多くの人に求められる問題解決は、難しいものであるはずがなく、ほんの少しのコツさえ実践すれば、社会の足かせになる上司にならず、メンバーと共に伸ばせるリーダーになれるはず。
というメッセージが、本書の一貫した思いです。
この記事では、河野英太郎さんの書籍「99%の人がしていないたった1%のリーダーのコツ」を取り上げます。
本書は、リーダーとして成功する方法についてたくさん紹介されており、
- リーダーに求められる能力を知りたい
- チーム作りに力を入れたい
という方におすすめです。
方法の全てを行うことは難しくても、自分にできそうなものから取り入れることはとても有効です。
日々の仕事でその方法を実践することで、いつの間にかリーダーのコツを自分のものにすることができるはずです。ぜひご一読ください!
1. リーダーとはどんな人物か
リーダーと聞いて、どんな人を思い浮かべますか?
一般的にリーダーとは、もともとそのあった才能が求められるものと思われがちです。しかし、それは正しくないと著者は言います。
誤解して欲しくないのは、リーダーとはあくまでチームや組織で仕事をする上の役割です。特別リーダーが偉いわけでも価値が高いわけでもありません。
もしリーダーである自分は偉くなければと考えているとしたら、その考え方はやめたほうがいいと著者は指摘します。無意識だったとしても、それは行動に表れます。
例えば、メンバーを子ども扱いしたり、命令口調で接したり逆に自分に余計なプレッシャーを加えて必要のないストレスを抱えたりなど。
リーダーに対する悪い印象
また、リーダーには、人としての成熟度や仕事の専門領域で勝負することは、必ずしも求められてはいません。リーダーに求められるスキルを磨く必要はあっても、全ての領域でメンバーより優れた能力を持つ必要はないです。
まずは、肩の力を抜くところからスタート。最近は、自分はリーダーになりたくないという人が増えていますが、その理由の多くは、
- 管理業務が増えて面白くない
- 自由になる時間が減って、精神的・肉体的な負担が増える
- そもそも自分は人の上に立つタイプではない
など様々あります。
リーダーとマネジャーの違い
リーダーシップ研究の権威である、ハーバード大学のジョン・コッタ氏によると、リーダーシップとマネジメントはもともと違うもので、その育成方法は全く異なると言います。
- リーダーとは、変化を見極め、組織の向かうべきビジョンを掲げ、関係者を動機付けビジョンに向かわせる人。
- マネージャーとは、決められた目標に向けて組織を管理し、目標を達成させる人。
これらを著者なりにまとめるなら、リーダーは人間の本性を善と見て、人をやる気にさせる仕事。マネージャーは人間の本性は悪であるとみて、人を管理する仕事ということになります。
この定義から考えると、先ほどのリーダーになりたくない理由に上がっているものは全て、マネージャーに求められている仕事であることが分かります。
現実のビジネスでは、同一人物に対してリーダーシップとマネジメントの両方の能力が求められていることが多いです。そのため、このような誤解が生じるのです。
2. リーダーに求められる能力
ジョン・コッター氏の定義では、リーダーとは変化を見極め組織の向かうべきビジョンを掲げ、関係者を動機付け、ビジョンに向かわせる人。しかし、そう言われても、何だか難しそうですよね。
そこで、こう考えてみてはどうでしょうか?
あなたは、今晩家族でお寿司を食べに行きたいと考えたとします。
すると、まずは頃合いを見計らって子どもたち一人ひとりに声をかけます。そして、ハードルの高い配偶者に交渉。その時は、次のボーナスの話や、子どもたちが食べたいと言っている、今の季節はブリが旬のはずといった説得材料を用意するはずです。
実は、これがリーダーシップの例です。こんなことと感じるかもしれませんが、リーダーシップは決して難しくなく、多くの人が日常的にやっていることだと分かります。
リーダーに求められるこの能力は、決して特別のものではないです。
リーダーシップを身につけるには
では、リーダーシップは、どのようにしてより身につけられるのでしょうか?
リーダーのコツについては後ほど詳しく説明しますが、先に伝えておきたいのは、このコツは実践することに意義があるということ。
また、その実践には、苦しい訓練や特別な才能は必要ありません。必要なのは、コツを実践する素直で愚直な姿勢と、それを継続する気持ちの2つだけ。
素人ほど、いきなり特別な練習に飛びつこうとしがちです。そうではなく、まずは愚直に繰り返し、スポーツで言うところのフォームや型を完全に身につけることが必要です。
つまり、日々の仕事でリーダーのコツを演じ続けいつの間にか自分のものにするといった感じです。著者はこれが実は、リーダーとして成功する最短の道だと言っています。
3. リーダーの仕事
リーダーの仕事はチームを作ることから始まります。もしリーダーになったら、どんなチームを作りますか?
私はドリームチームを作りたい。そんな風に思うかもしれません。この思いは実績のあるメンバーが多い方が、成果が出るに違いないと思うからでしょう。
しかし、注意しなければいけないのは、チームというのはバランスの取れたメンバー構成にしなければなりません。例えば、野球で言うなら4番バッターばかりまたはエースばかりを集めすぎてはいけません。そのチームは必ずうまくいかなくなります。
なぜなら、過去の経験や実績があるほど、人は自分のやり方でやりたいと思うからです。また、こうした人材はいい意味で自己顕示欲が強いため、自分が支援に回ることを好みません。
それぞれの主張を譲らないもしくは誰かが強い不満を持ったまま仕事を継続するといった状態が続くと、いつか誰かがチームを去るという結果につながります。
チームを編成するときは、
- 積極的に前に出て牽引する人
- 全体を俯瞰して冷静に見渡す人
- 特定の専門分野で貢献する人
それぞれを支える人など個々のリーダーシップの特徴を見極めることが重要です。
チームで仕事をする意味
ここで、一つ質問をします。
チームで仕事をする意味は何でしょうか?
それは、一人ではできない大きな仕事を実現するためです。個人が持っていない能力を全体で補うためであるはず。自分がリーダーとしてチームを作り、運営をするとき、つい上司として行動してしまってはいませんか?
言い換えるなら、全てにおいて上の立場でいないといけないことへの責任感でメンバーを選び、接していないでしょうか?
チームで目標を達成するとき、それは逆効果になります。
先ほど述べた通り、チームはみんなで大きな仕事をしたり、自分の持っていない能力を補うために組むもの。
実際自分よりも能力の高い人を集めて、それぞれを専門家として尊重して接した方がうまくいきます。
つまり、上から目線で知ったかぶりせずに、平等な立場で教えを請うべきだということです。
しかし、これには時として勇気が要ります。メンバーたちの目にはリーダーとして頼りなく映り、心が離れていくのではないかと不安になりますよね。
実際には全ての領域で自分がトップであることを優先した結果、チームの目標が達成できない方が、人の心が離れていきます。
いかに自分より優れた人に働きやすい環境を提供するかが、リーダーの仕事であるとすら言えます。
4. バランスよくメンバーを構成する
ここからは、いよいよリーダーのコツを紹介していきます。
唐突ですが、議論は何を目的に行うものでしょうか?
チーム内で反対意見が出ることは、議論へとつながります。
議論とは新しい価値を作るためにするもの。仮に自分が正しいと考える意見を正とします。すると、それに反するまた異なる意見が必ずあります。
この相反する意見を比較し、全体で合意された結論を導き出すことが議論の目的です。議論で導き出された結論は、正反それぞれのもとの意見のいいところをうまく取り込んで、より高いレベルになります。
チームで仕事を進める醍醐味は、ここにあります。また、チームで合意された結論に対し、新たな意見が出てき時は、さらに高いレベルの結論にするための議論が始まります。
新しい価値を生み出すリーダーには、常に異なる意見を持つ人を歓迎し、招き入れそれを評価する人です。
4つのラーニングスタイル
ここで、外部からの刺激に対する人の反応や発想の違いを分類した、ピーター・ハニーとアランマム・フォードの4つのラーニングスタイルを紹介します。これら4つは、それぞれ次のような特徴があります。
- 行動派:アイディアが豊富ですぐに動くが飽きっぽい
- 繁栄派:慎重に周りを見て自分の意思決定をするが、結果が出ないこともある
- 理論派:観察分析そして理論化するため、理論的でワールが発想に広がりがない
- 実用派:常にメリットを考える結果として実行はするものの、オープンな議論や熟慮が苦手
あなたの周りの人たちも、この4つのどれかに当てはまる感覚はありませんか?
これらの違いを受け入れた上で、最もバランスよくチームの目標達成するためのメンバーを構成する必要があります。お互いの補完こそがチームで仕事をするメリットです。
多様性なメンバーを揃える
チームメンバーの構成については、もう一つ気をつけることがあります。
それは、これまでのキャリア、専門性に加え、性別、ライフステージ、趣味、出身地などプロフィールの多様性を考えることです。
より積極的に、多様な背景を持つメンバーをチームに招き入れましょう。
なぜなら、これが叶うとチームメンバーの持つ個々の能力を最大限に引き出したり、異なるものの見方や能力が混ざり合ってチームとしての付加価値が向上するからです。
異業種からの転職組や自分とは異なる専門性を持った人とのコミュニケーション趣味や、習慣宗教観の違いも新たな考え方やものの見方の選択肢を増やします。また、ライフステージ、キャリアの違いも重要です。
例えば、チームに子育て世代や介護世代のメンバーがいたらどうでしょう。
送り迎えの時間を融通したり、介護休暇の取得をメンバー内でカバーするなど、刻々と変わっていく要素をチームメンバーが経験できます。
これは、チーム全体の財産です。
その経験のないメンバーはいずれ経験するときの予備知識になりますし、すでに経験済みのメンバーは、その経験を生かして直接または間接的にそのメンバーを支えられます。
5. イエスマンに注意する
メンバー構成を上手く考えても、さらに注意しなければならないことがあります。キャリアを長く積んでいると、
- 最近自分のギャグが受けるようになってきた
- 最近よく相談され意見を言うと感謝されることが増えた
と感じることがあるかもしれませんが、実はこれが危険です。
なぜなら、自分のポジションが持つ権限に、周りが気を使い始めた証拠になるからです。
ギャグが受けるとか、挨拶してもらえる程度なら問題ありませんが、自分の意見がすんなり通ってしまう状況はそのままにはしてはいけません。
間違った判断が間違ったままもっと詰めるべき結論が、未熟なままで進んでしまいます。
そして、その状況を心地いいと感じ、もし自分に意見する人がいたら、その人を遠ざけてしまうことも。
イエスマンとはビジョンを共有できない
こうした時周りに集まってくる人は、男女関係なくイエスマンです。
イエスマンはあなたの前ではこちらに同調しますが、自分のいない状況では別の意見を持った人に同調するでしょう。
ビジョンを共有せず、こちらの判断や指示に対しては表面だけ服従するように見せかけて、内心では反対しているため、仕事に真剣さがなく、困難にあうと自分のもとを去っていきます。
そうしたイエスマンを作り出す原因も100%自分の方にあります。次のどれかに当てはまるなら一度自分を見直す必要があるかもしれません。
- チーム内の会議で発言する人がいつも同じ人
- チーム内でのランチャー飲み会がいつも同じようなメンバーになる
- メンバーから自分への反対意見がない
どれか当てはまるものがある場合周りがイエスマンになりすぎていないか、改めて振り返ってみてください。
今回紹介した、河野英太郎さんの書籍「99%の人がしていないたった1%のリーダーのコツ」について、より詳しくリーダーシップを学びたいと思った方は、おすすめの本ですのでぜひ読んでみてください!