個性的な器で食卓を彩りたい。そんなことを考えたことありませんか。
ここぞという時に使う一点モノの器があると、いつもの食卓が違って鮮やかに映ったりします。
そこでオススメしたいのが“スリップウェア(Slipware)”です。
スリップウェアは泥状の化粧土(スリップ)で紋様が描かれた陶器で、まるで古代から発掘されたかのような見た目をしています。
この記事では、そんなスリップの歴史と技法、手に入るショップを紹介します。
1. スリップウェアのあらまし
スリップウェアは板状の生乾きの素地に化粧土を掛け、その上にスポイトのような道具で化粧土を垂らしたり、指で線を描いたり、引っ掻いたりして紋様をつけた陶器です。
紋様をつけた後に成形し、釉薬を掛けて低温で焼成します。化粧土で一筆書きのダイナミックな紋様を描いたり、釉薬で山吹色などの温かみのある色を出しているのが特徴です。
スリップ技法の起源は意外なほど古く、新石器時代(紀元前7000頃)まで遡り、メソポタミアやエジプト、中国などの文明を経て、ローマ帝国時代へと世界中でつくられていました。
イギリスでは18〜19世紀に庶民の器として発展するものの、産業革命後の大量生産品に押されて一時は衰退します。

バーナード・リーチ 出典:Wikipedia
その後、20世紀に日本で民芸運動が盛んになった時期に、陶芸家のバーナード・リーチや濱田庄司が古いスリップウェアをイギリスから持ち込み、日本各地でその技法を伝授したことにより広く知られることとなります。
現在は当時の流れをくむ窯元や陶工、個人作家が生まれ、それぞれの好みにあった土や釉薬で現代のスリップウェアをつくっています。
2. 多様な紋様の一例を紹介
スリップウェアの代表的な紋様を紹介していきます。
【一筆模様】 文字どおり一筆でダイナミックに描く紋様です。
【縞紋様】 直線を平行に素早く描くシンプルな紋様です。

引用画像:中目黒SML instagram
【フェザーコーム】 平行に紋様を入れた後に竹ひごや鳥の羽の芯で、直角に線を入れる紋様です。

引用画像:中目黒SML instagram
【格子紋様】 縦と横の線を組み合わせ、二連や三連、波線と自在にアレンジする紋様です 。

引用画像:中目黒SML instagram
▼スリップウェアの作業工程の参考動画です
3. 都内でスリップウェアが手に入るショップ
最後に都内でスリップウェアが手に入るショップを紹介します。
民藝の流れをくみつつも、現代的エッセンスのある陶磁器やガラス器などが揃っています。
東京メトロ日比谷線・東急東横線 中目黒駅より徒歩7分
東急東横線 代官山駅より徒歩12分
日本で唯一の現代イギリス陶芸専門店。
東急東横線 都立大学駅より呑川緑道に沿って徒歩20分
西麻布にある器のギャラリー。生活に根付いた工芸作家のうつわが揃います。
東京メトロ日比谷線・都営大江戸線 六本木駅より徒歩10分
ネットショップなどでも手に入りますが、実際に手にとってこれだ!という器に出会うのも一期一会だと思います。
ぜひお店にも足を運んでみてください。