EQはビジネスの成果と深い関連性を持ち、この差が大きな年収レベルの差をも生み出すと言われています。
そして、その影響は頭の知能姿勢であるIQよりも断然に大きいということがわかっています。
この記事では、三浦将さんの書籍「心の知能指数を高める習慣」を紹介します。本書は、
- 人間関係を改善したい
- ビジネスで成果をあげたい
という方におすすめです。心の知能指数EQを知っていますか?
これは知能指数であるIQの心版といえるものです。EQが高い人はビジネスで高い成果を上げられると言われています。この影響力は頭の知能指数であるIQよりも断然大きいです。また、EQは後天的に高められるというメリットもあります。
ということでさっそく、EQについて学んでいきましょう!
1. EQとは
IQ(知能指数)は誰もが聞いたことあると思いますが、EQとは何でしょうか?
正式名称には、エモーショナル・インテリジェンスフォーセント。心の知能指数という意味です。EQとは、自分自身や他者を理解する力であり、自分の感情をコントロールすることで、最適な行動を取ることができる力です。
EQの高い人は、自分を尊重し、同時に相手のことも尊重することができます。また、お互いにとって望ましい方向へと、舵を切っていくことができます。そして、自主自律性が高くかつ対人関係力に優れているという特徴があります。
EQと年収の関係
さらに、EQはビジネスの成果とも深い関連性があります。EQの差は大きな年収の差も生み出すと言われており、その影響はIQよりも断然大きいです。IQは明確な答えがある問いに、素早く適切な答えを導く能力。一方で、EQは明確な答えのない問いに対し、その答えを探求する能力です。
ビジネスには明確な答えのない問いに対応する力が必要なので、IQだけ高くてもEQがなければ、ビジネスには対応できないのです。
EQが高い人は、自分の中の感情と思考をベストミックスした解を生むことができ、個人としての生産性が高めつつ、人間関係を取り持つことも得意なので、集団としての生産性も高められます。
個人としても集団としても、高い生産性が出せるとなれば、成果が上がるのもうなずけますよね。また、EQにはとても嬉しいポイントがあります。それは、後天的に高められる点。EQを高める方法については、のちほど紹介します。
2. EQの高い人の特徴
EQを高める方法に入る前に、もう少しEQの高い人の特徴を紹介します。
EQが高くなると、以下のようなメリットがあります。
EQの高い人
- 怒りなどの強い感情が出てきてしまったとき、ある程度コントロールすることができる。
- 相手の話を聞く時、相手の気持ちや話の意図を察しながら人の話をきちんと聞ける。
- 間違ってしまったときにそれを素直に認め、次に何をすべきかを考えることができる。
- 失敗して落ち込んだとき、立ち直りが早い。
- 自分の価値観や行動基準が明確になっている。
- 自分と違うものに触れた時、違いや変化を受け入れて柔軟に対応することができる。
- 謙虚でありつつ、自主自律性が高い。
対して、EQが低い人は以下のようなデメリットがあります。
EQの低い人
- 人間関係を悪化させるような言動や行動に出てしまう。
- 相手の言うことに勝手な解釈を混ぜてしまう。
- 自分が何を話すか常に考えながら聞くため、きちんと話を聞けない。
- 間違いをなかなか認めず、言い訳をしたり場合によっては隠そうとしてしまう。
- 失敗すると自己否定を繰り返し、なかなか次に進めない。
- 自分と他人を比較してしまう、他人からの評価を気にしてしまう。
- 思い込みが激しく自分の考えややり方に拘泥してしまう。
- プライドが高い割に依存的である傾向がある。
いかがでしょうか?
このようにEQが高くなると、いいことがたくさんあります。これらの特徴が、人間関係を円滑にし、ビジネスの成果に多大なる影響を与えます。
3. EQの上げ方の4ステップ
続いて、EQを上げる方法4ステップを解説していきます。
自己理解
最初のステップは、自己理解です。
今回紹介する自己理解とは、“感情の見える化”です。
やり方は、至ってシンプル。沸き起こった感情についてメモに残すだけです。1日の終わりに、その日感情が動いたことを紙に書き出します。これにより、良い気を高めることができます。
例えば、今日とある案件でAさんと口論になった、いつもこうだ、腹が立つ。くらいでOKです。感情の見える化を効果的にするためのポイントは3つあります。
- 1回に書く量は問わないこと。1行だけでもいいし、数ページに渡ってもよいので、とにかくまずは書くことです。短くてもOK。
- 感情の強さを1~10の間でスケーリングしておくこと。感情の大きさも一緒に記録しましょう。
- 書いてある自分の感情にいちいち「良い/悪い」といった評価をしないこと。実は、ここが最大のポイントです。怒りであろうと悲しみであろうと、良し悪しを評価しないことです。評価をしていると自分と、もう一人の自分との切り離しが進みません。
このワークをやっていくことの狙いは、この感情の切り離しにあります。切り離しによって、自分を客観視できるようになってきます。実際に、行動をしたり感情が動いているいつもの自分の他に、もう一人の“それでいい”と認める自分をつくり出す。
もう一人の自分が、いつもの自分を認めてくれるようになると、自己否定が減ったり自分と他人を比較しなくなったりして、安心感が生まれます。これが、自己受容につながるのです。客観視できる自分の存在は、次のステップにもつながっていきます。
感情管理
次のステップは感情管理です。
感情管理においては、隙間が大事です。外から何らかの刺激を受けた後、それが反応につながり、行動になる。著者は、刺激・反応・行動には、隙間があると言います。
EQが低い人は、刺激から行動までを反射的に行ってしまいます。例えば、嫌なことを言われた刺激に対して、怒るという反応をし、殴るという行動してしまうというように、一直線に連続してしまう感じです。
一方で、EQが高まってくると、隙間を活かすことができるようになります。一つ目のステップで紹介した感情の見える化は、刺激と反応の間の隙間を作る取り組み。その次は、反応と行動の間の隙間を生かす取り組みが必要です。
具体的には、“自分の実況中継”を行います。例えば、何か起こるようなことがあったとしましょう。そんな時、もう一人の自分にこう言い押せるわけです。桜と錨が込み上がってきていますね。プルザケンナーと顔に書いてある感じです。一言いいかえさなければ気が済まないという表情しています。これはまさに、実況中継ですよね。怒っている自分を切り離せていて、ある意味冷静になれています。ここまでできれば、反応と行動の隙間を生かすことができて、ネガティブな行動に出ずに済みそうですよね。
では、自分の実況中継を身につけるためのポイントを紹介します。まず、私は怒っている私は悲しんでいるというように、客観視にトライすることです。これは、一つ目のステップで行った感情の見える化によって、できるようになってくるものです。もうひとつのポイントはより客観的・俯瞰的な言葉を使うということです。例えば、私は怒っている、怒っている私がいる、怒っている私を私は見ている、怒っている私を私は分かっている、といった感じです徐々により客観的・俯瞰的な言葉に変えながら、実況中継していきます。すると、刺激に反応している自分からの切り離しがさらに進んでいきます。
共感力
3つ目のステップは、共感力です。
「うん、わかるわかる、私もそんな経験があるから」。
これは、いかにも共感をしているようなセリフです。確かに、これも共感の一つですが、この“わかるわかる”だけが、共感ではないです。
実は、これよりもっと大事な共感の仕方があります。それは、“わかりたいわかりたい”という共感です。実は、EQを高める共感のために重要なのは、相手に共感できている事実ではないと著者は言います。むしろ、相手のことを理解しようとする態度こそが、重要です。
わかるわかるの共感では、意識は相手よりも自分の方に向いています。一方で、わかりたいわかりたいの共感は、意識はしっかり相手に向いています。わかりたいの共感で意識をしっかりと相手に向けていくと、相手の感情を積極的に読み取ろうという姿勢が、身につきます。つまり、傾聴が自然にできるようになるのです。
このようにして共感力が高まると、生まれ育った環境や文化・人種・性別・年齢といった壁を越えることができます。多様性が重要なこれからのビジネスシーンでは、この共感の力は、非常に強力な武器となるでしょう。
また、評価の決めつけ・ジャッジ・レッテル張りを避けることも大切です。これも、わかるわかるの共感と同じように、自分に軸のある見方です。自分の中にすでにある型にはめて相手を見ることは、避けましょう。あくまでも相手のことをわかりたいという姿勢が大切です。
人間関係管理
最後に4つ目のステップ、人間関係管理について。
人との接し方には、4つのパターンがあります。こちらの図は本書からの引用です。
4つの中で、最も望ましいのが、“本音でポジティブなモード”です。自分も相手も尊重した状態で、このモードに入るのが理想です。この状態を、アサーティブと言います。
アサーティブとは、相手の気持ちを尊重しつつ、自分の意見・要望を主張できる状態のこと。自分と相手の双方のためにという視点を持って、率直で前向きの主張することです。とてもいい状態ですよね。
このアサーティブな状態である割合が増えるほど、自分のEQは高まっていきます。この相手の気持ちを尊重して、自分の意見も前向きに率直に言える状態になるためのポイントを、例を用いて紹介します。
Aさんのアサーティブ・アクション
共働きの夫婦のAさんと、その旦那さんがいます。
Aさんにとっての不満の一つに、旦那さんが靴下を脱ぎ散らかすことがありました。
旦那さんは、仕事から帰ってくると靴下を脱ぎ捨ててしまいます。 Aさんが何度注意しても同じ状態が続いていました。
些細なことですが、Aさんにとっては大きな不満と怒りの種となっていました。そこで、Aさんは、アサーションに目を向けた方法を自らに実践してみました。
まず、事実と評価を切り離す。Aさんの、もともとの認識はこうでした。
「靴下を脱ぎっぱなしにするなんて、本当にだらしない!」
ここには、旦那さんに対しての評価と批判が入り混じっています。これは、ネガティブな感情が出やすい状態です。
では、ここを事実だけにするとどうなるでしょう。
旦那さんは帰宅後すぐにリビングで靴下を脱いで、そのままにする。注意しても同じことを繰り返している。事実は、毎日このことが繰り返されているということだけです。
次に、自分の感情を把握します。
「大人にもなって、何度言っても同じことをするなんて、いい加減にしてほしい!」
といった感じです。ここにも、相手に対する評価と批判が入ってしまっています。これでは、Aさん自身の感情が正確につかめません。
では、アイディアの評価と批判を除くと、どうなるでしょうか。
“何度言っても同じことをするので、私のことをないがしろにされている気がして悲しい。”
ということになります。Aさんが本当に嫌なのは、靴下を脱ぎっぱなしにする行為自体ではなかったことがわかります。
Aさんは、無視され、ないがしろにされていると感じ、それが嫌だったのです。
第一次感情を、冷静に伝える
怒りは、第二次感情と言われています。もとは別の第一次感情があります。このケースでは、Aさんの第一次感情は悲しみ、そこから怒りという感情が二次的に発生しています。この場合は、悲しいという第一次感情を、冷静に伝えることが大切になります。
これにより、Aさんに起こっていることへの旦那さんの理解が、共感とともに進みます。
その上で、必要としていることを伝えます。ここまでで分かったとおり、Aさんが必要としているのは、Aさんの気持ちを理解し、気持ちを尊重してもらうこと。
そして、最後に本音でポジティブに要求します。
「靴下を脱いだら、洗濯機に入れて。このお願いをやってくれないと、私はあなたに無視され続けているような悲しい気持ちになる。だから、あなたがやってくれたら、とてもうれしい。」
こんな風に言われたら、心に響きますよね。実際に、このパターンで伝えるようになった結果、旦那さんはAさんが本当に求めていることを理解したそうです。
そして、靴下を脱いだ後はきちんと洗濯機の中に入れてくれるようになったそう。
この例は、上司・部下の確執や部署間でのもめごとなど、仕事においての課題の解決でも同じです。Aさんはこのやり方を仕事でも大いに活用し、周りとの良い関係をしっかりと構築するようになったそうです。
今回紹介した、三浦将さんの書籍「心の知能指数を高める習慣」については、紹介できていない部分が多いです。もっと良い急について知りたいと思った方はぜひ本書を手にとって読んでみてください!