あの有名人は、なぜ成功をつかみ取ることができたのか。
そんな素朴な疑問を持ったことはありませんか?
この記事では、アレックス・バナヤンさんの「サードドア」を紹介します。
2018年6月にアメリカで刊行された後ベストセラーとなり、2019年8月に日本語版が発売されると同時に日本でも大人気になった本です。
本のタイトルである“サードドア”とは何なのか。
人生もビジネスも成功もどれもナイトクラブみたいなもので、常に3つの入り口が用意されています。ファーストドアは正面入口で、長い行列が続いていて入れるかどうか気をもみながら99%の人がそこに並びます。セカンドドアはVIP専用の入口で、億万長者やセレブや名家に生まれた人だけが利用できます。
そして、いつでもそこにあるのに、誰も教えてくれないドア。それが、“サードドア”です。行列から飛び出して裏道を駆け抜け、何百回もノックして、窓を乗り越え、キッチンをこっそり通り抜けたその先に必ずあるドア。ビル・ゲイツがソフトウェアを販売できたのも、スティーブン・スピルバーグが史上最年少で監督になれたのも 、みんなサードドアをこじ開けたからです。
彼らはどうやってそのドアを見つけたのでしょうか? その秘密を少しのぞいてみましょう!
1. 億万長者は、どうやって成功を掴んだのか?
著者のアレックスは学生時代、大学の勉強に興味を持てずにいました。そんな時、大学の図書館でビル・ゲイツの自伝を読んだアレックスは衝撃を受けます。そこには自分と同じ歳で会社を立ち上げて、世界一の億万長者になった男の話が書かれていました。
彼は一体どうやって第一歩を踏み出したんだ!
それが気になってからというもの、アレックスは成功者の自伝を次々と読み進めます。スティーブン・スピルバーグという映画学校では認められなかった若者が、どうやって大手スタジオの監督になれたのか。19歳のレディー・ガガは、ニューヨークでウエイトレスをしながら、どうやってレコード契約にこぎつけたのか。答えを探しましたが、それが書かれている本はどこにもありません。
いっそ自らインタビューしてみよう
「誰も書いてないなら、いっそ自分で書くのはどうだ?」
「ビル・ゲイツに連絡をとって、インタビューをしたらどうだろう。」
アレックスは遠く離れたビル・ゲイツにインタビューするための費用を稼ぐために、クイズ番組「Price is right」に出演し、優勝商品のヨットを売って資金を用意します。この「サードドア」という物語は、アレックスがビル・ゲイツにインタビューをすることを最大のミッションにするところから動き始めるのです。
その後、実際にアレックスはビル・ゲイツに会ってインタビューをすることに成功するのですが、この本のメインパートはそこではありません。アレックスはビル・ゲイツにたどり着くまでに、何度も何度も挑戦をして回り道をして、その途中で様々な人に愛を助けられながら少しずつ近づいていきます。
経験不足で未熟だったアレックスの挫折と成長の物語こそが、「サード・ドア」の最大の面白さです。この記事では、その中から名場面を3つ取り上げて紹介をします。
2. 面白おかしく語れるかどうかで、違いが生まれるんだよ
アレックスはある時、ネット検索で、25歳の時にビル・クリントンやリチャード・ブランソンといった錚々たるメンバーを山奥に集めてサミットを主催した、エリオット・ビズノーという人物のことを知ります。
彼に自分のメンターになってもらいたいと思ったアレックスは、彼のことを徹底的に調べて、アドバイスがほしいというメールを送りました。すると、24時間後に返事が返ってきて、「明日か木曜日、ロスに来れるかい?」と言われます。
面白おかしく語れるかどうか
エリオットとホテルのロビーで会ったアレックスは、そのまま社内ミーティングに連れて行かれます。相手はスタートアップのウィークエンド創業者のフランクと、グルーポン創業者のブラッド。会話が進むうちに2人のゲストは、トイレや電話で一旦席を外します。その間に、エリオットはアレックスに尋ねました。
「ところで、お金はどうやって工面したんだ?」
「どうやってここに来た?」
アレックスは、テレビのクイズショーで優勝した商品のヨット売った話をしました。その途端に、「バカヤロー!」とエリオットは言います。「せっかくのミーティングでそんなおいしい話をしないなんて、もったいなさすぎる!」「誰だって、生きていれば何かしら経験する。それを面白おかしく語れるかどうかで、違いが生まれるんだよ。」
ゲストが戻った後、アレックスが2人にクイズショーの話をすると、「それはすごい!」と、テーブルの雰囲気が変わります。ミーティングの残りの時間、グルーポンのブラッドはずっとアレックスにアドバイスを聞かせて、 これからも連絡をし合おうと言ってくれました。人とつながる達人であるエリオットは、プレゼンテーションの大切さについてアレックスに理解させたその後も、彼のメンターになったのでした。
3. でも誰も頼んで来ないんだ
アレックスは友人の主催するパーティーで、ザッポスのCEO トニー・シェイに出会いました。トニーは「望みのリスト」と書いたクリップボードを持って、君の望みは何だい?と聞いて回っています。
アレックスは、「1日だけ貴方にくっついてあなたの生活がどんなものか見てみたいです。」と答えました。「分かった、いいだろう。」トニーは本当にアレックスをザッポスに招き、自分について回ることを認めました。
伝えないと実現には近づかない
ミーティングではトニーの隣の席にアレックスを座らせ、ミーティングが終わる度にトニーはどうだった?と意見を聞きました。ザッポスの従業員たちは、羨望のまなざしでアレックスを見ています。従業員の一人に声をかけられ、「僕の一番の夢はトニーの影になってお供をすることなんだ。どうして君はそんなチャンスをもらえたの?」と聞かれます。
一日が終わり、アレックスはトニーに尋ねました。「どうして他の社員の人にお供をやらせてあげないんですか?」トニーは、「喜んでやらせたいよ。でも誰も頼んでこないんだ。」と答えます。やりたいと思った夢は、それを伝えないと実現には近づけないということを、このエピソードが示しています。
4. 扉を叩くよ。これだという扉を片っ端からね
ラリー・キングは、CNNの「ラリー・キング・ライブ」 という番組で、延べ5万人にインタビューをした伝説の司会者です。アレックスが彼へのインタビューで、人生が変わったきっかけについて尋ねると、ラリーはこう答えます。
「自分の夢はラジオのアナウンサーになることだったが、どうすればなれるか分からなかった。22歳の時、フロリダに行って仕事を探し始めた。そこで私は扉を叩いただけだ。」
「扉を叩いたってどういうことですか?」とアレックスが尋ねると、ラリーは子どもに向かって話すように、「バン!バン!バン!」と言いながら、拳でテーブルを叩きます。隣りにいたラリーの幼なじみが言います。「ラリーは文字通りにいろんな放送局の扉を片っ端から叩いたんだ。自分を売り込んで、仕事をくれと言った。」
時代が変わっても変わらないもの
「なるほど。当時はそうですね。でも今の時代にキャリアを始めるとしたらどうしますか?」アレックスは続けて質問します。
「同じことさ、扉を叩くよ。これだと言う扉を片っ端からね。」
「ノックする扉ははるかに増えているだろう。インターネットはあるが、通信以外は何も変わっちゃいない。人間の本質は変わっていないんだ。」
ラリーが言っているのは、この人を雇いたいと決断するのは、今も昔も人間だということ。実際に会ったその人の目を見て、初めてその人が本物かどうかがわかる。同じ言葉でもメールで読むのと、直接会って本人から聞くのでは違うのです。
ということで、サードドアの中から名場面を3つ紹介しました。この本は名言の宝庫で、アレックスが関わった様々な著名人の思想や言葉がいたるところに表れています。アレックスはひどい失敗もたくさん経験するのですが、それ以上に思いがけない幸運にもたくさん恵まれ、ビル・ゲイツやスティーブ・ウォズニアック、レディー・ガガといった人たちへのインタビューを実現させます。最高にエキサイティングな本で、特にビル・ゲイツへ インタビューの場面は緊張感たっぷりですので、内容が気になった方はぜひ読んでみてください!