一度は訪れたい!上質な光の空間が味わえる有名建築 ①

わくわくするデザインの豆知識


みなさんは建物の中にいるときに光を意識したことはありますか?

イルミネーションや花火などは誰もが分かりやすい光の演出かと思います。

ただ、私たちが日々過ごしている建物にも無意識的に、様々な細かな演出が施されています。

建物を設計するときには、当然四方を屋根と壁に囲まれているため、どこかに窓のような穴があるか照明を使うかで光を採り入れることになります。

その穴(開口)や照明で光を足し引きしながら理想の空間を演出していきますが、その足し方によって、ただ明るい、見やすいといった機能を超えた空間の広がりやモノの質感といった感覚に訴えかける仕掛けも可能となります。

今回は実際に筆者が訪れた上質な光に包まれる建築の空間を通して、普段は無意識的に見落としがちな光の演出事例を2つ解説していきます。

一度は訪れたい!上質な光の空間が味わえる有名建築 ②

ジェームズ・タレルは、なぜ未知の光を作品にできるのか(光の館ほか)

1. ホールを満たす拡散光!グッゲンハイム美術館

写真:筆者撮影

1つ目は20世紀アメリカ建築界の巨匠、フランク・ロイド・ライト設計のグッゲンハイム美術館です。
彼が唯一ニューヨークに作った作品で、竣工までに17年の歳月がかかり、その完成を見ることの出来なかった生涯最後の作品となっています。

クリーム色のコンクリート壁面が螺旋状に立ち上がった展示空間は、一般的なキューブ型と違い、まるで回廊を散歩しているような気分にさせてくれます。

入館するとエレベータで最上階まで昇り、ゆっくりとスロープ状の螺旋を降りながら途切れることなく連続的に作品を鑑賞出来ます。

2層のガラスで構成された中央のスカイライトは、外側のガラスにフィルムが貼られているため、異なる角度から入射した直射日光を拡散させ、ホールに安定した光をもたらしています。

ホール全体に満ちた光は、人やモノにはっきりとした影を落とさせず、ぼんやりとした雰囲気に包まれます。

また、ホールは上に向かって先つぼまりな形態をしているため、下から見上げるとスカイライトはより強調されて見えるようになっています。

スカイライトを見上げた状態 写真:yukino kano

一方で、作品の展示されている外周部には自然光と人工照明を併用することで光を集中させ、作品以外の鑑賞者や回廊内側の壁はシルエットとなります。

こうすることで、対照的により一層特徴的な螺旋の構造を際立たせています。

回廊は光沢感のある仕上げになっていて、鑑賞者の影や作品の色をよく反射することで回廊の空間に彩りを演出しています。

ホール内部から外周部を見た状態 写真:いしい ひい

このようにグッゲンハイム美術館は、建物の形態と展示方法、空間演出が見事に調整された美術館と言えます。

 

2. 迫り来る光のグラデーション!ロンシャン礼拝堂

ロンシャン礼拝堂 建物外観 写真:筆者撮影

2つ目はこれまた有名、その力強く自由な造形で世界に衝撃を与えたロンシャン礼拝堂です。
設計は現代建築の巨匠、ル・コルビュジエ。

建物は鉄筋コンクリート造とレンガ造で構成されています。

飛行機の翼のような屋根が特徴的で、それを厚みをもった白い壁が持ち上げているのですが、屋根と壁の間に10cmほどの隙間を設けることで、内部から見た時に屋根に浮遊感を与えています。

ロンシャン礼拝堂 内観 写真:筆者撮影

南側のぶ厚い壁(上の写真右側)は最大厚さ3mにもなり、様々な大きさと角度をもったメガホン状の穴からステンドグラスを通して、反射した無数の拡散光が内部に注がれます。

各穴は角度が違うため、太陽と雲の動きによって刻々と表情を変化させていきます。

出典: LTL Architects; from Paul Lewis, Marc Tsurumaki, and David J. Lewis. “Manual of Section”, 2016, Princeton Architectural Press

写真:筆者撮影

屋根から飛び出た3つの塔からは横から入った直射日光を丸い頂部で折り返しながら下に反射させていて、ざらざらと凹凸のある壁が反射光に陰影を与えるので、視覚的には対照的な凸部分の白さが一層際立つ仕上げになっています。

塔の下に入ると、まるで光のシャワーを浴びているかのような気分になります。

塔頂部からの反射光 写真:筆者撮影

 

今回は建築の光に焦点を当てて解説してみました。

光の演出が素晴らしい建築はまだまだあるので、また次回解説したいと思います。

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