『「頭のゴミ」を捨てれば脳は一瞬で目覚める!』要約【脳をスッキリさせる方法】苫米地英人

two men wearing blue lab coats 時代を生き抜く考え方・哲学

 

頭の中に常に色々なモヤモヤを抱えていませんか?

この記事では、苫米地英人さんの「頭のゴミを捨てれば脳は一瞬で目覚める」という本を紹介します。頭のゴミを捨てれば、仕事や勉強や趣味に思いっきり集中できます。そして思考が冴え、これまでなら思いつかなかったようなアイディアが湧き出る頭になります。本書は、

  • 頭がもやもやしている
  • 感情に振り回されてしまう
  • 変わりたいのに変われない

という方におすすめです。感情に振り回されたり、他人のことが気になったり、これまでの自分のダメさ加減にモヤモヤしたり。それらのモヤモヤを本書では“頭のゴミ”と言います。

私たちの多くは、頭の中がゴミでいっぱいになってしまっています。この頭のゴミを捨てることができれば、思考がクリアになり、人生が好転していきます。どんな時でも頭が冴えて、仕事や勉強に集中でき、自分の目標に向かって行動できるようになります

では、どうすれば頭の中のゴミが捨てられるのか? 本書からその方法を学んでいきましょう!

 

1. 感情のゴミを捨てる

garbage bags on green grass field

 

突然ですが、あなたはやる気を出したいときに何をしますか?

コーヒーやエナジードリンクを飲む、顔を洗う、いったん寝る、など人それぞれいろんな方法があると思います。しかし、これらの方法を本書では勧めていません。なぜなら、一時的な対症療法にすぎず、その場しのぎでしかないからです。トリガーとなる行動でやる気が出るということは、逆に言えばやる気がなくなる度に、それらの行動を繰り返す必要があります。本当に必要なのは、対症療法ではなく、根本の治療です。

ここでの根本の治療とは、本書で解説されている“頭のゴミ”を根本からごっそり捨ててしまうことです。頭のゴミさえ捨ててしまえば、強制的なやる気スイッチがなくても、生き生きと活動できるようになります。

 

感情は生理反応

まずは、感情のゴミから手を付けましょう。人間の感情は、脳の“扁桃体”と呼ばれる場所が司っています。扁桃体は人間がサルであった頃から持っている、いわば古い脳。一方で、人間らしい能力である論理的思考や理性を司っているのは“前頭前野”と呼ばれる部分で、こちらは比較的新しい脳と言えます。感情に支配される人は、古い脳に支配されている人。つまり進化の度合いで言うと、人間よりもゴリラやサルに近いということになります。

また、感情が古い脳から発生するということは、単なる生理反応であるということを理解しておく必要があります。汗をかいたからといって、悩む人はいませんよね?多くの人は、汗は生理反応として仕方のないことだと諦められます。しかし、同じ生理反応である感情に対してはそう感じません。苛立ち、焦り、怒りといった感情にたやすく振り回され、悩んでしまいます。こう考えると、汗と同じ生理反応である感情に支配されることに矛盾を感じますよね。

 

2. 感情に支配されない方法

man sitting on chair covering his eyes

 

では、感情に支配されないためには、どうすればよいのでしょうか? それはズバリ、抽象度を上げることです。言い換えると、視点の高さを上げるということ。例えば、あなたという一人の人間を考えるとき、職場にいるあなたよりも、部門に属するあなたのほうが高い視点、つまり抽象度が高いと言えます。部署のあなたよりも会社のあなた、さらには業界のあなた、日本の、アジアの、世界の、人類の、と抽象度を上げていくと、視界が広がっていきます。

このように抽象度を上げると、どう感じるでしょうか。あなたが職場でイライラしているとき、あなたは自分一人しか見えていなく、抽象度が低い状態です。ここから抽象度を上げていくと、自分一人がイライラするという状態から、職場の中で一人イライラしている自分がいるという見方になり、自分が感情的だと職場の雰囲気が悪くなる、しっかりしなきゃ!と冷静に考えられるようになりますよね。

 

ゴールを持つ

さらに抽象度を上げて、部門としてのあなたになると、この部門には自分よりハードな状態の人もいるだろうと考えることもできます。会社のあなたになると、会社経営状況が厳しいからみんなイライラしがちだろうな、自分がムードメーカーになれば状況を良くできるかもしれない、と考えられるかもしれません。抽象度を上げて高い視点から見るほどに、感情からの影響を抑えることができる。つまり、感情というゴミを捨てられるようになります。

また、ゴールを持ち、常にそのために行動することで、抽象的に物事をみることができるようになります。ここでいうゴールとは、自分が重要だと考えている目的や目標のこと。目的や目標があれば、それに合わせて視点、つまり抽象度が上がります。実現したいことがあるときに、ひたすらに昼寝をする人はいませんし、自分の目標にとって目の前のプレゼンが大事なら、たとえ周りの同僚に嫌味を言われたとしても気分が萎えたなどと、言ってる暇はありません。ゴールが見えていれば視点が上がり、感情というゴミに振り回されなくなります。

 

3. 感情は娯楽である

boy in blue t-shirt and blue shorts holding dried leaves

 

ゴールに向けた感情以外はゴミであるということは、楽しい・嬉しい・幸せといったポジティブな感情でさえも、ゴミになり得ます。

  • いい服が手に入って嬉しい
  • おいしい食事が食べられてうれしい
  • ソシャゲのガチャでレアアイテムが手に入って嬉しい

といったような、一瞬で過ぎ去ってしまうポジティブな感情に振り回されることは、目的や目標に向かう上では邪魔になったりもします。

また、常にゴールを目指すという方法には、修練が必要です。そこで、感情というゴミを捨てるための考え方をもう一つ紹介します。それは、すべての感情を娯楽にすることです。感情は、人間がサルだったころからあるものだと話しました。感情は本来、怖いものや危ないものを避けるため、生き延びるためには必要だったということです。

 

感情は一種の娯楽である

しかし、現代において、生き延びるためにもはや感情は必要ありません。原始時代とは違い、巨大な動物に襲われることもありません。飢餓の不安もなくなりました。感情は時代の変化とともに絶対に必要なものから、必要はないけどあっても良いもの = “娯楽”になったということです。

面白い物語に触れて感じる、楽しい、嬉しいといった感情が娯楽であるように、普段の生活で腹が立つ、嫉妬する、後悔するというのも娯楽の一種なのです。感情は一種の娯楽であるとして、味わうくらいの気持ちでいましょう。

 

4. これまでの自分というゴミを捨てる

boy in green sweater writing on white paper

 

ここからは、過去の自分の扱い方について紹介します。結論から言うと、「あのとき、ああしておけばよかったなぁ!」と過去の自分を考えることに何の意味もありません。もしあの大学に合格していたら、あの会社に入れていたら、あの失敗さえなかったら。こうした後悔は、考えても何の意味もないです。実際にそうならなかったもしもの自分も、頭のごみの発生源です。

世界は過去の記憶の積み重ねで成り立っていると思いますか?

私たちは過去の記憶をもとにして自分はこんな性格だ、自分の能力がこの程度だなと考えてしまいます。また、私たちの見ている世界も、過去の記憶をもとにして出来上がっています。そして、昨日までのあなたが重要と思っていたものだけを今日も重要だと判断し、重要でないと思ったものは、自然とシャットアウトしてしまいます。

こうして心の状態を安定して保つようにする仕組みを、“ホメオスタシス”と言います。ホメオスタシスは人間の基本的な機能で、例えば体温などが当てはまります。人間の体温は、外の気温が10℃変わろうが20℃変わろうが、基本的に36℃前後にと持たれるようにできていますよね。ホメオスタシスは、人間が安定して生きていくために有用なものになります。

 

重要なことの大半は思い込み

一方で、これまでの自分を捨てるためには、弊害になってしまいます。なぜかというと、とにかく現状を維持するのがホメオスタシスの働きだからです。昨日までのあなたが重要だと思ってたものを、今日も重要だと判断することが、頭の中におけるホメオスタシスの働きです。ここで問題になるのが、昨日までのあなたが重要だと思っていたものは、大部分が他者からの刷り込みでできているということです。

 

あの大学に入っていれば、幸せになれただろう…という思い込みは、家族や学校からの刷り込みではないでしょうか? あの会社に入っていたら、幸せになれただろう…も、同じです。

そういった他者から刷り込まれた物差しを持ち続ける限りは、これまでの自分を捨てることはできず、頭のもやもやが残り続けます。過去が未来をつくる前提に立つ時、どうすればこれまでの自分を捨てることができるのでしょうか。その方法は、時間に対する考え方を変えることです。

 

5. 過去は未来に影響を与えない

black and white wooden signage

 

私たちは一般的に、時間を過去から現在、未来へと流れるものと考えています。実はこれは、ユダヤ教やキリスト教的な考え方に基づく時間感です。つまり、ひとつの物差しによる見方に過ぎいないということです。ならば、違うものさし、つまり違う時間感も存在します。アビダルマ(仏教哲学)ではユダヤ教やキリスト教とは逆に、時間は未来から現在、そして過去へと向かって流れているとされています。つまり、未来がどうなるかは、過去は一切関係ないということです。

例えば、あるゲームの発売日に、お店に買いに行ったとします。あなたはそのゲームお店で見つけましたが、残っていたのは最後の1本に手を伸ばそうとした時、サッと他の人がその一本を持って行ってしまったとします。あなたは、「ついてないなぁ…。」と思いながら、仕方なく違うお店に行きます。すると、そのお店ではキャンペーン中で、あなたは幸運にも欲しかったゲームを、定価の2割引きで買うことができました。

 

未来によって過去は変わる

この話では、最初の1軒目ではついていないと思っていたのに、2軒目では運よく安く買えたことで、全体としてラッキーな話に変わりましたよね。つまり、未来によって過去が持つ意味が変わったということです。もし1軒目で買えていた場合には、2軒目で2割引で買えるという幸運には出会えていません。1軒目で出会った不運は、2軒目で出合う幸運のために必要だったということになります。

良い未来から逆算してみれば、どんな現在も過去も、良い未来を作るために必要な出来事だということです。この考えについて、本書では「時間の原則」として紹介されています。

 

  • 時間は未来から過去へ向かって流れている
  • 過去は自分の未来に影響を与えない
  • 未来が過去をつくる
  • 未来は最高だと確信すれば、現在も過去も最高である

この原則を自分のものにする人だけが、現状を維持してしまう性質(ホメオスタシス)にとらわれずに、これまでの自分というゴミを捨てて、望む未来を創ることができるのです。

 

6. 恐怖というゴミを捨てる

woman in gray and white pinstripe blazer holding green smartphone

 

多くの人は、働かないと生活できないから働いていると思います。この生活できないという恐怖こそが、現代社会における非常に大きなゴミとなっていると著者は言います。まずは、「働かないと生活できない」ということを、もう少し深く考えてみましょう。

働かなくなれば収入がなくなり、食費や家賃が払えなくなり、路頭に迷うことが想像できます。しかし著者は、会社を辞めたら生活できなくなるというのは嘘であり、そのために働く必要などないと言います。現代の日本において、本当に生活できなくなる=餓死という恐怖があるかといえば、明らかにないです。

例えば、自分のゴール目的のために会社を辞めて起業したとして、思うように利益が出せずに会社をたたむことになっても、すぐに餓死することはありません。事業がダメになっても、人脈を使って他の人に雇ってもらえばいいですし、それもできなければ最悪アルバイトをすれば餓死することはありません。生活保護というセーフティネットもあります。そこからまた望む未来に向かって、再出発すればいいだけです。

 

最高の未来から過去を振り返る

失敗はありえない、働かなければ生きていけなくなるという恐怖こそが幻想であるということが、少しは納得できたかと思います。ただそれ以外にも失敗したらカッコ悪い、家族に惨めな思いをさせたくないといった恐怖を持っている方もいると思います。そういうときには、前述の過去の意味は未来が決めるということを思い出してみてください。

自分の未来は最高であると確信して生きていけば、どんな過去の自分もどんな困難にある今の自分も、最高の自分になるためのスパイスです。たとえ一時的には失敗をしても、将来ゴールを達成した時にはあのときの失敗があったから、今の成功があると振り返ることができます。いつかは最高の未来から、過去を振り返ることになる。そう思えば、失敗というものはありえないことになりますよね。失敗は、最高の未来のために必要なプロセスだったということになります。

 

今回は「頭のゴミを捨てれば脳は一瞬で目覚める」についてざっくり紹介しました。頭の中のゴミをもっときれいに片づけたいと思った方は、ぜひ本書を手にとって読んでみてください!

 

 

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