで100人あまりのニューヨーカーに声をかけ、彼らが考えている心の声を話してもらいました。

その結果、当然ですが、調査に協力してくれた全ての人の心の中は、路上で目にしたものや彼らがやる必要のあることなど、ありふれた関心事が占領していました。

しかし、これらの関心事に並んで、多くの個人的な傷や苦悩、懸念を乗り越えようとする独白もありました。気を動転させるような知らせに落ち着いて対応している人や、冷静に自分を励ました人もいましたが、悲観的な考えを繰り返してどうやって前に進めばいいかが分からない人も。ここから分かるのは、それぞれ特有の状況の中で、

  • 個々の経験に別々の仕方で対処していたこと
  • すでに起こってしまったことに立ち向かっていたこと

です。そして、これから何が起こるか、自分は何をすべきか問題提起することによって、将来を想像するという点でも同じでした。

 

言葉を介して自分と会話している

時間と空間をあちこち飛び回る内なる会話のパターンは、人間の精神的な特徴で、そのおかげで他の動物に真似できない方法で、自分の経験を理解できています。また、将来の計画を立てたり、不測の事態に備えたりもできます。

私たちが行ったこと、行うであろうこと、行いたいことについて、友人に語るのと同じように、自分自身に語りかけています。内なる声は、私たちを内面へ誘い、言語的思考の流れを導いています。

私たちは心を利用して自らの経験を理解する際に、言語が一定の役割を演じています。非言語的な形の感情や思考を持っているのは間違いありませんが、人間は言葉の世界に存在しています。

ほとんどの場合、言葉は私たちが他人とコミュニケーションを取る手段で、私たちが自分自身とコミュニケーションを取る手段でもあります。

 

2. 自分自身と交わす会話の影響

man looking on pendant light inside room

 

Chatter(内なる声)に心を乗っ取られて、その才能が壊れていく人は珍しくないです。スポーツ選手や教師外科医など、習得したタスクに長けている人なら、才能の崩壊は誰にでも起こりえます。では、スキルが失われてしまうのはなぜでしょうか?

それは、自分自身と交わす会話が、自らの注意力にどう影響するかが関係しています。私たちはいつでも無数の光景や音、そうした刺激からの思考や感情など、大量の情報を浴びています。その中から重要でないことをフィルターにかけて取り除き、重要なことに注目できるようになるのは、注意力のおかげです。

注意力の大半は無意識に働きますが、人間を極めて稀な存在とする特徴の一つは、注意力を必要とするタスクに意識的に集中する能力です。私たちが感情に圧倒されているとき、Chatterは出くわした障害だけに注意力を向け、それ以外のほぼあらゆることを無視するように仕向けます。これは大抵の場合、有益です。

 

Chatterは私たちの注意力を分散する

しかし、集中しようと注意力を向けて、習得した無意識のスキルなどを使おうとしても、うまくいきません。この時、Chatterは私たちの注意力を分散し、鈍らせます。

誰であれ、ネガティブな言葉の流れに気を散らされることは珍しくないですよね。例えば、好きな人とひどい喧嘩をした後で、本を読もうとしたり集中力を要する仕事を終わらせようとしたらどうでしょうか?

とてもじゃないけれど、ほぼ不可能だと想像できるのと思います。不安な考えを繰り返すChatterは、集中すべきタスクにとって驚くべき阻害要因になります。それは、数えきれない研究によって事態を悪化させる影響が明らかになっています。

例えば、学生は試験の成績が下がり、俳優は舞台に不安を感じて些細なことで大騒ぎするようになり、ビジネスでは交渉が失敗に終わる。ある研究によれば、不安にかられた人は最初の条件を低くし、議論を早めに切り上げ、稼ぎが減ることがわかっています。

 

他人が離れる負のスパイラル

また、人は嫌な経験をすると、それを他者に話さずにはいられない生き物。負の感情が強ければ強いほど、多く話したがることも分かっています。これは普通のことで、一見すると、害はないように思えるかもしれません。

しかし、否定的な内なる声を繰り返し他人に伝えると、さらにChatterを生み出すことにつながります。また、元気づけてもらいたくて、同情してくれる知り合いに胸の内を語ると、その人を遠ざける結果になってしまいかねません。

もちろん、自分が抱える問題を他人に話すこと自体が悪いわけではありません。ただ、明らかにChatterが有用な経験を、否定的なものに変えてしまう場合があります。こうした事態に陥ると、愚痴をこぼして知らないうちに周囲を遠ざけてしまいます。

そして、断絶した人間関係の修復は難しく、孤独と孤立という有害な結末に陥る悪循環を招き、ますます問題を解決しにくくなるでしょう。

 

3. 内なる声のネガティブな側面

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Chatterがもたらす社会的孤立の要因は、それだけではありません。いさかいにいつまでもこだわる人は、攻撃的な行動もしやすいことが分かっています。

ここである実験を見てみましょう。自分が書いたエッセイを他の実験者に無遠慮に批判された後、どう感じたかを反省してもらうと、被験者は自分を侮辱した実験者に、敵意を覚えたそうです。

さらに、実験者に罵声を浴びせるチャンスを与えられると、これらの被験者は、実験者に激しい罵声を浴びせました。言い換えれば、私たちが相手にされたことをくよくよ考えれば考えるほど、私たちの負の感情はますます鮮明となり、結果として相手に対して攻撃的に振る舞う可能性が高くなるということです。

 

攻撃対象を無関係な人へ向ける

また、Chatterは攻撃対象にふさわしくない相手に攻撃の矛先を向けるよう、私たちを導くこともあります。例えば、私たちは上司に出席された時、怒りの矛先は他へと向かい、子供に八つ当たりするようになるといったことです。

さらには、私たちは考えるだけで、慢性的な生理的ストレス反応を起こすこともあったり、内なる声がそのストレスを煽ると、健康に破壊的な影響が及ぶ場合まであります。

精神をレンズに、内なる声をズームインあるいはズームアウトのボタンになぞらえてみましょう。Chatterは、何かにズームインする時に起こる現象です。そして感情を煽り立てることによって、頭を冷やしてくれるかもしれない別の考え方を軒並み排除してしまいます。

言い換えれば、広い視野を失ってしまうということ。こうして極端に狭くなった視野は苦難を増大させ内なる声のネガティブな側面を強化します。これが反省につながり、ストレス、不安、うつ状態を生じさせるわけです。問題につまずき、柔軟にズームアウトする。つまり視野を広げる能力が失われると、内なる声は反芻に変わってしまうのです。

 

4. 時間的距離、感情的距離を意識する

a cat sitting on a window sill looking out the window

 

一体どうすれば、Chatterを軽減することができるのでしょうか?

まず考えられる、内なる声の反芻と戦うための方法は、気をそらすこと。いくつかの研究で人々がネガティブな言語的思考にとらわれていたら、問題から注意を逸らすと感情が上向きになることが分かっています。ただし、これは短期的な解決策でしかありません。

気をそらす方法としては、自分を外側から、まるで壁に止まったハエを見るように、他人の視点に立って見ることが挙げられます。こっそり他人を観察する存在になるということです。

一歩引いてみることは、日々の様々な状況でChatterを管理するのに有効であることがわかっています。また、心の中で戦略的にタイムトラベルをする能力は、ネガティブな内なる対話を迂回するのに役立ちます。

心のタイムトラベルのメリットは、過去を俯瞰的に眺め現在に関するポジティブな物語を作り出すことだけでなく、心の中で未来や旅することにも恩恵があります。これは、「時間的距離の確保」と呼ばれるやり方です。心の中でタイムトラベルをして、過去や未来に思いを巡らせることで、時間的距離を意識することができます。

 

世界は常に流動的で状況は変化する

また、ある研究によれば、自分の経験を広い視野で見るための極めて有効な方法が明らかになっています。それは困難に遭遇している時に、その翌日ではなく10年後のそれについてどう感じるかを想像することです。こうすることで、人は自分の経験が一時的なものに過ぎないと理解することがで、希望が湧いてきます。

世界は常に流動的で状況は変化します。この理解のもとでネガティブな経験をしたときに、これを思い出すと、心は随分と楽になるのではないでしょうか。そして、想像するのが苦手に感じる人には、この方法以外にも内なる声の反芻と戦う方法があります。

それは、最も動揺したネガティブな経験について、15~20分かけて書き出すという方法。できれば何が起こったのかの物語を創作するつもりで書き出してみてください。そうするだけでも気分が良くなって、医者にかかる頻度が減り、免疫機能が健全になるという結果が出ています。

 

日記をつける効果

物語を創作する語り手の視点から自分の経験に焦点を合わせることによって、日記をつけるという行為は経験からの距離を生み出します。そして経験に縛られているという私たちの感覚は薄まります。

日記を書くのが苦手な人は、一人称を変えてみるのも効果的です。一人称の“私”の代わりに、二人称の“あなた”や、三人称の“彼”“彼女”を使うことで、感情的な距離を取るためのメカニズムが手に入ります。

普遍的な“あなた”を使うことで、ネガティブな経験の意味を理解したり辛い出来事を自分に特有のものではなく、人生の一般的な特徴であるとみなすことができます。それによって、個人的な逆境がより一般的な世界の仕組みへと結びつけられます。

ここまでのように、距離を置いた状態をつくることのメリットは、いくつもの実験で証明されています。主なメリットとしては、

  • 第一印象が良くなる。
  • ストレスのかかる問題解決、課題でパフォーマンスが改善する。
  • 賢明な推論を促進できる。

というようなことです。さらに自分の名前を口にすることで、気持ちを落ち着かせることに成功した事例もあり、これも距離を置いた自己対話です。心の中でタイムトラベルする自分の考えや気持ちについてじっくり考えるために、日記をつける。こっそり他人を観察する。過去の経験を振り返るために目を閉じる。これらの一つ一つは、とても簡単です。

しかし、実際にやってみると、少し印象が変わるかもしれません。というのも、感情をコントロールするには時間がかかり、これらの簡単なことでさえも、努力を要します。実行に移すのは必ずしも容易ではありません。

 

Chatterと上手に付き合う

そして、内なる声は完全になくすべきなのかを考える必要もあります。Chatterにはまり込んでいる時は、欠けている視点を得られたりします。また経験から教訓を学ぶことによって、気が楽になったりもします。

Chatterは思考を曇らせ痛ましい感情で私たちの頭をいっぱいにし、やがては大切な健康や希望や人間関係を損なってしまうのは事実。しかし、実のところまともな人生を目指すなら、内なる声は絶対に失ってはならないものですし、良い人生を目指すならなおさらというのが著者の意見です。

自分自身との会話がネガティブな内容になる場合も、それ自体は悪いことではありません。内なる声に傷つくこともあるかもしれませんが、恐れ・不安・怒りなど様々な形の苦しみを経験する力も、少しずつ使えばとても役に立つはずです。

そのような経験のおかげで、環境の変化にうまく対応できる。痛みを引き起こすからこそ価値があるということです。人間には内なる会話による痛みが時々は必要です。ネガティブな精神状態を完全に避けるのではなく、その状態に押しつぶされないことが大切です。

今回紹介したイーサン・クロスさんの書籍「Chatter 頭の中の独り言」は、おすすめの本ですのでぜひ読んでみてください!

 

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