『テクノロジーが予測する未来 web3、メタバース、NFT…』要約【伊藤穣一の語る未来】

a display case filled with lots of plastic bottles 時代を生き抜く考え方・哲学

時代の変化に取り残されないために、必要なものは2つ。

テクノロジーに対するリテラシーと、そのテクノロジーによって社会はどう変わるのかというビジョンです。

この記事では、ベンチャーキャピタリスト、起業家、作家、学者として、主に社会とテクノロジーの変革に取り組む、伊藤穣一(Joi Ito)さんの書籍「テクノロジーが予測する未来 web3、メタバース、NFTで世界はこうなる」を紹介します。本書は、

  • メタバースって何?と漠然と思っている
  • インターネットの発展に興味がある

という方におすすめです。

日進月歩で変化が激しい分野ですが、未来予測には必須のジャンルですので、今回でぜひ基礎を押さえてみてください!

 

1. web3

a set of three white and yellow bitcoins sitting on top of a black

 

Webの黎明期には、中心というものはなく、分散的なサーバーが世界中に点在していました。

そこから大企業などが参入。そこでは、すでに用意されている情報を閲覧することが主となっていきました。

これをWeb1.0と呼びます。

続くWeb2.0では、サーバーを貸し出す企業が登場しSNSの流行やブログの発展に伴い、これらの場を提供している企業の力が大きくなりました。

Web黎明期にインターネットの利点であった非中央集権的な構造が消え、プラットフォーム企業を中心に展開する中央集権的な構造に。

その流れで生まれたのが、web3のムーブメントです。

 

web3では、ブロックチェーンという新しい技術が登場したことにより、再び様々な非中央集権的な試みが行われています。

つまり、web3がWeb1.0、Web2.0と決定的に違う点は分散的=非中央集権的ということにつきます。

 

クリプトエコノミーは、いまWindows98

例えば、SNSの場合FacebookではFacebookのアカウント、TwitterではTwitterのアカウントと、SNSごとにアカウントを開設し、それを別々のSNSに持ち出すことはできません。自分のアカウントはプラットフォームの所有物だからです。

しかし、web3では自分の取引記録となるトークンが全てブロックチェーンに記録されます。例えば、NFTマーケットプレイスのOpenSea

ここでデジタルアートを購入した場合、Web2.0まではOpenSea内でしか使えませんでしたが、web3では別のNFTマーケットプレイスでも扱うことができます

また、web3ではクリプトエコノミーという新しい経済圏が形成されています。それに対して、法定通貨の世界をフィアットエコノミーと呼びます。

クリプトエコノミーで何らかの経済社会活動をしている人は、現在世界人口の2.5%ほど。

これは、Web1.0の頃、Windows98リリース前後のインターネットユーザー数に近い数字です。従って今後クリプトエコノミーへの人口移動は加速すると予測されています。

 

民主的なWAGUMIプロセス

Web3の定義は人により異なりますが、本書では簡単に言うと、トークンが行き交う世界としています。

トークンは代替可能なファンジブルトークン代替不可能なノンファンジブルトークンに分けられ、ファンジブルトークンには、通貨的なトークンと証券的なトークンがあります。

例えば、「日本の空き家問題を解決しよう!」というプロジェクトの分散型自立組織(DAO)に賛同し、参加したい場合、そのDAOが発行するガバナンストークンを購入するだけです。

DAOは株主経営者などの区分がなく、みんながトークンホルダーという点で、同じ立場。社会組織にあるような上下関係が存在しません。

 

トップダウンの意思決定ではなく、参加者全員による民主的なプロセスで物事が決められます。

トークンは他のメンバーにあげることもできるので、例えば自分の専門外のことで議決をとることになったら、その分野のエキスパートに直接委任することもできます。

つまり、web1.0は読む、Web2.0は書くに対し、Web3は参加するになると著者は定義します。

Web3界隈ではよく、WAGMIというスラングが使われます。

これは「We are gonna maked it」“自分たちならできる!”の略で、誰かが指示して誰かが従うというニュアンスとは真逆の、参加者みんなで達成しようきっとできるさという士気の表れです。

 

2. メタバースとNFT

a person holding a coin

 

ここからは、本書でのメタバースとNFTの解説を、簡単に紹介します。

メタバース

メタバースと聞くと、バーチャル・リアリティの中で人と交流したり、アクションを起こしたりするという認識が一般的。

しかし、それではあまりにも広義すぎるので、本書ではオンライン上でのコミュニケーションを前提として仮想通貨やトークンなど、何らかの価値の交換が行われている空間を、メタバースのあるべき姿としています。

また、メタバースには重要なキーワードがあります。それは、多様性。

ここでは、Facebookなどのプラットフォームごとの分断がなく、オンライン上の様々なコミュニケーション空間が一緒になって、超越した(メタ)1つの世界(バース)を形成していく。

したがって、空間と空間の行き来は自由で、誰もが等しく参加できる必要があります。

 

NFT

NFTとは、代替できない価値を持つトークン。

これまでは、デジタルデータをコピーできるから代替可能と思われていましたが、ブロックチェーンの技術により、デジタルでありながら唯一無二の価値を持つものが登場しました。

NFTもまた、コミュニティ参加がポイントと言えます。

NFTは非代替性トークンであるため、例えばコミュニティ内で何かいいことをしたら発行されるバッジみたいなものをNFT化し、その行動を取った人にあげるといった使い方ができます。

「私はこのコミュニティに参加していて、こんな貢献をしました!」という証になるのです。

 

3. 働き方の変化

man sitting on red chair

 

web3では、個人の働き方は組織ベースではなく、プロジェクトベースになっています。

分散型自立組織(DAO)は会社組織ではなく、プロジェクトごとに立ち上げられるので、個人は自分の興味があり、貢献できそうなDAOに参加して働くことになります。

そこでは本業という概念はなく、同時多発的に複数のDAOに参加することが当たり前になっていきます。

通常、会社を作るには、弁護士、定款、自己資本金、資金調達雇用など、時間も手間もお金もかかります。

しかしDAOであれば、全てがブロックチェーン上で行われるため、独自トークンの発行なら5分、Discordのサーバーを立ち上げるなら10分程度と非常に手軽に立ち上げることができます。

その上、ブロックチェーンであるため、信頼性に欠けるという問題も起こりません。DAO同士のつながりも、従来の会社間のつながりより手軽で強く結びつくことが予測されます。

 

DAOどうしの共働

DAOではトークンを交換することがありますが、お互いの価値が高くなれば交換したトークンの価値も高くなるので、お互いに協力して成し遂げよう!という動機付けがより強く働きます。

DAOはプロジェクト単位で立ち上げられるため、様々な役割が必要です。そのため、自分には手に職がないから無理と思った人でも貢献できる何かがあります。

DAOに参加することは「何か手伝えるではないだろうか?」と役割を探しに行くようなもの。

自分から「これやります!」と手を挙げるようになっているので、働き方を組織に決められるわけではなく、自分で決めていきます。

 

法的な課題あり

課題としては、まだ法的立場が明確でないという点です。DAOはすでに既存の国家による法の支配を超えたところで機能してしまっており、それがweb3の常識になっています。

最も先進的な例としては、アメリカのワイオミング州でDAOを法人とした認めるDAO法が制定されました。

一方で、日本ではようやく議論が始まる段階です。

このあたりの法整備が進めば、DAOによる仕事や働き方の劇的な変化はより、大きな社会的ムーブメントになっていくでしょう。

 

4. 文化の変化

water flowing through brown wooden pipe into surface

 

例えば、神主さんがお祓いをしたお守りとそうでないお守りがあるとします。

Web3では、お祓いしたことは、ブロックチェーンの記録によって、それらの違いを証明できます。

このように、物理的にはほとんど何も変わらないものに対して、代替不可能(ノンファンジブル)な価値を持つものの情報を載せて発行されるのがNFTであり、その情報の信憑性を担保するのがブロックチェーン技術です。

 

アーティストに還元される仕組み

これにより、アーティストが自分で自分のアート事業をマネジメントできるようにもなりました。

従来の仕組みでは、アーティストは画廊などに売り込み、出品して買い手がついたとしても、成約報酬として仲介者へ多額の手数料を支払うという仕組みでした。

しかし、NFTのマーケットプレイスに出品した作品に買い手がつけば、そこでまず収入が得られ、ブロックチェーン上に履歴が残っているため、NFTが転売される毎に、アーティスト本人にも利益が還元されるという仕組みが可能となっています。

このように、アーティストがアートでしっかり制御を立てられるようになる可能性を広げたのが、NFTの大きな利点です。

 

Bankless(銀行なし)

また社会的ムーブメントとして存在感を増しつつあるのが、Bankless(銀行なし)を掲げるアメリカの若者たちです。

彼らは、クリプトエコノミーで稼いだ仮想通貨を仮想通貨ATMで現金に変えて、ランチを買ったりしています。

稼ぎはクリプトエコノミーで受け取り、フィアットエコノミー(法定通貨)での活動は消費だけ。したがって、銀行に現金を預金する必要がない。それが、Banklessというムーブメントです。

現時点では、まだまだ法整備やインフラが追いついていない国が大半ですが、クリプトエコノミーへの人口流入は、世界各地で確実に進んでいます。世界中で当たり前のようにして暗号通貨が使われる未来も、十分あり得るでしょう。

 

5. アイデンティティ

man in track suit wearing VR headset standing on tennis court

 

現実世界の場合、自分の身体性によって様々に自己を規定し、自分を自分という一つの枠組みに閉じ込めています。しかし、バーチャルリアリティの中では、自分が望む姿のアバターで存在できます。

例えば、足に障害がある人が、メタバース内のアバターで思うがままに旅をしたり、飛んで跳ねたりすることができる。

これこそが、先に説明した誰もが等しく参加できるメタバースの多様性です。

 

また、自閉症やADHDなど発達障害の人は、人と相対してコミュニケーションが苦手な場合が多いです。

しかし、メタバースに入ると、生き生きとスムーズに他者とコミュニケーションを取り始めるそうです。

現実世界で不便に感じなくとも、日常的に人は様々なレベルで無意識のうちに自分を規定し、他者からも規定されています。

そういった意味で、メタバースは“顕在的・潜在的な不平等がはびこる現実世界”に生きる私たちを力づけるものになります。

そう捉えると、ただの仮想世界と侮ることはできないですよね。

 

今回紹介した、伊藤穣一(Joi Ito)さんの書籍「テクノロジーが予測する未来 web3、メタバース、NFTで世界はこうなる」について、まだまだ紹介できていない部分が多いです。

これからの未来を予測し、ワクワクできる内容ですので、ぜひ読んでみてください!

 

a bitcoin and bitcoin logo on a black background

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