この本は、お金について書かれたものではありません。人生について書かれたものです。
この記事では、ヴィッキー・ロビンさん、ジョー・ドミンゲスさんの書籍「お金か人生かーー給料がなくても豊かになれる9ステップ」を取り上げます。
本書は、
- 経済的自立を本気で達成したい
- 小手先のテクニックではなく、マインドからしっかり醸成したい
という方におすすめです。
FIRE(Financial Independent Retire Early)は、最近よく聞く言葉になっていますよね。経済的に独立し、早期にリタイアするというこの考え方を、知っている人も多いと思います。
FIREは、本書から生まれたとさえ言われています。
1992年に出版されて以来、100万部以上を売り上げ、多くのFIRE成功者を生み出しています。
それでは、さっそく内容をみていきましょう!
1. お金と生命エネルギー
まずは、お金と生命エネルギーの関係について本書から2つをピックアップし解説します。
お金とは何か
いきなりですが、お金とは一体何なのでしょうか? 現代の生活の中で誰もが使っているものですが、いざ聞かれると意外に答えに困りますよね。
この答えを考えることは、とても重要です。お金の正体を見誤っていれば、お金をうまく扱うことはできないからです。そうなれば、自分の望みのものを手に入れるどころか、失うことにもなりかねません。
本書では、お金とは、自分の生命エネルギーを差し出して手に入れるものです。ここでいう生命エネルギーとは、あなたの人生の時間のこと。ある人は時給1万円で時間を売り、ある人は時給1,000円で売っているかもしれません。
しかし、他人の金額は問題になりません。あなたが持つ唯一の資産は、あなたの人生の時間だと言うことです。
時間は私たちにとって宝物。あなたにとって大切なこと、例えば、
- 家族を愛すること
- 社会に貢献すること
- 何かに挑戦すること
- 自然を楽しむこと
- 何かを後世に残すこと
この貴重な時間の一部を売って、手に入れているのがお金です。身の回りのものを見ながら考えてみてください。
机や椅子、自動車、時計やスーツ、これらを手に入れるために、私たちは人生の何時間を投資したかと問いかけをするだけでも、お金の使い方が変わってくるような気がしませんか?
本書で紹介されている方法は、お金を増やす方法ではありません。モノが増えて豊かになるものでもありません。あなたのお金の関わり方を、根本的に変えるものです。
今回は、本書のたくさんの内容の中で、根本になっている重要な部分に絞って紹介していきます。
生命エネルギーをいくらと交換しているのか
お金とは、生命エネルギー。あなたの人生の時間そのものであると話ししました。しかし、自分の使うお金がどれだけの生命エネルギーと引き換えになっているのか、いまいち実感が湧かない人もいるかと思います。そこでまず、その交換比率に解説していきます。
週40時間働いて、10万円を稼いでいるなら、
10万円 ÷ 40時間で、1時間2,500円。
このように単純に考えられるかもしれませんが、話はそう単純ではないと著者は言います。
私たちの真の時給を考えるときには、単に働いている時間だけでは足りません。仕事に直接関係している、あらゆる支出を考える必要があります。
本書には、たくさんの要素が紹介されていますが、ここでは代表的なものを4つ紹介します。
- まずは、通勤。
家と職場を往復するのには、時間が必要です。さらにお金もかかる場合があるでしょう。例えば、自家用車を使っている場合には、ガソリン代、駐車場代、有料道路の通行料金、その他にも維持費がかかります。 - 続いては、仕事着。
職場で着るための服は、普段着と同じでしょうか。会社から貸与されているならいいですが、自分で購入する場合も多いでしょう。仕事に必要でなければ買わないと思われる服や靴、ネクタイなど身だしなみに使うお金と時間を見直してみましょう。 - 3つ目は食事。
仕事に行くことがなければ、使わなかった食費。例えば、朝昼のコーヒーや自炊する時間がないために摂る外食などです。 - 最後の4つ目は、日々のストレス解消。
これは意外と見落としがちない要素です。仕事のストレスさえ無ければ、自分の大切なことに使えてたであろう時間をお酒やお菓子を片手に、テレビやネットサーフィンに使っていませんか? 仕事によるストレスの回復に時間とお金がかかるなら、それも考慮に入れる必要があります。
このように一つずつ考えていくと、どうなるでしょうか。本書で紹介さている、以下の表をご覧下さい。
ドル表記になっていますが、週40時間働き、1000ドルを稼いでいるなら、25ドルが私の1時間。これは実際は誤りで、ちゃんと計算してみるとなんと1時間あたり10ドルになってしまいます。もともと考えていた金額の半分以下。
これを見ると、1時間分の命を使ってまで手に入れる価値があるものだろうかと、また仕事を選ぶときの評価基準も変わってくるはずです。
長時間通勤、服装・身だしなみ、ストレスの大きさなどを含めた、総合的に比較ができると思います。
2. お金の使い道
ここからはお金の使い道ついて、本書から2つのポイントを解説していきます。
本当に十分な支出とお金の賢い使い方
お金の賢い使い方聞くと、きちんと予算を立てて管理することが思い浮かびますよね。収入から計画的にいくら使うかを考えるという、これまで多くの人が実践してきた方法です。しかし、本書の方法は異なります。
本書では、あなたにとって、“十分”な支出の水準を知ることがポイントになります。
一般的な、住居費は収入の3割、食費は2割、医療費は1割以下に、という生計から見た標準の予算組みではありません。私たち自身独自の水準を知ることが必要です。
では、どうすれば十分と思える独自の水準を知ることができるのでしょうか?
やり方は非常にシンプルで、“意識する”だけです。何かを買うとき、買ったものを使っているときに、自分の考えていること、感じていることを意識する。心の中の目を養うということです。
その時、判断や評価はしません。ただ自分が考えている感じることに好奇心を持ち、観察する。
外部から得た基準や、習慣化した欲望に流されてはいけません。自分の心が発するシグナルを受け止め、それに従います。
そうすることで、今まで見えてこなかったことが見えてきます。
もしかすると、あなたには今の家は広すぎるのかもしれません。それに気づけば、家賃の安い家に引っ越すことも考えられます。
食事をする時、すでに満足しているのに、作ってしまったからと食べ過ぎてしまっているのかも。また、つい買っていた服や装飾品からは、それほど満足を得られていないかもしれません。
このような心のシグナルを観察すること。これは、そう簡単なことではないので、意識の筋トレが必要です。
あなた独自の収支表を作る
意識する方法として、毎月の収支表をつけることは、普通に思えるかもしれません。しかし、本書の方法は普通の作り方とは違います。
一般的な分類である、食料・住居・衣服・移動・医療といった形では不十分。もっと細分化された、あなた独自のカテゴリーを見つけることが必要です。あなたの本当のライフスタイルを映し出すのです。
例えば、食事であれば自炊する場合と外食する場合のカテゴリーがあります。さらに外食には、贅沢のためにする場合と、疲れて自炊できない場合があると思います。
休憩のためのコーヒー代やお菓子代というカテゴリーもあります。健康に気を使う人であれば、健康な食事とジャンクフード等を分けるのもいいでしょう。
大切なのは、あなたが実際の行動において、何を大切にしているかです。
衣服であれば、実用のために買う服とファッションを楽しむために持つ服、普段着用の服、職場用の服、外遊び用の服といった分け方もありますし、自分の感情によって分ける方法もあります。
気分を盛り上げる服、上司や彼女に良い印象を与える服、自分に合っている服といった分けです。
移動に関しても、自家用車、タクシー代、公共交通機関といった分け方が考えられます。
なぜ私は自家用車を使って通勤しているのか、便利だからなのか、ステータスと感じるからなのか、車の運転が好きだからなのか。こういうところに、まさに自分が現れてくるはずです。
そして、このように分けた分類それぞれに、予算を振り分けていきます。さらに、その右側に生命エネルギー=自分の人生の時間の項目を入れます。こちらは、再び本書から引用する図です。
例えば、ガソリン代にどれだけの命を費やしているのか。ほとんど着ない特別な衣装にどれだけの命を費やしているのか?
自炊をしないせいで、外食にどれだけの命を費やしているのか、といったことが見えてきます。
この独自の収支表には、決まった作り方がありません。
あなたが、自分自身のやり方を構築する必要があります。この表が完成した時には、あなたが何を大切にし、命を何に使っているかが明確になるでしょう。
3. お金と幸福
ここからは、お金と幸福の関係性ついて、本書から3つをピックアップし解説します。
いくら使えば幸福か
何が自分を幸福で満たしてくれるか。ここでの幸福とは、食事などで得られる一時的な快楽ではありません。より大きな意味での満足感、すなわちより充実した人生を得ることです。それは自分にとっての夢に、今もう一度向き合うということです。
お店になるということは夢を捨てなければならないということだと思っている人もいるかもしれませんが、そうではないと著者は言います。夢とは、人生という旅を幸福に続けるための燃料として、必要なものだと次の項目からの問いを考えることで、あなたの夢と向き合いましょう。
差し出した生命
エネルギーに見合う満足は得られたか。差し出した生命エネルギーに見合う充足感や満足感価値を得ましたか?この問いを、自分の支出に対して投げかけてみてください。満足感を得られているのか、得られていないのか。一つ一つに対して、考えてみましょう。そうすると、自分の満足感につながっている支出、そうでない支出が浮き彫りになります。
もしかすると、満足感につながっていないものに、大量の生命エネルギーを費やしている。そんな残酷な事実がわかるかもしれません。逆に、満足感につながっているのに、支出が少なすぎる項目が見つかることもあるでしょう。きっといろいろな発見が得られると思います。
では、どんなことが本当の幸福をくれるのか、一つの判定方法を紹介します。それは、外部の尺度に頼っているかどうかです。ここでいう外部の尺度とは、栄誉ある成績を取る、強豪を相手を倒す、自分が敬愛する何かのトップ10リストに入る、優勝する、成立や恋愛で大成功するといったものです。これらから得られるのは、真の満足ではありません。
こうした外部の尺度ではなく、自分の心の内の尺度を使うことが、真の満足に至るコツだと著者は言います。自分が心から良いと思えたら、それこそが真の満足でしょう。外の人から評価されなくても、認められなくても、関係ありません。
自分の価値観や人生の目的と調和しているか
生命エネルギーの使い方は、自分の価値観や人生の目的と調和していますか?
もう一度独自の収支表に立ち戻り、各項目に対してこの問いを考えてみましょう。
自分の価値観と自分の人生の目的、それぞれに合ったものなのかどうかを考えます。
ここで、まず価値観という言葉の意味を考えてみます。価値観とは、私たちにとっての根本的な原理や質のことです。
価値観に沿った生き方をすることで、心は穏やかになります。私たちの行動は、価値観が具現化されたものです。いかにお金を使うかに、この価値観が最もよく現れてきます。
例えば、外食に月2万円使っていたとしましょう。
これは便利さに価値を置いていることなのか、食べ物に価値を置いていることなのか、友人との社交に価値を置いていることなのか、人によって異なるはずで、様々な価値観を示唆するものになっています。
どんな価値観をもとにしていたにせよ、2万円を外食に使うということは、実質の時給が1000円の人にとって20時間分の生命エネルギーを使ったことになることに、変わりはありません。
それが妥当だと思う場合もあれば、多すぎたと思う場合もあるでしょう。
生命エネルギーとそれを使って得たものを考えることは、あなたの本当の価値観と調和しているのかという問いを考えることになります。
本当の価値観に沿ったお金の使い方に近づくことで、幸福に近づいていきます。
4. 人生の目的
人生の目的を見つけるために、本書では3つの方法が紹介されています。
一つは、情熱を傾けられること。
心から感心のあるプロジェクトに取り組むこと、夢を見ることを諦める以前は、どんな夢を抱いていたのか思い出しましょう。
お金をもらえなくても、やりたいと思える仕事はありますか?
そういった人生を捧げられるものを探してみましょう。
もう一つは、自分が痛みを感じたことに取り組むこと。
同じ痛みを持つ人々のために働くということです。一度その立場にたったからこそ、同じ立場の人々が感じるような悲しみ、絶望、空腹、恐怖を知っているはず。
自分の経験から得た知恵や思いやりを、他の人に与えることができるはずです。
3つ目は、目の前の課題に取り組むこと。
人々のシンプルなニーズに応えましょう。
世界ではあらゆるものが、目に見えない糸でつながっています。人の役に立つ行為は、すべて全体の福祉にも寄与するというのは大切な真理です。
偉大な活動は、一つの大きな行為ではありません。一人の目の前の人を大切にする行動に取り組む中で、人生を捧げる価値のある目的にたどり着けることもあるでしょう。
このようにして、目的を見つけたら、収支表をもう一度眺めます。
自分の支出パターンは、あなたの目的に近づけるものになっているでしょうか?
支出の調整、あるいは目的の調整が必要になるかもしれません。自分自身に問うことで、幸福な支出の仕方に近づいていくことができるではずです。
今回紹介した、ヴィッキー・ロビンさん、ジョー・ドミンゲスさんの書籍「お金か人生かーー給料がなくても豊かになれる9ステップ」にはまだまだ紹介できていない部分が多いです。おすすめの本なので、ぜひ読んでみてください!