この記事は、赤羽雄二さんの書籍「ゼロ秒思考:頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング」の紹介です。
前編では、なぜメモをとるだけで、“ゼロ秒思考(思考の質とスピードが最高の状態)”になれるのか、それは誰でも再現可能かについて解説してきました。
この後編では、“ゼロ秒思考”へと導くメモの具体的な取り方と活用法を紹介していきます。
1. “ゼロ秒思考”の具体的なメモのとり方
最初に、ゼロ秒思考を作るメモの中身を詳しく説明していきます。
まずは、書き方のフォーマットについてです。
A4用紙を横置きにして、右上にタイトルを書き、下線を引いてください。
ノートでもパソコンでもなく、A4用紙です。
なぜA4用紙かというと、文字だけでなく簡単な図も描くことができ、書き終わった後には1枚1枚バラバラに分類できるからです。
そして、前編でも説明したとおり、1行20〜30字の箇条書きを4〜6行、1分以内に書いていきます。

メモのフォーマット例 出典:https://www.travewriter.com/
スペースを気にして、小さな字でびっしり書くこともありません。
右上には、年月日を入れておきましょう。
年月日は漢字で書かず、ハイフンで簡略化します。
そしてメモに書くテーマは、頭に浮かんだまま躊躇せずに書けば何でもOKです。
例えば、
- どうすれば仕事のスピードを上げられるか
- どういう時に仕事が中断してしまうのか
- 自分が本当にしたいことは何か
- 自分は何に向いているのか
- 来週までにすべきこと
- 今月必ず実施すること
などが仕事からプライベートまで、何でもOKです。
このように、頭に浮かぶ言葉そのものをタイトルにしてください。
2. 同じテーマでも気になれば何回でも書いていい
最初はタイトルに対して、1、2行しか箇条書きできない人も、すぐに描けるようになるので少し頑張ってほしいと、著者の赤羽さんは言います。
慣れてない人も、20〜30ページ書くうちに書けるようになるそうです。
大事なのは、頭に浮かんだことを、たとえ腹が立って許せないことなどでも、頭に浮かんだそのままのフレーズを書き留めることです。
人に見せるものでもないので、タイトルでも本文でも、嫌いな人の名前もぼかさずそのまま書きましょう。
また、1日に書くページは10枚で、似たようなジャンル、テーマで何枚書いても良いです。
もし本当に腹が立ったのならば、何枚でも書きましょう。
- 何が嫌なのか
- 相手がどう酷いのか
- どうしてあの時自分は反論できなかったのか
などを具体的に書くことで、自分の気持ちをしっかりと見つめることができ、堂々巡りがなくなり、友達に3時間愚痴を言うよりも気持ちの整理に効果がありますよ。
ここまで聞いて、まだ「たかがメモでしょ?」とまだ馬鹿にしている人いませんか?
ただのメモを書く行為であれば、この本は30万部近くも売れません。
あのマッキンゼーで経営戦略を立案している著者がたどり着いた方法です。
実際にやってみてから良し悪しを判断してもよいのではないでしょうか?
3. どれくらい書けば“ゼロ秒思考”になれるのか?
メモの具体的な書き方は分かりましたよね。
では、どれくらい書き続ければよいのでしょうか?
前述のとおり、著者はメモを毎日10ページ書くことを勧めています。
1ページ1分、10ページで毎日10分程度。
3日経てば30ページ、一週間で70ページです。
ここまでくると、よほど向上心がある人でないと、実際に書き続けられる人は少数。
しかし、このメモを書くことで誰でも3週間もしないうちに、手応えと自分の成長を感じられるそうです。
- ミーティングで内容が以前よりずっと理解しやすくなった
- 自分の発言をちゃんと聴いてもらえるようになった
- 焦らず人の話を最後まで聞くことができるようになった
- なぜか前より自信が出てきた
などがその効果の例です。
普段いろいろなことを考えているとはいえ、大半の人が堂々巡りをしているため、
“1件1ページで書き出していく”
これだけで、その件については一応ケリがつくので、悩み考えるべき課題が急激に減っていくのです。
逆に言えば、このメモを実行せずに堂々巡りを続けると、一向に悩みが減らないし頭を無駄に使ってしまうということです。
4. 溜まったメモはどうするのか?
ここで、
「メモの書き方も効果も分かった。しかし書き溜めたメモはどうするんだ?」
という疑問の声が聞こえてきます。
著者は、メモは書くだけで頭が鍛えられているので、普段返さなくていいと言います。
ただし自分の成長過程を確認するため、3ヶ月に1度さっと見返すとよいそうです。
1日10ページ書いて、3ヶ月で900ページ。
もし3〜4ページしか書けていなくても、300ページはあります。
それらを見返すために、書いたメモは普段からカテゴリー別にラベリングしたクリアファイルに格納しておきましょう。
ラベルは例えば、
- 仕事の課題
- 私生活の充実
- 得意なことを伸ばす方法
など
よく書く内容に沿って、自分なりにラベリングします。

ラベリングしたクリアファイルにメモを溜める 出典:https://mae-nishi.com/
それを3ヶ月目に一気に見返すと、“あの時あんなこと考えていたのか”、“こんなしょうもないことで悩んでいたのか”という発見が多数あるはずです。
そして6ヶ月目には、またそれまでに追加されたメモを加えて見返します。
すると前回見返した部分を含め、大半の内容がしっかりと頭に入っていることに驚くことでしょう。
また、書く内容がどんどんまともになっていることにも気づくそうです。
3ヶ月後、6ヶ月後にこうして読み返すことで、何に悩んでいたのか、どうしようと決めたのか、その後どう展開していったのかがまるっと一目瞭然で分かるのです。
そこまで自分の軌跡をたどることができれば、3ヶ月目までのメモはそれ以降読み返すことは不要です。
つまり、すべてのメモは3ヶ月、6ヶ月後の計2回の読み返し後は、捨てても良いのです。
(著者は溜まったクリアファイルは山積みすることで、自身に繋がるとも言っています。)
ここまで、
“まとめようとせず、考えようともせずに、感じたままをメモに吐き出すことで、いくらでも思考が進む”
マッキンゼーのメモ術を紹介してきました。
これを続けることで、思考が整理され、“ゼロ秒思考”でスッと考えが浮かぶようになります。
より詳しく方法を知りたい方は、ぜひ本書を手にとってみてください。