対人関係やマーケティングの心理学、興味はありますか?
この記事では、亀田竜也さんの「眠れなくなるほど面白い社会心理学」という本を取り上げます。
本書は、
- 対人関係の悩みがある
- 今の社会に生きづらさを感じる
- 心理学に興味がある
という方に、おすすめです。
この本は、私たちが日々無意識にしている行動と、その理由について知ることができる面白い内容となっています。
社会心理学を学ぶと、生きるうえで有利になるため、今回紹介する基本的な心理現象は必ず押さえておきましょう!
1. 社会心理学とは
社会心理学とは、社会の中での人々の心の動きや行動の法則を解き明かし、なぜそうなるのかを研究する学問のことです。
例えば、個人の心理とか集団の中での個人や、社会現象社会問題などを取り扱います。
対人関係の悩みがある、今の社会に生きづらさを感じるという方が学ぶことは、すごく価値が高いです。
また、社会心理学について知れば、生きる上での損を減らすことができます。
そんな社会心理学において、特に学ぶ価値が高い5つピックアップして解説します。
2. 5つの社会心理
認知的不協和
認知的不協和とは、自分の心の中に矛盾を抱えた状態のこと。そして私たち人は、この認知的不協和を無意識のうちに解消しようとする心理があります。
例えば、喫煙者が健康に悪いとわかっていながら喫煙する時、心の中で矛盾、認知的不協和が生じます。
この時に、我慢するとストレスが溜まり、余計に体に悪いと自分にとって都合のいい情報を信じることで、認知的不協和を解消しようとします。
また、ブラック企業におけるやりがい搾取も同じで、不思議なことに報酬が低い時の方が、私たちは生産性が上がったり、楽しさを感じたりする場合があることがわかっています。
報酬が低いのに頑張っているのだから、この仕事には価値があるに違いないと錯覚してしまうのです。
一貫性の原理
一貫性の原理とは、自分の行動に一貫性を保とうとする心理のことです。
例えば、いったん見だした映画はたとえ途中で面白くないと感じても、最後まで観なくては気持ち悪いと感じたり、真面目キャラが定着するとずっと真面目キャラでいなくてはいけないと思ったりすることも一貫性の一例です。
なぜこのような一貫性の原理が人には備わっているのかは、大きく2つの理由があります。
一つは、一貫性がある人の方が信頼されるから、もう一つは意思決定を簡単にできるからです。一貫性があると信頼されやすく、そのような個体の方が集団で生き残りやすかったという背景があります。
また、意思決定には労力が要るので、人はなるべく脳のエネルギーを節約するために、意思決定を簡略化する機能がいくつも備わっており、そのうちの1つが一貫性です。
さらに、この一貫性の原理が生じやすくなる場面があります。
それは、他人の注目がある場面。
例えば、人から手伝いを頼まれて引き受けると、2回目以降の頼みを断りづらくなる、期限のあるタスクを実行する際に一人でやるよりも、一緒にやる仲間がいた方が、成功確率が高くなるといったことがあります。
特に、最初に小さなお願いを聞いてもらい、その後に本当に通したいお願いをするというテクニックは、頼み事のみならず、マーケティングでもよくある手法ですので、意識してみましょう。
おとり効果
おとり効果は、人が物事を総体的に判断するという心理現象のことです。
例えば、お弁当などで松竹梅と3つのランクで販売されている場合がよくありますよね。
このようにランク分けした場合、真ん中のランクが選ばれやすいということが分かっています。
売る側は当然これを理解しているので、最初から売りたいのは竹であり、松と梅はおとりとしてそこまで売れる想定をしていないといった戦略がよく取られています。
流行りの裏側
流行りは売る側が今年の流行りはこれと決めて、人為的に作り出していることがほとんどです。
まずターゲット層を決め、メディアなどを使って広告します。
そのように人為的に作られた流行りは、だいたい数ヵ月~1年くらいのスパンで終了し、また別の流行りが作り出されていきます。
また、流行りには人の独自性と同調性という2つの社会心理学的な性質が関わっています。
独自性とは、人とは違うことしたい、自分は特別でありたいという心理。同調性とは、人と同じことをしていたい、仲間はずれは嫌だという心理です。
人は独自性と同調性の両方兼ね備えてはいますが、状況によってどちらかが強くなったり弱くなったりとかします。
また、流行りに対して独自性が高い人の行動は流行りの先取りか、流行りに逆らうかの2パターンがあります。
それに対して同調性が高い人の行動は、流行ってきたら自分も乗るというパターンです。
自分はどちらのパターンか客観的に捉え、戦略的にポジションをとってみるのも面白いかもしれません。
互恵的利他性
互恵的利他性(ごけいてきりたせい)とは、人は何かをしてもらったらお返しをしたくなるという性質です。
これは一貫性の原理と同じ理由で、人が社会的に生きるうえで、生き残りやすかったために、遺伝レベルで人に備わっていきました。
ちゃんとお返しをするような個体の方が、仲間から信頼されて、生き残りやすかったということです。
この互恵的利他性があるおかげで、ギバー(与える人)が得するという結論が導き出されます。
人はギバー(与える人)、テイカー(奪う人)、マッチャー(相手に合わせる人)の3種類がいるとされています。
また、長期的にみるとギバーが一番得をする理由は、人は似たもの同士で集まる習性があるからです。
ギバーは、ギバー同士で仲良くなります。すると、長期的に得るものが多くなります。
例えば、自分ひとりで得られる知識や経験には限界がありますが、それをシェアする人たちは、一人で得られる以上のものを得ていけます。
金銭的以外の面でも、ギバーは長期的に一番豊かになりやすいのです。
3. 損しないための対策
5つの心理現象を踏まえ、私たちが生きる上で損を減らすためにできることは何でしょうか?
それは、学ぶことと合理性を鍛えることです。学べば視野が広がり、見える世界が変わってきます。
知っているか知らないかで、日々の行動判断は変わります。また、知識の活用を常に意識する必要はなく、ストックされた知識は無意識に賢い判断行動が増えていきます。
さらに、合理的に判断できれば心理の影響に惑わされず、損しづらくなります。合理的な判断の積み重ねで、生活が豊かになる、人生の充実度は上がります。
今では、YouTube でも有益な学びの場はたくさんありますよね。
合理的判断を鍛えるは、脳の前頭前野を鍛えることが有効です。
前頭前野を鍛えると、目先の利益よりも長期的な損得を考えて合理的な選択ができ、社会的地位や経済的地位が高くなる傾向があります。
そのためには、まず睡眠・運動・食事・ストレス・禁煙・禁酒といったことを整え、脳と体を健康に保つことが近道です。
そのような土台を整えたうえで、日々考え学ぶことを積み重ねれば、合理性が磨かれるのです。
頭を使って考えるのは、どうしたら上手くいくか、効率的に行えるかといったことを思考できれば、仕事でもゲームでも何でもOKです。
今回は「眠れなくなるほど面白い社会心理学」を紹介しました。まだまだ紹介できていない部分が多いので、気になった方は、ぜひ読んでみてください!