やる気はあるのに思ったとおりに行動できないことや、逆に無意識にしてしまっている行動ってありますよね?
それらを科学的に証明する学問が “脳科学” です。当ブログでは、これまで「ファスト&スロー」といった名著から、メディアでも活躍されている中野信子先生の本など、数多く取り上げてきました。
今回はそれらについて、一覧でまとめています。気になった本の関連記事も、ぜひ読んでみてください!
1. ファスト&スロー
1冊目は、ダニエル・カーネマン博士の世界的ベストセラー「ファスト&スロー」です。
あなたは、自分が直感のある方だと思いますか?
この本では人間の意思決定について、「直感 = ファスト」と「論理的思考 = スロー」に分けて解説しています。心理学の世界では、
- ファストな思考を「システム1」
- スローな思考を「システム2」
と呼ぶそうです。システム2は努力を必要とするので、1日のうちにたくさん使うと、脳が疲れて思考の精度が落ちていきます。そのため、私たちの脳はなるべく「システム2」は温存し、「システム1」で思考したがります。
では、「システム1」が劣ったものかというとそうでもなく、直感的に感じたことが後で正しかったことはよくあることですよね。しかし、この直感には以下のようなクセがあり、その直感の仕組みを理解することで、上手に活用することもできます。
- 確証バイアス:自分にとって都合が良い情報を受け入れやすい傾向
- ハロー効果:第一印象などの1つの特長が、全体に大きな影響を与えること
- プロスペクト理論:失うことをとても嫌がる傾向
などの脳のクセについて、より詳しい内容は下記記事もご覧ください。
2. あなたの脳のしつけ方
2冊目に紹介するのは、脳科学者・中野信子さんの「あなたの脳のしつけ方」です。
やる気が起きないのはあなたが弱いのではなく、脳のしつけ方を知らなかったからだとしたら…?
この本ではそんな切り口で、脳科学的に“いかに自然と集中する環境をつくるか”ということが書かれています。
例えば、脳には恒常性(ホメオスタシス)という性質があります。
脳は何か作業を始めるということを嫌がるけれど、一度作業を始めてみると恒常性(ホメオスタシス)が働いて、自然にその作業を続けることができるのです。すごく難しいとか、面倒臭いと感じている作業も、1分だけ限定でやってみる、1分やったら辞めるといった気持ちで始めてみると、自然と作業が1分以上はかどったりします。
この脳の性質を知り、やる気がなくてもとりあえずやってみることが後々で達成感(脳へのご褒美)につながると思えて作業へのハードルは下がるのではないでしょうか。
その他にも、本書には作業に戻ってき易くなる脳の性質であるツァイガルニク効果や、幸福感を感じる脳内物質「セロトニン」の分泌には運動、咀嚼、日光が重要であることなど、やる気UPの具体な方法だけでなく、
- 努力を楽しくする方法
- コミュ力をあげる方法
- 気になるあの子を振り向かせる方法
など、面白い内容が詰まっています。より詳しい内容は、下記記事をご覧ください。
3. スタンフォード式 疲れない体
3冊目は、身体や脳を効率的に休める方法について書かれた、「スタンフォード式 疲れない体」です。
本書は著者である山田知生(やまだ ともお)さんが、スタンフォード大学・スポーツ医局でアスリートに対して実践している、疲労予防と疲労回復のメソッドをまとめたものです。
最新のスポーツ医学では、疲れは“筋肉”だけでなく、“神経”のコンディションの悪さからも引き起こされるとされています。つまり、疲れは脳からも発生しているのです。
疲れない体をつくる具体的な方法としては、スタンフォードで標準的に行われている「IAP呼吸法」について詳しく紹介されています。IAPとはイントラ・アブドミナル・プレッシャーの略で、お腹の内側の圧力(腹圧)という意味。この方法で呼吸することで、体の中心を正しい状態でキープすることができ、中枢神経の指令が通りやすくなり余分な負荷が減るそうです。
本書では呼吸法のほかに、睡眠や食事の摂り方から満員電車の乗り方まで、疲れないための様々な方法が載っています。より詳しい内容は、下記記事をご覧ください。
4. BRAIN DRIVEN パフォーマンスが高まる脳の状態とは
4冊目は、青砥瑞人(あおとみずと)さんの「BRAIN DRIVEN パフォーマンスが高まる脳の状態とは」です。
この本では、やる気ホルモンであるドーパミンをいかに味方にするかの方法が解説されています。
その方法とは、
- 目標達成の価値を明確にする
- 目標を細かく分ける
- 適切にフィードバックする
の3つのポイントで、目標設定することです。目標を細かく分けるといったことはよく聞くことですが、適切にフィードバックすることは蔑ろにされがちです。
50分作業、10分休憩というようなやり方がオススメで、50分ごとの作業が終わる度に、やり終えたことを書き出します。こうすることで、いいフィードバックが得られる状態となって、達成できたことが目に見えるかたちとなります。するとよりドーパミンが出て、また次の50分も簡単に頑張れるようになります。
また、脳のコンディションを整えておくことが、学習系や高次脳処理機能型のモチベーションを引き出すためには重要で、そのためにはセロトニンという物質の分泌が深く関わってきます。セロトニンの重要性は他の本でもよく解説されていますが、より多く分泌させるには、
- 日光を浴びる
- リズミカルな運動をする
- よく噛んで食べる
の3つが重要となります。セロトニンはよく、脳というオーケストラの指揮者とも例えられるのですが、ドーパミンやアドレナリンなどの各種脳内物質のバランス調整を行ってくれます。これらの具体的な方法について、より詳しく知りたい方は、本書に関する記事も一緒に見てみてください。