世の中の数々の仕事術、網羅的に知りたくありませんか?
この記事では、ハック大学のぺそさんの著書「行動が結果を変える ハック大学式 最強の仕事術」を紹介します。ぺそさんは、YouTube登録者数20万人を超えるビジネス系YouTuber。本書には、ビジネスで役立つ内容がかなり広い範囲で網羅されています。
マインドセットや伝え方のノウハウなど、基本的なことはもちろん、MECEやロジカルシンキングといったやや難解なことも、わかりやすく書かれている、非常に良書です。さっそく内容をみていきましょう!
1. 付加価値を作り出すことが市場価値を高める
自分の市場価値の上げ方はいろいろありますが、本書で書かれている中で特にみなさんの共感の得やすい方法を一部紹介します。それは、作業ロボットになることを絶対に避けるということです。
資料を作成したり、決められた業務をやることで作業者になってしまうと、途端にあなたの成長は止まります。そもそも作業とは、決められた手順や方法で与えられた課題を解決するものを指します。
この場合、正解とゴールが決まっていて、いかに正確にゴールにたどり着くかが重要。もちろん、仕事の中で作業の部分は多く存在します。
付加価値を持っている人とは
例えば、決められた手順でデータを正しく入力するといった作業は、当然どこでもありますよね。しかし問題なのは、作業そのものではなく、作業をするときに何も考えず、ただの作業者マインドではいけないということです。
作業者マインドとは、簡単に言うと決められた手順を決められた方法で、与えられた課題を解決するマインドのことを指します。一見問題ないように見えるのですが、このマインドセットしか持っていないと、本当に作業しかできない人になってしまうのです。
もし、この作業者マインドの人が上司に、「長年やってきた業務のやり方の改善案を考えてくれ!」と言われたとします。すると、何もできなくなってしまうのです。
つまり、市場価値が上がるような付加価値を持っている人は、作業が決まっていない部分や、答えが決まっていない仕事を処理する能力がある人のことです。
2. 作業者マインドから抜け出す方法
では、作業者マインドから抜け出すためには、どうしたらいいのでしょうか? 方法は2つあります。
インプットに自分の意見を添える
1つ目は、インプットに自分の意見を添えることです。
やり方はとても簡単で、ニュースを読んだり読書をしたり、映画を見たりしてインプットしたときに、それに対する自分の考えを持つ。
ただインプットするのではなく、その情報に対してどのような感情を抱くのか、自分ならこうするといった代替案まで考えます。この “感情の理由”まで言語化できると、なお良いです。
また、友人や同僚と、そのニュースなどの情報について語り合うのも、作業者マインドから抜け出すためには有効です。
“So What?” “Why so?”
2つ目は、あらゆる情報に“So What? (だからなに?)”と“Why so? (それはなぜ?)”の2つをぶつけます。
- “So What? (だからなに?)”で、自分なりの結論を導き出す。
- “Why so? (それはなぜ?)”で、自分なりの根拠を導き出す。
これを日頃から振り返すことで、最初はただの点も徐々に自分の中でつながっていき、あなたなりの考えを導き出す力が養われていきます。
あなたの今の仕事が仮に作業ばかりでも、それに対し何も考えずに仕事をするのだけはやめるようにしましょう。
3. 数字思考という最強の共通言語
ビジネスの現場で、よく聞く「数字に強い」という言葉。これは、数字と言語を相互に翻訳できる力のことを指します。数字からどういう共通点があるのか、傾向があるかを導き出すことができる力です。
これがあると、“経営がうまくいっていない”、“新商品が好調”といったことに対し、数字で表すにはどのデータを使い、どう見せればいいのかがわかるようになります。では、「数字に強い」の具体的なメリットは何でしょうか?
仮説立案が上手になる
まず数字から言語に翻訳できる人は、仮説立案が圧倒的に上手くなります。
例えば、社内の年度別の利益の推移が年々下がっているとします。数字に弱い人はこれを見て、ただ単に下がってるなで終わってしまいます。しかし、数字に強い人は、ストーリーを言語化します。
- 特に2015年からの下がり幅が大きい
- 2015年からのキャンペーンがうまくいっていないのでは?
といったように、言語化し仮説を立てる。仮説があるからこそ、そこから対応策が見えるようになります。今回の例で言うと、2015年を利益・売上・コストに分解してみたり、キャンペーンの効果をデータで見たりすることで、今後やらなければいけないことに気づけるんですね。
説得力が身につく
数字に強いメリットのもう一つは、説得力が身につくことです。言語から数字に落とし込める人は、プレゼンや説明での説得力が高いです。
例えば、「若い女性層の売上の比率を上げる」といったミッションが与えられたとします。そのために、上司から承諾を得て予算を勝ち取るためには、若い女性をターゲットにするべきという意識を持ってもらう必要がありますよね。
その際、この言語の部分を数字に変えて、若い女性をターゲットにすべき根拠を数字で示すことで、説得力が上がります。これを、定量的に示すとも言います。
プレゼンの時に、若い女性の自社商品への興味関心が高まっているという数値データだったり、若い女性顧客を取り込むことで得られる副次的効果といったものを、数字が伴ったデータで示します。
そうすることで、客観的データをもとに若い女性を選ぶべきだということを示しているということが伝わり、相手が納得しやすくなります。
4. 数字に強くなるためには
では、この数字思考を身に付けて、数字に強くなるためにはどうしたらいいでしょうか? やり方は2つあります。
会話に数字折り込む
1つ目は、会話に数字折り込むこと。
例えば、あなたが上司にあのプロジェクトを順調かと聞かれた時、何と答えますか? ここでただ「順調です!」や、「あまりうまくいっていません」と言ってしまう人は、改善の余地があります。
これからは、プロジェクトのうち全部で3ステップの1番目まで完了し、2番目で止まっているなら、「3つの工程のうち、1までは終わっています。」や、「進捗は現在30%です。」といったように、定量的な数字で回答するようにしましょう。
これを繰り返し練習して習慣づけられれば、あなたは確実に数字に強くなります。
フェルミ推定をする癖をつける
数字に強くなるもう一つの方法は、フェルミ推定をする癖をつけることです。
フェルミ推定とは、実際に調査するのが難しい数値を少ない手がかりを基に、論理的に推論し、短時間で概算することを言います。
よく外資系の面接で、東京都にはタクシーは何台あるか?といった問題が出されますが、これに対して、仮説を基に推論していくのかフェルミ推定です。
一般的には難しいイメージがありますが、普段のトレーニングについてはもっと身近な簡単なことで大丈夫です。
例えば、ランチを食べたお店の1日の売り上げはいくらかや、新幹線に乗っているときに今日1日で東京から名古屋に移動したのは何人かなど、身近な数字を計算してみましょう。
生活の中に数字を組み込めば、あなたの仮説立案力・説得力が武器になります。
5. 事実と解釈は分ける
あなたは誰かとコミュニケーションするとき、この事実と解釈を分けることができてますか?
これが自然にできている人もいますが、案外できていない人も多いです。しかも驚くことに、これができるかできないかで、その人が有能か無能か一瞬で判断できます。いきなり無能と判断されないためにも、ここでしっかり覚えておきましょう。
気温を例に話すと、今日の気温は35度というのが事実で、今日は暑い。これが解釈です。これの判別ができていない人が、案外いるのです。ビジネスの現場を例で話すと、
上司:「今日のA社との商談契約もらえた?」
部下:「結構順調です。」上司:「順調って事はもう契約もらえたの?」
部下:「いや、まだです。もう少し考えたいと言われました。」
上司:「契約してもらえない理由は何だ?」
部下:「保守契約の部分が納得いってないみたいで。」
上司:「保守契約のどの箇所が納得いってないの?」
部下:「先方は全体的に考え込んでいました。」
上司:「保守契約が問題として、そこがOKなら契約はもらえるの?」
部下:「大丈夫だと思います。」
この会話、どうですか? 不安しかないですよね。この例では、事実と解釈が全く分けられてないです。上司は、
- 契約を貰えたか。
- もらえてない場合何をクリアすれば契約を得られるのか。
の2点の事実を知りたいと思っています。しかし部下は、商談が順調に進んだ、保守契約について納得いってなさそうといった個人的な解釈だけで答えています。つまり、主観と客観を混同しているのです。
契約をもらえたという事実があれば客観で、順調そうという解釈はあくまで主観的なもの。この主観と客観、事実と解釈がごちゃごちゃになまま相手に伝えると、話が全く建設的に進まなくなり、かなり効率が悪いことになります。
ポイントとしては、あなたがコミュニケーションをとるときに、相手が知りたいのは事実なのか解釈なのか、また自分がこれから話そうとしていることは事実か解釈か、を常に意識することです。
今回の紹介は、ここまでです。本書ぺそさんの「行動が結果を変える ハック大学式 最強の仕事術」は、ロジカルシンキングやロジックツリー、仮説思考のところが、特にわかりやすい説明となっています。興味のある方は、ぜひ手にとってみてください。