『ストーリーとしての競争戦略』要約(賢くバカになろう)【楠木建】

person standing near the stairs ハッとさせられる考え方・哲学

 

ビジネスの成功条件ってあるのでしょうか?

あらゆるモノとサービスが飽和している現代において、ビジネスで成功させるのは神の所業。今回は、そんな神業に一歩でも近づくための本の紹介です。一橋大学ビジネススクール教授の楠木建さんが書かれた、ビジネスマンの必読書「ストーリーとしての競争戦略〜優れた戦略の条件〜」です。

優れた戦略の立て方が分からないと、無駄な苦労を強いられます。そこから抜け出せないと、人より努力しているのに、結果が出ないという悲しい結末に…。この記事を読んで、“優れた戦略とは何か”をざっくり理解していきましょう!

 

1. 優れた戦略にはストーリーがある

depth of field photography of man playing chess

 

優れた戦略とは、どういうものか。それは、この本のタイトルの通りの“ストーリーがある戦略”です。著者の楠さん曰く、

“思わず人に話したくなるような、面白いストーリーがある戦略”こそ素晴らしい。

また、ストーリーのある優れた戦略は、ただ競争に勝てるだけじゃなく、長期的に勝ち続けることができる。

会社に長い間利益をもたらし続けてくれる。

と提言しています。では、そんなストーリーのある戦略を立てるには、どうすればよいのでしょうか。

 

それは、ずばり“変”であることです。「変 = 非合理」であるポイントを盛り込むことこそ、良い戦略を立てる上で、重要なのです。

他人があなたの戦略を聞いたとき、「バカだな(笑)。」と思われるようなポイントを盛り込む。何だそれ?と思われがちですが、これが実は論理的でもあります。

一見して、「変 = 非合理」なポイントがある戦略とは、全体と局所的な部分に分けて見たとき、部分的には非合理だが、全体を見れば合理的な戦略のことです。これが、優れた戦略に求められるポイントになります。

 

2. 「バカなる」な戦略をつくれ!

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本書では、そんなバカなというところから、話を全部聞くと、なるほど!と納得する戦略。“バカな!”から“なるほど”になる「バカなる」な戦略をつくれと言っています。

多くのビジネスが目指しがちな戦略は、部分も全体も合理的な戦略です。誰もが正しいと思える戦略というのは、逆に言えば誰もが思いつき、誰もが行動に移しやすい戦略になります。

そういう戦略を実行していくと、どんなことが起こるか。社内の決裁はスルスルと進むかもしれませんが、その商品やサービスを世の中にリリースしてみたら…。

 

その先にあるのは、他社の模倣と熾烈な競争です。誰もが思いつき、社内の決裁が簡単に通せるようなサービスは、自社だけじゃなく、競合他社からもどんどん生まれます。すると、価格競争に巻き込まれて、もしその価格競争に勝ったとしても、ギリギリの経営で全然利益が出ません。その結果、長期的に続く商売には絶対にならないです。

ここで注意すべきは、目指すべきはただの非合理な戦略ではないということです。部分的に非合理なだけで、会社の成り立ちや方針、コンセプトなどを含めて全体を考えると、なるほど合理的だね!となるような「バカなる」な戦略を目指さなければなりません。

 

3. スターバックスの戦略から学ぶ

Starbucks disposable cup

 

ここからは、実際に一見して非合理な「バカなる」戦略で成功した事例を紹介します。それは、大手コーヒーチェーンである、スターバックスが日本に進出してきた時の戦略です。

スターバックスは日本に参入し始めた時、とっても非合理な戦略をして、周りからは絶対失敗すると言われていました。それが、日本国内にフランチャイズではなく、直営店方式でお店を増やすという戦略です。

 

  • フランチャイズ = 誰かにお店を任せて売上の一部をもらうような形
  • 直営店方式 = 土地もオーナーも自分たちで用意、自分たちの手で運営していく

とすると、フランチャイズは、土地や建物を持っている人を捕まえて運営させるので、チェーン店展開のキモである出店のスピードが圧倒的に速い正攻法です。また、売り上げの一部がもらえたうえで、うまくいかず潰れそうな場合は切り捨てられるため、本部のリスクが小さく、メリットが大きいです。

それなのに、スターバックスは直営店方式で突き進みました。当時のメディアや投資家はボロクソ言われても、なぜ直営店方式にこだわったのでしょうか。実は、直営店方式っていうのは、部分的に見れば非合理に見えますが、スタバ全体の戦略から見れば逆に合理的だったのです。

 

4. 気づいた時には遠い存在になり、勝ち続ける

MacBook Pro on table

 

スターバックスは、そもそもコーヒーを売るお店ではないです。コンセプトは、家でも職場でもない、お客さんが安らげる空間(サードプレイス)を売ること。このサードプレイスを踏まえると、一気に直営店方式が合理的な戦略であったことがわかってきます。

仮にスタバがフランチャイズ方式で、どこかの知らないおじさんオーナーに任せて、じゃんじゃん出店していった場合どうなっていたか想像してみてください。

 

オーナーのおじさんは、サードプレイスというコンセプトよりも、とにかく売り上げをあげたいと思いますよね。するとおじさんは、狭いお店でもギュウギュウ詰めに椅子を配置します。また、お客さんの回転率を高めるために、長居するお客さんを追い出し始めます。

スタバのコンセプトを考えると、これは絶対やっちゃいけないことです。だからスタバは、直営店方式で社員にオーナーを担当させて、土地も自分たちのコンセプトに合う立地を厳選するそういう戦略をとったのです。

 

結果はどうでしょうか?

明らかに、他のコーヒーチェーンより値段は高いです。しかし、お客さんは安らげる場所を求めてくるので、低価格で攻める強豪カフェがどんどん生まれても、勝ち続けることができています。これこそが、著者の楠さんが言う部分的に変な、人に話したくなるストーリーのある戦略です。

何か戦略を立てるときに、人からバカだ、変だと言われるようなポイントを盛り込むというのは非常に大事ことです。他人がその戦略の良さに気づいた時には、遠い存在になることができ、ただ勝つのではなく、勝ち続けることができます。

気になった方は、ぜひ本書「ストーリーとしての競争戦略〜優れた戦略の条件〜」をチェックしてみてください!

 

 

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著者紹介

出典:https://gendai.ismedia.jp/

楠木 健(くすのき けん)
日本の経営学者。
一橋ビジネススクール国際企業戦略専攻(ICS)教授。専攻は競争戦略。
1989年一橋大学大学院商学研究科修士課程修了。一橋大学商学部専任講師、同助教授、一橋大学イノベーション研究センター助教授、ボッコーニ大学ビジネススクール(ミラノ)客員教授、一橋大学大学院国際企業戦略研究科准教授を経て、2010年より現職。企業が持続的な競争優位を構築する論理について研究している。