思いつきではなく、もっと体系的にアイデアが出てきたら…と思いませんか?
この記事では「アイデアのつくり方」という本を紹介します。著者のジェームス・W・ヤングさんは、アメリカ広告業界の重鎮とも称される人物。
本書は、斬新なアイデアで上司やクライアントを驚かせたい!と願う、すべてのビジネスパーソンにアイデア発想の原理・原則を教えてくれます。
具体例を交えながら、さっそく内容をみていきましょう!
1. アイデア作成には2つの原理原則がある
いきなりですが、アイデアの作成において非常に重要な2つのことがあります。
- アイデアを組み合わせる
- 関連性を見つけ出す
です。
アイデアの作成は、既存の要素の新しい組み合わせで成り立ちます。“アイデアを組み合わせる”ということは、アイデアを作るときの超基本のやり方になります。
例えば、皆さんが手にしているスマホは、電話機能だけだった携帯電話に、メールやインターネットを組み合わせた結果、便利なものになりました。
もう1つの“関連性を見つけ出す”とは、類似性・関連性をどれだけ見つけることができるかということ。これとそれを組み合わせたら、あれとこれは似ている、など組み合わせをどれだけ考えるかが鍵となります。
つまりアイデアとは、1つの新しい組み合わせでしかなく、その新しい組み合わせを作り出す才能は物事の関連性を見つけられる能力によって高められるということです。まずは、この2つの原理を押さえておきましょう。
2. アイデア発想には5つの段階がある
ここからは、実際にアイデアを生み出していく方法について解説します。著者のヤングさんは、アイデアの作り方を5段階に分けています。
- データを収集する
- データを咀嚼する
- データを組み合わせる
- アイデアのひらめき
- アイデアのチェック
この中でとりわけ重要なのが1・2・5の意識的活動の時期です。データを収集する、データを咀嚼する、アイデアのチェックなどの意識的活動の時期は、誰にでもコントロールすることができるからです。一方で、3・4は無意識的活動なので、コントロールすることはできません。
データ集めは特殊・一般に目を向ける
まずは、データを収集する方法についてです。データ収集において重要なのは、何を集めるかということです。なぜなら、集めたデータ次第でその後の結果が左右されるからです。では、何をどのように集めればいいのでしょうか?
それが、特殊資料と一般的資料です。特殊資料とは、ターゲットが何を求めているのかを知るための資料。ここでは、自分が売りたい製品と売りたいと想定する相手について調べます。
例えば、石鹸が自分の売りたい製品だとしたら、石鹸と皮膚や髪の毛との関係、エビデンスなどを調査します。そして、この石鹸を買うであろうターゲットについても調査します。
対して一般的資料とは、世の中のさまざまな出来事についての資料です。これはアイデアを生み出そうとしている領域以外の情報のことを指します。石鹸に関するアイデアを考えていたとしたら、世の中の出来事やトレンドなど石鹸以外の情報を集めます。一般的資料は、アイデアを組み合わせる際に必要になります。
これら2つの資料を集めることで、新しい組み合わせの材料が豊富になるのです。
ヤングさんは、本書で資料の集め方も紹介しています。それが、カード索引法です。8センチ × 13センチの罫線の入った白いカードを用意し、集めてきた特殊な知識を項目ごとにカードに記入していきます。
そして1つの事項を1つのカードに記入し、テーマのセッション別にカードを分類することで、1つのファイルボックスを作ることができます。この方法を使えば、資料を集めで挫折してしまう可能性が大幅に低くなるそうです。
3. データを頭の中で咀嚼する、そして何もしない
いいアイデアに必要な第1段階は、資料集めでした。次の段階は、データを咀嚼することです。これは文字通り、データを頭の中で咀嚼すること。この段階でやるべきことは、一つ一つ事実を取り上げ、関連性を見つけ出すことです。
ここで有効になるのが、先ほど紹介したカード索引法です。データを書き込んだカードを用意し、これとこれはつながる、アレとコレはつながらないと、ジグソーパズルのように組み合わせていきます。
決してぴったりとははまりませんが、カードに思いついたことをひたすら書き込んでいきます。コツは視点を変えて見てみたり、逆に考えたりすること。これらをふまえながら、根気強く試行錯誤することで、次の段階へと向かう準備が整うのです。
組み合わせてもらうために何もしない
資料集めは根気強くやることが重要でした。次はデータを組み合わせることについてです。この第三段階は意識的ではなく無意識に頼ることになるので、テクニックというより直感がモノをいいます。ではいったい何をするのか?ヤングさんは次のように語ります。
問題を無意識の心に移し、意識が眠っている間にそれが勝手に働くのに任せておく。簡単に言えば、自分の無意識に組み合わせを任せよう!ということです。しかし、これではまだ何をするのかわかりませんね。やることは一つ、何もしないことです。
何もしなくていいの?って声が聞こえてきそうですが、何もしなくていいんです。仕事から離れると行ったほうがイメージしやすいと思います。音楽を聴いたり、劇場や映画に出かけたり、詩や探偵小説を読んだりと自分の想像力や感情を刺激するものに心を移します。
4. ひらめきたければリラックスし、ひらめきを現実化する
ここも無意識に任せる段階なので、私たちは待つしかやることはないです。ヤングさんはアイデアが訪れるときは、アイデアを探し求める心の緊張を解いて、休息と寛ぎのひと時を過ごしてからだと言います。具体的な場面では、
- ヒゲを剃っている時
- お風呂に入っている時
- 朝目覚めてボーっとしている時
- 眠っている時
などがそれに当たります。
ひらめきを現実化する
ひらめきにはリラックス状態であることが必要不可欠でした。最後は、アイデアのチェックです。この最終段階では、ひらめいたアイデアが現実的かどうか、使えるかどうかをチェックします。ひらめいたアイデアを具体化し、現実の世界で使えるように展開させます。展開させたら実証してみましょう。
気をつけたいのは、ひらめいたらもう大丈夫と高をくくること。せっかくのひらめきを一気に台無しにする可能性があるのが、この最終段階です。ひらめいても使えるように工夫しなかったり、実証しなかったりすれば、今までの努力は全て水の泡となってしまいます。
以上のすべての段階を経ることで、アイデアが完成します。より具体的な内容を知りたい方は、「アイデアのつくり方」をぜひ手にとってみてください。ページ数も少なく、大変読みやすいです。