あなたは独りでいるとき、幸せですか?
この記事では、前野隆司さんの「幸せな孤独」を紹介します。前野さんは、慶応大学の教授で幸福学博士として、孤独を幸福に変える方法を研究しています。孤独と聞くと、一人で寂しい、誰も頼る人がいなくてかわいそうといったネガティブなイメージってありませんか?
実際いま友達がいない、恋人がいない、家族がいないという人もたくさんいるかと思いますが、これを孤独で不幸とする考え方自体が間違っています。結論から言うと、孤独 = 不幸ではないです。孤独でも幸せになれます。
例えば、最近だとソロキャンプや、ひとりカラオケが流行ってきました。これを客観的に見れば、孤独に見えるかもしれませんが、その人にとってはとても充実して幸せだったりします。この記事を最後まで読めば、一人で孤独でも圧倒的に幸せになれることが理解でき、すぐに実践できます!さっそくみてきましょう!
1. 幸せな孤独とは何か
著者の研究室で幸福度の調査を行ったところ、単身世帯夫婦のみの世帯、2世代世帯、3世代世帯を対象に幸福度を比較した結果、単身世帯の幸福度が一番低いという結果になりました。独り身の方が幸せになれる確率は低かったそうです。
こう聞くと結局、孤独だと幸せになれないと思いますよね。一方で、2019年頃からソロキャンプや一人焼肉が流行ってきており、おひとりさまという言葉も定着してきました。これは、一人では幸せになれない人もいれば、一人でも幸せになれる人も確実にいるということです。
孤独と孤独感は別
確かに積極的に一人を好んでいる人であれば、一人の方が全部自分で決められ、誰かに合わせる必要もなく、気も使うこともない。逆に望んでないかたちで病気や事故災害などで、大切な人を失うことによる孤独の苦しみから抜け出せないという人もいます。どちちが上とか下はありません。
孤独を不幸だと感じている人は、悪い心の癖が原因でそう感じてしまうのです。孤独と孤独感の強さは別ものということです。パートナーや友人がいないとか、自分自身の周りに人が少ない状態を孤独とすると、孤独感とはあくまでも本人の感じ方です。
例えば、周りから見れば友達が多くてみんなから愛されているように見える日本人は、逆に誰も信頼できる人がいない疎外感を感じている人が多いです。たとえ周りに人が少なくても、孤独感を感じていなければその人はめちゃくちゃ幸せということです。
一方で、人間にはこの孤独感を増幅させてしまう“フォーカシング・イルージョン”という特性があります。これは、間違ったところに焦点を当ててしまうという意味で、例えば、お金持ちになれば幸せになれるといったことです。
多数派の価値観
ある研究では、年収800万円を超えると、それ以上稼いでも幸福度は大して変わらないと言われています。お金持ちになれば、それに比例して幸せになれるというのは、正確な情報ではないです。
他にも、結婚すると幸せになれる、大企業で働けると幸せになれる、有名校に入学できると幸せになれる、友達が多いと幸せになれるといった価値観も必ずしも幸せには直結しません。一般的に多数派の価値観として意見が多いため、それに惑わされ、そこから外れることで孤独感を募らせる原因になってしまっているのです。
2. 孤独を幸せに変える方法
では実際に、孤独でも幸せになるためには、どうしたらいいのでしょうか。幸せな孤独を手に入れるには、次の3つの要素が大事と言われています。
- 受け入れる
- 褒める
- 楽になる
の順番です。1つずつ説明していきます。
受け入れる
最初のステップは、自分が不幸だと感じていることを全部書き出してみて、それが単なる心の悪い癖だと気づくことから始めましょう。色々な事情で効力を感じているかもしれませんが、それらにいい意味で諦めを持つことが、実は受け入れることにつながります。過去は変えられないですが、自分の心とこれからの未来は1秒で変えられます。
褒める
あなたは自分には何の取り柄もなく、周りに比べて孤独感を感じていませんか?
本当にあなたは取り柄ないと思っているなら、それも心の悪い癖でただの思い込みかもしれません。まずは自分が好きなこと、得意なこと、他の人には真似ができないことがないか書き出してみましょう。
例えば、コツコツと地味な作業を根気よく続けられるとか、毎日同じ時間に起きられるとか、どんな小さなことでもいいので自分に目を向けます。そして、なかなか自分も面白いことできるじゃん!と少しだけでも褒めてみましょう。
楽になる
きっとなんとかなるといった、どんな結果もポジティブに受け止められるような楽観性があれば、幸せの孤独はもうすぐそばにある可能性が大きいです。ただそんな簡単に楽になれたら苦労しないと思うでしょう。確かにここが一番ハードルが高い要素かもしれません。
しかし、ここでちゃんと受け入れることで、自分のいいところも悪いところも認めて、褒める。自分の良いところを伸ばすまで段階を踏んでいれば、きっとあなたにもできるはずです。騙されたと思ってこの3つのステップをやってみましょう。
3. 幸せな孤独を見つけるためのレッスン
ここからは、実際に受け入れる褒める楽になるができるようになるための、具体的なレッスンを3つ紹介していきます。
一日を振り返るカレンダーマーキング
このやり方は簡単で、その日一日を振り返ってみて、ものすごく良い日だったら◎、まあまあ良い日だったら○、そうでもなかったら△でカレンダーに印を付け、簡単に理由も書きます。スマホでもいいので、まずは1週間続けてみましょう。3週間くらい続けると、自分が幸せを感じることが自覚できなかった部分に気づけるようになります。
著者の前野さんはもともと一人でいるのが好きな性格だったのに、カレンダーを見てみると◎がついていたのは、面白い人に会った日か、誰かと意気投合した日など、案外対人的な幸せばかりだったらしいです。人と接することが自分は幸せだと感じることに気付いてからは、なるべく面白そうな人には会うように心がけるようになったそうです。
褒めるを伸ばすレッスン
小さな目標設定して、チャレンジしてみましょう。孤独で悩む人の特徴には、自分は何もできないと思い込んでしまっている人が多いです。どんなに成功している人でも最初の成功は小さいです。そこから地道に小さな成功を積み重ねて自信をつけていくものです。
まずはどんな小さいことでもいいので、目標設定してやれば出来る自分に気づくことから始めてみてください。例えば、エレベーターを使わず階段を登る、毎朝6時に起床して散歩する、といった小さな目標をクリアすることで自分を肯定的に捉えられる正しい心の癖を身につけましょう。
ソロキャンプ
最後は、ソロキャンプです。個人的にも興味があるので一度行ってみたいですが、ソロキャンプは幸せな孤独を手に入れる方法として効果的です。
一人で焚き火を見ながらぼーっとしたり、好きな食材で自炊をしたり、川で釣りをしたり、大自然の中で読書したりと、誰にも気を使う必要なく、一人の時間を楽しめます。初めのうちは一人で寂しさを感じるかもしれませんが、慣れれば孤独であることを感じなくなり、幸せな孤独を手に入れることができます。
本書では他にも日本人が孤独を感じやすい理由や、孤独でも幸せになれる方法などがたくさん書かれているので、何かに悩んでいる人もきっと幸せれること間違いなしです。興味のある方はぜひ手に取ってみてください。