話し方ひとつで人生は得もするし損もする。どうせなら得する話し方をした方がいいと思いませんか?
この記事では、五百田達成(いおた たつなり)さんの「話し方で損する人 得する人」を紹介します。本書は、
- 話し方で損をしている気がする
- 得する話し方を知りたい
という方におすすめです。人間関係を左右するものとして、何を思い浮かべますか?
お互いの相性、立場、年齢、性別などの要素もありますが、著者はそれよりも話し方こそが大切だと言います。話し方ひとつで、人間関係は良くも悪くもなる。本書を読むと、話し方にフォーカスして、損をせず得できる話し方を知ることができます。
1. 相手が話し始めたら聞き役に徹する
まずは、人の話は「聴く」ことの大切さを2つ解説していきます。
以下の友達と会話をしている状況を考えてみてください。
友達が、「先週バーベキューに行ったんだけどね」と言った時、「へ~、バーベキューか。そういえば2年くらい行ってないかも。」と返したとします。
バーベキューに行った話を始めた友達は、もっと色々なトラブルがあった、こんな楽しいこともあったと話したいはずですが、バーベキューというキーワードに勝手に反応して、自分は最近行ってないと、自分の話を始めてしまうパターンです。
こうなると、友達は不快な思いをして、あなたの好感度が下がります。もう話したくないと思われるかもしれません。これは明らかに、損な話し方です。話したがりは嫌われます。
まずは黙って頷く
これは、プライベートの場に限りません。会議などで、人の話を聞きながら頭の中では、「この話が終わったら、あの意見を言ってやろう」「こんなことも思いついちゃった、早く自分の番にならないかな」などと、話すことを考えていることありますよね。
当然、一見聞いているようで、相手の話は全く耳に入っていません。そして、相手の発言が途切れるや否や、それまでの話題を踏まえずに、自分の言いたいことを語り出してしまう。こうした話したい人がほとんどの中で、あなたは聞く姿勢を持つことで、頭一つ抜けることができます。仕事はもちろん、恋愛などプライベートでも必ず得をするはず。
聞き上手になるのが難しい人は、聞く振りから始めてみましょう。黙って頷くだけでOKです。テレビでサッカーを見ている時に、家族から話しかけられて「黙ってて!」などというのは最悪。うんうんと、まずは相槌だけでもしてみましょう。
また、聴く態度として、人が話している途中に言いたいことが思い浮かんだ時は、ささっとメモをしておきましょう。その途中で、これが言いたいと思ったら、話を切るのではなく、メモをする。そして、相手の話をきちんと聞き終わった後に、発言をしましょう。
作家の村上春樹さんも、女の子に寄り添って話を聞いているだけで、モテると言っているそうです。話を聞いているだけで、不思議とあの人とは話が合う、話しやすい、ひいてはあの人は面白いとまで思われます。ぜひ、聞く姿勢を身につけましょう。
2. 相手の話を全て聞いてから質問する
相手の話を「聴く」の大切さについて、もうひとつ。ただ聞くとは言っても、やたらと質問してしまう人は、相手を疲弊させてしまいます。「実は夫が浮気してたことがわかって…」と、相手が相談を始めたとき、「いつから?相手は?どんな人なの?」などと、やたらと質問をぶつけて相手の話を中断させる話し方です。
質問をするのは、話を熱心に聞いている証拠と思うかもしれません人が、親しくなっていく過程では、適度に質問しながら、お互いを知ることは大切でしょう。
ただ、それはちゃんと相手の話を聞くことが前提です。そうでないと、会話が単なる応答になってしまいます。この失敗をする人は少なくありません。著者自身も、以前に知人の女性から尋問みたいと言われたことがあるそうです。聞くと言っても英語で言うAsk(尋ねる)ではなく、Listen(聞く)という姿勢が必要です。
まずはオウム返し
「実はサーフィンが趣味なんです」という話を聞いたら、「あーサーフィンですか。いいですね!」と、そのまま返してみましょう。すると、「最近、高校時代の友達に誘われて始めたんですけどね。」「そいつはもう10年以上やっていて、大会にも時々出るくいの腕前なんですよ。」と自然と話が深まっていくのが、得するコミュニケーションです。
相手のペースで、相手の話を聞くことに集中するよう心がけましょう。どうしても聞きたいことがあったら、「遮ってしまってすみませんが、ちょっとひとつ聞いてもいいですか?」と断ってから尋ねるようにすると好印象です。
また、質問っぽくなく質問をするテクニックとして、相手の言葉を繰り返して、語尾を上げるという方法があります。「サーフィン?↑」と語尾を上げて返すと、「そう、千葉の方でやっているんですけどね。」と、スムーズに会話が進みます。
質問に見せない質問で、相手を警戒させることなく、話を続けることができれば、それは得な話し方です。
3. 相手の悩みを一緒に考えようと共有する
ここからは、友人との接し方について解説していきます。
友人から相談を受ける場面を想像してみてください。「〇〇というわけで、本当にどうしたらいいかわかんなくて、辛いんだよね…。」と言われた時に、「そうなんだね。でも、そんなこと誰にでもあることだよ。実際に俺だってさ…。」こんな風に返してしまってはいないでしょうか?
悩みを相談したり、愚痴を言ったりする時、相手はあなたに共感を求めています。そうすることで少しでも悩みを軽くしたい、心を癒したいと思っています。しかし、熱心に相談相手をしているつもりで、逆に相手を疲れさせてしまうのが、先ほどの会話です。
「そんなのよくあること」というフレーズは、損する話し方。言われた相手は、せっかく心の内を話したのに、“よくあること”と、簡単に片付けられて気分がいい人はいません。
おまけに「俺だって…」と、話題を奪ってしまうと、相手はあなたにもう相談したくないと思ってしまいます。そこで、悩みや相談を受ける時の鉄則が2つあると、著者は言います。
絶対にアドバイスしないと決める
まず、アドバイスしないこと。これは、先ほどの“よくあること”と関連しています。自分の経験だけを元にアドバイスをしてしまうと、言われた方は「あなたに私の何がわかるの?」と、心の中では頭に来てしまうでしょう。
本書では、アドバイスは絶対にしないと、心に決めてしまうことをおすすめしています。「どうだろうね?」「どうしたいの?」と相手と一緒に考える姿勢を見せ、向かい合わずに一緒の方向を見る姿勢が大切だと言います。
そして、相手が話し終わるまで、自分の話をしない。相手の話を少し聞いて、すぐに自分の話をするのは大抵の場合、タイミングが早すぎます。自分の話をするなら、まずはじっくり、相手がもう話すことがないというくらいに聞いた後にしましょう。
問いたださない
鉄則の2つ目は、問いたださないことです。例えば、「最近、振られちゃってさぁ…」と言われたとして、すぐに「何で振られたの?」と詰め寄るのは厳禁です。相手はあなたに今の気持ちを言葉にするのに精一杯なはずなのに、自分の好奇心を優先してしまうのがこのパターンです。
相手からしたら、理由よりもまず悲しい事実を話し、それに寄り添ってほしいのに、最初から話の腰を折られた気分になってしまいます。
悩み・相談は大抵の場合、答えは相談する人の中で、すでに決まっています。著者自身、カウンセリングの現場で、そう感じることがよくあるそうです。最終的に相手が、「まあ目の前のことを一つ一つやっていくしかないと分かっているんですけどね」と自分で話し出すための手助けこそが、究極の悩み相談と言えます。アドバイスしない、問いたださない、これが得する話し方の鉄則です。
4. 純粋な気持ちで褒める
上手に人を褒めるというのも、なかなか難しいものです。せっかく褒めたのに相手が喜んでくれない。それどころか、不機嫌になってしまう場合もあるでしょう。実は、褒め方にも損する褒め方と得する褒め方があります。
例えば、会社での先輩と後輩のこんな場面を想像してください。「先輩、あの交渉をうまくいったんですか?」「あぁ、おかげさまで契約取れたよ!」「さすがですね、先輩ってほんと営業のセンスがありますよね。」
このやりとり、この後輩から先輩への褒め方は損しているパターンです。失敗のポイントは、上から目線です。職場の後輩が営業センスを褒めるのは、メジャーリーガーの大谷翔平に向かって「君、野球うまいね」と褒めるようなもの。
プロはその道のスキルが優れているのは当然なのに、それをうまいと褒めるのは、上の立場からジャッジしているとも受け止められ、「そういうお前は、何様だ!」と思われかねません。では、得する褒め方とは、どんなものでしょうか?
純粋な気持ちを伝える
職場の先輩に対して「さすが先輩!マジで超すごいっすね!」と言われた先輩は、こいつボキャブラリーないなと、見え透いたお世辞に感じるかもしれませんが、少なくとも悪い気はしないでしょう。なぜなら「マジですごい」は、上から目線ではなく、後輩が純粋に感じた気持ちを伝えているからです。
営業のセンスがあるかどうかは、それを語るに値するかどうかの問題。一方で、感想は誰にでも語る資格があります。同じように、歌手に対して歌が上手いですねと褒めたり、プロの作家に対して「いい文章ですね。」などと褒めるのも、「良い / 悪い」という上から目線のジャッジが混ざってしまっているので、注意が必要です。
「好き / 嫌い」で評価する
こうした時には、素直に「感動しました!」などと思ったことを表現する方が、相手には喜ばれます。「好き / 嫌い」で評価する方が、得をする話し方になります。
よく「あの映画は、見に行った方がいいよ!」「あのラーメン屋は、行くべきだよ!」などと言いがちな人は、そこに上から目線の評価やアドバイスが隠れていることに気づき、「あの映画は、面白かった」「あのラーメン、僕は好き」と言った、ピュアな感想や話し方は、相手に不快感を与えません。ちょっとしたコツですが、ぜひ意識してみてください。
5. まず謝ってから理由を添える
最後に仕事でありがちな状況になった時の対処法について解説していきます。
AさんとBさんが遅刻してきたとします。この二人がそれぞれこんなことを言ってきました。どちらが好印象でしょうか?
- Aさん「いやー、電車が止まってましてほんと困りますよね。最近遅延多くないですか?まいっちゃうなぁ。家は結構早めに出たんですけどね。」
- Bさん「すみません、遅れました。実は電車が…。」
言うまでもなく、好印象なのはBさんの方でしょう。自分が何か失敗をしてしまった時に真っ先に、非を認め謝ることのできる人は、もちろん得をします。
一方で「すみません」の一言も言わず、だらだらと言い訳を始める人は損をする人です。この場合、電車の遅延は本当なので、確かに正当な理由ですが、遅れたことも事実。まずは「すみません」と一言、きちんと謝ってから理由があるなら伝えましょう。
非がなかった場合も謝るべきか
では、こちらに非がなかった場合も、謝るべきなのでしょうか。例えば、先方がきちんと日程の連絡をしていなかったせいで、打ち合わせに参加できなかったとします。その時に、つい「いや連絡が取れなかったので、日程なんて聞いてましたっけ?」と言いたくなると思います。
しかし、これでは損をし、印象は悪くなるだけです。もし相手に非があったとしても、「打ち合わせに出られず、すみません。」と伝えるべきです。その上で、私の方もきちんと日程の確認をしておくべきでしたと付け加えればいいです。
仕事のトラブル時に考えるべきは、どちらが悪いかではありません。どう話せば、解決するかだけを考えましょう。
6. 私はそれは良くないと思うと率直に伝える
「あなたのためを思って言ってるんだ。」「君の将来のことを思って、あえてきついことを言わせてもらうが…。」こんな言葉を使ったり言われたりした記憶はないでしょうか?
誰でも説教されるのは、嫌なもの。それでも、確かにこの人の言うことはもっともだと納得できる時もあれば、この人にごちゃごちゃ言われたくないこともあるでしょう。特に後者の場合は、エネルギーを吸い取られるだけです。これを機に改めようといった気持ちには、なかなかなれません。
その典型として、“あなたのためを思って”という言葉は、押し付けがましく相手をうんざりさせる損する話し方です。この言葉が受け入れられないのは、そこに嘘があるからだと著書は言います。もちろん親や親友などが、本当に思っている場合はよいですが、そういう人はわざわざそうは言いません。
そこまで親しくもなく、信頼関係もない人が言うから嫌に思えるのです。では、そういう人はなぜあなたのためと口走ってしまうのでしょうか?
「俺はいいんだけど…」も要注意
実際に説教する彼らも、自分が気に食わないから、不快だから、自分にとって都合がいいから、説教しています。しかし、ここで利己的と思われるのはかっこ悪い、叱ることで相手に嫌われたくないという恐れが生まれ、自分を隠すために「あなたのためを思って」と、わざわざ断ってから説教を始めるのです。
この「あなたのため」に似たセリフに、「俺はいいんだけど」もあります。「俺はいいんだけど、君が困るよ。」「私はいいけど、それだと普通怒られるよ。」これも、嘘が含まれています。
あなたがいいなら言わないでくれと、反感を持たれるのがオチです。得する話し方は、こうした嘘に満ちた説教をしないことです。そういう時は面と向かって、「僕が嫌だから、やめてほしい」とはっきり言えばいいのです。
最初は勇気がいるかもしれませんが、「別に僕はいいんだよ、ただ君の将来を考えるとね」などと言う人より、結果的に信頼され、アドバイスも聞き入れてもらえるはずです。偽善的な言葉を使わずに、僕はこう思うよとストレートに伝えてみましょう。
今回紹介した、五百田達成(いおたたつなり)さんの「話し方で損する人 得する人」についてまだまだ紹介できていない部分が多いです。おすすめの本ですので、ぜひ読んでみてください!