科学的に先延ばしを克服する!『やる気に頼らず「すぐやる人」になる37のコツ』要約

persons right foot on white wall 日々を豊かに、丁寧に暮らすコツ

 

さっきまでやる気があったのに、なぜ動けないのでしょうか?

本当はやる気がない、意志が弱い、性格的な問題など色々と考えてしまいますが、あなたを動かしているのはあなた自身の脳です。

この記事は、太平信孝さんの「やる気に頼らず「すぐやる人」になる37のコツ」という本を紹介します。本書はつい先延ばししてしまう人のために、脳科学・心理学の知見を生かした方法を教えてくれます。また、やる気は行動して初めて湧いてきます。どんな小さなことでも、まずは行動。いかに行動する人間になれるか、その方法をギュッと濃縮して解説していきます!

 

1. 行動に初速をつける方法

women running on track field

 

まずは本書から、行動に初速をつけるための2つのポイントを解説します。

仮決め、仮行動でよしとする

思うように行動できない人の共通点の一つは、ちゃんと決めてから動きたい、失敗しないようしっかり計画を立てたいという心理があります。もちろん、何も考えず準備もせずに行動しても成果には繋がらないでしょう。一方で、考えることばかりに時間とエネルギーを注ぎ、それだけで終わってしまうこともよくありますよね。

しっかり計画を立ててから行動したいという考え方は、あなたを行動に移せなくしている原因かもしれません。すぐに行動に移せるようになるには、まずは量、そして質という順番を意識することが大切です。すぐ動き出せない人は大半、まずは量というこの順番が守れていません。行動量を増やすという第1段階を無視して、いきなり質を求めてしまうのです。

 

質にこだわってしまう時に意識するのは、「仮決め、仮行動」というスタンスです。例えば、筋トレを始めたいと思っているけれど、ジムに通うのと、自宅でトレーニングするの、どちらがいいか悩んでしまうこともあるでしょう。そんな悩みで迷っている人は、とりあえず今すぐ10回でも良いので腕立て伏せや腹筋をしてみる。これが仮決め、仮行動です。

まずやってみると、腕立て伏せが一度に10回もできなかった、それどころか筋を痛めてしまったなど、思いがけない結果になるかもしれません。しかし、これは失敗でしょうか?

当然、失敗ではなく、行動して得られた成果です。腕立て伏せが10回できないのなら、1日3回から始める、膝をついた状態から始めてみるなど、自分に合った負荷のかけ方を知ることができます。また、筋を違えてしまったのはやり方が間違っている可能性が高いと考え、インストラクターがしっかり教えてくれるジムを探して、そこに通ってみてもいいかもしれません。

 

筋トレの例のように、仮決め、仮行動をして、初め想定したことと違った結果が出た場合は、軌道修正をすればいいだけです。また、仮決めでも一歩踏み出して行動することで、脳の側坐核という部分が刺激されて、やる気や幸福感が得られる脳内物質“ドーパミン”が放出されるので、次にもつなげやすいです。

そして、行動を通じたさまざまな身体の反応や肌感覚といったフィードバックが得られるため、今後どうするか経験を基に決断しやすくなります。慣れないうちは、躊躇してしまうこともあるかもしれません。しかし一度試してみると、仮にうまくいかなくても、ダメージが意外に小さいということが分かります。一度試して知ってしまえば、次は迷わず行動に移すことができるでしょう。

考えすぎて何もできないという負のスパイラルから脱出するためにも、ぜひ仮決め、仮行動をしてみてください。

 

試しに10秒だけ動いてみる

仮決め、仮行動をしようにも、体が思うように動いてくれない。そんなときは、はじめの一歩のハードルを可能な限り低くしてみることが有効です。まずは試しに、10秒でできることにチャレンジしてみましょう。パソコンを立ち上げる、本を1ページ読む、参考書を開く、玄関でランニングシューズを履いてみる、何でもOKです。著者はこれを、10秒アクションと命名しました。

たった10秒だけでも、その後に劇的な変化が訪れます。なぜかと言うと、10秒アクションした段階では、失敗する人はいないからです。失敗しないということは、その後の行動につながり易いです。10秒やってみて、そこからスムーズに続けられるのであれば、そのまま継続しましょう。

 

10秒アクションの有効性は、脳科学的にも証明されています。人間の脳は生命活動を維持するために、できるだけ変化を避け、維持しようとする防衛本能があります。一方で、可塑性という性質もあり、ほんの少しずつであれば、変化を受け入れることができると言われています。

つまり、10秒というわずかな行動であれば、脳はその変化に対応できるということです。また、10秒という小さな一歩でも、脳の側坐核を刺激してドーパミンを放出する効果があります。やる気が出てくるのを待っていても、永遠に行動する時はやってきません。まず10秒動くことで、やる気は後から付いてくるのです。

 

2. 行動ブレーキの外し方

black standard motorcycle

 

ここからは、行動ブレーキの外し方について、本書から2つのポイントを解説します。

仕事終わりに、明日一番にやることを仮決めする

朝出社してから仕事のエンジンがかかるまでに、時間がかかることはありませんか?

「今日は何から取り組もう。そういえば、今日が締め切りの案件があったな。昨日まだ途中だった案件はどうしよう。」などと迷っているうちに、気がついたら30分も過ぎていたこともあるでしょう。何をするか明確に決まっていないため、着手に時間がかかってしまっているのです。

これを回避するためには、前日のうちに翌朝一番にやることを決めて、メモ書きしておくことが有効です。一日の仕事を終える時は、まだ頭は仕事モードのままです。その状態でスケジュールを確認し、明日一日の流れをシミュレーションしておくということです。その時に、翌日のキーアクションを3つ決めます。そして、翌朝の仕事始めに、キーアクションの中から1つ選んで実行するだけで、スムーズに着手できます。

例えば、“ずっと先延ばしにしていた企画書を完成させること”が、明日の最も達成したいことだとしたら、過去の類似の企画書を読む、ラフで案を15分だけ作る、参考資料をネットで探すなどです。もし選んだ1つが上手く動けなかったら、残り2つのうちどちらかに改めて着手すればいいです。あらかじめ複数のキーアクションを準備しておくことで、1つ目がうまくいかなくて仕事が止まってしまうことを防ぐことができます。

 

あれもこれも気になってしまうときは、紙に書き出す

メールの返信、提出期限の迫っている書類の作成、体調、週末のイベントなど、さまざまなことが気になって、今やるべきことに集中できないということがないでしょうか?

マルチタスクという言葉がありますが、厳密に言えば人は一度に一つのことしか考えることができません。気になる案件で頭の中がいっぱいになってしまうと、目の前のことに集中できなくなってしまうのが普通です。そんな時は、一度気になっている案件を全部書き出してみましょう。

手順は、

  • 気になっていることを、思いつくままに紙に書き出す。
  • 書き出した紙を眺め一つずつ対策をメモする。

というたった2ステップです。例えば、来月のランチの予約→今週中にリサーチして候補を選ぶ。メールのチェックを忘れていた→夕方にまとめて返信する。住宅ローンの支払い→銀行の残高を確認して振込む。来週の会議室の予約→まず予約する。

このように、文字として書き出すことで、頭の中のモヤモヤとした抽象的な思考が可視化されます。頭の中だけだと、処理するのが難しいですが、見える化することで驚くほど扱いやすくなります。

 

3. 行動思考の身に付け方

silhouette photo of man on cliff during sunset

 

ここからは、行動をする際の思考の身に付け方について、これも2つのポイントを解説していきます。何について行動していいか分からないという方は、参考にしてみてください。

欲望にフォーカスする

例えば、与えられた仕事の目標を達成するために、顧客にアポイントを入れなければならないなのに、なかなか行動に移せないという方も多いと思います。なぜ明確な目標があるのに、動けないのでしょうか?

それは、その目標に欲望がないからです。正直つまらないし、その気にならないのだから行動のスイッチも入りません。人は欲望がなければ、行動する意欲が湧かないものです。逆に言えば、自分が本当にやりたいことなら、いくらでも続けられるという性質を持っています。つまり、欲望なき目標は、真の目標とはいえないのです。一度、制約を外して欲望について考えてみましょう。

 

例えば、経営者になりたい、海外に移住したい、趣味を生かして独立したい、田舎に引っ越して農業を始めたい、エベレストに登りたいなど、人によって様々な欲望があると思います。これらの夢や目標は、心の奥底に秘められ、顕在化していない人も多いので、思いつかない方はまずは自分の欲望を知ることから始めましょう。

欲望と聞くと悪いイメージを持つ方もいるかもしれませんが、欲望は心の奥底にある純正な気持ち、心を揺さぶるような希望・願望・期待といったものです。私たちの脳には、大脳辺系という本能・行動や情動に重要な役割を担っている古い脳と、大脳辺系の上にある大脳新皮質という新しい脳があります。古い脳は生命維持の為に働き、感情と行動を司ります。

一方で、新しい脳では状況に応じて適切な行動するために高度な学習能力があり、言語を司っています。つまり、いくら目標を明確にしても、言語レベルでの目標であれば、古い脳の行動には中々つながらないです。

頭の中では行動した方がいいとわかっているのに行動できないのは、まさにこの状態です。“感動”という言葉はあっても“知動”という言葉がないように、人は感情で行動する生き物です。すぐ行動したいなら、感情から行動へとつなぐ古い脳を働かせる必要があります。こうした点からも、欲望を使えば、いつでも自在に古い脳から行動にアプローチができるのです。

 

頭の声・身体の声・心の声を分けて聞く

私たちの思考は、頭の声、体の声、心の声の3つに分けられます。頭の声とは、普段考えていること、しなければならない、すべきといった義務感です。体の声とは、体の状態やコンディションのことで、肩がバキバキだとか、喉が痛いなどです。心の声とは、感じることや、気持ち、〇〇したい、〇〇が欲しいという欲求です。

普段私たちが自分の気持ちを考える際は、これら3つの声が混在したり、特定の声だけを聴いたりしがちです。例えば、なかなか行動できないと悩む人は大半、頭の声だけを聞いています。また、体調の不調が続いている人は、体の声を無視し、肉体を酷使していることが多いでしょう。まずは自分の欲望を知るために、毎日少しの時間3つの声を別々に聞いてみてください。

そして、内に秘められた心の声を顕在化させていきましょう。自分の欲望を知るコツは、心の声に耳を傾けることです。多くの人は目標を立てる際に、自分には無理だ、お金がないと言った頭の声が邪魔をして考えることをやめてしまいます。心の声に蓋をしてしまっている状態です。心の声を顕在化するために必要なのは、自分との対話です。具体的には、“本当はどうしたい?”というシンプルな質問を、自分に問いかけるだけです。

 

過去の失敗や現場の忙しさなどの雑念や言い訳は置いておいて、自分自身に本当はどうしたいのかを問いかけ、そこから理想の未来をイメージします。最初のうちは、いま忙しいし同僚に迷惑がかかるから頑張らなきゃというような、頭の声が聞こえてくるでしょう。頭の声が聞こえたら、そこでもう一度、“でも本当はどうしたい?”と問いかけます。

これを続けていると、最近体調が悪いし、肩こりも辛い、夜はよく眠れないし、以前より仕事に集中できなくなったというような、体の声が聞こえてくるでしょう。そこからさらに、“それなら、本当はどうしたい?”と問いかけます。

すると、2~3日休みをとって頭と身体を休ませたい、ゆっくり温泉に浸かりたい、趣味のプラモデルに没頭したいといった心の声、つまり欲望が聞こえてくるはずです。このようなステップを踏むことで、自分の本音が少しずつ顕在化してきましょう。

 

今回紹介した、太平信孝さんの「やる気に頼らず「すぐやる人」になる37のコツ」については、まだまだ紹介していないコツが多くあります。もっとコツを知りたいと思った方は、ぜひ本書を手にとってみてください。

 

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