伝えたいに上手く言葉にできなくてモヤモヤする…
そんな経験ありませんか?
この記事では、荒木俊哉さんの書籍「瞬時に「言語化できる人」が、うまくいく。」を取り上げます。
面接を受けている時、上司に何かを問われた時、友人と話している時…様々なケースで、うまく言葉にできない悩みは日々発生します。
本書はそんな“想い”をうまく言葉にできない!を解決するためのトレーニング法を教えてくれます。
さっそく、その一部を覗いてみましょう!
1. コミュニケーションの本質とは
コミュニケーションの本質を理解するためには、2つの重要なポイントがあります。
まずは「伝え方」よりも「言語化力」がコミュニケーションの要であること、そして「コミュニケーション本を読んでも言語化力は身につかない」について解説していきます。
言語化力が鍵となる理由
コミュニケーションの本質は、伝え方よりもむしろ言語化力にあります。
これは、広告業界の大手企業である電通で18年間コピーライターを務めている著者の経験からも明らか。一般的にコピーライターは「伝え方」の専門家と見られがちですが、実際の仕事のほとんどは「言語化」から始まるのです。
コピーライターが最初に取り組むのは、クライアントからのヒアリングです。
多くのクライアントは、自社の商品やサービスに対して強い思いを持っていますが、それをうまく言葉にすることができないことがしばしばあります。
そこで、コピーライターはクライアントの思いを深く掘り下げ、何を言えばその思いが正確に伝わるのかを言語化していきます。
その後、言語化した内容を自分自身に問いかけながら、生活者としてどう感じるかを検討します。この過程を経て初めて、どのように伝えるかを考え、最終的にコピーに仕上げるのです。
言い換えれば、コピーライターの仕事の95%は言語化に費やされており、伝え方は残りの5%程度に過ぎません。
コミュニケーション本では言語化力は鍛えられない
次に、コミュニケーション本を読んでも言語化力が身につかない理由について考えます。
言語化力が重要であるにも関わらず、日本ではその訓練を受ける機会がほとんどありません。そのため、自分の思いをうまく言葉にできない人々は、コミュニケーション本に頼りがちです。
しかし、著者によれば、コミュニケーション本の多くは既に言語化された言葉を「どう伝えるか」というスキルに焦点を当てたものです。
これらの本で学べるのは、言語化後の伝え方に関する技術であり、肝心の言語化力を鍛えるものではありません。
料理で例えるなら、どれだけ調理法を学んでも、食材そのものの質を向上させることはできないのと同じ。同様に、伝え方のスキルをいくら習得しても、言語化力の問題を解決することはできません。
言語化力を鍛えるためには
では、どのようにして言語化力を鍛えるべきなのでしょうか。
言語化力を向上させるには、独自の訓練が必要です。自分の思いを正確に言葉にするための反復練習や、他者からのフィードバックを受けることが効果的。
具体的な方法については、次で詳しく解説していきます。
2. 言語化力トレーニングの具体的な方法
言語化力を鍛えるためには、日々の訓練が不可欠。
ここからは、具体的な言語化力トレーニングの方法を、
- 6つのステップからなるトレーニング方法
- 日々の取り組み方
の2つに分けて解説していきます。
言語化力トレーニングの6ステップ
言語化力を効果的に鍛えるためには、6つのステップを順番に実行することが推奨されています。ここでは、その具体的な手順を詳しく見ていきましょう。
ステップ1:A4コピー用紙を使用する
まず、このトレーニングに使用するメモ用紙について説明します。
著者がお勧めするのは、真っさらなA4コピー用紙です。理由はシンプルで、A4サイズならば十分な書き込みスペースが確保でき、頭の中のモヤモヤを余すことなく書き出すことができるからです。
一般的なメモ帳はコンパクトで便利ですが、そのサイズでは書き出せる情報量が限られ、無意識に思考が狭められてしまう恐れがあります。
そのため、大きなA4用紙を使い、文字の大きさやレイアウトを気にせず、自由に書き出すことが重要です。
ステップ2:問いを大きく書いて四角で囲む
次に、用紙の一番上に、その日の問いを大きく書き、四角で囲みます。1枚につき1つの問いを設定することが、このトレーニングの基本ルールです。
この問いは、自分の中にある曖昧な思いや意見を引き出すためのカギとなります。
問いを設定したら、その問いに対して自分がどう感じるのか、どんな意見を持っているのかを自問自答しながら、メモに書き出していきましょう。
この過程は、自分自身と向き合う時間でもあり、自己取材のようなイメージで進めていきます。
ステップ3:メモを2分割して思考と理由に分ける
次に、用紙を上下2つのエリアに分けます。上半分には問いに対する思考や感情を書き出し、下半分にはその思考や感情が生まれた理由を書き出します。
このように、思考と理由を明確に分けることで、より深い分析が可能になります。
ステップ4:思い浮かんだことを1行書いてみる
ここからは、実際に書き出すフェーズです。問いに対して思いついたことを、まずは1行書いてみましょう。多くの人は、最初は何を書いていいかわからないかもしれませんが、思いついたことを気軽に書き出すことが大切です。
書き始めることで、次第に考えが整理され、さらに具体的な思考が引き出されていきます。
ステップ5:1行を書いた後、さらに深掘りする
次に、その1行目に書いた内容をさらに深掘りしていきます。自分に対して「それはどういうことか?」と問いかけながら、具体的に書き進めていきます。
たとえば、理想の上司について考えた場合、「チームメンバーの意見を聞く」と書いたならば、「その意見を聞くことが、なぜ重要なのか?」という問いを自分に投げかけてみましょう。
このように、1行目よりも2行目、2行目よりも3行目の方が、より深い考えや意見にたどり着くはずです。
ステップ6:思考の最終行から理由を書き出す
最後のステップでは、問いに対する自分の思考をさらに深めていきます。上半分で書き出した思考を基に、その理由を下半分に書き出します。
この段階で、今まで言語化できなかった曖昧な思考が明確になるはずです。
理由を言語化する際にも、自分に対して「なぜそう思うのか?」と問いかけながら書き進めることで、より深いレベルでの理解と表現が可能になります。
日々の取り組み方 制限時間は1枚2分、1日3枚書く
このトレーニングの効果を最大化するためには、毎日継続的に取り組むことが重要です。著者は、1つの問いについては制限時間を2分とし、1日に3枚のメモを書くことを推奨しています。
頭の中で考えてからメモに書き出すのではなく、書きながら考えるというスタイルで進めることがポイントです。
2分という制限時間は、短すぎるように感じるかもしれませんが、短時間で集中することが、よりクリエイティブで深い思考を引き出すために効果的なのです。
また、1日3枚、計6分で済むため、仕事の休憩時間や移動時間、寝る前のちょっとした時間を利用して取り組むことができます。無理なく続けられることも、このトレーニングの大きなメリットです。
毎日続けることで、1年後には1095枚もの問いに対する自分独自の思考や意見がストックされることになります。
これだけの蓄積があれば、どんな場面でも瞬時に言語化できる力が身についていることでしょう。
言語化力は、ただ情報を伝えるためのスキルではなく、深い思考や意見を明確に表現するために不可欠な能力です。
今回紹介した6つのステップを日々実践し、1日3枚のメモ書きを継続することで、言語化力を効果的に鍛えることができます。このトレーニングを通じて、自分の思考を深め、より強力なコミュニケーション能力を身につけていきましょう!
今回紹介した、荒木俊哉さんの書籍「瞬時に「言語化できる人」が、うまくいく。」について具体的な言語化の方法などをより詳しく知りたくなった方は、ぜひ本書を手に取ってみてください!