本書では、私が実践検証してきたノウハウおよび聴覚の研究結果をまとめ最高の耳勉強メソッドをまとめてお伝えしたいと思います。
この記事では、上田渉さんの書籍「超効率耳勉強法」を取り上げます。
本書は、
- 読書はしたいけど本を読む時間がない
- 本を読んでも集中できない教養をつけたい
- 仕事のために学習したい
という方におすすめで、効率よく勉強するための、耳での勉強方法について書かれています。
耳勉強法を使えば、スマホ1台でいつでもどこでも学ぶことができます。著者自身も、耳に勉強法を駆使して偏差値30から東大に合格したという経歴があります。
そして、その後在学中に日本にオーディオブックを聞く文化を広げるために、株式会社オトバンクを創業し、現在では日本最大のオーディオブック・プラットフォーム「audiobook.jp」を運営するオーディオブック業界のトッププレイヤーとなりました。
日本で視聴デバイスの進化や通信の高速化、圧倒的なコンテンツ量という要素が揃った今だからこその内容となっています。
この機会に、ぜひ試してみてください!
1. 知る人ぞ知る秘密のメソッド
耳勉強法とは、文字通り耳を使った勉強法のことです。耳から本の朗読や講義、講演や対談といったオーディオブックを聞き、聴覚を活用して学ぶという非常にシンプルな定義の勉強法です。
この勉強法は、知る人と知る秘密のメソッドで、成功者と言われる人たちの多くが共通して行ってきたそうです。
現在は、少しずつ紹介されてきてはいるものの、まだまだ実践していない方が多いです。勉強法の環境が整った今、実践しないのはあまりにもったいないと著者は言います。
文字は音でできた言葉の表現方法
情報を脳にインプットする時、視覚と聴覚のどちらの方が重要だと思いますか?
一般的には、
- 人の認識は視覚からの情報が83%
- 聴覚からの情報が11%
と言われています。人は視覚的動物と言われ、私たちの情報のほとんどを視覚から得ています。ならば、聴覚は大して重要ではないと考えるかもしれません。しかし、実は勉強することに限っては、話が違うそうです。
なぜなら、勉強には主に“言葉”を使うからです。思考はすべて言葉によって行われており、言葉を使わずに思考しない人はいません。そして、言葉は聴覚と深い関わりがあります。
私たちは子供の頃から言葉を学んでおり、文字を学ぶ以前から話すことができますよね。文字は“音でできた言葉”の表現方法であり、記録するために後から作られたものです。
音声があって初めて言葉は成立する
人の脳において、聴覚を扱っている部分は聴覚野と呼ばれ、耳から入ってきた音の情報全てを処理するのですが、ここで注目したい音が会話です。会話は、最初に聴覚野で処理されます。つまり、聴覚野は言葉に関わる情報を扱っているということです。
この特徴によって、聴覚野は考えるという行為そのものに関わっています。私たちは何か質問をされた時、答えを考えて言葉で表現しますよね。
もし、言葉を使わないで質問に答えようとすれば、それはとても難しいことのはず。つまり、言葉がなければ考えるという行為そのものが難しくなります。
難しい説明は省きますが、文字情報は一度音声情報に変換されてから言語情報として処理されます。音声が言葉として認識されるということです。
文字情報だけでは言葉として成り立たず、音声があって初めて言葉は成立するということです。
2. 耳勉強法の有用性
ここからは、耳勉強法の有用性について、論文や証拠を紹介しながら解説していきます。
まず大前提として、文字を読んで理解することと音声を耳で聞いて理解することを比べると、文字を読んで理解することの方が脳に負担をかけています。
通常の読書の場合、3つのプロセスを経て内容が脳にインプットされます。
- 文字を目で見る
- 文字を頭の中で音声に変換する
- 言語として理解する
の3つです。
“ながら聞き”のメリット
対して、オーディオブックの場合は1,2の工程が必要ありません。言語として理解するだけで、同じ効果を得ることができます。つまり、文字を見るというプロセスが抜けた分だけ、脳にかかる負担を軽減できているということです。
脳のリソースが空くからこそ、オーディオブックを聞いている時は、“ながら聞き”が可能になります。これを脳科学の視点から見てみると、2004年に脳科学者のトッド氏らが行った研究結果の論文があります。
これによると、言葉の理解や表現を司る言語野の活動は、文章を目で読んだ場合と文から聞いた場合の両者とも活発になりました。
しかし一方で、文字の認識に関わる視覚野の働きは、文章を耳から聞いた場合の方が、大きく活性化されたのです。
つまり、目からインプットされたか、耳からインプットされたかに関わらず、言語野と視覚野は活動しているということです。
また、リーディングよりもリスニングの方が脳に与える負担が小さく、脳機能を強化することも分かっています。これは、脳科学者の加藤敏則氏監修のもとに行われた実験で、次のような事実が明らかになりました。
大学生8名に1ヶ月間、毎日2時間以上ラジオを聞いてもらい、その前後におけるMRI画像の比較分析を行いました。すると8人全員がイメージを記憶する力が強化され、8人中4人が聞く力が強化されました。
実験はラジオを行われましたが、もちろんオーディオブックなどにも同じ効果が認められます。このようにリスニングという行為は、脳の成長に有益な働きをもたらしてくれます。
3. 音声メディアの種類
耳勉強法とは、音声メディアを活用して何かを学ぶことを意味します。参考書やビジネス本などに書かれている文字情報を目で読んで学ぶのではなく、耳で聞いて学ぶことが前提です。
では、音声メディアとは何かというと、文字通り音声を通じて様々なコンテンツを配信する媒体や、サービスのことを指します。
その種類は多岐にわたりますが、4大音声メディアは、
- ラジオ
- ポッドキャスト
- 音声配信
- オーディオブック
の4つになります。
ラジオは言うまでもなく、古くから私たちの生活に根付いている音声メディア。ポッドキャストは専用のアプリを通じてニュースや英会話、著名人によるトーク番組など、様々な音声コンテンツを聞くことができます。音声配信は、自分で作った音声コンテンツを配信することを目的とした音声メディアで、近年急速に拡大しています。
そして、オーディオブックは書籍をナレーターが読み上げた音声コンテンツで、聞く本であると言えます。耳勉強法は、これら4大音声メディアの何を利用しても実践することが可能です。
勉強にはオーディオブック
ただし、その性質上、学ぶことに最も適しているのは、オーディオブックであると著者は考えています。
理由は、オーディオブックにはビジネス書・自己啓発書・実用書といった、私たちが新たな知識を身につけるのに適した本のラインアップが豊富に揃っているうえ、教科書や参考書などの学習コンテンツが今後も充実していく動きも見られるからです。
そのため、特に教養をつけたいと思っている人にオーディオブックはものすごく向いています。実際に、本を読むより勉強しやすい知識が増えたという実感があるという声もたくさんあります。
4. 目的に応じて使い分ける
耳読書には、ポイントがあります。
それは、決して気負いすぎないことです。
やる気に満ち溢れているのは構いませんが、一言一句聞き逃さないという気持ちで聞くと、集中力が必要となり疲れてしまいます。
どんな本でも、大事な箇所とそうでない箇所はあるもの。重要な内容は大抵の場合繰り返されるので、また同じ内容が出てくるだろう、出てこなければさほど重要ではないと割り切っていいでしょう。
いい本だな、ためになる本だなと思った作品であれば、極論もう一度最初から聞けば良いだけです。
オーディオブックはいつ聞くべきなのか
オーディオブックの利用傾向に関する調査の結果を見ると、やはり移動しながら、家事をしながら、運動をしながらという、“ながら聞き”が上位に入っています。いわゆる耳の隙間時間ができやすいシチュエーションです。
では、耳読書や耳勉強はこれらのうち、いつがよいタイミングになるでしょう?
著者は特に、運動中が耳読書や耳勉強の必須の時間と考えているそうです。聞くことに意識が持っていかれることによって、運動による苦しさが半減するとも言われており、体力や筋力の限界を伸ばすことができます。
体を鍛えたい人、健康を維持したい人、ダイエットしたい人、ストレス発散したい人、すべての方にオーディオブックはおすすめできます。
本とオーディオブックの併用
ここまで、耳勉強のいいところを解説してきましたが、一番効果的なのは本とオーディオブックを併用することです。
オーディオブックというメディアは、全体を一気に聞く気になった箇所を何回も聞くといった使い方に向いていますが、気になるポイントを探すという使い方には向いていません。
目的や状況に合わせてベストなものを選ぶようにすると、一番良いでしょう。
今回紹介した、上田渉さんの書籍「超効率耳勉強法」についてまだまだ紹介できていない部分が多いです。おすすめの本ですので、ぜひ読んでみてください!