『もっと言ってはいけない』要約【前編】遺伝するのは才能や身体だけではない?(橘玲の思想)

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精神病が80%以上の確率で遺伝するとしたら、どう思いますか?

この記事では、橘玲さんの書籍「もっと言ってはいけない」を紹介します。本作は、大ベストセラー「言ってはいけない残酷すぎる真実」の続編で出されたもの。前作では、知能は遺伝する精神疾患は遺伝する犯罪は遺伝するといった衝撃的な内容が書かれていました。

橘さんはこの内容について他人から、本当かもしれないけどそんな本は絶対に出せないとか、そんなことを書いたら大変なことになると警告されたそうです。しかし、実際に残酷な真実を知った人からは、救われた、ホッとしたという多くの感想が寄せられたとのことです。

この続編でも同様に語られる真実を知ることは、生きる上で遺伝を理由に諦めがついたり、他者との違いを理解できたりと有意義なことです。ぜひ、最後まで読んでみてください!

 

1. 努力は裏切らないか?

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遺伝子が僕らの体型や性格を決定するという考えを遺伝決定論、逆に環境によって私たちはつくられるという考えを環境決定論と言います。環境決定論者たちは、“遺伝子で全てが決まるわけがない、環境が大事だ!”と、遺伝決定論を批判します。彼らは、どのような困難も本人の努力や親の子育て、あるいは周囲の大人たちの善意で乗り越えていけるという頑固な信念を持っています。ならば、本人や子どもがどれほど努力しても改善しない場合は、どうなるのでしょうか?

環境決定論者によると、それは努力が足りないだけで、困難は意志の力で乗り越えられるはずだと言います。しかし、実際のところ行動遺伝学では、遺伝の影響が身体的な特徴だけでなく、心にも及んでいることを明らかにしています。すべてが遺伝で決まるわけではないですが、私たちが漠然と思っているよりもその影響はずっと大きいようです。

例えば、精神疾患の場合は病状が重いほど遺伝率が高くなります。その遺伝率は、

  • 統合失調症:82%
  • 双極性障害:83%
  • ADHD:80%

と推定されています。

遺伝率が80%というのは、厳密に言うと親が統合失調だと8割の確率で子供が同じ病気にかかるという意味ではありませんが、これがどのような数字かというと、

  • 身長の遺伝率:66%
  • 体重の遺伝率:74%

であることから分かるように、背の高い親から長身の子供が生まれるよりも、ずっと高い確率で心の病は遺伝するのです。

 

2. 日本は環境決定論が前提

boy in green sweater writing on white paper

 

日本のメディアでは、遺伝的特性のような残酷な真実は言ってはいけないとされていますが、欧米では一般読者向けの本にも書かれている事実です。日本では、それが差別かどうかの議論の土台にも上がっていないですよね。遺伝の影響を一切認めない努力信仰のほうが、よっぽど異常と言えるのではないでしょうか。

現代の遺伝学が明らかにしていることは、どんなに努力してもどうしようもないことがあるという当たり前の現実です。日本の具体例を考えてみましょう。

子どもが授業を座って聴く事が出来ず、学校に迷惑をかけているとします。この両親は学校の先生やPTAなどに、親の育て方が悪い、子育ての仕方が悪いと陰口をたたかれるかもしれません。しかし、ADHDの遺伝率は80%。生まれてからの子育ての影響はほとんどないのです。

何事も努力で変えられるはずだとするのは、変えられない人を深く傷つけます。日本では環境決定論が前提となっているので、私たち一人ひとりがもう少し事実に基づいた現実を冷静に知っておいてもよいのではないでしょうか。

 

3. 日本語の読めない大人たち

person using MacBook Pro

 

遺伝的に教育が難しいという事実を、もう少し見ていきましょう。みなさんは、PIACC(ピアック)という調査をご存知でしょうか。これは、読解力・数的思考力・意図を使った、問題解決能力の3分野のスキルの習熟度を測定した調査です。日本における結果は、以下の通り。

  • 日本人のおよそ3分の1は日本語が読めない
  • 日本人の3分の1以上が小学校3~4年生の数的思考力しかない
  • パソコンを使った基本的な仕事ができる日本人は1割以下しかいない
  • 65歳以下の日本人の労働人口のうち3人に1人がそもそもパソコンを使えない


この結果を見てどう思いましたか?

そんなバカな!と思った人いるでしょう。この調査はOECDの依頼を受けた公的機関が実施したもので、結果を疑わしいと感じるのは、知能の高い人々の集団の中で生活しているからにすぎないのです。少なくとも、この記事を読んでいるあなたはその集団に属しているはずです。

また、今まで日本語が読めない、パソコンが使えないなどが問題にならなかったのは、それでもできる仕事(単純化が難しい部分)がたくさんあったから。一見単純な仕事も、それに従事する人は無意識に脳のある領域で意識を超えた行動を含めて仕事をしています。

 

この話のつづきは後編で、無意識の例から話を続けていきます。

 

 

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man leaping on concrete surface near body of water and forest at the distance during day

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