生きる意味って何だっけ?『いつか必ず死ぬのになぜ君は生きるのか』要約

black digital device at 0 00 時代を生き抜く考え方・哲学

人間はいずれ死にます。でもそれまでの間に、どれだけワクワクする体験をすることができるか。

立花隆は私たちにとって生きること学ぶことについての羅針盤の役割を担ってくれるのです。

この記事では、立花隆さんの書籍「いつか必ず死ぬのになぜ君は生きるのか」を取り上げます。

本書は、

  • 人間とは何か
  • 人は何かどう学べばいいのか

といった難しい問いのヒントが欲しい方におすすめです。

立花隆さんといえば”地の巨人”と呼ばれている方で、知識量、試作の力、興味関心の幅いずれも軍を抜いていたことからこのように呼ばれていました。

人間とは何かを考えるには、人間は関係性の中にあることを知らなければならない。青春期は年齢ではなく、精神の状態によって決まる。

本書は、そんな地の巨人立花さんの言葉をテーマごとにまとめた一冊になっています。

それではさっそく、知の巨人の頭を覗いてみましょう!

 

1. 人間とは関係性の中に存在する

person sitting on chair in front of table with Surface device

 

人間の存在を理解するためには、私たちを取り巻く無数の関係性を考慮に入れる必要があります。

まずは、人間と環境、そして人間相互の関係性について深く掘り下げていきます。

人間と環境の関係性

人間を考える際には、私たちの外にある「環境」との関係を見直すことが重要です。

ここで言う「環境」とは、自然環境に限定されず、より広い意味。私たちの行動、文化、社会、そして自然界との相互作用を含む全ての要素が、この「環境」に含まれるのです。

私たちが世界をどのように捉えるかは、主観的な視点と客観的な視点の両方から理解する必要があります。

客観的な世界は、私たち個人の存在を抜きにして存在しますが、同時に私たちの主観的な理解の中にも存在します。

つまり、外部の世界と私たちの内部の世界は、異なる形で存在し、異なる方法で捉えられるべきです。

私たちの内部にある宇宙、つまり私たちの心の中に形成される世界像を理解するためには、私たち自身との関係性を通じて世界を再び捉えることが重要になります。

 

人間相互の関係性

また最終的に、人間を真に理解するためには、私たち一人一人が他のすべての人間とどのような関係にあるのかを考慮することが不可欠です。

私たちのアイデンティティは、他者との関係性の中で形成され、発展します。

人間を捉えるためには、私以外の人間すべてと私との関係性を考える必要があるということです。

 

2. 私とあなたの多様性

person in red sweater holding babys hand

 

私たちが世界を理解する上では、人間の多様性を知ることも大切になります。

この多様性は、単に外見や能力の違いにとどまらず、心の中に存在する深い多様性にまで及びます。

フィジカルな多様性を超えて

人間の即物的な多様性は、私たちが生まれ持った身体的特徴や能力によって容易に理解されがちです。それだけフィジカルな世界は、その普遍性により、私たち全員に共通する側面を持っています。

しかし、それだけでは完全には捉えられません。

メンタルの世界は、フィジカルな世界とは異なり、個々人の個性が色濃く反映される場です。人の心は、その複雑さと個性によって、一人ひとりが異なる世界認識を持っています。

子供の頃は他人の心が自分とは全く異なるものであると理解するのは難しいかもしれませんが、大人になる過程で、他人の心が自分とは異なる世界を持っていることを学びます。

 

異質な世界認識の受容

私たちの周りは、異なる世界観を持つ人々で溢れています。

これらの異質な世界認識を真に理解するためには、他者との本格的な出会いが必要です。

異なる人々との出会いを通じて、彼らの心の中にある世界を知り、自分とは異なる意志や価値観を持つことを理解することが、多様性を受け入れる第一歩です。

 

3. 精神まで老けてはいけない

man in black jacket sitting on doorway

 

青春は、一般的には10代〜20代にかけての時期と捉えられがちですが、著者は青春を時間で定義できるものではないと主張します。

著者の言う“青春”とは、自分の生き方を模索している期間を指します。これは人によって期間が異なり、短い人もいれば長い人もいます。

中には、肉体は若くても精神が老いぼれているような若者もおり、彼らは世間の常識に囚われ、自らの生き方を模索することなく生きています。

 

精神的な老化と青春の放棄

著者は、常識に囚われた生き方をする人々の人生を「精神的に墓場まで一直線」と称します。

自分の生き方を模索することをやめた時、青春は終わると言えるでしょう。

孔子が「四十にして迷わず」と言ったように、40歳まで迷い続けるのが普通だとも言えます。

 

迷いと失敗の価値

迷いと惑い、失敗は青春の特徴であり、特権です。

恥や失敗を恐れずに、自分に忠実に、大胆に生きることが青春の本質。失敗したままの人生を送ることもありますが、それもまた青春の一部です。

若者の前には無限の可能性がありますが、それには失敗の可能性も含まれています。

 

精神的に老化した青年は、失敗の可能性に怯えてしまい、人生にチャレンジすることを避けがちです。

しかし、あらゆる失敗の可能性を忘れずに大胆に生きることが、真に制約のない青春を生きた人だと著者は述べています。

このように、青春は単なる年齢の範囲を超えた概念であり、自分自身の生き方を模索し、迷い、失敗を恐れずに生きる勇気を持つことが、真の青春と言えるでしょう。

それは年齢に関係なく、いつでも追求できる生き方です。

 

4. 失敗を避けるためには

man riding at black and brown skateboard

 

失敗は避けられないものですが、生涯のトラウマになるような重大な失敗はできるだけ避けたいものです。

そのためには、正しい思考手順を身につけることが重要になります。

先に解決すべき先決問題を見極めることが、後の問題を防ぐ鍵となります。しかし、どの問題が先決問題であるかは常に明白ではありません。

 

問題への具体的な取り組み

大切なことは、まず問題に対して具体的に取り組み始めること、適切な手順が見えてきます。

問題解決のプロセス中に、どの順序が適切かを見極めることが必要になります。この段階で、先決問題に集中して取り組むことが効果的です。

 

また、問題に取り組むには、適切なタイミングがあります。早すぎると最適な解決には至らず、遅すぎると問題が複雑化します。

理想は、ぴったりのタイミングで解決策を見つけることですが、実際にはタイミングを見極めるのは難しいものです。

考えるタイミングを習得するには、学習と経験が必要です。

繰り返しの中で、早すぎたり遅すぎたりする経験を通じて、最適なタイミングを掴む能力を養うことが大切です。

 

5. 読書の14ヶ条

clear framed eyeglasses on top of pile of books

 

読書は知識を深め、教養を高めるための重要な手段です。

ここでは、著者が提唱する仕事と一般教養のための読書に関する14ヶ条を紹介します。

1. 金を惜しまず本を買え

本は知識の宝庫であり、その価値は購入費用を遥かに超えます。情報を得るための他の手段と比較して、本はコストパフォーマンスに優れています。

 

2. 1つのテーマについて1冊の本で満足せず必ず類書を何冊か求めよ

1つのテーマについて、同じテーマの本を読んでみて初めて、その本の長所がわかるようになります。

複数の本を読むことで、より健全な視点を得ることができます。

 

3.選択の失敗を恐れるな

選択能力は失敗を通じて磨かれます。

選択の失敗も、選択能力を養うための授業料と思えば安いもの。失敗は学びの一部と捉えましょう。

 

4.自分の水準に合わないものは無理して読むな

自分に合わない水準の本を読むことは時間の無駄です。読み始めて合わないと感じたら、時は金なりと考えて、躊躇せずにやめましょう。

 

5.読み差しでやめることを決意した本についても一応終わりまで1ページ1ページ食ってみよう

読まないと決めた本でも、最後まで目を通すことで新たな発見があるかもしれません。

 

6. 速読術を身につけよう

多くの情報を短時間で処理するためには、速読技術が有効です。

速読術の話については次の項目で取り上げます。

 

7. 本も読みながらノートを取るな

ノートを取りたい場合は、読み終えてからが効率的です。読みながらノートを取ると、読む速度が遅くなります。

どうしてもノートを取りたいときは、本を読み終わってからにしましょう。

ノートを取るためにもう一度読み直した方が、遥かに時間の節約になります。

 

8.人の意見やブックガイドの類に惑わされるな

著者は、ブックガイドにはお粗末なものが多いと言います。ブックガイドや他人の意見に流されず、自分で本を選びましょう。

 

9. 注釈を読み飛ばさない

注釈には本文以上の価値ある情報が含まれていることがあるため、読み飛ばさないようにしましょう。

 

10.本を読むときには懐疑心を忘れるな

どんなに評価が高い本でも、誤りが含まれている可能性があります。常に批判的な目を持ちましょう。

 

11. おや、と思う箇所

疑問に思った点は、その情報がどこから来たのか、著者の判断の根拠は何かを考えてみましょう。

 

12.何かに疑いを持ったら

何かに疑問を持ったら、オリジナルのデータにたどり着くまで追求しましょう。

 

13. 翻訳は誤訳・悪訳が多い

翻訳書で理解できない部分に出会ったら、翻訳の質を疑ってみましょう。

 

14.若い時は何を差し置いても本を読む時間をつくれ

若い時期に得た知識は、その後の人生に大きな影響を与えます。積極的に読書の時間を確保しましょう。

これらの原則を守ることで、読書から得られる知識と教養を最大限に活用することができるでしょう。

 

6. 最初から速読を目指してはいけない

person reading book on brown and beige textile

 

速読は多くの読書愛好家や専門家が目指す技術ですが、著者は速読を目指す前に重要な基盤を築くべきだと説いています。

速読は、単に目を速く動かすことではありません。

それは深い集中力から生まれる結果であり、精神を完全に文章に没入させることで、自然と視線が文字を追う速度は増します。

集中力の鍛錬

速読を実現するためには、まず精神の集中力を高めることが必要です。

雑念を捨て、目の前の文章に完全に集中する訓練を行うことで、読む速度は自然と上がります。

集中力が高まると、文字の上を目が自然に走り始め、意味の理解が追いつくようになります。

この状態に達すると、文字を読むという自意識が消え、意味が自然に理解できるようになります。

速読は集中力が高まった結果として得られるものです。そのため、最初から速読を目指すのではなく、集中力を高める訓練に努めるべきです。

 

今回紹介した、立花隆さんの書籍「いつか必ず死ぬのになぜ君は生きるのか」について、より詳しく知りたい方は、ぜひ本書を手にとってみてください!

 

 

grayscale photo of car with flowers

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